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2025.6.29実施 サピックス小6 7月度組分けテスト国語 読解問題解説
大問3/説明的文章
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大学教育において、学生に過度に親切に教えすぎることの問題点を孔子の『論語』を引用しながら論じた文章。筆者は、学ぶ側の意欲がない状態で一方的に教えることの弊害を指摘し、「知る」喜びを得るためには時間をかけて「問い」を抱えることが重要だと述べる。また、科学研究において「失敗」は想定外の発見につながる貴重な経験であり、失敗を恐れずに挑戦することの大切さを説いている。
筆者の主張・意見
- 教育は学ぶ側の意欲があってこそ意味がある
- すぐに答えを与えすぎず、学習者自身に考えさせることが重要
- 科学研究において失敗は新たな発見の源泉である
- 失敗を恐れずに大胆に挑戦する姿勢が科学者には必要
対比的な表現
- 「啓発」の本来の意味 vs 現在の意味
- 本来:知りたいと思わないものには教えない(否定的)
- 現在:上級者が一方的に下級者に教える(肯定的)
- 実習での失敗 vs 研究現場での失敗
- 実習:手順通りにできなかった単なるミス
- 研究:未知の問題への挑戦による必然的な失敗

段落構成
- 序論:大学教育が親切すぎる問題提起
- 展開①:孔子の言葉から「啓発」の本来の意味を説明
- 展開②:教えすぎることの弊害と「知る」喜びの本質
- 展開③:実験実習における失敗と研究現場での失敗の違い
- 結論:科学研究における「失敗へのチャレンジ」の重要性
重要語句・表現
- 啓発:本来は「憤せずんば啓せず、悱せずんば発せず」に由来
- 知へのリスペクト:先人たちの築いてきた知識への敬意
- 必然的な失敗:研究において避けられない、価値ある失敗
- 失敗へのチャレンジ:知りたいことを優先して大胆に迫る姿勢
読み取りづらい部分
- 「一隅を挙げて三隅を以て反らざれば」という孔子の言葉は、一つを教えたら残りの三つも推測できるような応用力を求めているという意味
- 筆者が科学の世界を「不思議な場」と表現しているのは、一般社会では許されない失敗が推奨される特殊性を強調するため
大問4/物語文
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高校生の圭太は、中学時代の先輩・康からいじめを受けている。ボクシングを習い始めて自分を変えられたと思っていたが、実際に康たちに暴力を受けてしまい絶望していた。そんな時、ボクシングのインストラクター・清美と出会い、自分もかつていじめられていたという清美の経験を聞く。圭太は過去に康を見下していた自分の行いを告白し、清美から本気でボクシングを学ぶことを決意する。

登場人物と人物像
- 圭太:高校生。いじめを受けており、弱い自分を変えたいと願っている。過去の自分の行いにも向き合う誠実さを持つ。
- 清美:40歳前後の女性ボクシングインストラクター。かつていじめられた経験を持ち、ボクシングで人生を変えた。
- 康:圭太の中学時代の先輩。かつては普通の先輩だったが、高校で髪を脱色し、圭太をいじめるようになった。
場面の変化
- 公園のベンチで一人絶望する圭太(夕暮れ)
- 清美との偶然の出会い
- 清美の過去の告白
- 圭太の過去の告白
- 清美からの提案と圭太の決意
心情表現とその変化
- 圭太の心情変化
- 絶望(−)「このまま消えてしまいたかった」
- 驚き・緊張(中間)「思ってもいなかった邂逅に、圭太の声は上ずる」
- 自己嫌悪(−)「情けないのは、俺も一緒です」
- 信頼・希望(+)「この人を、信じてみたい」
比喩表現とその解説
- 「胸の奥が石でも詰めたように重くなる」→ 絶望感の重さを表現
- 「弱い者をつつき回す金魚」→ いじめる側の残酷さを表現
- 「武装っていうのかな?」→ ボクシングのグローブが心の支えになることを表現
主題
- 心の成長と真の強さ:本当の強さとは、他人を犠牲にすることではなく、自分自身と向き合い、努力によって変わることである
- 過去との向き合い方:自分の過去の過ちを認め、それを乗り越えることで新たな一歩を踏み出せる
- 人との出会いの大切さ:真摯に向き合ってくれる人との出会いが、人生を変えるきっかけになる
設問解法のポイント
大問1の主要設問
- 問二:「一から十まで過不足なく教える」の結果として起こることを本文から探す問題。学習者の意欲低下に関する記述を見つける。
- 問五:「『問い』の芽を、安易に摘む」の意味を説明する問題。学習者が自ら考える機会を奪うことを適切に表現する。
- 問八:筆者の科学観を問う問題。人間の想定を超えた発見こそが価値があるという考えを読み取る。
大問2の主要設問
- 問三:圭太がボクシングのクラスに出なかった理由を本文から抜き出す問題。「ボクシングなんて、実際にはなんにもならない」という絶望感がキーワード。
- 問十:清美が「心技体」について言及した理由を説明する問題。精神論ではなく、まず行動することの大切さを伝えようとしている。
- 問十一:圭太が清美を信じたいと思った理由を選ぶ問題。清美の誠実な姿勢と自分も変われるという希望がポイント。
まとめ
この組分けテストでは、教育と学習、そして人間の成長という共通テーマが扱われています。大問1では知識の習得における主体性の重要性が、大問2では他者との出会いを通じた自己変革の可能性が描かれています。両文章とも、真の成長は他者から与えられるものではなく、自らの意志と努力によって獲得されるものだというメッセージを伝えています。
受験生の皆さんは、登場人物の心情変化を丁寧に追いながら、筆者の主張を的確に把握することが大切です。特に、対比構造や比喩表現に注目することで、より深い読解が可能になるでしょう。
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