子どもは正しくトレーニングされていなければ質問の意図を十分に理解せずに答えてしまいます。これは、子どもの認知発達段階や経験の不足によるものです。例えば、「なぜ」や「どういうこと」といった抽象的な質問に対して、文中の具体的な事実や自分の経験からの憶測を述べるだけで終わってしまうことがよくあります。
この傾向を改善するには、子どもにたくさんの問いかけを投げかけ、答えが返ってくるのを辛抱強く待つ、と言った周囲の大人の姿勢が非常に重要です。また、大人が子どもの質問に丁寧に答え、考える過程を示すことで、子どもの思考力を育むことができます。これは単に学習のためだけでなく、子どもの全般的な認知発達にも重要な役割を果たします。
中学受験の国語では、問題を正確に理解することが最も重要ですがこれを意識できている子は多くありません。。多くの受験生が陥りがちな誤りは、問題の意図を十分に把握せずに解答してしまうことです。問題を「やり込む」ことが大切であり、これは文章の内容を把握し、問題の意味を理解することを意味します。日頃から様々な形式の問題に触れ、それらをきちんと定型化・類型化して教えること、そしてそれぞれの解法のコツを身につけることが重要です。
これらのトレーニングをくり返し粘り強く行うことで初めて子どもたちは「問うていることを理解する」という大人にとって当たり前のことが実践できるようになるのです。
いくつかの例を挙げます。
国語の記述において、「なぜですか」という問いかけは最も出題頻度が高いといえるでしょう。この問いは、単に文中の事実を述べるだけでなく因果関係が成り立つかどうかを判断する論理的思考を求めるものです。多くの受験生が、表面的な読解にとどまり、文章の背景にある理由や意図を見落としがちです。「なぜ」を考えることで、文章の構造や筆者の主張をより深く理解することができます。
子どもたちの記述で多いのが因果関係が離れてしまっているケース。「なぜ桶屋がもうかるのですか?」>「風が吹いたから」では正解になりません。直接的につながっている理由を答えるように指導しましょう。一方で全く同じ内容を言い方だけ換えて答えるケースも散見されます。「なぜ宿題を忘れたのですか?」>「うっかりしていたから」これも正解にはなりません。「忘れた」と「うっかり」の意味が非常に近いので読み手に納得感がありません。「体調が悪かった」「疲れていた」など「忘れた」と関連があるが似すぎていない答えを出すことが重要です。
中学受験の国語では、「どういうことですか」という問いかけは正答率が下がる傾向にあります。この問いは、「わかりづらい表現」(比ゆ・慣用句・指示語・難語・抽象語)をわかりやすく「言いかえる」ことが求められています。元の文から意味が離れないように注意して、一語一語丁寧にわかりやすく言いかえることを心がけましょう。その際に文中の言葉がそのまま使えないケースも多いので自分の使える言葉を増やす努力も同時に大切になります。
「どんな気持ちか?」「どんな様子か?」この二つの問の違いはわかりますか?最難関中やサピックスの模試では明確に違いがわかっていないと解けない問題が散見されます。
気持ちとは何か、様子とは何か、といった設問文や-線部に使われている言葉を正しく理解しておくこと、そしてテストの現場で正しく分析して適切に答えること、これは中学受験生においては強く意識しないと実践できないことです。
ちなみに気持ちと様子には以下の通り違いがあります。
「気持ち」=物事に接したときの心のありさま、動きのことで【目に見えないもの】です。
「様子」=外から見てわかる状態、あるいは察することが出来る状態で【目に見えるもの】です。
このような違いを意識して問題に向き合っているかよく確認しましょう。