「国語は成績が上げづらい科目」「センス次第だから勉強しても無駄」
などとお考えの方も多いようですね。
確かに他の科目に比べて、単純に授業で解き方を教わったり、問題集を解いたり
するだけではなかなか成績が上がらないケースも多いようです。
その原因の大半が「読解」にあります。「読解」という特定の技法や公式があるような
ないような不透明な分野においていくら勉強しても成果が出ない、ということは
珍しくありません。
私は全く国語で苦労したことが無かったのに、なぜかウチの子は全く国語がダメ。
なんで読めないのか、なんで理解できないのか、さっぱりわかりません・・・。
いったいどうすれば・・。
国語嫌いのお子さんの保護者さんからはこのような相談をよく受けます。
読解力というのは様々な要素が絡みあって影響しますので、
簡単には上がらないのは事実です。
一方でお子さんの読解力を適切に分析し、適切に対策を打つことで
確実に高めることができるのも確かです。
ここまで2000名以上を指導してきた中で、絶望的に読解力のない状態で入塾した子が
難関校の入試問題をスラスラと解けるようになるのを幾度となく見届けてきました。
そこで指導してきたメソッドをご紹介します。
本記事は以下のような方にご参考にしていただけると思います。
是非、最後までお読みください。
・国語の成績が上がらない、理由もわからないとお困りの生徒さん、保護者さん
・国語は指導しても成績が変わらない、とあきらめモードの国語講師の方
「物理的読解力」とは私が造語として使っている言葉ですが、
要するに「文字を目で追うスキル」のことを指します。
文字を目で追うことが苦手で時間がかかる子は案外多いものです。
しかし、どんなスピードで読みこなしているかは黙読している
子どもを見ていてもわかりづらいですよね。
そこで「音読」をさせて、その「音読」の様子をよく見てあげてください。
つっかえたり、読み飛ばし、誤読が多いと感じるようであれば「物理的読解力」に
課題アリ、です。対策は後にご紹介します。
文章の中に知らない言葉がたくさん出てくると、当然文章の理解度は下がり、
文章を面白いと感じることもできず、モチベーションまで下がっていきます。
お子さんの語彙力が多いか少ないか、というのは日常会話の中ではわかりづらいものです。
語彙力に対する正しい分析を通じて、現状のお子さんの語彙力レベルの判定をし、
日常的に語彙力を高める努力をする必要があります。
語彙力の分析と語彙力向上の方法について追ってご紹介します。
スラスラと読めているのに設問にうまく答えられない。
特に指示語や接続語の問題をよくミスする子は文と文のつながりを理解しないまま
読み流している傾向にあります。
一文ごとの意味はよくわかっていますが、複数の文がお互いにどのような関係で
つながっているのかを理解しようとしていないので、文章の全体像をつかめません。
結果、読めているつもりでも読解問題の正答率は低いまま。
ある特定の表現を本文から探して書きぬく作業が苦手なお子さんも要注意です。
全体像がつかめていないので、目的の表現が文のどのあたりにあるのか見当が
つけられません。
ここまで挙げてきた読解における課題がクリアされていたとしても、
どうしても文章に書かれていることが理解できないこともあります。
それは、筆者の考え意見、あるいは物語中の登場人物の言動が読者である
お子さんの過去の経験、考えから照らし合わせて全く腑に落ちないケースです。
わかりやすい例を挙げるとすると、小学生男子。
「A少年に淡い恋心を抱くB子。B子はそれを悟られないように
ついA少年に冷たい態度をとってしまい、B子はそのことをいつも思い悩む.。」
物語文の中では上記のような記述はされておらず、
「人物の言動」を表現した文からB子がこのような心理状態であることを
読み取らなければなりませんが、全く理解できない小学生男子は多いです。
シンプルにB子はA少年を嫌っている、、ととらえてしまう。
これは自身の経験や読書その他の通じた間接的な経験の不足からくるものです。
この例でいえば10~12歳ごろの男子と女子の関心事の差が如実に表れるのです。
女子の多くが恋愛に関心を持ち始める一方で男子はまだまだ無関心であることが多いですから。
同様のことは説明的文章でも起こります。自分になじみのないテーマの説明的文章では
筆者の伝えたい事がどうしてもうまく理解できないことがあります。
このような状況を少しでも改善するために取り組むべきこともご紹介していきます。
学校から「音読」の宿題が出されている方が多いと思いますが、
受験国語の力をつけていくためには「初見の文章」を音読することが重要です。
最適なのは「塾のテキストや受験対策用の問題集の文章の音読」です。
これらの文章は基本的に初見であり、文章の分量が音読するのに適した量であるので
音読には最適です。
特に日々塾の宿題に追われているようなお子さんは国語の文章問題の宿題については
さらっと流し読みして適当に問題に答えておわり!、、、となっている子が多いように
感じます。
私の塾では国語の文章問題は必ず「音読」を宿題にしています。
小学生の場合は保護者にその音読を聞いてもらう。中高生はひとり言のように呟きながら
読む。これを繰り返すことで文字を目で追うスピード(=「物理的読解力」)の
課題感はほぼ確実に解消します。
次に語彙が足りないケースです。
お子さん自身の専用辞書つまり「マイ辞書」はお持ちでしょうか。
もしご兄弟・姉妹で共用などの場合はすぐにお子さん一人に一冊の
辞書を用意してあげましょう。
近年は「電子辞書」や「スマホの辞書アプリ」なども普及していますが、
小中学生にはやはり「紙の辞書」をお勧めします。
特にコラムや注意書きが充実した紙の辞書を選びましょう。
辞書を使用する際には調べた語句にはどんどん線を引いていく、付箋を貼るなどして
調べた記録を残していきましょう。「言葉をたくさん調べた」という履歴が
また次に意味調べをするモチベーションにつながりますし、次に同じ言葉、関連する言葉を
調べる際に過去調べたことが復習される効果もあります。
また、紙の辞書は流し読みするのも大変効果があります。適当にページを開いて
気になる言葉やコラムを読み進めるというのも国語力アップには有効な手段です。
【おススメ辞書】小学館「例解新国語辞典」は小中学生に最もおススメできる辞書です。
収録語数が豊富なのと、解説が詳しくよくある言葉の誤用についての注意も豊富に記載されています。
また、より効率的よく語彙力を高めていくためには「語彙に特化した問題集・参考書」も
かなり有効です。中学受験・高校受験、それぞれのレベルに合わせた語彙をピックアップして
それに合わせた演習を継続することでよりスピーディに語彙力アップを図れます。
小学生・中学生にそれぞれおススメの問題集・参考書は以下の2冊です。
私の生徒たちにも家庭学習用として使っている子が多く、成果も出ています。
“ふくしま式「本当の語彙力」が身につく問題集 小学生版 偏差値20アップは当たり前!/福嶋隆史
中学生のための語彙力アップ厳選1000語 受験勉強をはじめる前にひととおり仕上げておきたい!/内藤俊昭
語彙力アップにはこちらの記事も、ご参照ください。
文と文のつながりがうまく理解できない、文章の全体像をつかむことができない。
こういう子は読解の方法論が確立していないことが多いです。
ここは塾なり家庭教師なりの「国語科教師」の力量が最も問われる部分です。
読解問題を解いた後、文章や選択肢に全く線が引かれていない場合は要注意。
線引きは読解の「型」を確立するうえでとても大切な作業です。
正しい「型」で読み進めないといくら大量に解いてもスキルは養われません。
担当の国語教師がしっかりとした「型」を繰り返し指導していれば
生徒さんはそれに合わせて文章を読み、問題を解くことを繰り返す中で
確実に読解スキルを身につけていくでしょう。
一方で、毎回漫然と文章内容を解説し、答え合わせをしているだけ、
全く汎用性のない授業をしている国語教師が多いのも事実。
読解の技法については本サイトでも初歩的なものを以下のページで
ご紹介しています。(文学的文章=物語・小説などは現在作成中)
こういった「型」のない指導を受けている場合には
少し指導者選びを考え直した方が良いかもしれません。
最後にお子さんの経験の少なさから文章のテーマがお子さんの思考とかみ合わず
腑に落ちないケースが多い場合はどうするか。
この問題の解決策は唯一「経験を増やす」ということにつきます。
とはいえ、説明文でいえば国際問題、政治問題、環境問題、文化教養、宗教等々
小説・物語でいえばスポーツもの、芸術・文化を題材とするもの、家族関係、友人・恋愛関係、
明治~昭和時代の人々生活などとにかく多岐にわたるためこれらを小中学生にすべて
直接体験を通じて経験値を積ませることは不可能。
したがってまず大切なことは「間接的経験」を増やすことです。
「間接的経験」とは読書その他を通じて上記のような受験国語で扱われる
様々なテーマについて疑似体験を積み重ねることです。
読書が一番効果的ですが読書が苦手な場合、「テレビドラマ」「映画」などストーリーのあるものを
視聴することでも経験を積めます。また、良質な「ドキュメンタリー番組」も説明的文章の
テーマを深く理解していくうえでも重要です。
ただし、お子さん一人で観ているだけですと理解度に不安が残ります。
したがって最もおススメなのは上記のようなコンテンツを
親子で一緒に観て内容・テーマについて話し合う
ということが最も有効です。
是非、チャレンジしてみてください。
きっと多くの読解テーマの理解が深まり、読解の幅が広がるでしょう。
いかがだったでしょうか?
読解力がなかなか上がらない理由として
①原因がお子さんによってバラバラで原因を特定しづらい
②対策も原因ごとに違ってくるので的外れな対策になりやすい
この2点があげられます。
ただし、適切な原因分析と対策を組み合わせることで
読解力は必ず上がります。
今回の記事を参考に、読解力向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。