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2026年度 早稲田佐賀中 国語入試 徹底解説|説明文・物語文
今回は2026年度(令和8年度)早稲田佐賀中学校の国語入試問題を徹底解説します。試験時間60分、大問3題構成となっています。
早稲田佐賀中学校は、早稲田大学の系属校として人気の高い学校です。国語は説明的文章と物語文の両方が出題され、記述問題も含まれるため、しっかりとした読解力と表現力が求められます。
試験の概要
2026年度の国語入試は以下の構成でした。
- 大問一:説明的文章(文章I・II)読解 – 宮川泰『Leaders Village Vol.88』「全人生デザイン時代を、後悔なく生きるため」より
- 大問二:物語文読解 – 棚月美智子「14歳の水平線」より
- 大問三:漢字・語句問題+短文読解
大問一:説明的文章の解説
文章の概要
題名:「全人生デザイン時代を、後悔なく生きるため」
筆者:宮川泰(『Leaders Village Vol.88』より)
この文章は「文章I」と「文章II」の二部構成になっています。どちらも「個人化社会における自己決定」というテーマを扱っています。
文章Iの要約
現代社会では「自分のことは自分で決める」という自己決定が当たり前になっています。しかし、自己決定には3つの条件が必要だと筆者は述べています。
それは、(1)選択肢の存在、(2)物的な条件、(3)情報や知識です。
筆者はテレビ視聴の変化を例に挙げています。かつては「一家に一台」のテレビを家族で共有していましたが、現在は「一人一台」の時代となり、サブスクリプションサービスの登場で無数の選択肢が生まれました。
選択の自由が広がった一方で、選択の責任も個人に帰属するようになったことを指摘しています。
文章IIの要約
文章IIでは、「選択の余地」という概念について深掘りしています。
「就職活動をしない」という行為は、現代社会では「自ら決めない」という決定と見なされてしまいます。つまり、「決定をしない」という選択すら許されないのが個人化社会の特徴です。
筆者はランドセルの色選びや進路選択を例に、「選択の余地がない」という感覚について説明しています。表面上は自由に選べるように見えても、実際には様々な制約があることを指摘しています。
そして、知識と経験を積むことで、選択の幅を広げることができると主張しています。様々な分野を学ぶことで、人生の選択肢が広がるのです。
段落構成と論理展開

両文章とも「導入→主張→具体例→結論」という典型的な説明文の構成になっています。特に具体例(テレビ、ランドセル、進路選択)から抽象的な主張へつなげる論理展開に注目しましょう。
対比表現のポイント

この文章には複数の対比構造があります。
対比1:「一家に一台」のテレビ視聴 vs 「一人一台」のテレビ視聴
対比2:限られた選択肢(チャンネル争奪)vs 無数の選択肢(サブスクサービス)
対比3:表面的な選択(与えられた中から選ぶ)vs 真の選択(知識・経験で可能性を広げる)
「しかし」「一方」「それに対して」などの接続語に注目すると、対比構造を見つけやすくなります。
筆者の主張
両文章を通じた筆者の主張は以下の通りです。
「自己決定」には条件が必要であり、知識・経験を積むことで真の意味での「選択の自由」を手に入れることができる。
重要語句
- 自己決定:自分のことを自分で決めること
- 個人化社会:個人の選択と責任が重視される社会
- 選択の余地:選ぶことができる範囲や可能性
- サブスクリプション:定額制の動画配信サービスなど
- 定番のライフコース:就職・結婚など、従来の人生の決まったコース
- 全人生デザイン時代:自分の人生を自分で設計する時代
大問一:設問解説と解答
問1:空欄補充問題
【解答】A:イ(なぜなら) B:エ(しかし)
【解説】
空欄Aについて:直前の段落で「個人尊重の思想はなかなか広まらなかった」と述べ、Aの後に「西欧列強の脅威にさらされた日本では…集団的な特質を活用しました」と理由・背景が説明されているため、「なぜなら」が入ります。
空欄Bについて:直前の段落で「定番のライフコースが存在していた」と述べ、Bの段落で「『定番』のライフコースはありません」と逆説で対比しているため、「しかし」が入ります。
【解き方のコツ】:接続語の問題では、空欄の前後の文の「論理関係」を見極めることが大切です。順接(だから・なぜなら)、逆接(しかし・だが)、言い換え(つまり・すなわち)などのパターンを覚えておきましょう。
問2:「どのような時期」の説明(12字)
【解答】自分のことを自分で決める(12字)
【解説】傍線部「私たちは自分たちよりも集団に重きをおいた」とあり、「そのような時期」は冒頭の「自分のことを自分で決める。」という一文を受けています。本文の書き出しに注目して答えを特定しましょう。
問3:集団に重きを置いた理由(45字程度)
【解答】私たちが生きていくためには、集団で協力し、集団のルールにしたがわなければならなかったから。(45字)
【解説】「生きていくためには」から始まる一文が、集団に重きを置いた理由を直接説明しています。本文中から該当箇所を見つけ、字数に合わせてまとめましょう。
問4:「物的な豊かさ」の説明(32字抜き出し)
【解答】最初:私たちをさ 最後:肥大させる
【解説】「豊かさは私たちをさまざまな制約から解き放ち、個々人の選択肢や欲求を肥大させる効果があります。」という一文から32字を抜き出します。「最初の五字」「最後の五字」という形式に注意しましょう。
問5:テレビについての説明(抜き出し)
【解答】a:なった b:放送時間に関係なく、無数の選択肢のなかから見たい番組を視聴できる
【解説】サブスクリプションサービスの説明として、「放送時間に縛られず自由に番組を選べる状況」が記述されている箇所を抜き出します。
問6:「個人を重んずる思想」の説明
【解答】ア
【解説】「ヨーロッパを起点に…」「日本では…なかなか広まりませんでした」という記述と合致する選択肢を選びます。本文の内容と照らし合わせて確認しましょう。
問7:「日本」についての説明(12字抜き出し)
【解答】全人生デザイン時代(12字)※「全方面ライフデザイン時代」の可能性もあり
【解説】文章IIの中で現代(個人化社会)を指す名称として挙げられている言葉を探します。「全人生デザイン時代」または「全方面ライフデザイン時代」が該当します。
問8:皮肉な状況の説明
【解答】エ
【解説】「自由で軽やか」に見えるが、実際は「選択しない」ことが許されず、結果に対する責任を負わされるという「皮肉な状況」の説明として最も適切な選択肢を選びます。
【ポイント】「皮肉」とは「期待や見かけと実態が逆である」ことを意味します。表面上は自由なのに、実は自由ではないという矛盾を指摘しています。
問9:筆者の考える理由
【解答】オ
【解説】知識がないと後悔する可能性があり、自分らしい人生(全人生デザイン)を楽しむためには学びが必要だと述べているため、オが正解です。
問10:正誤問題
【解答】ア、ウ、カ
【解説】
ア:○(欲求を肥大させる)→本文の内容と一致
イ:×(選択肢が増えて選べないこと自体よりも、責任の重さが論点)
ウ:○(責任をもつよう強く求められる)→本文の内容と一致
エ:×(生きるために必要だったとしており、否定だけではない)
オ:×(知識が必要と述べている)
カ:○(楽しくてたまらないだろう)→本文の内容と一致
大問二:物語文の解説
作品情報
題名:「14歳の水平線」
作者:棚月美智子
夏のサッカー大会を舞台にした青春物語です。6人のチームメイトが協力して試合に臨み、勝利を収める様子が描かれています。
登場人物

おれ(主人公):サッカー部に所属するゴールキーパー。チームを見守る存在として描かれています。
ミラクル:運動神経抜群の少年。サッカー未経験ながら、驚異的な活躍を見せます。「ミラクル」というあだ名の通り、奇跡的なプレーを連発します。
海江田:キーパー体験がある控えめな性格の少年。最初は遠慮がちでしたが、最後にはチームに認められます。
光岡:試合でスタートラインを担当し、チームをサポートします。
大垣:リーダー的存在でチームをまとめます。
栗木:積極的なプレーでミラクルと連携します。
場面の変化
場面1:試合開始前 – 6人でサッカーの試合に参加することになる
場面2:試合中 – ミラクルが次々とゴールを決め、チームは勝利に向かう
場面3:試合終了 – チームで勝利を分かち合う
場面4:テント設営 – 協力して作業を完成させ、絆が深まる
心情表現とその変化

主題
この物語の主題は「仲間と協力することで生まれる達成感と絆」です。
それぞれが自分の役割を果たすことでチームは強くなり、一緒に困難を乗り越えることで仲間との絆が深まっていくことが描かれています。
大問二:設問解説と解答
問1:空欄補充
【解答】A:対照(たいしょう) B:オ(感心)
【解説】
空欄A:緊張で顔がこわばる栗木と、笑顔の光岡(キーパー)の様子が正反対であることを示すため、「対照」が入ります。「対照的」という表現を覚えておきましょう。
空欄B:逃げずにキャッチした光岡に対し「すごい」と感じているため、「感心」が入ります。
問2:二重傍線部の意味
【解答】顔面蒼白:ア 往生際悪く:ア
【解説】
顔面蒼白(がんめんそうはく):「顔が真っ青になる」という意味で、驚きや恐怖を表します。先生に怒られて恐怖する状況が、海江田に怒鳴られる栗木の状況に近いです。
往生際悪く(おうじょうぎわわるく):「諦めが悪い様子」「潔くない様子」を意味します。
【ポイント】慣用句や四字熟語は、意味を正確に覚えておくことが大切です。
問3:「お持ちだったようか」の心情
【解答】イ
【解説】「今まで本気でサッカーをしていただろうか」「適当な気持ちで…」と過去の自分の態度を振り返り、後悔している心情を表しています。
問4:「ふと顔を」の説明(80字以内)
【解答例】直前までPKの緊張で一杯だったが、青空を見たことで肩の力が抜け、冷静さと集中力を取り戻した。(46字)
【解説】「深呼吸」「青空」「ボールをしっかりと見据えて」という流れから、緊張から集中への変化を記述します。
【記述のポイント】「何が起きて(青空を見た)」→「どう変化したか(緊張がほぐれ、集中力を取り戻した)」という因果関係を明確に書きましょう。
問5:文法的な誤りの訂正
【解答】それぞれ屈伸したり、上体を回したりしている。
【解説】「〜たり、〜たり」の並列の用法に修正します。「〜たり」を使う場合は、2回以上繰り返すのが正しい用法です。
問6:ミラクルの心情(選択問題)
【解答】ウ
【解説】海江田が殺気立っているのに対し、ミラクルは余裕があり、「そこまでしなくても」といった呆れや余裕を仲間に見せている動作として解釈できます。
問7:傍線部の心情(選択問題)
【解答】オ
【解説】険悪な雰囲気を変えるための「サッカー」という良い解決策を思いついたことへの反応です。
問8:「おれまで勝ったようなバディ」の心情
【解答】オ
【解説】頭を下げてきた海江田の態度を受け入れ、さらに距離を縮めて仲良くなろうとする意図が読み取れます。チームの勝利を自分のことのように喜ぶ連帯感・一体感が表れています。
問9:海江田の心情変化を示す言葉
【解答】おい、川口
【解説】これまで「メガネ」などと呼んでいた海江田が、初めて名前で呼んだ変化点です。名前で呼ぶことで、相手を認め、距離が縮まったことを示しています。
【読解のコツ】登場人物の呼び方の変化は、関係性の変化を示す重要なサインです。
問10:本文の構成上の特徴
【解答】ア
【解説】PK対決、100メートル走、テント作りといった具体的な身体的行動を通じて、登場人物の心情変化や関係性の修復が描かれているため、アが正解です。
読解のコツまとめ
説明文を読むときのポイント
- 筆者の主張を示す文末表現(「大切」「重要」「べきだ」「ではないか」など)に注目する
- 「つまり」「要するに」「このように」の後には抽象的なまとめがある
- 「しかし」「だが」「一方」などの逆接・対比表現の前後を確認する
- 具体例と抽象的な主張の対応関係を意識する
物語文を読むときのポイント
- 登場人物の心情を表す言葉(しぐさ、表情、セリフ)に線を引く
- 心情のプラス・マイナスの変化に注目する
- 場面の変化(時・場所・出来事)をチェックする
- 登場人物の「心」と「行動」が一致しない部分を見つける
まとめ
説明文では「個人化社会における自己決定」という現代的なテーマが扱われ、対比構造を読み取る力が試されました。物語文では登場人物の心情変化を丁寧に追う力が求められました。
受験生の皆さんは、日頃から多様なジャンルの文章を読み、「筆者は何を伝えたいのか」「登場人物はどのような気持ちなのか」を意識する練習を積み重ねてください。




