国語が苦手な生徒さんや保護者さんから解き直しに関する悩みをお伺いすることがとても多いです。
国語の先生が「国語の解き直しは不要」なんて極端なことを言うケースもあるようです。
私の持論では「国語こそ解き直しが命」。
大手学習塾で国語指導に20年携わり、多くの国語の成績アップのお手伝いをしてきた経験から
「正しい国語の解き直し」についてご紹介します。
この記事は以下のような方に役立つ内容です。
・国語の解き直しをやったことがない、あるいは解き直しはやっているが効果がでないので
正しい解き直しのやり方を知りたいという生徒さん、保護者さん。
・解き直しをするよう指示しているが生徒ごとにやり方がバラバラ。どのように解き直し指導を
するべきか迷っている国語講師の方。
そもそも国語の問題は解き直しをするべきなのでしょうか。
一度解いて解答も見て答え合わせまでしてしまった後で、もう一度解き直す意味が本当に
あるのでしょうか。まして同じ文章は次にまた出てくる可能性は極めて低く、改めて読み直し、
解き直す必要があるのか、疑問を持たれる方が多いのは事実です。
しかし私は「国語の成績アップに解き直しは必須!」と考えています。
その理由は以下の通りです。
①問題で接した語彙を調べ「自分のもの」にすることで語彙力を高める。
②内容の勘違いや誤読、そもそも理解ができなかった部分の再確認、再読により
理解を深め、多種多様な題材・テーマへの理解の幅を広げる。
③選択肢一つ一つの内容を深く吟味したうえで、本文と照合し、正答・誤答の原因を深堀り、
解答根拠を確かなものとする。
④記述解答において模範解答と自身の解答の照合より「不足」「ズレ」「誤り」部分をつかみ、
満点解答を導くために必要な要素・手段を理解する。
それでは、ここから私が国語指導において推奨している解き直しの5ステップについて
ご紹介してまいりたいと思います。
最初に解き直し専用ノートを用意してください。
あとで復習しやすくするためにも「解き直し専用」のノートをご用意されることをお勧めします。
塾の授業で扱った文章読解問題、あるいは模試・テストの問題など、あらゆる国語の解き直しは
この1冊のノートに行っていきましょう。
解き直しノートは一つの問題の解き直しごとに以下の4つのセクションに分けていきます。
①語彙 ②文章内容 ③選択 ④記述
文章中や漢字の問題、その他知識問題含め
「知らない言葉」「知っているが意味があいまいな言葉」についてはすべてマーカーを引きましょう。
解き直しに使え時間に応じて以下の作業をできるところまでやってみましょう。
①マーカーの言葉を辞書で調べる。
②マーカーの言葉をノートに写し、辞書で調べた意味を書く
③マーカーの言葉を使った短文を「例」として書いておく(大人のチェックを受ける)
解き直しの際の語彙チェックに有効なのがtwitterでもおなじみの井上先生(@inuekokugolabo)の
「必須語彙2800」。重要度ランクや意味用法まで明示されているので語彙力アップツールとして有効です。
また、語彙力向上については以下の記事もご参照ください。
文章本文で理解が浅い個所にマーカーで線を引きます。
例えば説明文で筆者の意見で理解ができない部分や物語・小説人物のしぐさ・動作と
前後の関係性(なぜそのようなしぐさ、動作がされたのか)がわからない部分、など。
また、解答解説を読んで、自身が理解できていなかった個所、自分の理解とずれていた個所に
マーカーで線を引きます。
時間に余裕があれば文章内容の説明文なら要約、物語ならあらすじと主題(いずれも50字以内)を
ノートにまとめられるとさらに文章理解が深まります。
※ただしまとめる作業は難易度が高いので講師や保護者のサポートは必須です。
間違えた問題、正解したが自信が無かった問題についてチェックをします。
演習時に行っているはずの「選択肢の分解」(選択肢を2つ~3つ程度のパーツに分ける作業)を
ベースにパーツごとの正誤を確認していきます。
私は生徒さんたちに日常的に問題を解く際には
選択肢のパーツごとに○×△をつけてもらっています。基準は以下の通り。
○=正しい
×=誤っている・書いていない・言い過ぎ・ズレ
△=わからない・判断できない
この○・×が解答解説の合致するのかどうかの確認、△部分が○なのか×なのかの確認を
行います。
ここで自分の○×△と解答解説の内容に違いを発見できたら、その選択肢をノートに写し
間違いの理由を書き留めておきましょう。
まず自分の間違えた(部分失点したもの含む)解答をノートに再現します。
自分の解答と模範解答を照らし合わせ、自分の解答で模範解答とずれている部分に
マーカーを引きます。
自分の解答で不足している言葉・表現は赤文字で解答の横に書き加えておきます。
なぜずれたのか、不足したのか、本文を再読しながらよく考えましょう。
最後に模範解答を見ないで自分で再度解答を作成してみます。
間違えた理由(本文を読み落とした、理解が誤った、など)を書き残しておくとさらに有効です。
※解き直した記述解答は極力国語担当講師に見てもらうことをお勧めします。
ここまでいかがだったでしょか?
解き直しの作業は時間がかかりますが、自分の苦手な部分にしっかり向き合い、
原因を見つけ、対応力を高めていくために大変有効です。
私も指導している生徒たち小4~中3までこの作業をやってもらっています。
きちんとやり切れている子はほぼ間違いなく国語力が上がっています。
興味がありましたら部分的にでも是非取り入れてみてください。
国語講師の協力が必要な部分も多いので、話し合いながら進められるといいですね。
記述力アップにはZ会の通信をお勧めしています。