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2026.4.12実施 四谷大塚 第1回合不合判定テスト 国語解説
国語 徹底解説
- 大問1(物語文):せやま南天「パルティータを鳴らすまで」― 登場人物の心情変化と記述対策
- 大問2(説明的文章):町田章「AI時代になぜ英語を学ぶのか」― 言葉の意味と社会構造の関係
- 人物相関図・心情変化表・対比構造図で視覚的に整理
大問1:物語文 ― せやま南天「パルティータを鳴らすまで」(朝日新聞出版)
作品・場面の概要
主人公の拓実(たくみ)は、シングル家庭で育ち、里親制度を経験してきた中学生の少年です。静かで穏やかな性格ですが、その裏で本当の気持ちを押し殺してしまうところがあります。果鈴(かりん)は楽器演奏に取り組む少女で、拓実の近くにいる存在。純さんは拓実を見守る大人で、彼の「本当の気持ち」を心配しています。
演奏会の前後を舞台に、拓実が自分の生い立ちや幸せについて向き合い、果鈴の強さに触れて成長していく姿が描かれています。
登場人物
人物相関図
場面の変化と心情のポイント
拓実は幼い頃から「静かで穏やかで、遊具なども果鈴に譲る子」でした。純さんはそれが長所だと認めつつも、「本当の気持ちは一体どこにあるんだろう」と心配しています。里子やシングル家庭という事情に構わず、「ただの一人の少年として言いたいことを言って、やりたいことがやれますように」と願っています。
純さんの声は「切なく」「慈愛に満ちて」おり、拓実の懐の中にあたたかいものがすうっと沁みていきます。その声と人に対し、拓実は照れながらも「ありがとう」と言います。
拓実はある人物との会話の中で、表情が次々に変わっていきます。少々あきれ → 期待の大きさにびっくり → 反省 → 親しみを感じる → 納得、という流れが読み取れます。
A「大人に幸せにしてもらう」という受け身の幸せと、B「私の幸せは、私が決める(自分で自分を幸せにする)」という主体的な幸せ。拓実はこの対比を通じて「幸せとは何か」に向き合います。
果鈴の言葉を聞いた拓実は、自分が苦しくても人を傷つけず、周りを思いやり、明るい希望へ向かう果鈴の生き方に、深い心根の強さを感じます。そして、その強さが自分にも欲しいと思うに至ります。
心情変化表
設問解説
問一(記号選択・6点)正解:エ
純さんの言葉から、拓実に対する思いを読み取る問題です。
問二(記号選択・5点)正解:イ
純さんの言葉が拓実の耳と心にどのように入っていったかを問う問題です。
問三(並べ替え・6点)正解:ウ→イ→オ→ア→エ(くんで)
拓実の表情と内面描写に注意しながら、指定された範囲を丁寧に読み、心情の変化順を並べ替える問題です。
②「もっと大きなところで強くべきだ」と言われて驚いた → 期待の大きさにびっくり=イ
③「ちょっと嬉しい気しんじゃうかな」→ 反省する=オ
④ 口調がやわらいで → 少し親しみを感じる=ア
⑤「そうだな」→ 結果がわかり、納得している=エ
問四(記号選択・5点)正解:ア
問五(記号選択・6点)正解:ウ
問六(記述+記号・計10点)
問六-1(各4点)
B:私の幸せは、私が決める(自分で自分を幸せにする)
A:受け身の幸せ
「大人に幸せにしてもらう」― 誰かが自分を幸せにしてくれるのを待つ姿勢。里子として育ってきた拓実にとって身近な感覚。
B:主体的な幸せ
「私の幸せは、私が決める」― 自分自身の力で幸せをつかみ取る姿勢。果鈴の生き方に通じる考え方。
問六-2(6点)正解:イ
問七(記号選択・各3点)正解:X=イ、Y=オ
X=イ:この場面での拓実の内面に合致する選択肢を選びます。
Y=オ:文脈上の心情変化の流れに沿った解釈が求められます。
問八(記述・12点)
- 原因:果鈴の言葉を聞いたこと
- 果鈴の強さの中身:苦しくても人を傷つけない + 周りを思いやる + 明るい希望へ向かう
- 拓実の心情:そのような強さが自分にも欲しい
比ゆ表現
- 「懐の闇の真ん中にあったかなものがすうっと沁みていくみたいだった」― 純さんの慈愛に満ちた声が、拓実の心の暗い部分にあたたかく染み込んでいく様子を表す比喩。問二の手がかり。
主題
この物語のテーマ
「幸せ」は誰かに与えてもらうものではなく、自分で決めるもの。
苦しい状況にあっても、人を傷つけず、周りを思いやり、明るい希望へ向かう「深い心根の強さ」こそが、
本当の幸せにつながる力である。
大問2:説明的文章 ― 町田章「AI時代になぜ英語を学ぶのか」
文章の概要
この文章は、言葉や表現の意味が社会構造・文化的背景(ベース)によって変わるということを論じています。「プロファイル」と「ベース」という概念を用いて、表現の意味がどのように成り立っているかを氷山の比喩で説明しています。
筆者の主張
重要概念の対比構造
段落構成
- 序論:表現にはプロファイル(表面的意味)とベース(背景的知識)がある
- 本論①:氷山の比喩 ― プロファイルは水面上、ベースは水面下
- 本論②:「フリーター」の例 ― 時代によってベースが変化し、同じ言葉の意味合いが変わった
- 本論③:アメリカの銃文化の例 ― 文化的背景(フロンティア開拓の歴史)が異なれば理解も異なる
- 結論:社会で共有される知識・構造・価値観が変われば、表現の意味も変わる
重要な具体例
具体例①「フリーター」
1980年代後半:自由なライフスタイルの象徴
→ 現代:不安定な雇用形態のネガティブなイメージ
同じ言葉でもベース(社会背景)が変わると意味が変わる好例
具体例②アメリカの銃文化
広大な大陸を開拓する中で、警察の目が届かない無法地帯で暮らしてきた歴史
→ 自分で自分の身を守るという考え方が一部の地域に残る
文化的ベースを知らないと表現を正しく理解できない例
設問解説
問一(記号選択・6点)正解:イ
問二(記号選択・6点)正解:ウ
問三(記号選択・6点)正解:エ
問四-1(記号選択・6点)正解:ウ
問四-2(記述・10点)
- 「社会で共有される知識・社会構造・価値観」= ベースに当たるもの
- 「変われば… 意味も変わる」= 因果関係を明示
- 「フリーター」の例から一般化して書くのがポイント
問五-1(記号選択・6点)正解:エ
問五-2(記述・12点)
- 歴史的背景:大陸開拓 + 警察の目が届かない無法地帯
- 結果:自分で自分の身を守るという考え方
- 現在とのつながり:今でも一部の地域で残っている
- この3要素を「知識」としてまとめるのが12点のカギ
問六(記号選択・各6点)正解:問六-1=ア、問六-2=ウ
問六-1=ア、問六-2=ウ
重要語句・表現
- プロファイル:表現が直接的に指し示す意味。氷山の水面上に見える部分。
- ベース:表現の背景にある社会的知識・文化的背景。氷山の水面下の部分。
- フリーター:定職に就かずアルバイトなどで生活する若者を指す和製英語。時代とともにイメージが変化した例。
- フロンティア:開拓地、未開の地。アメリカの歴史における開拓精神と結びつく概念。
まとめ
今回のテストを振り返って
大問1の物語文は「幸せとは何か」という普遍的なテーマを扱い、心情の並べ替え問題と12点記述が勝負の分かれ目でした。心情変化を一つ一つ丁寧に追う力が問われています。
大問2の説明的文章(町田章「AI時代になぜ英語を学ぶのか」)は「プロファイルとベース」という抽象的な概念を、具体例(フリーター、アメリカの銃文化)で説明する構成。抽象→具体の往復を意識して読む力が試されました。
記述問題は2問合計で22点。合否を分ける大きな配点です。
「何が問われているか」を正確に把握し、必要な要素を過不足なく盛り込む練習を重ねましょう。






