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サピックス小6国語 B-12「ボクシング・デイ」解説

こんにちは。指導歴20年中学受験国語専門プロ家庭教師のヨッシーです。

かなり久しぶりの更新となってしまいました。

本年4月から家庭教師を始め、おかげさまで大変ご好評をいただき、

多くの生徒さんに指導させていただく機会をいただきました。

手探りでの指導や運営でしたので日々の授業準備等で手一杯。ブログやTwitterを

更新する余裕があまりなかったのですが、ようやく運営も軌道に乗ってきたので

そろそろ更新再開していきたいと思います。

多くの生徒さんを指導させていただく中で、様々な塾の教材に触れそれぞれの塾の特性が

わかるとともにそれぞれの教材から学びとれる内容の差も感じています。

各塾で扱われる国語の「素材文」のご紹介と、各塾で何を学ばせようとしているのかを

ご紹介していくことで、該当の塾にお通いいただいている方はもちろん、そうでない方にも

何らかの気付きや学びがご提供できないかと考え、この各塾教材解説をできるかぎり

進めて行きたいと思っています。

・国語の復習っていまいちやりかたがわからない・・・。

・他の塾で国語はどんな勉強しているのか気になる・・・。

こんな方にはお役に立てるかと思います。ぜひ、最後までお読みください。

今回はサピックスの小6向けB教材「ボクシング・デイ」の解説です。

本文解説

作品概要

樫崎茜さんの「ボクシング・デイ」。2007年の作品です。

中学入試では豊島岡女子、実践女子、栄東、成城学園など多くの学校で出題された実績がある作品です。

あらすじ

思うように発声ができないでいる小4の栞が「ことばの教室」で話すことを身につけつつ

一歩ずつ成長し、世界を広げていくストーリー。

重要ポイント

P1「セコイアに対して抱いていた愛着は、そのまま栞の心に根を張っている」

→「セコイア」(樹木の一種)がこの後、どんな意味を持ってくるか注目。何かを象徴していそうなものは印をつけておくと良い。

→「心に根を張っている」という比喩表現の意味を考える。

P3「うまくいえないんだけど、悲しいとか、辛いわけじゃないんだ、ただなにかが余計で、なにかが足りない感じがするの。その凸凹している気持ちをどうにかして平らにしたいんだけど〜」

→悲しみ、辛さといった強い感情ではないがなんとなく感じている心のスキマを表す言葉をおさえておきたい(空虚さ、むなしさ、寂しさ、喪失感、など)

P3「『ち』と『き』を意識しすぎるんじゃないのか?〜それが夏目(栞)のいい方なら、どんな発音になってもいいと思うぞ」

→栞の友人である千晶からこのような言葉をかけられ「晴れ晴れとした表情の自分」を感じます。「セコイア」の伐採から少しマイナスに傾いていた気持ちがプラスに転じる重要シーンです。

P5〜6 佐山先生(「ことばの教室」の教師)が「ボクシング・デイ」について語るシーン。タイトルになっている言葉ですから当然重要。佐山先生が「ボクシング・デイ」を大切にする真意を見いだせるかどうかが「カギ」になります。

・今日はボクシング・デイといってね、一日遅れでクリスマスプレゼントを開ける日なんだよ

・そうなんだ、人にはそれぞれ事情があるからね、みんなそろってプレゼントを開けることはできないんだよ。だけど、折角のクリスマスだもの、たとえそれが一日遅れようとも、プレゼントは開けたいだろう?

・この日がとても好きなんだ。すべての人にプレゼントもらう機会があって、プレゼントを開ける権利がある。そう思うと、とても人間が好きになるんだ。

・もしかしたら、ボクシング・デイを知ったからこそ、先生はこの職業に就いたのかもしれないな。すべての子どもにプレゼントを渡すためにね。

この教室に通っている生徒の中には、プレゼントを開ける日が遅い子もいるんだ。だけど、たった一日の違いだと先生は思っているよ。そして、一日遅れでプレゼントを開けたときの子どもたちの笑顔が先生は何よりも好きなんだよ。

→ここまでの表現から「ボクシング・デイ」と「ことばの教室」の共通点を見出していきます。ことばの教室は発声や話すことが苦手で遅れている子達が通う教室。佐山先生の考えるプレゼントとは自由に言葉を使えるようになること、そして一日遅れとは周囲の子に対して言葉の習得が少し遅れていることを指します。しかしそれはたった一日の差でしかなく、様々な事情でみんなが同じように発達・成長していくことはないのだから、きちんとプレゼントを開ける=言葉を身につけることで子どもたちが笑顔になっていくことを何より大切に考えている、と解釈します。

P8「先生が思う幸せはね、いろいろなものが過不足なく、きちんとあることをいうんだ。悲しみも喜びも不安も、たのしいことも、苦しいことも、好きなことも、嫌いなことも、そのどれもが負担にならない程度にある状態こそ、しあわせなんじゃないかってね。」

→佐山先生がボクシング・デイを大切に考える視点と「幸せ」の定義についての共通点を考えます。言葉を扱うことが苦手で話すことがうまくできなくて嫌な思いをしたとしても、それはたった一日の遅れでしかない。それを乗り越えて言葉を扱うこと、話すことが楽しい・嬉しいと感じることができれば、それこそ幸せなんだ、と訴えていると理解しましょう。

重要問題

問7

傍線⑦「この日がとても好きなんだ」とありますがこれについて答えなさい。

(1)佐山先生がこの「ボクシング・デイ」という日が好きなのは、それが佐山先生にとって

どういう日だから

ですか。なるべく自分の言葉で説明しなさい。

→問いの中心は「どういう日だから」です。まずはこれに一言で答えていくことになります。

記述問題は①答えの核(一言で答える)、②原因理由 ③対比内容 のトッピングをしていくことで完成させます。

①「答えの核」

→これは色々考えられますが、「(教師として)充実感を感じる、達成感を感じる、満たされた気持ちになる、喜びを感じる、嬉しく思える」(+日だから。)などと答えるのが良いでしょう。これらを一番最後に配置します。

②「①の原因・理由」

→「ことばの教室」で話すことが苦手な子に言葉の使い方を覚えてもらうことと「ボクシング・デイ」でプレゼントを開けるのが遅れた子が一日遅れでプレゼントを開けることとの共通点を述べると良いでしょう。(模範解答には書かれていませんが・・・笑)

例)「ボクシング・デイ」の一日遅れでプレゼントを開けるという点が、自分が運営する「ことばの教室」で話すことが苦手で成長が遅れた子に話す自由を与えて喜んでもらうことと共通しているため、

③「対比内容」

→今回は対比的な内容は書かれていませんので入れません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

この「ボクシング・デイ」と佐山先生の「ことばの教室」の共通点が見いだせたかどうか。

佐山先生の「幸せ」に対する価値観が理解できたか。

こういった物語文における主題を読み取るトレーニングが6年生には重要になってきます。

何となくシナリオだけを追いかける読み方から、「これは何を示すのだろう?」「これはどういう意味がかくされているのだろう?」と自分自身に問いかけながら読み進める読み方へ進化させる。

私の生徒さんには疑問に思うところに「?」をつけて読み進めるようにお勧めしています。

最後まで読み終わってから答えに気づく「?」もありますからね。

そんな「考えながら読む」「問いかけながら読む」ことを練習していけると良いですね。

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