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今回のサピックスオープン、B問題は2024年度の中学受験で最も出題が多かった「きみの話を聞かせてくれよ」からの出題。さすがサピックス、最新のトレンドには素早く反応してきますね。出題内容も高度で学びが多い内容でした。是非しっかり復習して、理解を深めておきたいですね。
中学二年生の白舞六花は、美術部でシロクマの絵を描き、コンクールで入賞しました。しかし、友人の早緑との関係がギクシャクしてしまいます。二人は一度対立し、疎遠になりますが、再び心を通わせ、友情を取り戻します。
六花は最初、早緑に対して怒りと悲しみを抱えていますが、物語の終盤には早緑の真意を理解し、再び友情を感じるようになります。早緑もまた、自分の気持ちを素直に伝えることで六花との誤解が解け、心が晴れます。この典型的なマイナス心情からプラス心情への転換をおさえるとともにそのきっかけが何で、それによってどんなメッセージが発せられているのかをつかみ取ることが重要です。
「予防線」とは敵に攻撃されないようにあらかじめ準備をしておくことを比ゆ的に表しています。ここでは何を「予防」しようとしているのか場面に合わせて考えると答えが出ます。
予防しようとしたこと → 六花に受け入れられず反発されること
これを念頭に置いて答えをまとえるとよいでしょう。
「予防線」の言葉の意味を正しく捉え場面に当てはめて考えられるかどうかがポイントでした。
まずは「鶏が先か卵が先か」という慣用表現の意味が理解できていることが前提となります。これは「鶏」と「卵」のどちらが先に存在したのか、という哲学的な問題をなぞらえて、ものごとの「原因」と「結果」がどちらが先なのかわかりづらい状態を指します。
この文章においては「好きなことだから努力できる」のか「努力できるから好きになれる」のかどちらが先かわからないということを言いたいのでしょう。
これを早緑の状況に当てはめると当初、「好きだけど努力が辛い」という思いがあり、悩んでいましたが、「努力をすることでもっと走ることが好きになれるはずだ」という思いから努力を重ね「好きに」なれたということを表しています。
これをまとめると良いでしょう。
まずは問題の内容が複雑なので整理します。
問の中心:「このときの六花の気持ち」 ←これを文末におく
ここでは「うれしい」「楽しい」などの心情語よりも「早緑との友情を大切にしたいという気持ち」などとまとめる方がきれいにまとまります。
条件:「どのようなことに気づいたのかをふまえて」(「ふまえて」=それを明確に示して書く)
この問題の最も難しいポイントになります。前述の「文章の概要」で示しました二人の性格の対比が注目すべきポイントになります。六花は一人で悩みを抱え込んで他人とわかり合えないと考えてしまいがちですが、早緑は自分の思いを積極的に六花に打ち明けます。こういった姿勢が六花にないもので、六花にとって重要なことであると気づいたのです。
二人の性格の対比から様々な気づきを得ていく、心の成長ストーリーであることに気づくと上手くまとめられるでしょう。