国語の宿題の進め方、家庭学習の進め方は非常に難しく、自主学習の進め方に悩みが尽きない科目だと思います。
そこで今回は国語指導歴約20年の私が指導してきた経験から国語の力をアップさせるために効果的な宿題・家庭学習の進め方をご紹介していきます。
塾では指定範囲の漢字テストを毎週行い、そのための練習をしてくることが宿題になっていることが多いのではないでしょうか。
一文字あたり5回とか10回とかひたすら書くだけの練習だと作業量の割に定着が非常に浅いものになります。何の思考も働かない単なる作業になっているためです。
ですから必ず「考える」作業をそこに加えていくことが必要です。おすすめの勉強法は以下の通りです。
塾の小テストで間違えた漢字は定着や理解が浅い漢字ですから復習をしないと次もまた間違えることになります。小テストは毎週実施されますし、クラス分けの材料にもあまりならないでしょうし、少し軽く扱われている様に感じることがあります(あくまで個人の感想ですが・・・)。
しかし、小テストの積み重ねこそ学力の土台となります。宿題として出されているかどうかは塾によって方針が異なるでしょうが、宿題になっていなくても必ず復習をしておきましょう。
その際、新出の漢字が覚え切れていなかったのか、熟語がわかっていなかったのかなど原因を分析し、間違えた漢字を再度複数回書いて練習することは欠かさない様にしましょう。
読解の授業は毎回何らかのテーマが設定されていることが多いです。説明的文章であれば、段落の構成や、指示語・接続語の読み取り、物語文であれば人物像の把握や心情の読み取り、主題の把握、その他、各講師が独自で設定した読解ポイント、スキルなど、指導のテーマがあると思います。(そういったものがない国語の授業をしている講師も存在しますが、個人的にはあまりお勧めできないですね…)
そういった授業のテーマをお子さんから聞き取ったり、板書を写したノートから確認をして、お子さんがどこまでその講師の指導を理解できているのか、そして問題演習(宿題)で再現できるのかをよく確認する必要があります。
段落構成の授業の後だったら大きく3〜4つ程度の意味段落に分けて考える、そしてそれらの役割をしっかりつかみながら読む。主題の読み取りで当てれば物語全体のシナリオを俯瞰して作者のどんなメッセージが隠されているのかを考えて読む。
こうした授業に直結した読み方を宿題において実施することで授業内容が初めて定着するのです。
ただ闇雲に宿題を解いているだけでは授業で指導されたことの再現はされず、結局いつまで経っても自己流から抜け出せません。
このプロセスを省略してしまうと、宿題の学習効果は大きく低下してしまいますので気をつけましょう。
家庭学習における読解問題の理想的な取り組み方はお子さんの国語の習熟度によって大きく異なります。以下、お子さんの状況別の「読み取り」への取り組みについてご説明します。
目安として宿題で出される読解問題の正答率が安定して8割を超えるようなお子さんは、サポートなしで取り組ませて問題ありません。ただし終了後の保護者チェックは必須です。お子さんが少し難しいと感じるであろう言葉(ここはお子さんによってかなり差がありますが…)の意味を確認しましょう。「この言葉の意味わかる?」等の声がけで本人に説明させることが重要。
また、文章の要旨、あらすじを口頭で確認するようにしましょう。(例「この文章は簡単に言うとどんな話だった?」など)そこで捉え違いがあったり、保護者の方との見解の違いがあったりした場合、指摘をして話し合って深めていくことも大切です。
最後まで読み切ることができるものの、内容理解にかなり不安がある子は読解の際に十分なサポートが必要になります。正答率が5割〜8割未満のお子さんがここに当たるでしょう。文章内容が部分的に理解できているものの、うまく読めていない部分や理解が浅い部分があるはずです。まずは塾で教わった読解手法が活かせているのかどうか親子で一緒に確認しましょう。
また、音読をさせてみるのも良い方法です。音読をさせることで誤読や読み飛ばしに気づき、修正できます。また物語文では台詞に当たる部分の表現をどのように読むかで、情景をきちんと把握できているのかどうかも大人チェックできます。少しでも違和感があれば音読を止めて、お子さんがどう言う解釈をしているのか確認するようにすると良いでしょう。
問題を解いた痕跡を見るとしっかりやっているように見えますが、ほとんど理解していない状態。本人はとても頑張っているのですが、この状態ですと頑張りがほとんど成果につながることはありません。内容を全く理解せず当てずっぽうに選択肢を選び、記述はほとんど空欄…。これでは成長しようがありませんね。
問題の正答率が50%未満である状態が続くようであれば、本文の内容はほとんど理解できていないと思った方が良いでしょう。このまま「勉強したつもり」になるのが一番危険。本人も努力が全く成果につながらないのでやる気も失う一方。この状態は大変危険ですので早急に手を打つ必要があります。
まず、保護者の方が文章を読み聞かせることをお勧めします。高学年の方は「今更読み聞かせ?」と思われる方も多いかもしれませんが、実際私も授業で中下位生を指導する際には欠かさず読み聞かせをします。これは小6でも例外ではありません。一人ではほとんど内容が理解できない内容でも読み聞かせることで理解が大幅に進むことは珍しくありません。独力で読めていない子はまず中学受験レベルの文章の世界観・価値観・語彙に慣れさせないといけません。これは自力で繰り返し読むだけでは非効率。読み聞かせることで理解を早め、より多くの文章に触れていくことで効率よく中学受験レベルの文章への対応余力を高めていくことが最も効果的です。
ただし、本人の横に座って一緒にテキストを見ながら本人が文字を目で追っていることは確認しながら読み聞かせてください。文字を見ることなくただ聞いているだけの状態ですと効果は半減です。
読み聞かせの効果は大きく2つあります。
まず保護者が文章を通して読み切ることで内容を十分に理解すること。文章読解を指導するにあたって指導者の側が十分に該当の文章内容を深く理解しておくことが前提になります。よく「国語の教え方がわからない・・・」と言う保護者の方の声を聞きますが、大半がご自身が文章をじっくり読まれていないことが大変多いです。まずは音読を通じて保護者の方が文章を理解することでアドバイスの糸口は見えてきます。
次に本人の文章理解度を部分ごとに確認できることです。読み聞かせる際に、最初から最後まで通して一気に読み切る必要はありません。少し難しい表現、わかりづらい前後関係などが出てきたら一旦立ち止まって「今のところどう言う意味だろうね?」「このセリフ、どの人の発言だかわかった?」など確認しながら読み進めるのです。この時とても大切なのは「一緒に考える」というスタンス。二人三脚で難しい文章にチャレンジしようという姿勢がお子さんの国語に対する心理的不安感や負担感を和らげて前向きさを引き出します。
選択肢問題はパーツごとに分解し(目安としては読点で区切るとよい)その部分ごとに本文の内容と適合しているのか確認する作業が必要です。お勧めなのは本文内容と合っている部分には◯、正しいかどうか判断できない、あるいは書いてあるかどうかわからない部分は△、本文の内容と明らかに違っているまたは書かれていない部分には× などの印をつけておくことが大切です。
家庭学習でなかなか手が出ないのが記述問題。特に指定字数が多い問題はお子さんもモチベーションが下がり、手がつけられないことが多いのではないでしょうか。どう答えたら良いのかわからず空欄のまま記述問題だけ飛ばして終わりにしたがる子もいます。しかしそれではいつまでたっても記述力は育ちません。そんな時はまず「一言で答える」つもり考えて取り組んでみましょう。5字〜15字程度でもOKとします。そして模範解答の末尾と照らし合わせます。模範解答の末尾と同じような内容になっていれば解答の方向性としては間違っていませんので褒めてあげましょう。日本語は最も重要なことを一番最後に配置する傾向にありますので、模範解答の末尾の部分と照合してあげることは解答の方針が正しいのかどうかを確認する上で非常に重要なんですね。
またこの「一言で答える」こと自体も難しく感じる場合には設問をじっくり読んで問いの中心に線を引いて意識しながら問題を解くようにしましょう。例えば以下のような感じです。
・「傍線部①●●●とありますが、このように言えるのはなぜですか。」
・「傍線部②▲▲▲とありますが、この時の花子の気持ちはどのようなものだと考えられますか」
とにかく大事なのは記述を空欄のままにしないこと。何か書くことで必ず成長しますが、空欄のまま問題に向き合わないでいると学びが得られません。ここは強く意識してほしいところです。
最後に一番重要なのが答え合わせ。個別やごく少人数の集団塾であれば宿題の答え合わせを講師が行ってくれるケースもあるようですが、実際ほとんどはご家庭でやらざるを得ないでしょう。ただし模範解答と照らし合わせてマルバツをつけるだけでは学習効果が得られづらくなります。以下のポイントに気をつけながら答え合わせをしましょう。
前述したように細かいパーツに分けて正誤判断をしながら解くことが前提です。その上で、間違いがあった場合、本文と合っていると思っていた表現の解釈がズレていた、本文に記載がないと思っていた表現を見逃していた、など誤答の原因をしっかり突き止めることが重要です。
こちらも前述の通り、模範解答の文末部分に注目しお子さんの解答がどうなのか判断していきます。解答の文末部分が模範解答と大きくズレている場合には限りなく×に近い内容だと考えてください。その他、できる限り本文の表現を使ってまとめることが重要です。模範解答の表現を確認し、本文のどこに書かれていたのか、見落としがなかったのか確認していきましょう。模範解答に含まれる「本文表現」は採点の重要なポイントとなるキーワードであることが多いので漏れていた場合はやはり減点対象になることが多いです。
とはいえ、自己採点のハードルが非常に高いのが記述問題。
正解なのか不正解なのか、あるいは部分減点なのか、判断がつかないようであれば塾や家庭教師の先生に相談しましょう。繰り返し相談することで保護者の方も採点基準が肌感覚で理解できると思います。
いかがだったでしょうか?
国語の家庭学習というのはやり方が曖昧で非常に難しいものだと思います。誤った取り組みを続けてもほとんど学習効果がなく、お子さんの頑張りが結果につながらない残念な状態になりやすい科目でもあります。
巷ではよく「国語は勉強しても身につかない」「国語はセンスだからできない子は頑張ってもできるようにならない」なんて諦めの声もちらほら聞こえてきます。
しかし、約20年間にわたって2000名以上を指導してきた経験から断言しますが正しい勉強方法を続ければ国語の成績は上がります。
ここで見逃して欲しくないのは「正しい」やり方であることと長期間「続ける」こと。
「正しい」やり方でも継続しなくては成果が出ません。
誤ったやり方を長く「続ける」のではこれまた成果が出ません。
この両立がなかなか難しい。ただしどんな子にも適した勉強法があり、それを見つけて継続することができれば成績は上がります。
解き直しについてまとめたこちら👇の記事もご参照ください。