2024年度 開智中・開智所沢中【第1回】国語 徹底解説

今回は2024年度の開智中学校・開智所沢中等教育学校の第1回入試問題を徹底解説します。説明文と物語文の2題構成で、どちらも「本音と建前」「表面と本質」を読み取る力が試されました。


大問3【説明的文章】梶谷真司「考えるとはどういうことか」

文章情報

  • 題名:『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』
  • 筆者:梶谷真司
  • 文章種別:論説文

文章の要約

筆者は「哲学の問い」と「自分自身の問い」を対比させながら、真に重要なのは自分の現実生活から出発した問いを持つことだと主張しています。専門化された哲学の問題は実生活から切り離されているが、日常の疑問を深めていくことで哲学的な思考に到達できる。そして、自分の問いから得られた洞察は再び現実に戻しやすく、その人の生活にとって大きな意味を持つ、と述べています。


🔍 説明文読解のポイント

1️⃣ 筆者の主張・意見

核心的主張: 「いわゆる哲学の問題を考えることよりも、自分自身の問いを持つことのほうが重要

理由

  • 現実生活に関する自分の疑問から得られた洞察は、再び現実のコンテクストに戻しやすい
  • その人の生活にとって大きな意味を持つことができる
  • 専門的な哲学の問題は現実の文脈から隔たっている

2️⃣ 対比表現の整理

この文章の核心は「専門的な哲学の問い」と「自分自身の問い」の対比です。


3️⃣ 段落構成

説明文の段落構成

📊 説明文の段落構成フローチャート

序論 問いと思考の関係
「問うこと」が思考を哲学的にする
問いの質 → 思考の質
問いの展開 → 思考の進み方
⬇️
対比① 「専門的な哲学の問い」vs「実生活の問い」
【哲学の問い】抽象的・個別化・現実から隔たる
例:真理、存在、認識、善悪、正義、美

【実生活の問い】具体的・複合的・錯綜している
例:何を食べるか、時間をどう使うか
⬇️
問題提起 専門化の弊害
哲学の問題は現実の文脈から切り離されている
医学が細分化して患者全体を見られなくなるのと同じ
普通の人は哲学の問いを自分の問いにできない
⬇️
対比② 「哲学の問い」vs「哲学的な問い方」
【哲学の問い】内容が哲学的
【哲学的な問い方】日常から出発して深める
例:「何を食べるか」→「なぜおいしいものを食べるのか」→「食事は人間にとってどんな意味か」
⬇️
結論 筆者の主張
自分自身の問いを持つことが重要!

理由:自分の疑問から得た洞察は
→ 現実のコンテクストに戻しやすい
→ その人の生活にとって大きな意味を持つ

📝 設問解法のポイント

問一【空欄補充 あ~う】

解法の鍵:「つまり」という言い換え表現に注目!

問題文

つまり( あ )によって( い )が決まるわけである。そして、どのような問いをつなげていくかによって、( う )が変わる。

解答

  • あ:ウ 問いの質
  • い:ア 思考の質
  • う:イ 思考の進み方

解説

  • 空欄直前:「何をどのように問うか」「考えること」
  • これを抽象化すると:問いの質 → 思考の質
  • 「どのような問いをつなげていくか」で「思考の進み方」が変わる

問二【接続語 A~C】

Aウ けれども(逆接)

  • 前:哲学の問いを自分の問いにできる人がいる
  • 後:普通の人がそのような疑問を抱くことはまれ

Bイ あるいは(並列)

  • 「他者」の具体例を並べている

Cア たとえば(例示)

  • 哲学的でない問題の例を挙げている

問三【内容理解・適切ではないもの】

正解:ウ

ウ「抽象的なことを考えた方が哲学的であるので、まずは考える練習をする必要がある」 → これは筆者の主張と真逆

筆者は「抽象的に問うから抽象的にしか考えられない」と述べ、具体的な問いから出発することの重要性を説いています。

他の選択肢の検証

  • ア:正しい(哲学の問いを自分の問いにできる人は少ない)
  • イ:正しい(実生活の悩みを突き詰めると哲学の問題につながる)
  • エ:正しい(哲学の問題は実生活とは関係がない)

問四【「哲学的な問い方」の意味】

正解:ウ 物事が存在する理由や意味、物事同士の関係を問う問い方

解説: 本文では、日常的な問いを深めていく例が示されています:

  • 「何を食べるか」(日常的)→「なぜ何かを食べるのか」(哲学的)
  • 「テレビを見る」(日常的)→「映像はどのような意味で現実か」(哲学的)

他の選択肢が不適切な理由

  • ア:「哲学の中で論じられてきた内容」→ これは「哲学の問い」
  • イ:「専門的な訓練」→ 不要(日常から出発できる)
  • エ:「具体的かつ客観的な答え」→ 哲学は抽象的な思考も含む

問五【空欄X補充】

正解:エ 個々人の現実生活には大きく影響しない、ということにもつながる。

解説

空欄Xの前後を確認

哲学の問題が、現実の文脈から切り離され、個別のテーマに分かれていることは、学問として純粋で専門的に高度であるためには必要だろう。かつて誰か一人の学者によって提示されていたとしても、それら( X )。

空欄Xの直後

もちろん、哲学研究の目的はそんなことではなく、思想上のさまざまな問題を明らかにすることであり、現実の生活に生かせるかどうかなど、どうでもいいという考え方もある。

解法のポイント

  1. 直後の文が重要なヒント
  2. 「現実の生活に生かせるかどうかなど、どうでもいい」→ つまり「現実生活には影響しない」
  3. 文脈の流れ:
   専門化された哲学の問題
   ↓
   現実の文脈から切り離されている
   ↓
   (X)個々人の現実生活には大きく影響しない
   ↓
   (次の文)だから現実生活に生かせなくてもいい

他の選択肢が不適切な理由

  • ア「唯一無二のものだとは言えなくなる」→ 本文のテーマではない
  • イ「他の学問と一致しない」→ 他の学問との比較は論じられていない
  • ウ「テーマに応じて問いを変える必要」→ これは筆者の主張だが、ここでは不適切

問六【記述問題・70字以内】

問題文: 傍線部③「いわゆる哲学の問題を考えることよりも、自分自身の問いを持つことのほうが重要なのである」とありますが、筆者が「哲学の問題」を考えるよりも「自分自身の問い」を持つ方が重要であると考える理由を七十字以内で説明しなさい。

模範解答(64字)

自分自身の疑問から得られた洞察は、再び現実のコンテクストに戻しやすく、問う人の生活にとって大きな意味を持つことになるから。

解説

傍線部③の直前を確認

( ③ )だから、哲学の問題にせよ、それ以外の哲学的な問いにせよ、現実の生活に関する疑問から出発すれば、そこで問い、考えたこと、そこから得られた洞察は、ふたたび現実のコンテクストに戻しやすく、その人の生活にとって、大きな意味をもちうる。だから、いわゆる哲学の問題を考えることよりも、自分自身の問いをもつことのほうが重要なのである。

解法のポイント

  1. 「だから」に注目 → 理由が前にある
  2. 理由の構造:
   【前提】現実の生活に関する疑問から出発する
   ↓
   【結果①】得られた洞察は現実のコンテクストに戻しやすい
   ↓
   【結果②】その人の生活にとって大きな意味を持つ
   ↓
   【結論】だから自分自身の問いを持つことが重要

答案作成のコツ

  • 必須要素①:「現実のコンテクストに戻しやすい」
  • 必須要素②:「生活にとって大きな意味を持つ」
  • 字数配分(70字以内)をバランスよく

問七【内容一致問題】

正解:ウ 哲学に関する議論をしていても哲学的ではないということはありうる。

解説

ウの根拠(本文)

哲学の問題といえども、たとえば誰がどんなことを言ったのかという事典的・哲学史的な事柄や、どこにどんなことが書いてあるかというような文献学的なことは、必ずしも哲学的とは言えない。哲学全体がそうであるように、内容的に哲学だから、問いや議論が哲学的なわけではないのだ。

→ 完全に一致!

他の選択肢の検証

  • ア「専門化された知識を有効活用しているかで決まる」→ 本文と矛盾
  • イ「哲学的な知識を身につけなければならない」→ 筆者の主張と真逆
  • エ「現実の問題は細分化されており単純」→ 本文では「複合的で錯綜している」(真逆!)

問八【表現・構成問題】

問題文: この文章の表現と構成に関する説明として適切ではないものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

正解:ウ(適切ではない) 「この文章は比喩によって難しいテーマを平易に説明している。」

解説

なぜウが不適切か

本文での比喩の使用状況:

  • 唯一の比喩: 医学が細分化したために、患者の体や生活の全体を見られなくなるのと似ている

この1箇所だけ!

不適切な理由

  1. 「比喩」は1つしかない → 「比喩によって」と言えるほど多用されていない
  2. 主要な説明手法ではない → メインは「対比」と「具体例」
  3. 「平易に説明」がメインではない → 論理的に展開することが目的

他の選択肢の検証

ア「対比を用いて論理的に議論を展開」 → ✅ 適切

  • 専門的な哲学の問い vs 自分自身の問い
  • 抽象的な問い vs 具体的な問い
  • 哲学の問題 vs 哲学的な問い方

イ「具体例によって主張をより明確に」 → ✅ 適切

  • 日常の思考の例:「今日は何しようかな…」
  • 哲学的な問いへの展開例:「なぜ何かを食べるのか?」
  • 実生活の他者の例:「友だち、親、夫、妻…」

エ「主張に対する反論をふまえて結論を導く」 → ✅ 適切

  • 反論:「哲学研究は現実の生活に生かせるかどうかなど、どうでもいい」
  • 結論:「だから、自分自身の問いを持つことのほうが重要」

大問4【物語文】湊かなえ「ブロードキャスト」

文章情報

  • 題名:『ブロードキャスト』
  • 作者:湊かなえ
  • 文章種別:物語文(青春小説)

あらすじ

主人公・町田圭祐は、中学時代の陸上部仲間山岸良太に青海学院高校へ誘われ、一緒に陸上を続けるはずだった。しかし入学直前の交通事故で足に大けがを負い、陸上を断念。一方の良太は期待の新入部員として活躍している。

新入生オリエンテーション後、圭祐・良太・宮本正也(放送部志望)の3人が再会する場面が描かれる。良太は圭祐への罪悪感から気を遣い続け、圭祐はその良太の態度に違和感を覚えながらも、「陸上ができなくても高校生活を楽しんでいる」姿を見せようと努力する。


登場人物と人物像

人物相関図

👥 登場人物相関図

町田圭祐
町田圭祐(主人公)
状況:入学直前の事故で足に大けが
心情:陸上を諦めたことへの複雑な思い
性格:繊細で思いやりがある
行動:良太を気遣い、明るく振る舞おうとする
葛藤:ケガ人扱いされたくない
山岸良太
山岸良太
状況:陸上部で期待の新入部員
心情:圭祐への強い罪悪感
性格:優しく、気遣いが深い
行動:圭祐に遠慮し続ける
問題:気遣いが圭祐を傷つけている
宮本正也
宮本正也
状況:放送部志望
心情:圭祐の事故を知らない
性格:明るく、屈託がない
役割:圭祐と良太の緊張をほぐす
洞察:ケガ人扱いが嫌なことを理解
🔗 3人の関係性
【共通点】三崎中学校出身

【圭祐と良太】
中学時代の陸上部仲間 → 一緒に青海学院へ進学予定だった
圭祐の事故で状況が一変 → お互いに気を遣い合う関係に

【正也の役割】
事故を知らないため、自然体で接する
→ 圭祐に「ケガ人扱いされる嫌さ」を代弁
→ 放送部への誘いで圭祐に新しい可能性を示す

心情表現の変化と「表と裏」

この物語の最大のポイントは、圭祐の「表面的な言動」と「内面の本音」のズレです。

心情表現一覧

💭 心情表現一覧表(圭祐の「表と裏」)

⚠️ この物語の読解ポイント
圭祐は「良太の罪悪感を軽くしたい」という優しさから、本心とは違う明るい態度を取り続けています。
この「表面的な言動」と「内面の本音」のズレを見抜くことが、設問を解く鍵です!
📊 場面ごとの心情変化
場面 圭祐の言動(表面) 圭祐の本音(内面) 心情
良太が椅子を運ぼうとする 「いいよ、これくらい」と本気で断った ケガ人扱いされるのが マイナス
不快感
正也の言葉で良太が動揺 無言で様子を見る 良太が「相手が一番嫌がること」をしていたと気づいて気まずい マイナス
複雑
部活について聞かれる 「見学くらいなら」と曖昧に答える 部活をやらないとはっきり言えない(良太がいっそう罪悪感を感じるから) マイナス
遠慮
良太が圭祐の声を褒める 褒められて嬉しい 良太が陸上のことに触れて謝る → 「これじゃ、ダメだ」と感じる
(良太がまだ自分に遠慮している
中間
葛藤
「陸上、がんばれよ」と言う 明るく応援するように言う 気まずい空気が流れ「やりすぎたか」と後悔
(良太にさびしい思いをさせたかも)
マイナス
後悔
正也と放送部へ 明るく放送部に興味を示す
おどけて見せる
慣れないことばかり
良太に「高校生活を楽しんでいる」姿を見せるための演技
プラス
(演技)

決意
🎭 圭祐の「慣れないこと」(演技)の一覧
言動 目的
「僕は良太の声でタイムが上がるなら、いつでも応援に行くから、陸上、がんばれよ」 良太に罪悪感を持たせないため

陸上ができなくても高校生活を楽しんでいることを示すため
笑いながら「ありがとな」と言う
「いい声だっただろう」とおどけながら正也の肩に腕をまわす
良太の方に振り返らない
✅ 主題:相手への思いやりと自己犠牲
圭祐は良太の罪悪感を軽くするために、自分の本音を押し殺して明るく振る舞うという選択をしています。
これは「相手を思いやるあまり、自分を偽る」という思春期特有の葛藤を描いた作品です。
真の友情とは何かを問いかける深いテーマが込められています。

圭祐の「慣れないこと」(演技)の一覧

圭祐が良太に「陸上ができなくても高校生活を楽しんでいる」ことを示すために取った行動:

  1. 「僕は良太の声でタイムが上がるなら、いつでも応援に行くから、陸上、がんばれよ」
  2. 笑いながら「ありがとな」と言う
  3. 「いい声だっただろう」とおどけながら正也の肩に腕をまわす
  4. 良太の方に振り返らない

目的

  • 良太に罪悪感を持たせないため
  • 陸上ができなくても高校生活を楽しんでいることを示すため

主題:相手への思いやりと自己犠牲

圭祐は良太の罪悪感を軽くするために、自分の本音を押し殺して明るく振る舞うという選択をしています。これは**「相手を思いやるあまり、自分を偽る」**という思春期特有の葛藤を描いた作品です。真の友情とは何かを問いかける深いテーマが込められています。


設問解法のポイント

問一【語句の意味】

1「案じて」 正解:ウ 心配して

「案じる」= 心配すること


2「はからずも」 正解:イ 思いがけず

「はからずも」= 思いもかけず、予期せず


3「ケロリとした顔」 正解:ア 平然とした顔

「ケロリ」= 何事もなかったかのように平然としているようす


問二【空欄補充問題】

問題文: 傍線「良太の顔が曇る」について、良太がこのような表情になった理由を、太郎さんと花子さんが話し合っています。次に示す二人の会話を読んで、空欄に当てはまる言葉を、本文中から書き抜きなさい。

会話

太郎:良太の顔が曇る直前の、正也のセリフがポイントだよね。 花子:そうね。良太は圭祐の椅子を運んであげようとしていたけれど、正也からそれが「 A (十三字)」であると言われて、動揺しているみたいだね。 太郎:良太の行動は、一見親切なことに見えるんだけど、なぜだろう。 花子:圭祐にとってはそれが、「 B (八字)」ことだと感じられて、嫌な気持ちになったみたいだよ。正也にはそれがわかっていたようだね。

解答

  • A:「相手が一番嫌がりそうなこと」(13字)
  • B:「ケガ人扱いされる」(8字)

解説

A の根拠

「相手が一番嫌がりそうなことをするヤツなんかいないだろ」

良太は圭祐の椅子を運んであげようとしたが、正也はそれを「相手が一番嫌がりそうなこと」だと指摘。良太は自分の行動が圭祐を傷つけていたことに気づいて動揺する。

B の根拠

遠慮したのでも、照れたのでもない。ケガ人扱いされるのが嫌で、本気で断った。

圭祐は「ケガ人扱いされる」のを嫌だと感じて、椅子を運ぼうという良太の申し出を断っている。


問三【「はっきりと口にすることができなかった」理由】

正解:イ 部活をやらないと伝えたら良太はいっそう罪悪感を感じてしまうだろう。

解説

前後の文脈から、圭祐は部活をやらない決心を、良太の前では口にできないと感じている。

圭祐の推測:

  • 良太が自分を青海学院に誘った理由は「一緒に陸上をやるため」
  • 陸上ができなくなった今、部活もやらないとなれば…
  • 良太は「自分のせいで圭祐の高校生活の意味を奪った」と感じるだろう

→ 良太にいっそう罪悪感を持たせたくないから、はっきり言えない

他の選択肢が不適切な理由

  • ア:申し訳ないという気持ちより、良太への配慮が中心
  • ウ:「気の毒に思う」ではなく「罪悪感を感じる」
  • エ:良太が怒りを覚えるとは考えていない

問四【「これじゃ、ダメだ」の理由】

正解:イ 放送部への挑戦を良太に後押ししてもらえたと思ったのに、良太にはまだ、陸上ができなくなった自分に遠慮しているような態度が見えたから。

解説

場面の流れ

  1. 良太が圭祐の声を褒める
  2. 良太が陸上部での圭祐の応援のことを思い出す
  3. 良太が「あ、ゴメン」と謝る
  4. 圭祐が「これじゃ、ダメだ」と感じる

圭祐の心情

  • 良太は圭祐の声を褒めてくれた(放送部への後押し)
  • でも、その直後に陸上のことに触れて謝った
  • これは「良太がまだ自分に遠慮している」証拠
  • 良太の罪悪感が消えていない
  • これでは良太の気持ちが楽にならない → 「ダメだ」

他の選択肢が不適切な理由

  • ア:辛い出来事を思い出したことより、良太の態度が問題
  • ウ:良太の褒め言葉は本心だと思っている
  • エ:自分の卑屈さではなく、良太の遠慮が問題

問五【「やりすぎたか」の理由】

正解:イ 放送部に乗り気な様子を見せることで一緒に陸上をがんばっていた良太に、さびしい思いをさせてしまったこと。

解説

場面の描写

体育館内はざわついているのに、僕と良太のあいだにだけ、ぽっかりと空間ができてしまったように、音が止まった。 やりすぎたか、と後悔する。 良太がズズッと鼻をすすった。だから、泣くところじゃないんだって。

圭祐の心情

  1. 「陸上、がんばれよ」と明るく言った
  2. 気まずい空気が流れた(「音が止まった」)
  3. 良太が感情的になっている(「鼻をすすった」)
  4. 放送部に乗り気な様子を見せて陸上と一線を引く態度を取ったことで…
  5. 一緒に陸上をがんばってきた良太にさびしい思いをさせてしまったのではないか
  6. → 「やりすぎたか」と後悔

他の選択肢が不適切な理由

  • ア:意地悪をしたわけではない
  • ウ:プレッシャーではなく、さびしさが問題
  • エ:責任を押し付けたわけではない

問六【「慣れないこと」の目的】

(1) 「慣れないこと」に当てはまらないもの

問題文: 本文中の波線部ア~オで示された圭祐の言動のうち、ここでの「慣れないこと」に当てはまらないものを一つ選び、記号で答えなさい。

該当する「慣れないこと」

  • 「僕は良太の声でタイムが上がるなら、いつでも応援に行くから、陸上、がんばれよ」
  • 笑いながら「ありがとな」と言う
  • 「いい声だっただろう」とおどけながら正也の肩に腕をまわす
  • 良太の方に振り返らない

これらは全て、圭祐が良太への気遣いから無理をして明るく振る舞っている行動です。


(2) 目的を50字以内で説明

模範解答(48字)

良太に罪悪感を持たせないため。陸上ができなくても高校生活を楽しんでいることを示すため。

解説

圭祐の最後の心の声:

なあ、良太、僕は高校生活を楽しんでいるだろう陸上部に入れなくても

この一文が全てを物語っています。

目的

  1. 良太の罪悪感を軽くしたい
  2. 自分を青海学院に誘ったことへの良太の後悔を和らげたい
  3. 「陸上ができなくても高校生活を楽しんでいる」姿を良太に見せたい
  4. これ以上、良太に気を遣わせたくない

この問題で問われている「読解力」

1. 「表と裏」を見抜く力

圭祐の言動は一見明るく前向きに見えるが、実は良太への気遣いから無理をしている。この表面と本質のズレを読み取れるかが勝負。

2. 心情の「連鎖」を追う力

  • 良太の気遣い → 圭祐の不快感
  • 圭祐の明るい演技 → 良太の罪悪感の深まり
  • 圭祐の後悔 → さらなる演技

この悪循環を理解することが重要。

3. 行間を読む力

「ズズッと鼻をすすった」「音が止まった」などの間接的な心情描写から、登場人物の本当の気持ちを推測する力。


まとめ:2つの文章に共通するテーマ

🔍 「表面」と「本質」の違いを見抜く

説明文

  • 表面的には「哲学的」に見える専門用語の羅列
  • 本質は「自分の問いから出発すること」の重要性

物語文

  • 表面的には「明るく振る舞う」圭祐
  • 本質は「良太への気遣いから無理をしている」姿

どちらの文章も、見た目や言葉の表面にとらわれず、その奥にある本質を読み取る力を試しています。これこそが中学受験国語で最も重要な読解力です!


最後に

今回の問題は、「人の本音は言葉だけではわからない」という重要なテーマが隠れています。

圭祐が良太を思いやるあまり、自分の気持ちを押し殺して明るく振る舞う姿は、皆さんも経験があるかもしれませんね。相手を傷つけまいとする優しさが、かえってすれ違いを生むこともある――そんな人間関係の複雑さを、この物語は丁寧に描いています。

国語の読解問題は、人の心を理解する練習でもあります。

登場人物の気持ちを想像し、言葉の裏にある本音を探ることは、これから皆さんが出会う様々な人々との関係を豊かにする力になるはずです。

文章をしっかり読み込み、「なぜこの人はこう言ったのか」「本当はどう思っているのか」を考える習慣をつけましょう。それが、国語力アップの近道です!

がんばってください!

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