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勉強のやる気を出す方法、やる気を継続する方法。

勉強は強制してやらせても成果が出ません。

子ども自身が意志をもって前向きに取り組んでこそ理解が進み、定着するのであって

「やる気」がないのに勉強してもほぼ効果がありません。

今回の記事では学びを続けていくうえで最も重要な「やる気」についてです。

行動科学マネジメントに基づいて「やる気を出すためにやるべきこと」を

ご紹介します。私が塾の教室現場で20年間実践し、塾生たちの学習意欲を高めるのに

抜群に効果があった方法なので参考にしていただけると思います。

以下のような方は是非、最後までお読みください。

・お子さんがなかなか勉強に前向きになれず「やる気」を出させてあげたい保護者さん

・やらなきゃいけないことはわかっているが「やる気」がでない。「やる気」出したい生徒さん

・「学習意欲」を理由にした退塾が多い塾運営者の方

勉強を始める前に ~先行条件~

実感がある方が多いと思いますが、「勉強は始めるまでが勝負」です。

そもそも机に向かうまでの気力がわかない、

机に向かってもぼんやりしていて全く集中できない、

このようなケースにおいては勉強を始める前の「先行条件」を整えてあげることが

重要になります。

「先行条件」とは?

教育やカウンセリングなどで用いられる行動分析の一つ、「ABC分析」で、最初の「A (Antecedent)」にあたる要素のこと。ABC分析は人の行動を3段階に分けて分析する手法で、「先行条件」はある行動が起こる直前の環境や条件を意味する。

阻害要因(ライバル行動)を減らす

勉強を始めるにあたって阻害要因となるものについて考えます。

行動科学ではこの阻害要因のことを「ライバル行動」と言います。

本来目指すべき行動(=ターゲット行動)を減らしてしまうような別の行動のことで、

「勉強」をターゲット行動とする場合には、「テレビを見る」「スマホを見る」「寝る」などが

ライバル行動にあたります。

勉強する前に大事なことはこれら阻害要因となる

「ライバル行動」への障壁を設ける、

つまりこれらの行動をを少しやりにくくする、

ことが必要です。

例えば、家庭で勉強すべき時間になったら以下のような状況を作ると良いでしょう

テレビのコンセントを抜く、リモコンを保護者が預かる

スマホ・携帯は保護者が一時的に預かる、あるいは電源を切る

ベットの上に大きめなものを置いて寝転がれないようにする

ちょっとしたことなのですが、このように

「ライバル行動」を起こすのに一手間かかる状態にする(=障壁を設ける)ことで、

かなり勉強への集中度が高まります。

是非、お試しください。

勉強に手を付けやすい状況をつくる

「ライバル行動」をやりづらくするとともに

「ターゲット行動」(=本来成し遂げたい行動。今回の場合は勉強という行動)の障壁を

限りなく低くすることも同時に重要となります。

つまりは勉強という行動を起こすためのハードルを限りなく低くしていくことが大切です。

①机の上にその日の学習に必要な教材・筆箱を常時置いておく。

 ⇒カバンを開けて教材を取り出す、本棚から教材を探す、こういったハードルを排除します。

②勉強机が視野に入りやすいようにしておく(子供部屋の扉を開けておく)

 or リビングで勉強する習慣をつける。

 ⇒勉強すべき「環境」が常に目に入る状態にすることで行動を起こしやすくします。

③勉強すべき時間帯にやらないことを家庭内で決める

 ⇒20時~22時は子どもの勉強時間と決めたらその時間はテレビをつけない、、、など。

このように、勉強を「し始める」までのハードルを下げると取り組みやすくなります。

行動を細分化して考える

では勉強という「ターゲット行動」を細分化して分析してみましょう。

これによりどこに障害があるのか、どうすると効率が良いのかを理解するヒントになります。

勉強開始までの5ステップ

勉強を始めるまでの物理的行動を細かく分けて分析します。

  1. 着替える(パジャマ等、寝られる服装でいない)
  2. 勉強する場所(部屋・机・塾)に移動する
  3. 室温を適温に(やや低めが良)に調整する
  4. その日に必要な教科書・テキスト・筆箱・筆記用具を机上に出す
  5. その日に勉強する内容をリストアップ・箇条書きする

・・・そして勉強スタート!!

上記5ステップをこなせればスムーズに勉強が開始できることが多いです。

なんとなくやる気が出ない、、というときは上記の5ステップをまずは機械的にやってみる

ことをおすすめします。

これを毎日繰り返しルーティン化すると、この動きをするだけで勉強のマインドセットが

自然に完了するようになります。

現役時代のイチローはベンチからネクストバッターズサークル、そして打席に入るまで

すべてルーティンで動作が決まっていたといいます。

メンタルを安定させ、常に高いパフォーマンスを上げるためのこの習慣、

勉強にも応用できます。上記5ステップはもちろんアレンジ可。

いつでも再現できる安定したルーティンであることが大切です。

学習内容で分けてみる

勉強開始時点での気分やモチベーションによって

学習内容を分けることも大切です。

例えば、朝イチの寝ぼけた状態あるいはスポーツの習い事や部活後の体が疲れている状態で

算数・数学の図形問題を解くとか国語の長文読解問題に取り組むとかは

集中できそうもないですよね。

その瞬間の気分やモチベーションに応じて学習内容を選択していくことを心がけましょう。

作業系学習(計算する、写すなど)

思考系学習(覚える、読む、解くなど)

作業系はコンディションが良くないとき、思考系はコンディションが良いときで

分けていくと学習継続率が高まります。

勉強が終わった後に ~結果条件~

勉強が終わった後も非常に重要です。

勉強という「ターゲット行動」を反復させるためには行動後の

アプローチ(=結果条件)が非常に重要です。

ポイントはシンプル。

「すぐに」「報酬」を与えること。

①「すぐに」・・・ターゲット行動と報酬が結びつく強さはその間隔の短さが強く影響します。

②「報酬」・・・金銭的なものではありません。頑張りが報われる行動・状況全般を指します。

勉強後に「がんばったね!」の一声「●時間も勉強してすごい!」の称賛、

そして勉強後に「デザートを食べる」「好きなテレビ番組を見る」

「誰にも咎められずスマホを使える」・・・など。

これらをもれなく必ず行い続けることで次の勉強(=ターゲット行動)を起こしやすくなります。

まとめ

ここまでいかがでしたでしょうか?

「やる気」が出ない子に対して「やる気をしなさい!」は

あまりに非科学的でうまくいかないことが多いです。

多くの教師、保護者の方にこれはご理解いただけると思います。

やる気のない子どもを目にしてイライラする前に、

ここまでご紹介してきた「行動科学マネジメント」に基づいた

「勉強のやる気を出す方法」を試してみてください。

最後に一つだけ付け加えます。

やる気を出すには周囲の大人から信頼されている、

という安心感を子どもが持つことが必須条件。

ここまでご紹介してきた方法も全て大人が

その子の力を信じ、やればできる、伸びる、と疑いなく言えることが前提です。

子どもの可能性は無限大。

まずは子どもを信じることから始めましょう。

何かのお役に立てば幸いです。

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