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2025.5.25実施 早稲アカ 第2回NN早稲田実業中オープン 国語読解問題解説
📖 文章の基本情報
大問1:物語文
- 題名:『線は、僕を描く』
- 筆者:砥上裕將
- 要約:大学生の青山霜介が両親を事故で亡くした喪失感の中で、水墨画の巨匠・篠田湖山に弟子入りし、水墨画を通して生きる意味と師弟の深い絆を見出していく成長物語。横浜流星さんが主演の映画にもなっています。
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大問2:説明的文章(論説文)
- 題名:『望猿鏡から見た世界』
- 筆者:河合雅雄
- 要約:物質的に充足された現代社会において、真の幸福とは何かを問いかけ、物質的満足だけでは解決できない人間の根本的な問題について論じた文章。
大問1:物語文の詳細解説
登場人物と人物像
青山霜介(僕)
- 大学生、両親を事故で亡くした深い喪失感を抱える
- 他人との関わりを避けて過ごしてきた孤独な青年
- 「類いまれな観察眼と情熱」を持つ水墨画の才能がある
- 繊細で真面目な性格
篠田湖山(先生)
- 水墨画の巨匠、霜介の師匠
- 戦争で家族を失った過去を持つ
- 慈愛深く、霜介の心の傷を理解し、生きる意味を与えようとする
- 水墨画を通じて人生の教えを伝える

場面の変化
- 中庭での対話シーン
- 竹や梅を見ながらの水墨画の教え
- 自然の複雑さと水墨画の限界について
- 縁側での菊の授与
- 菊を「先生」として手渡される
- 「絵は絵空事」という重要な教え
- 病院での師弟の絆の深化
- 湖山先生の入院
- 互いの過去と心情の共有
心情表現とその変化

主題
主人公の心の成長と新たな気づき
- 喪失感から立ち直る過程
- 師弟関係を通じた人間的成長
- 芸術を通じて生きる意味を見出すこと
- 孤独から絆への変化
大問2:説明的文章の詳細解説
筆者の主張・意見
中心的主張: 物質的充足だけでは真の幸福は得られない。むしろ物質的に満たされることで、新たな問題(空虚感、人格の未形成など)が生じる。
重要な意見表現:
- 「物欲が満たされさえすれば幸福になると説いた人はいない」
- 「その前提が正しいことを、誰が保証することができるだろうか」
- 「私はいささか悲観的である」

対比的な表現
対比項目A(物質主義)B(精神主義)幸福の追求方法物質的欲望を満たす物欲を排除し心の安らぎを得る結果空虚感・人格崩壊心の安らぎ・至福の心境現代の傾向主流となっている軽視されがち筆者の評価限界がある観念的すぎる面もある

📝 重要語句・表現
物語文
- 類いまれな:めったにない、非常に珍しい
- 絵空事:現実と関係のない空想
- 森羅万象:宇宙に存在するすべてのもの
- 四時無形:季節の移ろいとともに変化する様子
説明文
- 憔悴:疲労や心労で痩せ衰えること
- 茫漠:広々としてとりとめのないさま
- 汎精神主義:すべてのものに心があるという考え
❓ 読み取りづらい部分の解説
「命を見なさい」の意味
湖山先生が霜介に伝えたかったのは、花の形ではなく、生きているものの本質・命の輝きを捉えることの重要性。
「写意性」とは
中国の水墨画の概念で、対象の外見ではなく精神性や本質を表現すること。
夫人の悩みの本質
物質的には何不自由ない生活でも、生きる目的や意味を見失った時の深い空虚感。
早実中の出題傾向
早稲田実業中等部の国語入試問題は、近年「随筆・論説文(説明文)」と「総合的知識問題(漢字・語句)」の大問3題構成が定着しています。文章は小学生には難解な内容や語彙が多く、総合的な語彙力と高い文章読解力が問われます。設問形式は選択肢、書き抜き、空欄補充、記述など多彩で、特に記述問題の比重が増加し、本文全体の要旨把握や要点整理を求める傾向が強まっています。
また、記述問題では字数や条件指定があり、設問ごとに的確にまとめる力が必要です。知識問題では漢字の読み書き、慣用句やことわざ、語句の意味など幅広い出題がなされ、基本レベルからやや難しいものまで含まれます。全体として、本文の精密な読解と語彙・知識の総合力、さらに速読力と限られた時間内での処理能力が合否を分ける試験です。
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