- ホーム
- 模試・塾テキスト解説
- 24年7/15(月)実施 早稲アカ 第3回NN武蔵中オープン 国語読解アドバイス
24年7/15(月)実施 早稲アカ 第3回NN武蔵中オープン 国語読解アドバイス
あらすじ
この物語は、高校生の主人公「理帆子」の視点から語られています。理帆子は様々なグループに属することができる特殊な立場にいますが、どこにも本当の居場所を感じられません。クラスメイトの加世(生徒会長)と立川(おとなしい女子)との関係を通じて、理帆子の心の葛藤や現実感の薄さが描かれています。
登場人物と人物像
- 理帆子(主人公):
- どのグループにも属せるが、どこにも本当の居場所を感じない
- 現実感が薄く、他人の感情に深く共感できない
- 本が好きで創作の世界から多くを学んだ
- 加世:
- 生徒会長で活発なタイプ
- 制服廃止運動を主導している
- 反骨精神が強く、抵抗されることでやる気が出る
- 立川:
- おとなしく地味な女子
- 不安が強く、友達を求めている
- 好きな人がいることを自慢に思っている

心情表現とその変化
- 理帆子:
- 加世や立川の考えや行動を客観的に分析し、冷めた視線を向けている
- 現実感の薄さにむなしさを感じる
- どのグループにも属せる一方で、どこにも本当の居場所がないことに不安を感じている
- 加世:
- 制服廃止運動に熱心で、自信に満ちている
- 立川を見下し、理帆子を自分の味方にしたがっている
- 立川:
- 理帆子との友情を大切に思っている
- 加世に怯えながらも、自分の意見を主張しようとしている
主題
- 居場所の不確かさと自己アイデンティティ
- 現実と想像の狭間で揺れ動く思春期の心
難しい言葉・表現の解説
- 憂鬱(ゆううつ):気分が沈んで晴れないこと
- 揶揄(やゆ):からかうこと、皮肉を言うこと
- アンニュイ:何事にも興味を失い、退屈そうな様子
読み取りづらい部分の解説
理帆子の現実感の薄さは、多くの本を読んできたことが原因の一つとして描かれています。フィクションの世界の強烈な体験に比べ、現実の出来事が薄く感じられてしまうのです。これは、想像力豊かな人々がしばしば経験する感覚であり、理帆子の特殊な立場を表現しています。これは最終問題の問6の答案作成に際して非常に重要な情報となります。
問1 署名を求める加世の本心を加世の特性にふれながら説明しなさい
・加世の人物像を理帆子の視点から書かれている部分に注目する
【表面】活発・努力家
【内面】怒りが原動力・反発されることでやる気が出る
内面について詳しく書く必要があります。
問2 「あなたが求める私の役割」とはどういうものか?
これも理帆子から見た加世の性質を答案に盛り込む必要があります。
そもそも敵を見つけることでやる気を出す性質を利用すること、その上で励ますことなどを答案に盛り込みましょう。
問3「心の底から答えるが、加世の胸には響かない」とは土言うことを言っているか?
理帆子は表面的に加世をはげますような発言をするものの、内面では冷めた目で皮肉な思いを終始持っています。自分の加世に対する本心が伝わっていないことを書くようにしましょう。
問4「私の声に具体的な質問の答えも意思も含まれていないことに、立川は気づかない」とはどういうことか?
立川は理帆子に友だちでいてほしいとの思いから加世への思いを確認する質問をしますが、思いのほか加世に味方するような発言をする理帆子に不満を持ちます。
ここで気をつけるべきは表面的に加世を応援するような発言をしているものの、内面では「全く興味が持てない」状態であり、それは立川に対しても同様であること、これらを加味して答案をまとめます。
問5「だけど私はSukoshi Fuzai(少し・不在)だ。いつでも」とは理帆子のどういった性質をさしているのか?その理由も説明せよ。
終始、周囲の人間に対して冷めた視線を向け、表面的には共感をしているように見えるものの内面では全く関心が持てず、皮肉な思いを持ち、物語の人物に対する論評のごとく冷静に人を評価しています。
それらの理由は理帆子の人物像として描かれていた本が好きでフィクションの中から多くを学び、現実が非常に薄く感じてしまう特性が原因となっています。
これらを盛り込んで答えていきましょう。
まとめ
表面的な発言や態度と内面の思いに大きなギャップがある少女の話で、小学生男子にはなかなか実感を伴いづらい文章内容だったかと思います。十分理解できなかったお子さんについては、ひとつひとつの表現をていねいに読み解いてその背景を大人が詳しく噛み砕いて伝えてあげる必要があるでしょう。実感が湧かないまでもイメージができるレベルにまでは引き上げておきたいところです。

