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2025.4.27実施 四谷系小6 第2回公開組分けテスト 文章解説
大問3:「ピタゴラ・ボーイ」伊与原新(物語文)
直木賞受賞で話題になった伊与原新さんの新作より出題。
定時制高校の国語教師・里仲遥香は、窃盗の疑いで保護された生徒・尾上翔太を引き取り、彼の家に送り届ける。翔太は父親を心配し、彼の姿が見えなくなると捜しに出かける。翔太の家で押入れに詰められた「ピタゴラ装置」を見た遥香は感動する。翔太は母親に捨てられた過去を持ち、父親にも同じように見捨てられることを恐れていた。帰宅した父親が翔太を「バカ」と罵ったことに遥香は怒り、彼を叱責する。数日後、科学部の活動に参加した翔太は「ガウス加速器」の原理を学び、新たなアイデアを発想。遥香は科学の公平さに気づき、父親も少しずつ息子に向き合うようになる様子を見て安堵する。
登場人物と人物像
- 里仲遥香:20代後半の高校国語教師。北海道出身で、高圧的な父親に反発して東京の大学へ進学。生徒に親身に接し、翔太の才能を見出す。自身の父親との関係に悩みを抱えている。
- 尾上翔太:定時制高校に通う生徒。パチンコ玉を使った「ピタゴラ装置」を作るのが好き。母親に捨てられた過去があり、父親を心配している。算数は苦手だが、工作の才能がある。
- 翔太の父親:パチンコと酒を好む中年男性。息子に「バカ」と言い続け、高校に行く意味を否定するが、遥香に叱られた後、少しずつ変化していく。
- 科学部のメンバー:佐那(科学の天才)、木内、みちるなど、翔太の才能を認め、受け入れる仲間たち。

場面の変化
- ✓ 西武新宿線沿いを翔太と遥香が歩く場面(警察から引き取った後)
- ✓ 翔太のアパートの室内を見る場面(古ぼけた二階建てのアパート)
- ✓ 翔太がピタゴラ装置を見せる場面(押入れから取り出して実演)
- ✓ 父親が帰宅し、遥香が父親を叱責する場面
- ✓ 数日後、科学部での活動場面(ガウス加速器の実験と新たな発想)
心情表現とその変化
- 翔太の心情:
- (−)「心配なんで」「怖くて」:父親が出かけると心配で、見捨てられるかもしれないという不安を抱えている
- (+)「丸顔を一瞬ほころばせた」:父親がマックを買ってきてくれることを嬉しく思う
- (−)「ごしごしと涙を拭う」:父親が帰ってこなくなるかもしれないという恐怖と不安
- (+)「にこにこと嬉しそうな」:科学部で新しい発想が認められて喜ぶ
- 遥香の心情:
- (−)「まったく、どちらが保護者かわからない」:父親にあきれる気持ち
- (+)「すごいじゃない!」「自然と手を叩いていた」:翔太の作品に感動
- (−)「なぜか涙がにじんできた」:翔太の父親と自分の父親、そして自分自身への複雑な感情
- (+)「『そう』と微笑んだ」:翔太と父親の関係が良い方向に変わったことへの安堵

主題
- 人を「バカ」と決めつけず、その人の才能や個性を認めることの大切さ
- 親子関係における理解と受容の重要性
- 科学の公平さと創造性の価値
- 子どもの心の成長と新たな可能性の発見
その他読み取りづらい部分
- 遥香自身の父親との関係性の描写は直接的ではなく、翔太と父親の関係を見て思い出す形で間接的に描かれている
- 物語の最後に父親が「スーパーに行く」と言うことの意味(翔太への配慮を示す大きな変化)
大問4:「傷つきのこころ学」宮地尚子〈説明文〉
リンク
本文では、スマートフォンの普及とインターネットの発達による現代社会の変化と、それがもたらす「傷つき」について論じています。オンラインの世界では常に他者から見られる可能性があり、匿名の評価や批判に晒される機会も増えています。また、オンラインとリアルという二つのコミュニケーション空間を行き来する現代人は、常に緊張状態(「椅子取りゲーム」のように音楽が鳴り続ける状態)にあり、心を休める時間が減少し、メンタルヘルスの問題が増加傾向にあると指摘しています。
筆者の主張・意見
- スマホとネットの普及により、私たちは「他人に見られている」世界に生きており、傷つく機会が増えている
- オンラインとリアルの二つのコミュニケーション空間を行き来する現代の生活では、心が休まる時間が減少している
- 現代人は常に緊張状態(交感神経優位)にあり、これが心の不調(うつ病などの気分障害)の増加につながっている
- 心を休める時間を意識的に確保しなければ、些細なことにも傷つきやすくなる

対比的な表現
- オンラインによるコミュニケーション vs. リアルな場でのコミュニケーション
- 物理的な距離 vs. 心理的な距離
- 過去の大学生活の様子(スマホがない時代の対面交流)vs. 現在の大学生活(スマホを見る個人的な時間)
- 休息状態 vs. 常に交感神経が高ぶった緊張状態
重要語句・表現
- 「手のひらにすっぽりと収まってしまう小さなスマホは、世界に開かれた巨大な窓」:スマホの持つ二面性を表現
- 「椅子取りゲームの音楽がずっと鳴り続けている」:現代人の緊張状態の比喩
- 「オンラインとリアルというふたつの世界」:現代人の生活空間の二重性
- 「ヨッ友」:表面的な関係しか持てない友人関係
- 「交感神経が優位」:緊張状態を示す生理学的表現
その他読み取りづらい部分
- 「気分障害」の増加傾向については、精神科医療の広がりやうつ病の定義の変化など複合的な要因があることを筆者も認めている
- 「心を休める時間」を具体的にどのように確保するかについては詳細な提言が少ない
小6・4月組分け文章解説のまとめ
物語文「ピタゴラ・ボーイ」(伊与原新)
この物語文は、定時制高校の国語教師・里仲遥香と生徒・尾上翔太の交流を描いた作品です。物語を通じて、人の才能を認め尊重することの大切さや、親子関係における理解と成長をテーマにしています。
ポイント
- 登場人物の心情変化を把握する:翔太の父親への不安と愛情、遥香の複雑な感情
- 対比構造を見抜く:遥香と自分の父との関係 vs 翔太と父親の関係
- 比喩表現に注目する:「パチンコ玉を宇宙まで飛ばす」という科学の可能性の表現
- 場面の転換を理解する:時間と場所の変化に注目
- 主題を考える:人の才能を認めることの大切さ、親子関係の修復と成長
説明文「傷つきのこころ学」(宮地尚子)
この説明文は、スマートフォンとインターネットの普及による現代社会の変化と、それがもたらす「傷つき」の問題について論じた文章です。
ポイント
- 段落構成を理解する:導入→具体例→現状分析→提言の流れ
- 筆者の主張を見極める:心を休める時間の確保の必要性
- 対比表現に注目する:オンラインとリアルのコミュニケーションの違い
- 比喩表現を理解する:「椅子取りゲーム」の比喩が表す現代人の緊張状態
- 重要ポイントをおさえる:「交感神経が優位」「心を休める時間」など

