2026年度 大宮開成中学校 第1回入試 国語 解説

大問2 説明的文章

文章情報


文章の要約

近年、市街地に出没する「アーバンベア」が問題となっている。クマの生息数は明治期以降減少していたが、1990年頃から環境保護意識の高まりにより増加に転じた。さらに農村部の人口減少や、人に慣れたクマの増加が重なり、市街地への出没が増えている。筆者は、アイヌの「山の神」と「悪い神」という二面的なクマ観を参考に、人とクマの生活圏を明確に分ける「ゾーニング」と、適度な駆除による共存を提案している。


筆者の主張・意見

【核心的主張】

「クマの変化は人間社会の変化に伴って起こっていることが多いと理解するべきだ」(段落21)

「人里で危害を及ぼすクマは適度に駆除しながら、山奥ではクマが生息しているという状況を、何とか続けていくのが一番良い関係である」(段落23)

【主張を支える考え】

  1. ゾーニング(棲み分け)の重要性
    • 人の生活圏とクマの生息圏を明確に分ける
    • 電気柵などでルートを遮断する
  2. 二項対立的思考の否定
    • 「共存か駆除か」という単純な対立ではなく、バランスが大切
    • アイヌの二面的なクマ観から学ぶべき
  3. 専門家の育成
    • クマの生態や正しい対策を伝えられる専門家が重要

⚖️ 対比的な表現

この文章には複数の重要な対比構造があります。


段落構成

この文章は大きく5つの意味段落に分けられます。



⚠️ 読み取りづらい部分の解説

【ポイント①】「第三の大きな変化」とは?

段落12に「クマが増えていることが、生息数の増加、分布の拡大に次ぐ、第三の大きな変化」とあります。

これを整理すると:

  • 第一の変化:生息数の増加
  • 第二の変化:分布の拡大
  • 第三の変化人慣れしたクマの増加

→ 単に数が増えただけでなく、質的な変化(人を恐れなくなった)が起きていることが重要!

【ポイント②】なぜ「市街地には餌がない」のに問題なのか?

段落13「そもそも市街地には、クマの餌があるわけではない」

→ クマは餌を求めて来ているのではなく、人慣れして生息域を広げた結果として市街地に出てきている → だから「人とクマ、両方にとって不幸な事態」になっている

【ポイント③】「適度に付き合う」の真意

「適度」=いいかげん、ではない!

  • 駆除しすぎ → クマとの付き合いが失われ、対応できる人材も減る
  • 駆除しなさすぎ → 人身被害が増える
  • 適度 → バランスを取りながら、専門家を育てつつ共存する

設問解説

問一【正答:ウ】

問題の核心:2023年にクマ被害が過去最多となった理由

解き方のコツ:段落1〜3の内容を正確に読み取る。「生存戦略としての豊凶」と「パニック状態」の因果関係を整理する。


問二【正答:Ⅱ=エ(しかし)】

Ⅱの前後関係を確認

  • 前:山沿いにマイホームを建てた市民が多い
  • 後:いざクマが出没しても、直ちに駆除することには抵抗もある

→ 「自然豊かな環境を求めて住んだ」のに「クマを駆除したくない」という逆接の関係 → エ「しかし」が正答


問三(i)【抜き出し問題】


問三(ii)【記述問題・65字以内】

解答例

高度成長期に公害問題を経験し環境への関心が高まったことと、地球サミットで生物多様性条約が採択され生物保全の機運が高まったこと(62字)

解き方のコツ:段落6に2つの理由が書かれている。「一つには〜」「また〜」という「並列構造」を見抜く。


問四【正答:あ】

挿入文の内容: 「森の中でクマと出会っても駆除しない」「罠を使ってまでは狩猟しない」

→ 「過剰な駆除は行われなくなった」の具体例

あ の前:「全国的に過剰な駆除は行われなくなった」 → 挿入文はこの具体例として最適


問五【正答:イ】

イの発言を検証

「人の勢いが弱まった」とあるように、人々の動物駆除の意識が弱まったことが原因

本文の記述(段落8):

農村部は人口減少と高齢化がさらに進み、耕作放棄地や空き家が増え、林業も衰退していく。こうして人の勢いが弱まった

→ 「人の勢いが弱まった」=人口減少・高齢化のことであり、「駆除の意識」ではない!

解き方のコツ:本文の表現を正確に読み取る。言い換えが適切かどうかを確認する。


問六【正答:人慣れしたクマ】

X の位置:段落13の冒頭 直前の内容(段落11〜12):人に慣れたクマが人への警戒心を失い、その習性が子グマにも連鎖していく

→ 「人慣れしたクマ」(5字)


問七【正答:エ】

「このクマの見方」とは? → アイヌの二面的なヒグマ観(キムンカムイとウエンカムイ)


問八(i)【正答:ウ】

本文の該当箇所(段落23):

一度そのように強く出過ぎてしまうと、人とクマとの付き合いが失われることになる。すると人々のクマに関する知識や経験も失われてしまって、捕獲できる人の数も減っていく

「クマを大量に駆除すると、人間のクマに関する経験や知識がとぼしくなってしまうから」が正確


問八(ii)【正答:エ】

【資料】の該当箇所

日本では、まずゾーニング管理がクマの分布拡大や人身被害の抑制になるかどうかを検証する必要があります

「この方法が本当に有効かどうか、客観的に検証する必要がある」が最も適切


問九【正答:ア】

文章全体のテーマを確認

  • クマの変化は人間社会の変化に伴って起こっている(段落21)
  • 明治期の開発→1990年以降の保護→現在のアーバンベア問題


まとめ

受験生のみなさんへ

この問題のポイントは、「クマの変化は人間社会の変化に伴って起こる」 という筆者の主張を読み取ることです。

説明文では「対比構造」を見抜くことが大切!明治期と1990年以降、キムンカムイとウエンカムイ、共存と駆除…こうした対比を整理しながら読むと、筆者の主張が見えてきます。

「共存か駆除か」という単純な二項対立ではなく、バランスを取りながら付き合う という筆者の提案は、現代社会の様々な問題にも通じる考え方ですね。

入試本番でも、「筆者は何を伝えたいのか」を常に意識しながら読み進めましょう!

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