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2025.4.12実施 サピックス 小6マンスリー確認テスト 文章解説
大問3:「いつもの言葉を哲学する」古田徹也(説明的文章)
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- 筆者は保育園に通う娘に向けられた「かわいそう」という言葉から、「かわいい」と「かわいそう」の語源的な関連性を探り、同様に「しあわせ」という言葉の歴史的変遷を辿ることで、日常的に使う言葉の奥行きを再認識し、それらの言葉との向き合い方について考察している。
筆者の主張・意見
- 言葉の歴史や語源を辿ることで、現代では見えにくくなっている言葉の奥行きや本来の意味を再確認できる
- 「かわいい」と「かわいそう」は深いところで結びついており、子どもを「かわいい」と思う感情には愛おしさと後ろめたさが入り混じっている
- 「しあわせ」の本来の意味には、自分の意志を超えた「めぐり合わせ」という側面が含まれている
- 語源原理主義に陥らず、かといって現代の用法だけに注目することもなく、言葉の歴史を辿ることで新たな視点が得られる

段落構成
- 筆者の経験:保育園に通う娘に向けられた「かわいそう」という言葉と筆者の反応
- 「かわいい」と「かわいそう」の語源的関連性と歴史的変遷の紹介
- 子どもを「かわいい」と思う感情には愛おしさと後ろめたさが混じっているという考察
- 「しあわせ」という言葉の語源や歴史的変遷の紹介
- 言葉の歴史を辿る意義と語源原理主義への警鐘
重要語句・表現
- 語源原理主義:言葉の本質を語源にのみ求め、時間的変化を無視する姿勢
- 「故きを温ねて新しきを知る」:古い言葉の歴史や意味を丁寧に辿ることで、現代の言葉の使い方や物事との向き合い方について新たな視点を得ること。温故知新。
「いつもの言葉を哲学する」段落構成図
大問4:「もういいよ」東直子(物語文)
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母親を幼い頃に亡くしたことを高校で知られたくなかった女子高生・芽以が、父親の弁当ブログによって家庭事情を知られ特別視されることへの反発と葛藤、そして父親との対話を通じてお互いの「普通」の捉え方の違いに気づいていく物語。
登場人物と人物像
- 芽以:主人公の女子高生。母を1歳2か月で亡くし、父子家庭で育つ。「かわいそうな子」として特別視されることを嫌い、誰も自分のことを知らない高校に進学した。
- 芽以の父親:シングルファーザーとして芽以を育てる27歳から父親業を担当。弁当作りが得意で、「愛娘のための今日もがんばる親父弁当」というブログを運営している。理系出身で料理を化学実験のように楽しんでいる。
- 未奈美:芽以の友人。卓球部の仲間。
- クラスメートたち:父親の弁当ブログを見つけ、芽以の家庭環境を知って同情する。
心情表現とその変化
- マイナス(−)の心情:
- 「芽以は啞然とし、そしてひどく腹が立った」:クラスメートたちから「かわいそう」と言われたときの怒り
- 「ふっと足元が揺らぐような感覚に襲われた」:自分の家庭事情が暴露されたショック
- 「ばしっと父親の手をはね返した」:自分を傷つけた父親に対する反発
- 「苦笑いを浮かべるしかなかった」:弁当への注目に対する複雑な気持ち
- 「嫌だった」:感謝しているが特別扱いされることへの拒否感
- プラス(+)の心情:
- 「承認欲求高めの蘊蓄好きな自慢おじさんって、気楽に思うことにする」:父親を特別な存在ではなく普通の親として見る視点の獲得
- 「やっぱ……お父さん、すごい」:父親の理解力への再評価
- 「今日は私もそれ手伝う!」:父親との関係の新たなスタート

主題
- 「普通」の捉え方は人それぞれ異なること
- 他者からの特別視への抵抗と自己認識の再構築
- 親子の相互理解と成長
読み取りづらい部分
- 芽以が怒りを爆発させた原因:単に家庭事情が知られたことだけでなく、「特別視される」ことへの長年の拒否感が根底にある
- 父親の「勝手にブログを公開したことへの謝罪」と芽以の「謝らないで」という反応の意味:芽以は父親を責めているわけではなく、自分の気持ちの整理がつかず混乱している
- 物語のタイトル「もういいよ」の意味:特別視されることへの拒否感、父親への過度な感謝や責任感からの解放、普通の親子関係への転換を表している
解答のポイント
説明的文章の読解ポイント
- 筆者は「言葉の歴史を辿ることで新たな視点が得られる」という主張をしている
- 「かわいい」と「かわいそう」の語源的関連、「しあわせ」の意味の変遷を例に挙げている
- 「故きを温ねて新しきを知る」とは、古い言葉の歴史や意味を丁寧に辿ることで、現代の言葉の使い方や物事との向き合い方について新たな視点を得ることを意味する
物語文の読解ポイント
- 芽以の心情変化に注目する:特別視への拒否感→父親との対話→自己認識の変化
- 「普通」という言葉の捉え方の違いが物語の軸になっている
- 父親と芽以の関係性の変化:感謝と負担→理解と受容→新たな関係の構築
中学受験の国語では、登場人物の心情の変化や筆者の主張を正確に読み取ることが重要です。特に、対比表現や比喩表現に注目し、文章全体の流れを掴むことで、設問に対する解答の手がかりが見つかります。また、大問3のテーマである日常的な言葉(「普通」「かわいい」「しあわせ」など)の意味を深く考えることは語彙力の向上に役立ちます。身の回りの言葉の意味を改めて考えてみるのも良いでしょう。

