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2026.3.20実施 第1回 NN早稲田中オープン 早稲アカ 国語解説
2026年度 第1回 NN早稲田中オープン
国語 徹底解説
早稲田アカデミー主催|2027年度 第1回入試対策
大問一 夏目漱石『三四郎』(物語文)
文章の概要
夏目漱石の長編小説『三四郎』からの出題です。早稲田中学の近隣には漱石公園があり、その中に区立漱石山房記念館が開館しています。漱石は山房で晩年の10年を過ごしました。生家の所在地に由来する夏目坂も早稲田中学の目の前にあり、早稲田中ならではの出題と言えるでしょう。
明治41年に朝日新聞に連載されたこの小説は、同時代を描いた作品です。熊本の高等学校を卒業した23歳の小川三四郎が、故郷を後にして東京帝国大学文科に通うため、単身上京するところから始まります。時代を作っていく気概にあふれ、自我意識の強烈な青年の気持ちがはじけるような小説です。
登場人物と人物像
- 小川三四郎(主人公) ― 23歳。熊本の高等学校を卒業し、東京帝国大学文科に入学するため上京する青年。自負と気負いがあるが、田舎者であることに気づいていく。
- 汽車の中の男(髭の男) ― 三四郎が汽車の中で出会う人物。日本を否定的にとらえる発言をしながらも、「広い世界、とらわれない考え、自由な考え」の存在を三四郎に伝える。
- 西洋の女性 ― 三四郎が列車内で見かける美しい西洋人女性。三四郎に引け目を感じさせる存在。
東京帝大へ上京
自負と気負い
日本を否定的に語る
広い世界を示唆
美しさに圧倒される
引け目の象徴
場面の変化と心情表現
この文章は三四郎が熊本から東京へ向かう汽車の中の場面を中心に展開します。場面ごとの心情変化を追うと、三四郎の内面の成長が読み取れます。
否定的発言
比ゆ表現
設問解説
問14点
「大学生だと言いたかったけれども」「なぜ熊本の生徒がそごう東京へ行くんだ」から判断し、「この会話が成り立つように」会話体で答える問題です。明治41年当時、全国にあった大学は東京・京都・東北の各帝国大学のみでした。東京帝国大学で学ぶことへの青年らしい自負と気負いを表明したくて三四郎はうずうずしています。
問2各2点
a「肩身が狭い」は、引け目を感じること。三四郎は美しい西洋の女性に「一生懸命に見られ」ていて、そのあまりの美しさに西洋人が日本人に「いばるのももっともだと思った」りしています。すぐ後で自分の「田舎者らしいのに気がついて」はいますが……。
b「愚弄する」は、「愚」=おろかであること、「弄」=もてあそぶ(訓読み)。つまり「バカにして軽く扱う」という意味です。
問33点
「こんな人間」(髭の男)はこう言っています。「いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね……(富士山)よりほかに自慢するものは何もない」「富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」。あよいところがまるでないような日本の姿です。全く否定的に日本をとらえています。
同時に、「とられちゃやだめだ」「いくら日本のためを思っても富鼠の引き倒しになるばかりだ」という言葉で、三四郎は「真実に熊本を出たような心持ちがした」のです。広い世界、とらわれない考え、自由な考えを実感します。そして「熊本にいた時の自分は非常に卑怯であった」と気づくのです。
問43点
「なぐられる」根拠にならないものを選ぶ問題です。傍線部2の前で「これからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した発言に着目しましょう。
問5各2点
X:男の「熊本より東京は広い、東京より日本は広い、日本より……」という発言から、一見「地理的な広さ」と捉えがちですが、続く発言「とられちゃやだめだ」に着目します。ロシアや西洋、世界など「広い」ことを地理的国土的に考えるのではなく、最も広いのは「広い世界、とらわれない考え、自由な考えを実感できるところ」だと三四郎に伝えています。つまり「頭の中」です。
Y:三四郎を驚かせた目の前の「劇的な活動」で、「破壊」とともにひと時の休みもなく進んでいると感じられるのは、新しく「建設」されている姿に他なりません。「設立」は組織や基金などを新しくつくることを意味するので不適切です。
問63点
「学生としての生活は以前と変わるわけはない、世界はかのように動揺する。自分はこの動揺を見ている。けれどもそれに加わることはできない」とあります。三四郎は時代の激動を目撃しながらも、自分はそこに参加できない傍観者であると感じています。
イは「自分の心は現実からはなれている」ですが本文とは異なります。ウは「独自の精神世界を着実に歩み成長している」ですが成長の実感はまだありません。エは「決して変わることがない」ですが世界は動揺しています。オは「田舎者の自分が活躍するのは全く不可能だ」ですがここまで卑下していません。
問73点
傍線部は比喩的な表現です。「三百年…を四十年で…」と表現されていることから、明治日本の変化のスピードの速さを表したものと読み取れます。
背景として押さえておきたいのは、破壊と建設が同時進行する「劇的な活動」が展開しているということです。外に現れた活動として明確に認識できます。一方で内なる活動である思想はどうでしょう。旧来のままでいられるはずがなく、西洋の考え方の影響を大きく受けずにはいられないはずです。「三四郎」はそのことにまだ気づいていません。それは「学生生活の裏面に」あったからです。
大問二 唐沢孝一『カラスはどれほど賢いか』(説明的文章)
文章の概要
唐沢孝一『カラスはどれほど賢いか』(中公新書)からの出題です。カラスは6まで数を数えられるほど賢いことはよく知られています。また、好奇心旺盛で観察力も鋭く、子供が公園のすべり台で滑って遊んだり、自分の好みのもの(ボタン・クリップ・輪ゴムなど)を収集して楽しんだりします。
本文では、硬いクルミやマップガイを高いところからコンクリート道路に落として割って食べること、さらに都心のカラスについて詳しく述べられています。カラスの行動の中に見られる「遊び」と「学習」の関係が、この文章の中心的なテーマです。
筆者の主張
段落構成
重要語句
- 細心(さいしん)― 注意深くこまやかなこと。「細心の注意を払う」
- 収集(しゅうしゅう)― ものを集めること。「情報の収集」
- 下旬(げじゅん)― 月の21日から末日まで。「旬」は十日間を意味する。上旬(初旬)・中旬・下旬
- ともあれ ― 「とにかく、どちらにしても」の意味
- たちまち ― すぐに、瞬く間に
設問解説
問1各2点×3
意味と使い方を考えて練習している皆さんには、なんということもない漢字書き取りです。「細心にして大胆」「情報の収集」「八月下旬」。「旬」だけが中学受験漢字ですから、「旬の果物」とか「上旬(初旬)・中旬・下旬」などと普通に漢字書きをしていればできます。
問23点
Aは本文に「盗みをしたか」「真似たものであろう」とありますから、「とにかく、どちらにしても」を意味する「ともあれ」が入ります。Bには「広まってこそ」の様子を表す「たちまち」が入ります。Cはハシボソガラスの行動への驚きを倍加させる意味合いを持つ「しかも」が、Dにはカラスの行動の結果を示す「こうして」があてはまります。
問34点(完答)
傍線部と答えにあたる部分が離れている場合は間違いやすいのですが、これは早稲田中の問題にはそのパターンが少なくありません。今回も段落ごとの要点にチェックを入れながら丁寧に読み進めることで正解が得られます。「危険」から「逃避(にげること)」しているカラスの様子は、Cの後、「トラックや乗用車が…退避し…」に書いてあります。
問43点
カラスの行動の順序を考える問題です。ウ・ア(仲間とじゃれあう/硬い物体を落として遊ぶ)→ オ(物体を落とすと割れることがあると学ぶ)→ カ(クルミが食べ物であることを知る)→ イ(クルミをコンクリートなどに落として割る)。そして、個体が学習したその行動が個体群全体に広まる、という順序になります。
問54点
最初の例はクルミ、次はツブガイ、そして都心のカラスの探餌行動…と続きますから、当然、食物摂取が目的です。
問66点
カラスの「遊び」の意義が問われています。本文に記述されている「遊び」にチェックを入れてみましょう。「物体を空中から落下させる」「カラスは、暇な時にはネコのように仲間とじゃれあい、いろいろな遊びをする」「小石、棒切れ、ガラスの破片といった物体を、飽きさえあれば落として遊んでいる」「遊びのように見えるが、将来、クルミなどの硬い実を割るための予備行動のようにも見える」などがあります。
解答欄外部分の出だしの「遊びのように見えるが、」に着目すると、書くべき箇所が見えてきます。「食物を確保するために」など、必要な語句を足して書きましょう。
問7各2点×2
本文を「精読」することが早稲田中入試では求められますので、このような「内容真偽」問題は各選択肢をしっかり吟味する必要があります。
- ア:二段落目に「鳥の前肢は翼である」と書いてあります。カラスも例外ではありません。→ 正しい
- イ:「ネコのように仲間とじゃれあい…」と書いてありますが、「ネコと」じゃれあっているわけではありません。→ 誤り
- ウ:後ろから4段落前に類義表現があります。→ 正しい
- エ:「残飯に恵まれ…一日中あくせく食物を物色しなくても済む」とあります。→ 誤り(本文の趣旨と逆)
- オ:最終段落で述べられていることと合致します。→ 正しい
まとめ
この模試のポイント
大問一の夏目漱石『三四郎』は、明治時代の青年が「広い世界」に目覚めていく姿を描いた物語です。心情表現の変化(+から±、そして-への揺れ動き)を正確に追い、比喩的表現の意味を文脈から読み解く力が問われました。
大問二の唐沢孝一『カラスはどれほど賢いか』は、カラスの「遊び」が実は「学習」であるという主張を読み取る説明的文章です。段落ごとの要点をチェックしながら読み進める丁寧さが求められます。
早稲田中入試の特徴である「ふさわしくないものを選ぶ設問」や「傍線部と答えが離れたパターン」「比喩的表現の読み取り」に日頃から慣れておくことが大切です。繰り返し過去問に取り組み、本文と選択肢を一つずつ丁寧に照合する習慣を身につけましょう。
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