この物語は、高校生の主人公「理帆子」の視点から語られています。理帆子は様々なグループに属することができる特殊な立場にいますが、どこにも本当の居場所を感じられません。クラスメイトの加世(生徒会長)と立川(おとなしい女子)との関係を通じて、理帆子の心の葛藤や現実感の薄さが描かれています。
理帆子の現実感の薄さは、多くの本を読んできたことが原因の一つとして描かれています。フィクションの世界の強烈な体験に比べ、現実の出来事が薄く感じられてしまうのです。これは、想像力豊かな人々がしばしば経験する感覚であり、理帆子の特殊な立場を表現しています。これは最終問題の問6の答案作成に際して非常に重要な情報となります。
・加世の人物像を理帆子の視点から書かれている部分に注目する
【表面】活発・努力家
【内面】怒りが原動力・反発されることでやる気が出る
内面について詳しく書く必要があります。
これも理帆子から見た加世の性質を答案に盛り込む必要があります。
そもそも敵を見つけることでやる気を出す性質を利用すること、その上で励ますことなどを答案に盛り込みましょう。
理帆子は表面的に加世をはげますような発言をするものの、内面では冷めた目で皮肉な思いを終始持っています。自分の加世に対する本心が伝わっていないことを書くようにしましょう。
立川は理帆子に友だちでいてほしいとの思いから加世への思いを確認する質問をしますが、思いのほか加世に味方するような発言をする理帆子に不満を持ちます。
ここで気をつけるべきは表面的に加世を応援するような発言をしているものの、内面では「全く興味が持てない」状態であり、それは立川に対しても同様であること、これらを加味して答案をまとめます。
終始、周囲の人間に対して冷めた視線を向け、表面的には共感をしているように見えるものの内面では全く関心が持てず、皮肉な思いを持ち、物語の人物に対する論評のごとく冷静に人を評価しています。
それらの理由は理帆子の人物像として描かれていた本が好きでフィクションの中から多くを学び、現実が非常に薄く感じてしまう特性が原因となっています。
これらを盛り込んで答えていきましょう。
表面的な発言や態度と内面の思いに大きなギャップがある少女の話で、小学生男子にはなかなか実感を伴いづらい文章内容だったかと思います。十分理解できなかったお子さんについては、ひとつひとつの表現をていねいに読み解いてその背景を大人が詳しく噛み砕いて伝えてあげる必要があるでしょう。実感が湧かないまでもイメージができるレベルにまでは引き上げておきたいところです。