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【要チェック】語彙力アップのための4つのプロセス | 家庭でできる語彙力を鍛える方法 | おすすめ問題集アリ

国語がに苦手なお子さんに対して「語彙力が少ないから」と指摘する講師は多いです。

語彙が少ないので読解ができていないんですよ

語彙が足りていないのでうまく記述が書けないんですね。

確かに国語が苦手な子の課題は「語彙力」にあることが多いです。

「語彙力が足りない」と言われても、対処法が不明確ですよね。

しかも「学校」や「塾」で語彙力に関する指導は少なく、「語彙力は家庭で

読書をさせるとか辞書を引くとかして語彙力を上げるように頑張ってください」

家庭に丸投げされ困ってしまうケースもと少なくないと思います。

そこで今回は私の国語指導歴20年の経験から、語彙力でお困りの方に具体的な

「語彙力アップの方法」についてご紹介していきたいと思います。

なぜ語彙力は家庭で身につけなくてはいけないのか?

そもそもなぜ語彙力がよく家庭で解決すべき課題として指摘されるのでしょうか。

国語講師の立場から考えるとそれは以下のような理由から考えられます。

それは、

国語の授業時間内には「技術」を教えることはできるが「知識」を与えられる量には限りがある

ということです。

この世に存在する膨大な日本語の単語の中から、必要なものを見定め知識として吸収していく

には膨大な時間がかかります。

平均的な小学6年生の語彙量が20000語前後と言われています。中学受験レベルだと

もう少し必要で25000~30000語程度は必要ではないでしょうか。

塾の授業の時間内でピックアップできる語彙と言ってもせいぜい5~10個程度。

これを毎週続けても焼け石に水。

必然的にご家庭で日常的に語彙力アップの取り組みが必要になってくるわけですね。

語彙力アップ4つのプロセス

それでは、ここから家庭で取り組める語彙力を高めるための

4つのプロセスについてご紹介していきます。

言葉を「拾う」

最初のプロセス「言葉を拾う」とはどういうことでしょうか。

それは日常触れる膨大な数の言葉を自分の語彙としてストックする作業です。

語彙の習得を特に意識することなくとも子どもたちは大量の言葉に毎日接触しているはずです。

特に自分の知らない言葉、意味を深く理解していない言葉への接触タイミングにおいて

語彙を「拾う」意識を強く持つことが大切です。

日常で子どもたちが自分のストックにない語彙に触れる瞬間とはどんな時でしょうか?

・読書をしているとき

・問題集・参考書などに取り組んでいるとき

・テレビなどのメディアを視聴しているとき

・大人と会話しているとき

主にはこの4つではないでしょうか。これらの瞬間は子どもが知らない言葉がないか、

子どもが十分にその言葉の意味を理解できているのかを確認する良い機会となります。

このような場面で是非お勧めしたいのが「語彙ノート」を用意することです。

ノートの体裁はどんなものでも大丈夫ですが、できるだけ携帯性の高いコンパクトな

メモ帳タイプのものが良いです。表紙が厚紙でできているとどこでもメモが取りやすいですね。

このノートには読書や会話中、あるいはテレビを見ているときなど出てきた

気になる言葉を書き留めておきます。その言葉を辞書で調べて、、というステップは

省略してOK。ある程度ストックがたまってから気が向いたらまとめて調べてみる、程度で大丈夫です。

まずは知らない言葉、わからない言葉に意識を向けることが大切。

毎回辞書引きを必ずやるように、と指示してしまうと長続きしません。

とにかく、まずは気になる言葉を書き留めるだで大丈夫、という気軽さが大事です。

例えば以下のようなニュースを見た時に・・

「オミクロン」をめぐって、複数の国がアフリカ南部からの入国を制限する措置を始めたことについて、国連のグテーレス事務総長は29日、声明で「アフリカ南部の国々の孤立を深く懸念する」と表明しました。

2022年11月30日NHKニュースより

小6中学受験生レベルで気になるのは「株」「措置」「懸念」ぐらいでしょうか。

では今回は「株」という言葉を例にとると、以下のように多岐にわたった意味があります。

「株」

①木を切り倒した後に残った部分。きりかぶ。

②植物の根についたひとまとまり。

③職業上・営業上の特権。(相撲の年寄の株)

④江戸時代、売買の対象とされた名跡や役職など。(御家老株)

⑤株式会社の株式。株券。

⑥株券・証券の取引。(株に手を出す)

その人の得意の技能。(おかぶ)

ある社会でのその人の人気や評価。(株があがる)

菌・バクテリア・培養細胞を純粋に分離培養したもの。菌株。

大辞林より

これだけの意味を持った言葉であることがわかります。

今回のニュースでは⑨の意味で使われていましたが、⑦・⑧の意味を知らない

子どもも多くいるでしょう。のちに気が向いたときに辞書で調べて

こういった意味との出会いができる可能性を残しておくこと、

つまり「語彙ノート」に言葉をストックしていくこと

言葉の知識を広げるきっかけとなるのです。

言葉を「広げる」

では、拾い上げた言葉をいかに「広げる」かというプロセスに入ります。

ここでは「語彙ノート」に書き留めた言葉から派生させて言葉を獲得していく

方法についてご説明します。

対象となる言葉の「対義語」(反対の意味の言葉)や「類義語」(似た意味の言葉)

語彙ノートに書き加えておきましょう。常に対義語、類義語を考える癖をつけると語彙は

2倍・3倍のスピードで獲得されていきます。

ではここでクイズです。以下の対義語を考えてみてください。

①解散

②前進

③安物

④尊敬

⑤部分

⑥平凡

⑦原因

⑧理想

⑨親切

⑩害虫

・・・さていくつわかりましたか?

(解答 ①集合②後退③上物④軽蔑⑤全体⑥非凡⑦結果⑧現実⑨冷淡⑩益虫)

このように考えてみると言葉が立体的な広がりをもって覚えていけるように感じませんか?

是非、トライしてみてください!

言葉を「深める」

次のプロセスは少しまとまった時間が必要です。

腰を据えて取り組みましょう。

まずは対象となる言葉をしっかり辞書で意味を調べ「語彙ノート」に書き込みます。

さらにその言葉を使った「短文」を語彙ノートに書いておき大人にチェックをしてもらいましょう

特にある特定のシチュエーションでしか使えない言葉などは大人でないと

判断できないことも多いので注意。だからこその短文づくりなんです。

「見え透く」

 ①透きとおって底や向こう側まで見える

 ②本心・結果などが良くわかる

大辞林より

例えばこの言葉を②の意味で短文づくりしようとしたときに、上記辞書の記載通りにつかうと

「たくさんの努力をしてきたので合格することは見え透いている」

などとしてしまうケースがあります。

大人ならこれには違和感を感じますね。

「見え透く」という言葉には本当は隠したい本心・本音、あるいはあまり望ましくない

結果が見えているという状態である場面で使うという暗黙の了解があります。

こういったことを丁寧に指摘していくことが大切です。

言葉を「分ける」

最後に抽象的な言葉を細分化する方法をご紹介します。

最近の子どもたちは意味を大雑把にひとくくりにした流行り言葉で

済ませることが多いように感じます。

「やばい」

「ウケる」

「びみょー」

「神」

これらもある種「抽象語」であると感じます。このような大雑把な意味の言葉を使って

気の合う友人同士で意図が通じ合っているかのように錯覚するのは

ちょっと残念な風潮ですね。

例えば「今回のテストどうだった?」と声をかけた時に

「超やばい」の一言が返ってきてもそこで流さないことが大切。

良い意味の『やばい』なのか悪い意味の『やばい』なのか考えさせる。

悪い意味だとしたらどのような感情に当てはまるか考えさせる。

 ※ここで言葉が出てこないようなら選択肢を与えるのも手です。

「焦っている」「後悔している」「やるせない」「むさしさを覚える」

 「嫉妬を感じる」「悔しさを感じる」「腹が立つ」「苛立ちを感じる」

これらの選択肢を与え、この中から一番近い感情はどれか一緒に考える。

このように抽象語で思考停止をしてしまいがち(考えるのを面倒くさがる)

お子さんの思考を一歩前に進める努力を大人が継続していくことが案外一番重要な

取り組みだったりするのです。

とにかく意識してほしいのは大雑把なものをより細かい意味に「分ける」という感覚

常に細かく分類して最もふさわしい表現を意識する。

これを習慣化できると語彙力は自然に伸びていきます。

おすすめ書籍

これらの取り組みをしていく一方でより効率的に語彙を習得するために近年では

とても優れた参考書・問題集が出版されています。

【おススメ語彙UP参考書①】「中学受験国語の必須語彙2800」

こちらは一番のおススメです。「井上国語ラボ」の井上秀和先生(@inouekokugolabo)で

井上先生の長年の指導のご経験から厳選された中学受験に必要な言葉が紹介されています。

重要度ランクごとに非常に多くの語彙が掲載されていますのでじっくり腰を据えて取り組む

ようにしましょう。一見無味乾燥(失礼・・)なレイアウトかつ比較的小さめの字で

印刷されていますのでとっつきにくいかも。でも難関中学を目指して

本気で取り組む人にとっては最高の語彙力アップのサポートツールになることは間違いありません。

中学受験国語の必須語彙2800 [ 井上秀和

【おススメ語彙UP参考書②】「中学入試 言葉力1200」

必須語彙2800がちょっと敷居が高い、とお感じの方はこちらをお勧めします。

こちらは文字も大きく、ドリル形式で毎日少しずつ取り組むことができます。

国語アレルギーでまず基本的な語彙の習得を優先させたい方はこちらが良いでしょう。

難易度も低めの言葉から並んでいて非常に取り組みやすい構成です。

“言葉力1200 文章が読める!わかる!書ける!/学習研究社

【おススメ語彙UP参考書③】「15歳までに知っておきたい言葉1800

こちらは中学生向け。イラストが豊富で読みやすい内容です。一見するとレベルが低いような

印象も受けますが、一つ一つの語彙はなかなか骨太で一般的な公立高校入試レベルまではカバー

できそうなレベル感です。中学受験生がチャレンジするのも良いかと思います。

15歳までに知っておきたい言葉1800

語彙力アップでこんなメリットが!

語彙力をアップすると様々なメリットがあります。

もちろん、国語の読解問題をはじめとして知識系の問題も得意になっていくでしょう。

それだけでなく、他の教科の文章の理解度が高まる、読書が苦でなくなり幅が広がる、

自己表現が上手になり大人とのコミュニケーションがスムーズになる、

日常、目にするあらゆる情報から知識の習得が早くなる、などいいことづくめです。

単に入試対策としてだけでなく、人生を豊かにするために是非、

多くのお子さんに語彙力を高めていただきたいと願っています。

まとめ

ここまでいかがだったでしょうか?

ご紹介したすべての方法をやり切ろうとするのではなく、

まずは語彙力改善のため一歩踏み出すことが大切です。

語彙ノートを作ってみる、語彙力参考書を買ってみる、

そういった一歩を踏み出すことで豊かな言葉の力を身につけるための長い旅を始めてみませんか。

本記事がその第一歩のお役に立てていれば幸いです。

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