2026年9月23日(水・祝)に実施された第1回学校別サピックスオープン(フェリス)の国語を、全問解説します。大問一は朱川湊人さんの物語文「夏の落し文」(『かたみ歌』所収・新潮社)、大問二は吉野弘さんの『詩の楽しみ――作詩教室――』(岩波書店)で、最後に二百字の作文があります。大問三は修飾語、大問四は漢字です。この記事では、兄と弟の関係と「私」の心の動き、そして「ぶつかる」という言葉の意味のズレを、情景アニメ入りの図解動画で整理してから、根拠つきで一問ずつ解いていきます。
出題構成と全体の講評
- 大問一は物語文(朱川湊人「夏の落し文」)で、設問は十五問・58点。大問二は随筆(吉野弘『詩の楽しみ』)で、設問は四問・26点。大問三は修飾語の問題が四問・8点、大問四は漢字の書き取り五問と読み三問で8点。合計100点です。
- 大問一は選択肢の問題が中心で、記述は問十一(30字以内)だけです。そのかわり、家族の人数(問一)や、祖父が兄にだけ厳しい理由(問六)のように、人物の情報を正しく整理できているかを問う設問が並びました。
- 大問二は、30字と40字の記述、そして二百字の作文です。フェリスの本番でも作文形式の記述はよく出ます。作文は配点が10点と大きく、時間配分が合否を分けます。
- 大問一は長い物語で、選択肢の文も長めです。本文を読みながら人物の関係と「私」の気持ちの変化にしるしをつけておくと、あとの設問で読み返す時間を減らせます。
大問一のカギは、兄の秀則が、両親の本当の子ではなかったという事実です。これは物語の後半で明かされますが、祖父が兄にだけ厳しい理由(問六)、主人が頭を下げた理由(問十三)、「私」が今でも泣きたくなる理由(問十四)が、すべてこの一点につながっています。大問二のカギは、「ぶつかる」という同じ言葉が、目明きの私たちと、目の見えない娘さんとでは、まったくちがう意味を持つことです。問一から問四の作文まで、この「意味のズレ」が一本の線になっています。
大問一 物語文 朱川湊人「夏の落し文」
あらすじ 面子に強い兄と、なぞの貼り紙
舞台は、東京オリンピックを目前にした昭和三十九年の夏です。「私」(浅井啓介)は小学三年生で、体が弱く、小児喘息をかかえています。兄の秀則は五年生で、近所の仲間と遊ぶガキ大将でした。兄の面子は、人気漫画の主人公をまねたニセモノの「イッパチマン」でしたが、なぜか連戦連勝の負け知らずです。
ある日、町の電柱に「アサイケイスケアキミレス」という全部カタカナの貼り紙が見つかります。浅井啓介は「私」の名前です。兄は「また八小のヤツらが、嫌がらせしてるんじゃないのか」と、吐き出すように呟きました。そのあと、栃木の祖父母が家にやって来ます。祖父は体の弱い「私」をことさら可愛がる一方で、兄にはあまりに厳しい態度をとりました。それでも兄は、一切口応えをしませんでした。
その後も、「ナツノマニ」などの貼り紙が町のあちこちで見つかり、貼っているのは学帽をかぶった少年らしいと分かってきます。八月のある夕方、「私」は家の近くの路地で、夕陽を背負って立つその少年に出会い、足が動かなくなります。少年が差し出した紙には「カラスヤノアサイケイスケハカナキサタメ」と書かれていました。「私」は意識を失い、床についた「私」のそばに、兄は一日中いてくれます。けれどもある日、学帽の少年から「私」を守った兄は、そのまま帰ってきませんでした。兄の捜索書を貼った古本屋の主人の言葉から、「私」は、兄が父の友人の子どもだったことを知ります。大人になった「私」は、今も兄の帰る場所をなくさないように、この町に住み続けています。
体が弱く、小児喘息
大人になった今も、兄の帰りを待ってこの町に住む
面子「イッパチマン」で連戦連勝
両親の本当の子ではなく、父の友人の子
血のつながらない子が土地を継ぐことが気に入らない
跡取のことで祖父と長く対立
正体は最後まで分からない
問一 「私」と一緒に生活している家族の人数2点
家族の登場人物を、一緒に住んでいる人とそうでない人に分けます。本文には、父、母、兄、「私」、そして妹が出てきます(「私と妹には何でも買ってくれるのに」「妹のママゴトにも恥ずかしがらずに付き合っていた」)。栃木の祖父母は、軍隊時代の仲間が集まる会に参加がてら「我が家に遊びに来た」のであって、一緒には住んでいません。
問二 「ことさら」と同じ意味で用いられているもの2点
本文は「体の弱い私をことさら可愛がってくれる」です。ここでの「ことさら」は、ほかと比べてとりわけ、特に、という意味です。同じ使い方は4の「今年の冬は昨年よりもことさら寒い」です。2の「母はことさら私を怒らせようとする」は「わざと」、3の「遠方から祖母がことさら遊びに来た」は「わざわざ」の意味で、使い方がちがいます。
問三 「業を煮やした」の意味2点
「業を煮やす」は、物事が思うように進まず、腹を立てることです。貼り紙のしつこさに腹を立てた兄が、仲間と学帽の少年を探し回る場面です。
問四 「ヒデちゃんは人間じゃねぇな」が表していること4点
このせりふは、兄が面子を「三枚いっぺんに」裏返したときに、場にいた男の子たちが頭を抱えて言った言葉です。見た目のことを言っているのではなく、一度に三枚も取るという勝負の結果を受けて、「人間わざとは思えないほど強い」とおどろき、ほめているのです。
1の「強運」は、たまたまうまくいったという意味になり、兄が「よく使い込んだ勝負面子」で技量によって勝っていることと合いません。2の「冷徹」、4の「欲が深い」は、このせりふの場面からは読み取れません。
問五 「細い目を一層細めて、兄は吐き出すように呟いた」ときの兄4点
兄が呟いたのは「何だか、気に入らねぇな……また八小のヤツらが、嫌がらせしてるんじゃないのか」です。「気に入らねぇ」「吐き出すように」から、兄が不快に感じていることが分かります。そして「八小のヤツらが」「じゃないのか」から、近くの第八小学校の生徒の仕業ではないかと考えていることが分かります。この二つをそろえた1が正解です。
2の「全く心当たりがない」、4の「見当がつかず」は、八小の生徒を疑っている兄の言葉と合いません。3の「確信し」は、「じゃないのか」という推測の言い方に対して言い過ぎです。
問六 「祖父」が兄弟への扱いを変えているのはなぜか4点
傍線部は「私に接する態度と兄に対する扱いが、あまりに違い過ぎた」です。理由は、物語の後半、古本屋の主人の言葉をきっかけに明かされます。兄は「本当は両親の子ではなく、父の友人の子供であった」。そして「田舎の祖父には、それが気に入らなかった。遠い将来、自分とまったく血の繋がりのない子供が、先祖伝来の土地を継ぐかもしれないと思うと、腹が立って仕方なかったのだろう」とあります。これをまとめた3が正解です。
4は「由緒正しい名家」が合いません。父は実家のことを「結局は田舎の小金持ち程度に過ぎない」と考えています。2の「強い期待」も、兄への扱いと逆です。フェリスは、このように物語の後半にある人物の情報を使って前半の設問に答えさせることがあります。人物について分かったことは、本文の余白にメモしながら読みましょう。
問七 □部にあてはまる言葉4点
「何でおじいちゃんは、兄ちゃんにあんなに□のかな」。祖父は、「私」が転んだだけで兄に「すさまじい罵詈雑言」を浴びせ、そのあとも「ちょっと返事が遅れただけでも叱責され、それこそ箸の上げ下ろしにまで苦言を呈された」とあります。細かいことまで口やかましく言うようすを表すのは、1の「うるさい」です。2の「がめつい」は欲が深いこと、3の「あざとい」はやり方があくどいこと、4の「あさましい」は品性がいやしいことで、場面に合いません。
問八 「父と祖父の確執」とはどのようなことか4点
「確執」は、たがいに自分の意見をゆずらず、仲が悪くなることです。本文によると、父の兄(伯父)が亡くなり、父に跡取の話が回ってきました。けれども父は「何十代も続く名家ならいざ知らず、結局は田舎の小金持ち程度に過ぎない」と考え、「田舎に帰ろうとはしなかった」。そのため「長い間、父と祖父の確執が続いていた」のです。家を継がせたい祖父と、田舎に帰ろうとしない父の対立をまとめた2が正解です。
1の「啓介を跡取にしたいと考える父」、4の「自分が財産を受け継ぎたいと主張する父」は、本文にない内容です。3の「能力的に跡取にふさわしくない」も書かれていません。
問九 「鼻息の荒いその姿を見ていると、私は不思議と元気になれた」ときの「私」4点
「その姿」は、「つまらないイタズラをしやがって……見つけたらギタギタにしてやるからな」と毎日言っていた兄の姿です。「鼻息の荒い」は、いきどおって意気ごんでいるようすです。弟のために自分以上に怒ってくれる兄に、「私」は愛情と頼もしさを感じています。続く「兄と一緒なら、怖いものなど何もないような気がしたのだ」も手がかりです。兄のいきどおりと、そこから感じた頼もしさをまとめた2が正解です。
1の「きっと犯人を捕まえてくれる」という希望、3の「深く感謝している」、4の「安心している」は、どれも兄の「鼻息の荒い」いきどおりにふれていません。
問十 「そう思った瞬間、なぜか私の足は動かなくなった」ときの「私」4点
「そう思った」の「そう」は、直前の(貼り紙のやつだ!)という「私」の心の声です。目の前の見慣れない少年が、自分の名前を書いた貼り紙の犯人だと気づいたとたん、足が「ピクリともしなくなった」のです。このあと「私は叫ぼうとしたが、声が出せなかった」と続き、「私」が言いようのない恐怖で体がすくんでいることが分かります。4が正解です。
1は、少年の顔に「目も鼻もなく」真っ赤な口だけがあったことを見たのが、この場面より後です。この瞬間の説明としては合いません。2の「注意深く行動しようとしている」は、体が動かない状態と逆です。3は、足首を押さえつけられたように動けず声も出せないという「恐怖」にふれず、「頭が真っ白」としている点で、本文の描写と合いません。
問十一 「儚きさだめ」とは(記述・三十字以内)6点
少年が差し出した紙には「カラスヤノアサイケイスケハカナキサタメ」とあり、「ガラス屋の浅井啓介、儚きさだめ」と読めます。これまでの貼り紙と並べると、流れがはっきりします。
言葉の意味を分けて考えます。「儚い」は、命や物事が短く、すぐに消え去ることです。「さだめ」は、運命、あらかじめ決まっていることです。そして「私」は、重い小児喘息をかかえた病弱な子どもでした。つまり「儚きさだめ」は、「私」の命がすぐに消えてしまう運命であることを告げる言葉です。
①原因 重い病気(小児喘息)により
②だれが 「私」は
③「儚い」の言いかえ あっけなく死んでしまう
④「さだめ」の言いかえ 運命である
「儚きさだめとは、[ ]ということ」の空らんに入るので、「ということ」に自然につながる形で終えます。「儚い」「さだめ」の二つの言葉を両方言いかえているかが得点の分かれ目です。
問十二 なぜ「私」は「不思議」に思ったのか4点
「不思議」に思ったのは、兄の「啓介は、俺の大事な弟だからな」という答えです。すぐあとに「仮に妹が病気になったとしても、自分がこんなに優しくできるかどうかはわからない。兄は優し過ぎる」とあります。「私」は、ただ弟だからという理由だけでこれほど優しくしてくれる兄が、どうしても納得できなかったのです。2が正解です。
1の「理想にすぎない考えを、かたくななまでに貫こうとしている」、4の「はぐらかされている」は、兄の優しさを否定的にとらえていて合いません。3の「祖父の言動」は、この場面の話ではありません。
問十三 主人が「深々と頭を下げた」のはなぜか4点
古本屋の主人は「聞けば、あの子は本当の子じゃないって話じゃないか」と口にしました。それに対して「私」は「そんなこと、全然関係ないよ。兄ちゃんはうちの子だし、俺の兄ちゃんだよ」と言い返します。主人は「すまん、くだらんことを言っちまった。まったくその通りだな」と言って頭を下げました。兄を大切な家族と考える「私」に対して、無神経なことを言ってしまったと感じ、申し訳なく思ったのです。4が正解です。
2の「事情をまったく知らなかった私に話してしまった」は、主人が「まったくその通りだな」と「私」の言葉を認めたことにふれていません。1の「大切なことを教えてもらった」も、謝った理由としては合いません。
問十四 「その兄の心を思うと、私は今でも泣きたくなる」ときの「私」4点
「その兄の心」の「その」が指すのは、直前の内容です。「兄が実の兄弟ではないと知った時、私は少なからずショックを受けた。だがそれ以上に驚いたのは、兄自身はそのことを知っていたということだ」。兄は小さいころに祖父から聞かされていたのに、それでも「私」を「大事な弟」として大切にしてくれました。そのことを思うと、今でも泣きたくなるのです。血のつながりがないと知ってもなお、本当の弟のように大切にしてくれた兄への深い感謝を述べた2が正解です。
1は、兄が気持ちを切り替えたことへの「驚き」になっていて、泣きたくなるほどの「私」の思いと合いません。3の「努力をし続ける姿勢に感動」、4の「孤立し、ずっと辛い思いをしてきた」も、本文に書かれていない兄の姿をもとにしています。
問十五 「『イッパチマン』の面子」をどのようなものとして見ているか(二つ選ぶ)6点
物語の終わりに「そんな時、私は大切にしまってある『イッパチマン』の面子を取り出し、優しかった兄を思い出す」とあります。この面子は、いなくなった兄をいつも身近に感じさせてくれるもので、兄との強い絆を示し、「私」の心の支えになっています(2)。さらに、ニセモノでも「連戦連勝の負け知らず」だった面子は、強くて頼もしかった兄の姿そのものです。誰より頼りになる誇らしい兄を連想させるもの(6)も正解です。
1の「実の兄弟ではないことを暗示」、4の「貧しくても強く生きられる」、5の「兄を探す手がかり」は、本文から読み取れません。3の「無邪気に過ごした幼年時代」は、兄を思い出すという中心からずれています。
大問二 随筆 吉野弘『詩の楽しみ――作詩教室――』
要旨 「ぶつかる」という言葉の意味のズレ
詩人である筆者は、詩を書きたくなるのは「何かに気付いたとき」だと言います。それまでの物の見方や感じ方に「揺れ」ないし「ずれ」が生じて、新しいことに気付こうとしている状態です。筆者はこれを「固定観念のズレ現象」と名付けています。
その例として、筆者はテレビの朝の番組の話をします。番組に、目の見えない電話交換手の娘さんが出演しました。司会の奈良さんが「一人きりの通勤は大変でしょうね」と話しかけると、娘さんは微笑し、「大変ですけれど、まわりの人や物にぶつかりながら歩いてまいりますから、大丈夫なんです」と答えました。目明きの私たちにとって「ぶつかる」ことは、雑踏の中で不作法に無遠慮にぶつかり合うことで、よい意味はほとんどありません。ところが娘さんにとっては、「人にぶつかり、物音を聞き、杖の先で地面に階段に道路の段差にさわらなければならない」、つまり「ぶつかる」ことが必要なのです。雑踏の中を人にぶつからずに歩くことに自信があった筆者は、この言葉から身をかわせず、「もろに体当たりを食いました」。そして、目明きの私たちがたがいにぶつかりたくない気持ちを抱いて、いかに孤立しているかを思い知らされたと述べています。
問一 娘さんの言う「ぶつかる」とはどのようなことか(記述・三十字以内)6点
答えの形は「単に人や物に物理的に接触するということではなく、【 】ということ」です。前半の「物理的な接触」とは別の意味を、本文から探します。手がかりは「人にぶつかり、物音を聞き、杖の先で地面に階段に道路の段差にさわらなければならないのです。そのように、ぶつかりながら身の回りの世界を感じ所有している」の部分です。娘さんにとって「ぶつかる」とは、まわりのものにふれることで、自分のいる環境や状況をつかむことなのです。
①何に 自分のまわりに存在しているものに
②どうして ふれて
③何のために 環境や状況を把握する(身の回りの世界を感じ所有する)
字数が三十字と少ないので、「人や物」「物音」「杖」などの具体例を並べず、「まわりに存在しているもの」とまとめるのがコツです。
問二 □にあてはまるもの2点
「都市に住んでいますと、雑踏の中でおたがいが不作法に無遠慮にぶつかり合うことが多く、大方の人はぶつかることに□を持つかあるいは不感症になっています」。不作法に無遠慮にぶつかり合う経験から生まれるのは、ぶつかることを嫌う気持ちです。□のあとの「あるいは不感症」(何も感じなくなる)とも並ぶ、よくない感情が入ります。1の「嫌悪感」が正解です。
問三 「もろに体当たりを食いました」とはどのようなことか(記述・四十字以内)8点
傍線部の直前には「雑踏の中を人にぶつからずに歩くことにかけては、私はかなりの自信があります。しかし、このときばかりは、娘さんの『ぶつかる』という言葉から身をかわすことができず」とあります。人をよけるのは得意な筆者も、この言葉はよけられず、正面から大きな衝撃を受けたという比喩です。
では、何に気づかされたのか。本文の後半に「目明きの私たちがたがいにぶつかりたくない気持ちを抱いて、いかに孤立しているかを、私は思い知らされました」とあり、さらに、ぶつからないように人を避けて歩く日常は「精神的な姿勢においてもたぶん同じでしょう」と続きます。つまり、人とぶつからないように生きる私たちが、心の上でも人と深く関わろうとせず、孤独になっていることを思い知らされたのです。
①だれが 目明きの私たち(現代人)が
②どういう姿勢か 互いに深く関わりを持とうとしない
③何を 精神的な孤独を
④「体当たりを食う」の言いかえ 思い知らされた
「わかりやすく言うと」と聞かれているので、比喩(体当たり)を使わずに、「思い知らされた」「衝撃を受けた」と言いかえます。
問四 あなたにとっての「固定観念のズレ現象」(作文・二百字以内)10点
問題には、同じ本にある別の一節として、「過ごす」と「過つ(あやまつ)」を並べた詩が示されています。どちらも「過」という字を使うのに、「日々を過ごす」と「日々を過つ」では意味がまったくちがう。手紙の「いかが、お過ごしですか」という決まり文句が、「あなたはどんな過ちをしていますか」と問い合わせているようにも思えて落ちつかない、という内容です。本文の「ぶつかる」と同じく、同じ言葉(同じ字)でも、状況によって意味が大きく変わることに気付いた経験を書く問題です。
①書く前に、書きたい考えを一つに決める 例:同じ言葉でも、状況によって全く異なる意味で伝わることがある
②体験を書く 自分が思っていた意味と、相手が使っていた意味のちがいを、はっきり対比させる
③気付いたことでまとめる 「このことから、〜と理解できました」
いきなり具体例を書き始めると、何を伝えたいのかがぼやけます。二百字の作文は、①を決めてから書き始めるだけで、まとまりが大きく変わります。
解答例では、限定グッズを見た友人の「やばい」という言葉を、「私」は先生に怒られるという意味の「やばい」だと受け取ってこまりました。ところが友人は、グッズがすばらしいという意味で「やばい」と言っていたのです。同じ言葉を、自分と相手がどんな意味で使っていたのかが、はっきり書かれています。
大問三 修飾語
~~部を修飾している部分を選ぶ問題です。コツは、候補を~~部の言葉につなげて読んでみることです。意味が自然につながるものが、修飾している部分です。
- 1 はらはらと 涙の ~流れる~ 姿を 遠くから 見てしまった。
「はらはらと流れる」と自然につながります。「はらはらと」は涙が流れるようすを表しています。解答はア。 - 2 昔から 伝わる ~慣習を~ 尊び 儀式を 行う。
「伝わる慣習」。どんな慣習かを説明しているのは「伝わる」です。解答はイ。 - 3 果たして 足を 負傷した 彼は ~欠席だった~。
「果たして」は「思ったとおり、予想どおり」という意味で、文末の「欠席だった」にかかります。「負傷した」がかかるのは「彼は」です。解答はア。 - 4 姉が 出かけている 間に 妹は ~眠り~ 体力を 回復した。
いつ眠ったのか。「間に眠り」とつながります。解答はウ。
大問四 漢字
- 1 談判 契約条件に関するダンパン。「談判」は、問題を解決するために相手と話し合うことです。
- 2 恩師 オンシへ送る年賀状。教えを受けた先生のことです。
- 3 布石 フセキを打つ。囲碁で先を考えて石を置くことから、将来に備えて前もって準備しておくことをいいます。
- 4 延 授業がノびる。時間や期日が長くなるときは「延びる」、背たけや力が増すときは「伸びる」と書き分けます。
- 5 拝借 鉛筆をハイシャクする。「借りる」のへりくだった言い方です。
- 6 しょせいじゅつ 処世術に長けた人間。世の中をうまくわたっていく方法のことです。
- 7 せっぱ 切羽つまる。追いつめられて、どうにもならなくなることです。
- 8 あ 文集を編む。文章を集めて本にすることです。
解答一覧
大問一
- 問一 5(人) 問二 4 問三 4 問四 3 問五 1
- 問六 3 問七 1 問八 2 問九 2 問十 4
- 問十一 (解答例)重い病気により、「私」はあっけなく死んでしまう運命である
- 問十二 2 問十三 4 問十四 2 問十五 2・6
大問二
- 問一 (解答例)自分のまわりに存在しているものにふれて、環境や状況を把握する
- 問二 1
- 問三 (解答例)互いに深く関わりを持とうとしない現代人の精神的な孤独を思い知らされたということ。
- 問四 (解答例)本文の解説を参照
大問三
- 1 ア 2 イ 3 ア 4 ウ
大問四
- 1 談判 2 恩師 3 布石 4 延 5 拝借 6 しょせいじゅつ 7 せっぱ 8 あ
この回から持ち帰るべき3つのこと
- 人物の情報は、物語の最後まで読んでから整理する 家族の人数(問一)、祖父が兄にだけ厳しい理由(問六)、主人が頭を下げた理由(問十三)は、どれも人物についての情報が答えのカギでした。とくに「兄は父の友人の子」という事実は後半で明かされ、前半の設問の根拠になります。人物について分かったことは、本文の余白に書きこみながら読みましょう。
- 言葉の意味を、文脈の中で確かめる 「ことさら」「業を煮やす」「確執」「儚い」「さだめ」。語句の意味がそのまま設問になり、記述の問十一でも「儚い」と「さだめ」を言いかえる力が問われました。知らない言葉は前後の場面から意味を推し量り、あとで辞書で確かめる習慣をつけましょう。
- 作文は、書く前に考えを一つに決める 大問二の問四は、二百字で10点と配点の大きい作文でした。「同じ言葉でも状況で意味が変わる」のように、伝えたい考えを先に決め、体験で自分と相手の受け取り方のちがいをはっきり書き、気付いたことで結ぶ。この三段の形を、ふだんの練習から使いましょう。
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- 2026年度 フェリス女学院中 国語過去問解説 本番の入試問題の解説です。学校別オープンとあわせて、出題の形式に慣れておきましょう。
