大問3 物語文
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あらすじ
中学2年生の優希は、同級生の瞳子たちのグループに入れたことを幸運に思っています。ある日、クラスカラーの黄色いヘアアクセサリーを買いに行く約束をしますが、自分のショートヘアに合わないことに悩みます。買い物中に居心地の悪さを感じた優希は、突然その場を離れてしまいます。その後、偶然出会った誠と過ごす時間を経て、自分らしさについて考えるようになります。
登場人物と人物像
- 優希(主人公):
- 中学2年生
- ショートヘア
- グループに馴染もうと努力しているが、本当の自分を出せていない
- 瞳子:
- 優希の同級生
- グループのリーダー的存在
- 長いヘアスタイル
- まどか・楓
- 誠:
- 優希の同級生(男子)
- 優希と偶然出会い、一緒に過ごす
心情変化
- 最初:グループに入れたことへの喜び → 「学校での居場所ができたことを幸運だったと思っています。」
- 買い物中:居心地の悪さ、不安 → 「優希は最後に並ぶ。」「足取りが重くなった。」
- トイレでの出来事後:パニック、孤独感 → 「突然、耳の奥がキーンとした。」「優希は後ろを振り返らずに、すぐ脇の階段を全速力で駆け下りた。」
- 誠との出会い後:複雑な気持ち、罪悪感 → 「良心がじくじく痛んだ。」
- 最後:自分らしさへの気づき、寂しさ → 「無理してる、自分で自分を偽っている、と悟ったばかりなのに、それとは裏腹な寂しさに、自分の気持ちがよくつかめない。」
比喩表現
- 「ズームアウトしていくみたいに、瞳子たちの姿がだんだん遠くに引いていく。」 → 優希が感じる疎外感や距離感を、カメラワークを用いて表現しています。
- 「映画のエンドロールを眺めるみたいに、ぼんやり見ていた。」 → 優希の無気力な状態や、現実感のなさを表現しています。
- 「冷たい水が歯にしみるみたいに、胸にきんと痛みが走った。」 → 優希の心の痛みを、身体的な痛みにたとえて表現しています。
主題
この物語の主題は、「自分らしさの大切さと、集団への同調圧力との葛藤」です。優希は友人グループに入れたことを喜びつつも、自分らしさを失うことへの不安や違和感を感じています。最終的に、無理をして周りに合わせるのではなく、自分らしさを大切にすることの重要性に気づいていく過程が描かれています。
注意すべき言葉・表現とその解説
- 「居場所」:自分が安心して過ごせる場所や立場のこと。
- 「足取りが重くなった」:気が進まない、不安な気持ちを表す表現。
- 「もらい笑い」:他人の笑いにつられて笑うこと。
- 「尋ねるタイミングを逸してしまった」:質問するちょうどいい機会を逃してしまったこと。
- 「良心がじくじく痛んだ」:自分の行動に対して後ろめたさを感じること。
- 「群青がかった色」:濃い青色のこと。夕暮れ時の空の色を表現している。
- 「自分を偽っている」:本当の自分を隠して、別の自分を演じていること。
その他読み取りづらい部分の解説
- 優希がグループから逃げ出した理由: 自分のショートヘアがグループの他のメンバーと違うことや、無理して合わせようとしている自分に違和感を覚えたため。
- 誠との出会いの意味: 優希が自分らしさを取り戻すきっかけとなる出会い。誠との自然な会話が、グループ内での無理な同調と対比されている。
- 最後のリボンの場面: 買ったリボンを見て涙するシーンは、グループに入りたい気持ちと自分らしくありたい気持ちの葛藤を表している。
大問4 随筆文
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要約
筆者がイタリア人の夫と札幌のラーメン店で食事をした際の文化の違いを中心に、食べ方のマナーや文化の多様性について考察しています。
段落ごとの要点
- 札幌のラーメン店での出来事
- 海外での日本食の食べ方についての考察
- イタリアでの日本人観光客の様子
- 食事のマナーについての一般的な考察
比喩表現
- 「結婚したが実は人間のふりを装っていた宇宙人だと知った時のような」 → 夫の驚きの大きさを表現しています。
- 「アウェイでの日本式すすり食いは、確かに周りの人にとっては間違いなく不快要素となる。」 → 海外での日本式の食べ方を、スポーツの「アウェイ」に例えて、違和感を表現しています。
主題
食文化の多様性を認め、相互理解の重要性を訴えています。同時に、その土地の文化を尊重しつつも、自分なりの食べ方を大切にすることの意義も示唆しています。
注意すべき言葉・表現
- ジェンダー:社会的・文化的に作られた性別のこと。
- 自失状態:我を忘れてぼうっとしている状態。
- 狼狽(ろうばい):あわてふためくこと。
- 咀嚼(そしゃく):よくかむこと。
- マイノリティ:少数派のこと。
- アウェイ:スポーツなどで、相手のホームグラウンドで試合をすること。転じて、不利な立場や場所を指す。
注目すべきポイント
「日本においては麺類を食する時の「マナー」のひとつなのだ。」 → 日本では、麺をすすって食べることがむしろマナーとされていることを強調しています。
「西洋の食事におけるマナーを中心軸に物事を考えるな!」 → 筆者が夫に対して、西洋の価値観だけで判断せず、多様な文化があることを理解してほしいという思いを表現しています。
これらの基本的な筆者の考え・立場をふまえて問題を解いていくことが重要です。
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