今回のマンスリー大問3は小川仁志氏の著作「中高生のための哲学入門―「大人」になる君へ」より、合理主義と引きこもりに関する文章が扱われました。九○年代から現代に至るまでの引きこもりの問題と、その背景にある合理主義の問題点について述べられた内容です。
九○年代は合理主義が行き詰まりを見せ始めた時期であり、その結果として様々な社会問題が表面化しました。引きこもりもその一つであり、合理主義の競争と画一性が引きこもりの原因とされています。筆者は自身の経験を通じて、過度な合理主義の追求が問題の本質であると指摘し、多様性を認める社会の重要性を強調しています。
ウ 社会の側に問題があったのだから、社会に適応できないことで引きこもりになる人が増えるのは当然の結果である。
筆者は、過度な合理主義や競争が引きこもりを引き起こす原因であると述べています。社会の仕組みが個人に過度なプレッシャーを与え、結果として引きこもりが増えるのは、社会の仕組みに問題があるからだとしています。これにより、引きこもりになる人が増えるのは当然の結果であると考えています。
ア 社会の仕組みから脱落する人がいるのは仕方がないが、引きこもりは人数が多いので社会の仕組みの方に問題がある。
イ 引きこもりを社会に適応できない負け組のように扱うのは間違いであり、人間らしい人として高く評価すべきである。
エ 引きこもりは大きな社会問題であるため、悪いのは本人だけではなく周りの人にも責任があると認識する必要がある。
「どういうことですか」という形で問われているので「同内容の言いかえ」を求められていると考えます。言いかえの場合、抽象的な言葉、具体的すぎる言葉、何を指すのわからない指示語、比ゆ、慣用的表現、ことわざなど、少しわかりづらい表現に注目しそれらを【誰にでもわかるレベル】に言いかえるように意識してみましょう。今回は以下の2つの言葉に注目しましょう。
「永遠の敗者」・・・長い期間、社会から低く評価されること
「レッテルを貼られる」・・・一方的で偏った見方をされ、(主に低い)評価を押しつけられるされること
これらを本文内容にあわせてまとめるとよいでしょう。
エ 感じ方の違いを無視して、学校の様々な場面で多数派の考えに従うように求められることが、子どもを不登校に追い込む一因になっているということ。
筆者は、「普通」という概念が押し付けられることで、個々の子どもの感じ方や考え方が無視され、多数派に従わなければならない状況が生まれていると述べています。このような状況が、子どもたちにとって大きな負担となり、不登校や引きこもりの原因の一つになっているとしています。
ア 多くの人に合わせることをルール化することによって、価値観の違いに苦しむ子どもが増えているので、学校にあるルールはすべて撤廃すべきだということ。
イ みんなが普通だと考えていることにあわせて行動しようとしない、協調性に欠けている子どもは、学校だと特別扱いされてしまい苦しんでいるということ。
ウ 普通という言葉には、良し悪しの価値観は含まれていないのに、有益であるという意味を込めて使っている学校の現状に目を向ける必要があるということ。
問4と同様にわかりやすく言いかえる問題と考えて良いでしょう。「みんなが特別」という部分が比ゆ的でわかりづらく、本文の内容から筆者の考えをくみ取り言いかえる必要があります。
まず結論から考えます。
筆者は学校をどうしたいのか、一言で考えることが重要です。
最終段落で「【大事なことは】、一人ひとりのペースを重んじることだと【思います】。」と述べています。【大事】【思う】と言った表現から「筆者の主張」が述べられていることがうかがえます。
そして近年の説明的文章のキラーワード「多様性」を組み込めればほぼ完璧な結論が作れます。
解答欄の大きさから判断して、この結論だけでは要素が不足していると考えられます。
ここでは【対比】的な内容を上にのせて「〜ではなく」と打ち消しでつなげるとと良い形になりそうです。文字数を増やしたいとき【対比】を上乗せするテクニックは重要です。
「普通であること美徳とされる」をそのまま使っても良いですし、「普通であることを強制する」「普通でないと評価されない」などわかりやすくアレンジしても良いでしょう。