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- 2025.6.8実施 四谷大塚 小5第3回 組分けテスト国語読解問題 解説(予習シリーズ5年上第15回)
2025.6.8実施 四谷大塚 小5第3回 組分けテスト国語読解問題 解説(予習シリーズ5年上第15回)
大問3:「忘れる手紙のこと」一穂ミチ〈随筆文〉
作家である筆者が、読者から受け取る手紙の中で特に忘れられない一通について語る随筆文です。ある事件の加害者(当時未成年)の窮状を新聞で知り、支援の手紙を送ったところ、本名を明かした返事が届きます。その名前を見て涙した筆者は、相手の新しい人生のために、あえてその手紙と名前を忘れようと決意します。

筆者の心情の流れ
- 感謝の気持ち(プラス):読者からの手紙を「栄養で宝物」と表現
- 心配・同情(マイナス→プラス):「じっとしていられなかった」→支援を決意
- 安堵(プラス):「ほっとした」
- 驚き・感動(プラス):本名を見て「涙があふれた」「嗚咽が止まらなかった」
- 決意(複雑):手紙を忘れることを決める
主題
過去の過ちを背負いながら生きる人への思いやりと、相手の新しい人生を妨げないための配慮。忘れることも一つの優しさであるという深い洞察。
大問4:「読めば分かるは当たり前? 読解力の認知心理学」犬塚美輪
筆者の主張
文章を理解するためには98%の単語を知っている必要があり、語彙の種類(日常語彙・専門用語・学習語彙)によって理解度が変わるという主張。
段落構成と要点

対比的な表現
- 日常語彙 vs 専門用語 vs 学習語彙
- 「だから」(日常的)vs「したがって」(学習語彙)
- 日常生活での言語使用 vs 学習場面での言語使用
設問の解き方のポイント
物語文・随筆文の問題
- 心情を問う問題
- 前後の出来事から原因を探す
- 直接的な心情表現だけでなく、行動や情景描写にも注目
- 例:問七「涙があふれた」理由→本名を知ることで相手の苦しみを強く感じたから
- 比喩表現の問題
- 「〜のような」「まるで〜」などの表現に注目
- 何を何にたとえているかを明確にする
- 例:「栄養で宝物」→読者の手紙が仕事の励みになることの比喩
説明文の問題
- 実験結果を問う問題
- 実験の目的・方法・結果を整理
- 数値は正確に読み取る
- 例:98%の単語理解が必要(予想の20%とは大きく異なる)
- 段落構成の問題
- 話題の変化に注目
- 接続詞(しかし、また、さて等)を手がかりに
- 大きく3つに分けると「単語理解の重要性」「語彙と文章のマッチング」「語彙の種類」
まとめ
今回の組分けテストでは、随筆文と説明文という異なるタイプの文章が出題されました。随筆文では筆者の複雑な心情変化を、説明文では論理的な構成と専門的な内容を読み取る力が求められています。特に語彙の重要性を説いた説明文は、国語学習そのものへのメタ認知を促す良問でした。文章を正確に理解するには、98%の単語を知る必要があるという研究結果は、日々の語彙学習の大切さを改めて教えてくれますね。

