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6/12実施 小6第2回サピックスオープン国語B 解説

こんにちは。指導歴20年中学受験国語専門プロ家庭教師のヨッシーです。

スッキリしない天気が続いていますね。最近再開したランニングにも出ることができず、室内でルームバイクでトレーニングする日々です。でもランニングの爽快感には勝てませんね。

下の写真は最近仲間入りした観葉植物。「カラテア・ゴールデンスター」です。葉の模様と葉裏の紫のコントラストがきれいなかわいいやつです。

オンライン講師だとランニングでもしてないと外出する機会が本当になくなってしまいますので、室内で観葉植物を愛で、ギターを爪弾きながらストレス解消。そして黙々と入試問題を解き続ける毎日を過ごしています。

最近、日を追うごとに植物が増えてしまっていて授業の背景がジャングル化していますね。生徒さんにたまに指摘されます(笑

ストレスの多い受験生の癒しになれば、、と思ってます。

さて、今回はついにやってきました「第2回サピックス・オープン」。小6の皆さんは小学校最後の運動会や修学旅行などとも近い日程でベストコンディションでない方も多かったのでは。さらにマンスリーテストも控えていましたしね。

この時期はテストの結果に過度に振り回されず、「夏休み前の自分自身の課題の洗い出し」ぐらいの感覚で良いと思います。まずは何ができて何ができていないのか、きちんと棚卸しして夏休み中に何を克服するべきなのか明確にしていきましょう。

さて今回はそのサピックスオープンの中でも難易度が高いB問題を解説していきます。

出典

手芸が好きな中学生男子が主人公。女の子的な趣味をバカにされた過去をもち、それを隠しつづける日々を送っていますが、いつしか自分の本心から好きなことに向き合い、周囲にも理解を求めようとする、というお話。

性別にまつわる問題は入試において昔はタブーだったような印象がありますが、社会情勢の変化、関心の高まりからこういった問題にも積極的に向き合うことがとても重要になってきました。別のテストで丸刈りにする女子高生の話も出題されていましたね。

「ジェンダーフリー」にまつわる問題は今後注目のテーマかも知れません。

重要問題解説

問1 主人公が「さっさとなかに入りたい」のはなぜ?

普段から細かな「心情チェック」を徹底できているかが勝負どころ。それもプラスとマイナスで分類しておくとなお良いです。

今回はのケースでは・・・

①三人「も」いる部員たちはどこ行った?

→三人というと多くないような印象を受けますが後で分かるように約束の時刻に被服室に行ったのに部員がひとりもいない状況なのです。それに対して「いらだっている」(マイナス心情)様子がわかります。

②糸井さんにくらべたらそりゃそうだろう

→「ハリ君って〜意外に几帳面だよね。」という糸井さんの発言に対する心中の「皮肉」。これも皮肉を言いたくなるほど「いらだっている」ということでしょう。

③ようやく被服室に身を隠せてホッとした

→それまでの「いらだち」に対して「安堵」「安心」といったプラス心情に転じていますね。この部分を解答のヒントとしてこの「ホッとした」という表現から「安堵・安心」という言葉を導き、その前の状態が対照的な状況であることをイメージして言葉選びができるとよいですね。

問2 どのようなことが「あっちにも、こっちにも後ろめたい」のか?

「あっちにも、こっちにも」ですから2人以上に後ろめたい気持ちを持っているわけですね。そういうつもりで後ろめたい部分を探すことができれば難しくないと思います。

このように傍線部の表現を一字一句漏らさず注意を払って読み解くことが大切ですね。

①自分の都合でそれを周囲にかくしている

→その後に「後ろめたさ」という表現がありますからここは一目瞭然です。「被服部に受け入れてもらいながら参加していることを周囲にかくしていること」が後ろめたいのですね。

②「いま帰り?」「そう」ってこたえてから、また胸がチクリとする。

→この一連の流れから「カイトにうそをついた」という言葉が出てくるかどうか。「うそ」という表現が出てこないので表現に困った受験生もいそうですね。こういった状況判断力も大切になってきます。

問4「つづきをのみこんだ」のは「ぼく」の発言がどんな意味をもつからか?

「どんな意味を持つ」という問い方は珍しいですが、落ち着いて解きましょう。「どんな意味」=「『ぼく』の発言がどんな影響を誰に与えるか」と置き換えて考えていくと良いでしょう。

①ふと視線を感じた気がして〜糸井さんが立っていた

→ドラマではあるあるの「聞かれちゃいけない人がいると知らずに失言する」パターンですね。結果として「糸井さん傷つける」ことになったと考えられるでしょう。

②なのに「興味ない」なんていっちゃったぼくはサイテーだ。

→この直前の表現から糸井さんがこれまで「ぼく」を受け入れてくれていた様子がわかります。その気持を「裏切る」ことになってしまったと考えられるでしょう。

これらをうまくつなぎ合わせて「ぼく」の発言によって「糸井さん」の気持ちを裏切り、傷つけることになったことを指定字数に合わせてまとめましょう。

問7「おれ、被服部じゃないんで」「ぼくがあまかったんですよね・・・」と自分の呼びが方が変わっているのはなぜ?

①(クレープに対して)いつもだったらテンションがあがるところだ。〜【逆接】〜クレープどころじゃない。大きな身体にフリフリの黒いドレスっていうモモちゃんといっしょにクレープを食べてるって状況だけでツラい。

→本来テンションが上がるはずのクレープを目の前にしても「ツラい」状況になってしまう原因は「プラス心情」と「マイナス心情」の間に書かれています。つまり「女装しているモモちゃんと一緒にいる状況」が辛いのですね。ここでは「自分はサッカー部の男子であり、女装するモモちゃんのような人との距離を保とうとしている」様子がわかります。

②その目は意外にもとってもやさしくて

→モモちゃんと視線が合った時、その意外なやさしい目に思わず感情が高まる様子が描かれています。ここから少しずつモモちゃんに心を開き始めます。

③「フリフリ」というあだ名でからかわれつづけたのだった

→モモちゃんに(おそらく)誰にも言えないでいたつらい過去を話します。自分の好きなことを貫くモモちゃんにだからこそ言える本音でしょう。

この三段階の心情変化をまとめることで解答を仕上げます。記述のまとめ方については説明すると非常に長くなってしまうのでいつか別の記事にまとめたいと思いますが、今回の場合大まかには【変化前】→(逆接)【きっかけ】→【変化後】(から。)といった形でまとめるのが良いでしょう。

補足

今回、問6と問8は「ハギレから巾着をつくる」ことに関する問題ですが、これが「ぼく」にとってどんな意味があるのか考えます。問6で「命綱」とあることから、「自分を支えてくれるもの」であるということが導ければ正解に近づけますね。

しかし、、、問8は難しいです。結局モモちゃんの「周囲は気にせず自分の好きなことを貫く」という姿勢には憧れるものの、結局は周囲の理解も得たいという気持ちは捨てきれずにおり、非常に複雑。

ここは理解に個人差が大きく出そうです。できたかできなかったか、ということよりもこれを機会に性別に関する考え方の多様性、LGBTなどについて情報を仕入れておくことをおすすめします。近年話題にのぼりやすいテーマなので入試で狙われそうです。

こういうテーマを持ってくるあたりがさすがサピックスですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

この時期のサピックスオープンはとにかく難しいので、得点や偏差値に一喜一憂するのではなく、「ここから何を学び取るか」ということが非常に重要です。

特にB問題は記述において模範解答をなぞるだけの解き直しでは意味がありません。

どういった手法で読み解くことで解答根拠を見つけ出すことができるのかを理解すること(これが難しいのですが・・・)が最も重要。

日常の読解演習で線引きをしっかりすること、「記述の型」を身につけることなど、課題は多くあるはずです。

今回のテストから一つでも多くの学びを得ていただけることを祈っております。

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