中学受験において、公開模試はお子さまの学力を客観的に測り、志望校合格への道筋を描くための羅針盤です。しかし首都圏だけでも四谷大塚・サピックス・日能研・首都圏模試と主要な模試が4つあり、さらに関西圏には五ツ木・駸々堂や浜学園の公開学力テストなど独自の模試が存在します。模試ごとに受験者層や問題レベルが大きく異なるため、志望校や現在の学力に合わない模試を受けてしまうと、正確な実力判定ができず、かえってお子さまの混乱やモチベーション低下を招きかねません。
本記事では2026年度の最新スケジュールを中心に、各模試の特徴・難易度・受験者数・活用法を網羅的に解説します。
※掲載日程のうち、サピックス(志望校判定サピックスオープン、学校別サピックスオープン、5年生向け志望校診断サピックスオープン)および日能研(6月以降の志望校判定テスト・合格判定テスト・合格力実践テスト・合格力完成テスト)については、2026年3月時点で公式サイト上に正式な日程が未発表のため、例年の実施パターンに基づく予定日を掲載しています。最新の正式日程は各塾の公式サイトでご確認ください。
首都圏 主要4大模試の特徴と比較
1. 四谷大塚「合不合判定テスト」 — 受験者層が最も幅広い定番指標
約50年の歴史を誇り、首都圏最大規模の合否判定テストです。四谷大塚系列の塾生だけでなく、早稲田アカデミー、提携塾、個人塾、さらには塾に通っていない家庭も多く利用しており、のべ約87,000名(2024年実績)が受験するため、偏差値の信頼性が非常に高いとされています。問題は基本レベルから最難関レベルまで幅広くカバーし、問題量が多くスピード処理力も問われます。国語の読解は6,000字を超える長文が出題されることもあります。
2026年度 合不合判定テスト日程(小6): 4/12(日)、7/5(日)、9/6(日)、10/11(日)、11/15(日)、12/6(日)の全6回
さらに「学校別判定テスト」として、9月に開成・麻布・駒場東邦・武蔵・桜蔭・女子学院・フェリス、11月に灘・筑駒・栄光・聖光・豊島岡女子・渋谷幕張・慶應中等部の志望校別模試も実施されます。公立中高一貫校対策の実力判定テストも年2回(9月・10月)用意されています。
受験料は1回5,830円(2科目〜4科目共通)。組分けテストや月例テストも充実しており、塾に通わず自宅学習で受験に臨むご家庭にとっても、学力の客観的な把握に欠かせない存在です。
2. サピックスオープン — 最難関校志望者に不可欠
開成・麻布・桜蔭をはじめとする御三家や早慶付属など、最難関校を目指す受験生が集まる最高難度の模試です。A問題(基礎力)とB問題(思考力)に分かれ、とりわけB問題は最難関校志望者でも苦戦するレベルです。受験者の平均学力が非常に高いため、同じ実力でも他の模試より偏差値は7〜10ほど低く出る傾向があり、偏差値50であっても難関校にチャレンジできる実力に相当します。
2026年度 主要日程(小6):
- 志望校判定サピックスオープン:4月・6月(全2回)
- 合格力判定サピックスオープン:4月〜12月(全6回)
- 学校別サピックスオープン:9月〜12月
学校別サピックスオープンは、各最難関校の出題傾向を徹底分析した予想問題が出題される志望校特化型の模試であり、受験者のほとんどがその学校を実際に志望しているため、ライバルの中での正確な立ち位置と合格ラインが見えてきます。対象校は男子で開成・麻布・栄光・駒場東邦・慶應普通部・聖光・筑駒・灘・武蔵・早稲田・早大学院など、女子で桜蔭・女子学院・豊島岡女子・フェリス・雙葉など多数に及びます。志望校が対象校に含まれている場合、受験はほぼ必須と考えてよいでしょう。
受験料は1回6,600円。5年生向けには志望校診断サピックスオープン(6月・8月・11月の全3回)が実施されます。
3. 日能研 全国公開模試 — 基礎から応用まで幅広くカバー
全国規模で実施され、約10,000〜12,000人が受験するバランスの取れた模試です。問題の本質をとらえて考えさせる良問が多く、特に国語の読解は文章の質に定評があります。中堅校から難関校まで幅広い受験生が受けるため、偏差値は四谷大塚より3〜5ほど高めに出る傾向があります。
6年生は時期に応じた段階的なテスト構成が特徴で、春の「実力判定テスト」に始まり、夏の「志望校選定・判定テスト」、秋以降の「合格判定テスト」「合格力実践テスト」、直前期の「合格力完成テスト・ファイナル256」と、受験に向けて段階的にステップアップする設計になっています。
2026年度 主要日程(小6):
- 実力判定テスト:2/8、3/1、4/5
- 志望校選定テスト:5/6(祝)、5/31
- 志望校判定テスト:6/28
- 合格判定テスト:8/30、10/4、11/1、11/29、12/19(全5回)
- 合格力実践テスト:9/6、9/20、10/18、11/15、12/13(全5回)
- 合格力完成テスト・ファイナル256:12/23、12/30、2027/1/7(全3回)
受験料は実力判定テスト等が4,400円(4科目)/3,300円(2科目)、合格判定テスト以降は6,050円(4科目)/4,950円(2科目)。成績表と合わせて提供される「R4偏差値(合格可能性80%ライン)」の推移表は、併願戦略を立てるうえで非常に有用です。
4. 首都圏模試(2026年度より名称変更あり) — 中堅校志望者の心強い味方
中堅校の合格判定データが最も充実している模試で、受験者数は毎回約13,000〜17,000人に達します。基礎〜標準レベルの問題構成で、中堅校を志望するお子さまが同じレベルの受験生と比較できるため、実力把握に最適です。
2026年度の重要な変更点として、テスト名称が刷新されました。
- 旧「合判模試」→ 新「合格ONEテスト」
- 旧「適性検査型模試」→ 新「適性ONEテスト」
- 旧「スタート模試」→ 新「スタートONEテスト」
2026年度 合格ONEテスト日程:
- 小6:4/19、7/12、9/13、10/12(祝)、11/8、12/13(全6回)
- 小5:7/12、9/13、10/12(祝)、12/13、2027/1/17(全5回)
- 小4:2027/1/17(全1回)
適性ONEテスト(公立中高一貫校志望者向け):小6は7/5、9/23(祝)、11/23(祝)の全3回、小5は11/23(祝)の1回。
受験料は1回5,940円(2科目/4科目共通)。さらに新設の「明大付中合格シミュレーションテスト」(11/3・祝)は、明治大学付属中を目指す受験生に特化したユニークな模試です。
志望校別模試の活用
通常の合否判定模試とは別に、特定校に特化した模試は出題傾向と合格可能性をより精度高く探ることができます。四谷大塚の「学校別判定テスト」(全2回)とサピックスの「学校別サピックスオープン」(全4回)に加え、早稲田アカデミーの「NNオープン模試」は御三家をはじめとする12の難関校に完全特化した模試で、他塾生も積極的に受け入れています。完全オリジナルの予想問題で本番的中を狙う挑戦的なアプローチが特徴で、志望校と同じ形式のテストを受けられる貴重な機会です。
関西圏の主要模試
関西圏は独自の入試文化があり、志望校レベルに応じて受けるべき模試が明確に分かれます。
五ツ木・駸々堂「中学進学学力判定模試」は関西最大級の受験者規模を誇り、塾に通っていない層も含めた幅広い受験生が参加します。関西圏の私立中学の合格判定精度が高く、入試直前期は受験者数がピークに達し、併願校選びの決定打になります。
浜学園「公開学力テスト」は灘・甲陽・洛南といった関西の最難関校を目指すなら指標として不可欠なテストで、難易度は非常に高く設定されています。外部生も受験可能で、年4回の無料「学力診断オープンテスト」も実施しています。
日能研関西「全国公開模試」は難関校から中堅校まで幅広くカバーし、関西特有の入試日程や共学校・女子校の動向も含めた詳細なデータが得られます。
偏差値の違いに要注意
各模試は受験者の母集団が異なるため、同じ学力でも偏差値は大きく変わります。たとえば慶應義塾普通部の合格可能性80%偏差値を比較すると、首都圏模試では73、四谷大塚では65、サピックスでは58と、模試によって大きな開きがあります。大切なのは偏差値の「数値」そのものではなく、その模試の受験者集団の中でお子さまがどの位置にいるかという「相対的な立ち位置」を読み取ることです。
模試選びの3つの鉄則
志望校のレベルに合わせる:最難関校志望ならサピックスオープンと学校別模試、難関〜上位校なら四谷大塚・日能研、中堅校なら首都圏模試(合格ONEテスト)を軸に据えましょう。
お子さまの現在の学力を考慮する:いきなりサピックスオープンで低い偏差値を突きつけられると自信を失いかねません。逆に上位層が基礎中心の模試を受けても正確な判定が出ません。今の実力に見合った難易度の模試を選ぶことが鉄則です。
模試の目的を明確にする:広い母集団での実力測定なら四谷大塚・日能研、志望校に特化した対策ならNNオープンや学校別サピックスオープン、基礎の定着確認なら首都圏模試、というように目的で使い分けましょう。
模試を最大限に活かすためのポイント
模試の価値は、受けた後の振り返りにこそあります。正答率が高いにもかかわらず間違えた問題(いわゆる「取りこぼし」)を重点的に復習し、間違いの原因(計算ミスか、知識不足か、読み飛ばしか)を分類して弱点を可視化することで、入試直前期に最強の見直しツールとなります。
また塾に通っている場合は、塾のカリキュラムに組み込まれた模試を軸にし、外部模試は目的を絞って追加するのがベストです。受けすぎると消化不良になり、復習が追いつかなくなるリスクがあります。一方、塾なしで受験に臨むご家庭は、メインの模試を一つ決めて年間を通じて継続受験し、学力の推移をトラッキングすることが重要です。
まとめ
模試は「受ければ良い」というものではありません。お子さまの現在の学力レベル、志望校、そして模試を受ける目的を明確にした上で、最適な模試を選択することが重要です。異なる特徴を持つ模試を複数受験することで多角的に実力を把握できますが、模試疲れや消化不良にならないよう注意が必要です。模試は受験戦略の重要な要素です。正しい模試選びで、お子さまの中学受験を成功に導きましょう!
この記事が中学受験生の保護者の皆様のお役に立てれば幸いです。ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
