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2026.4.12実施 前期第1回 合格力判定サピックスオープン 国語解説
国語 徹底解説
テスト概要と配点
2026年4月12日に実施された前期第1回合格力判定サピックスオープンの国語を解説します。試験時間50分・150点満点の構成は以下のとおりです。
大問1(漢字):2点×5問=10点
大問2(物語文・選択中心):問一~問七・問九~問十二が6点×10、問二・問八が5点×2=70点
大問3(随筆文・記述中心):問一10点×2、問二・問四18点×2、問三14点=70点
大問2は選択問題が中心ですが、心情読み取りの精度が求められます。大問3は長い記述が3問あり、時間配分がカギになります。本記事では大問2・大問3の読解パートを詳しく解説します。
大問2|物語文の読解:当原珠樹「もし、黒い心をもてあましたら」
当原珠樹「もし、黒い心をもてあましたら」
(日本児童文学者協会 編『もし、自分の居場所がない気がしたら』所収・偕成社)
あらすじ
小学生の頃、光里(ひかり)とミーチャは親友でした。ミーチャは離婚した母親と団地で暮らしており、シンプルだけれど明るい性格の女の子です。一方の光里は中学受験に向けて塾に通っていますが、模試の成績が伸びず悩んでいます。
ある日、光里はミーチャに受験勉強の大変さを話します。ミーチャは光里のことを心から心配し、励ましの言葉をかけますが、光里はそれを素直に受け止められません。ミーチャには受験の苦しみが本当にはわからないのではないか――そんな思いから、光里は匿名の手紙で悪口を書いてミーチャに送ってしまいます。
手紙を受け取ったミーチャが傷ついていることを知った光里は、罪悪感に苦しみます。後日、真理子と共にミーチャにやさしく接しようとしますが、それは謝罪ではなく「気休め」でしかありません。物語の終盤で、光里は自分の行為としっかり向き合い、もう一度ミーチャと本当の親友になりたいと決意します。
登場人物
中学受験の塾に通う小学生。成績が伸びずプレッシャーを感じている。ミーチャの親友だったが、匿名の悪口手紙を出してしまい、罪悪感に苦しむ。繊細で自分の感情をうまく処理できない面がある。
光里の親友。離婚家庭で母親と団地暮らし。シンプルな服装だが、天真爛漫で明るい性格。光里の受験を心から心配し、励ます。手紙の悪口で傷つくが、光里のことを信じ続ける。
光里の友人。光里とともにミーチャに悪口手紙を出したことに罪悪感を感じ、後にミーチャにやさしく接しようとする。
人物相関図
光里の心情変化
光里はミーチャに感謝しつつも、受験の辛さを本当にはわかってもらえないという苛立ちを抱えています。この「感謝と苛立ちの混在」が悪口の手紙につながる重要な転換点です。入試では±が入れ替わる・混在する場面が特によく問われます。
設問解説
線①「理解したつもりになっていた」とありますが、この説明として最もふさわしいものを選ぶ問題。
「つもり」という表現に注目します。「理解したつもり」ということは、実際にはミーチャの本当の気持ちを理解していなかったということです。直後の文脈から、ミーチャはさびしさを感じていたことがわかりますが、光里たちはそれに気づいていませんでした。つまり、ここでの「理解」は実際とは逆で、本当の気持ちを見落としていたのです。
傍線部について、ミーチャが幸せなはずだと思ってしまったのはなぜか。
本文からは「お金持ち」であることが「注目」されている理由のひとつです。しかし、光里たちは「まわりに注目されていること」自体が幸せだと考えていたわけではありません。「まわりに注目されている」ことが幸せな理由だと考えているわけではないのですから、ここでの理由は別のところにあります。
ミーチャの言葉に対する光里の受け止め方について。
ミーチャは「同情を買う」ためにそのようなことを言う子ではありません。光里はそうしたミーチャの性格を知っているからこそ、単純に慰めの言葉をそのまま受け入れることができませんでした。
ミーチャに中学受験の大変さを語る光里の心情。
光里はミーチャに2ページ20行目~3ページ4行目で中学受験の大変さを話しています。線④の言葉から、ミーチャは光里をはげまそうとしていると読めます。ただし、ミーチャは受験の説明を聞いても「言われた内容を想像しきれず、とまどっている」うだった(3ページ2行目)ため、光里が「確信」していたり「実感」していたりするわけではありません。
光里が「息がとまりそう」になった理由。
光里が「息がとまりそう」になったのは、直前のミーチャの言葉を聞いたからです。ミーチャの言葉に対して、光里は——線⑤の直後で「落ちてもいい?」「うれしいってどういうこともり?」と心の中で反応しています。ミーチャの純粋な励ましが、かえって光里の心を苦しめたのです。
線⑥「わかってくれている」と似た表現を本文中から五字で抜き出す。
線⑥の「わかってくれている」と似た表現を探すと、「理解者」(4ページ15行目)が見つかります。五字という条件ですし、光里はミーチャを「親友」だと思って心から信じていたのですから、「真の理解者」が正解になります。
光里が手紙を出すゲームをしようと思ったきっかけ。
線⑦の直後を見ると、光里が手紙を出すゲームをしようと思ったのは、校庭で生徒たちが「無邪気にはしゃぐ姿」を見たからだとわかります。勉強も大変でテストの成績も思わしくなかった光里は、「なにも考えずに遊んでいる生徒たちと我が身を比べて」やるせない気持ちになりました。
「明るく無邪気な様子」をあらわす漢字二字を答える。
「明るく無邪気な様子」を表す言葉は「天真(爛漫)」の「天真」です。線⑧の前後の文脈で、ミーチャの暗い声と対比されている「明るく無邪気な様子」を表現する語句が問われています。
ミーチャの言葉から読み取れる心情。
5ページ9~10行目のミーチャの言葉から考えましょう。ミーチャは嫌われていることに気づいており、悪意をぶつけられて傷ついているのです。自覚がないのに、悪意をぶつけられて傷ついているのです。
光里が悪口を書いた手紙を出そうと思いついたとき、どのような意識だったか。
光里が悪口を書いた手紙を出そうと思いついたとき、「嫌がらせのたぐい」という自覚はありませんでした(4ページ3~4行目)。ミーチャに手紙を読み上げられ、「ひどい内容だ」と実感し、自分がミーチャにしたことの意味を本当に理解したのです。
光里が心の中で考えていること。
6ページ12行目~7ページ16行目で、光里が心の中で思っていることを手がかりにして考えましょう。「心の鏡に映る自分から、目をそむけちゃだめ」と思っていますから、自分がミーチャにしたこととしっかりと向き合おうとしていると考えられます。そして「もう一度、親友になりたい」と考えています。親友とはお互いが真の理解者であり、信頼できる相手のことです(問六)。以上の二つについて説明されている選択肢が正解となります。
光里の行動の説明として最もふさわしいもの。
光里は罪悪感で苦しんでいます。本当はミーチャに謝りたいと思っています。しかし、正直に手紙の送り主だと話せませんでした。謝罪せずに、ミーチャにやさしくするのは、光里たちの罪悪感を少しでも軽くするための行為、つまり「気休め」でしかないのです。
「自分の弱さ・黒い心と向き合うこと」がテーマです。光里は受験のプレッシャーから生まれた苛立ちをミーチャにぶつけてしまいますが、最終的に自分の行為を直視する勇気を持ちます。入試では「心の成長」のプロセスを丁寧に追うことが求められます。
大問3|随筆文の読解:鈴木俊貴「くーちゃんから全人類へ」
鈴木俊貴「くーちゃんから全人類へ」
(日本文藝家協会 編『ベスト・エッセイ2025』所収・光村図書出版)
筆者について
鈴木俊貴氏は動物言語学者・東京大学准教授です。シジュウカラなどの鳥類の「言語」を研究しており、動物が声や身ぶりで意思疎通を図る仕組みを長年にわたって研究しています。
文章の概要と筆者の主張
この文章は、筆者と愛犬「くーちゃん」との関係を出発点に、人間と動物、さらには人間同士がわかり合うためにはどうすべきかを考えた随筆です。
筆者は、くーちゃんとの暮らしの中で、言葉を使わなくても深い信頼関係を築けることを実感します。くーちゃんは言葉を話しませんが、筆者の呼びかけに状況に応じて反応し(=「賢い」)、気持ちを察して寄り添ってくれます(=「優しい」)。
現代社会は言葉に頼りすぎて、書かれたことや言われたことを「優先」してしまい、結果として誤解が生まれ「息苦しい社会」になっている。言葉は意思疎通を補う不完全なツールにすぎない。言葉に頼りすぎず、相手の「表情やしぐさに隠された気持ちや意向への配慮」をすることで、「誰もが心地よく生きていける世界」になる。
対比構造図
設問解説
線A「賢い」・線B「優しい」が、くーちゃんのどのような点を言っているのか、それぞれ説明する記述問題。
「賢い」……筆者の意図を理解し、状況に応じて自分の意思を示すところ。(28字)
「優しい」……筆者の気持ちを察し、一緒にいて寄り添ってくれるところ。(27字)
まず「賢い」については、線Aの前後を見ます。「呼びかけに対して」「状況に応じて」「意思を示してくれる」ことを「賢い」と言っています。呼びかけに対して行動するためには、呼びかけの意図を理解する必要があります。次に「優しい」については、線Bの前後を見ると、「うれしい時」は「一緒に喜び」、「元気がない時」は「おやつを分けてくれる」ことがわかります。くーちゃんは相手の気持ちに応じた行動をとってくれるのです。
ここでの「会話」とは何か、どうすれば「会話」ができるようになるのかを説明する記述問題。
言葉自体は通じなくても、一緒に寄り添って生活していく中で、お互いの行動をよく観察して、共通点と相違点を理解し合えるようになり、意図や気持ちをくみ取れるようになったから。
ここでの「会話」は言葉を使っての会話ではありません。問一で考えたように、相手の気持ちや意図を理解して、それに応じた行動をとることを「会話」と言っているのです。「会話」ができるようになるには、「そんな毎日」を送る、つまり同じ時間を寄り添いながら過ごす必要があります。そのうえで、13ページ2~5行目で説明されているように、「相手の行動を注意深く観察し、意図を読み取ろうとする姿勢」を持ち、「互いの共通点だけでなく、相違点も知り、尊重する」ことが求められるのです。
筆者が動物と「会話」できると言うと、取材に来た記者は「翻訳機」ができると考えるが、それに対する筆者の見解。
動物の場合は言葉以外の様子の方が重要なので、鳴き声を言葉に変換するだけでは意図を正しく理解することはできず、有効とはいえない。
筆者が動物と「会話」できると言うと、記者は「翻訳機」ができると考えます(12ページ15~17行目)。多くの人は会話=言葉を使うことだと思い込んでいるからです。しかし筆者は、動物と「会話」するためには声は補助でしかなく、たとえば犬であれば「表情、姿勢、しっぽの振り方」、つまり言葉以外の様子の方が重要だと考えています(12ページ20行目~13ページ1行目)。動物と「会話」をするうえで「翻訳機」は有効ではないというのが筆者の意見です。
今の「息苦しい社会」を変えて、「誰もが心地よく生きていける世界」にするためにはどうすればよいかをまとめる記述問題。
今は情報があふれ、言葉を優先した結果、誤解が生まれて息苦しい社会になっている。言葉は不完全なものであることを自覚し、相手の表情やしぐさに隠された意図や気持ちをくみ取って、寄り添い合えるようになるべきだ。
「息苦しい社会」になっているのは、問三で考えたように言葉を使うことだけが会話だと思い込み、「書かれたことや言ったことを優先」してしまい、「結果として誤解が生まれ」てしまうからです(13ページ16~18行目)。それに対して筆者は「言葉とは、意思疎通を補う不完全なツールにすぎない」と考えています。言葉に頼りすぎることなく、問二で考えた筆者とくーちゃんのように、「表情やしぐさに隠された気持ちや意向への配慮」をすることで、「誰もが心地よく生きていける世界」になるのです。
この大問は問二(18点)と問四(18点)が大きな配点です。どちらも本文中のキーワードを正確に拾いながら、自分の言葉でまとめる力が問われます。「息苦しい社会の原因」→「筆者が考える解決策」という論理の流れを意識して書きましょう。
まとめ
大問2(物語文)では、「光里」の心情変化を追うことが最大のテーマです。特に±混在の心情(ミーチャへの感謝と苛立ち、罪悪感とごまかし)を正確に読み取れるかが合否を分けます。「つもり」「気休め」など、一つの言葉の裏にある心理を丁寧に読み解きましょう。
大問3(随筆文)では、筆者の主張を「対比構造」で把握することが重要です。「言葉に頼りすぎる社会」と「言葉を超えた理解」の対比をしっかり捉え、記述問題では本文のキーワードを使いながら自分の言葉でまとめる力が試されました。
この時期のサピックスオープンは、夏以降の志望校対策に向けた重要な指標です。物語文の心情読解と、説明的文章の記述力をバランスよく鍛えていきましょう。
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