【2026年 前期第2回 合格力判定サピックスオープン|国語】全問徹底解説
2026年7月5日に実施された「前期第2回 合格力判定サピックスオープン(小6)」の国語を、大問一(漢字)から大問三(物語文)まで、解答の根拠とあわせて徹底解説します。論説文は「考えすぎ・相談・雑談」を扱った良問、物語文は目の不自由なお母さんをめぐる兄弟の心の揺れを描いた文章でした。設問の解き方の型がそのまま身につくよう、図解を交えて整理します。
大問一 漢字の書き取り
カタカナを漢字に直す問題です。送りがなが必要なものは、ひらがなで正しく送れているかまで確認しましょう。
- 1.コウケイ → 口径「天体望遠鏡のコウケイ」。レンズや筒の“さしわたし(直径)”のこと。「光景」との同音異義に注意。
- 2.サッシン → 刷新「制度をサッシンする」。古いものをのぞいて新しくすること。「刷」の字形に注意。
- 3.アラワレル → 現れる「月がアラワレル」。姿が見えるようになる意味は「現」。送りがなは「れる」。「表れる(気持ちなどが外に出る)」と使い分けます。
- 4.マンガク → 満額「保険金がマンガク支払われる」。決められた金額のすべて、という意味。
- 5.サンミ → 酸味「サンミが強い食べ物」。すっぱさのこと。「酸」は「酉(とりへん)」。
大問二 論説文(桜林直子『あなたはなぜ雑談が苦手なのか』)
出典は、マンツーマンの「雑談サービス」を営む筆者が“雑談”の意味を語った新書(新潮新書・2025年刊)です。今回の本文は、第一章の「『ひとりで考える』以上、相談未満」にあたる部分から採られています。
文章のねらいを一枚でつかむ
筆者の主張は明快です。悩んだときに「ひとりで考える(=反芻)」だけでも、「相談する(=答えを他人に決めてもらう)」だけでもうまくいかない。その中間にある「雑談」がちょうどいい、というのが結論です。まずは論の流れを段落構成図で押さえましょう。
反芻・堂々巡り/自己否定に陥り、先に進まない
悩みを整えすぎて雑味が消える/助言に依存し「人任せ」に
設問解説
答えは A=ウ(例えば) B=オ(しかし) C=エ(だから) D=ア(また) です。
接続語は前後の文の論理関係だけで決めます。Aは直後が「考えすぎ」の具体例なので「例えば」、Bは前の内容と反対の展開になるので「しかし」、Cは前が理由・後が結論なので「だから」、Dは同種の内容を付け加えるので「また」。
この設問のポイントは、空欄は4つなのに選択肢は5つあること。使わない一つ「イ なぜなら」が引っかけです。理由を述べて「〜からだ」で結ぶ形が本文にないため、「なぜなら」は入りません。「余る選択肢がある」タイプは、消去法より先に“それぞれの型に合う空欄があるか”で確認すると安全です。
身体の一部を使った慣用句の識別問題。答えは ア・イ・オ の三つが「頭」です。
- ア「頭が下がる」…敬服する。○
- イ「頭をひねる」…工夫して考える。○(「首をひねる=疑問に思う」とは別物)
- ウ「眉をひそめる」…不快で顔をしかめる。→「眉」なので×
- エ「目を丸くする」…驚く。→「目」なので×
- オ「頭が痛い」…悩ましくて困る。○
「すべて選ぶ」問題は、○を見つけて安心せず、五つとも一つずつ検討するのが鉄則です。
bは様態の「そうだ」(〜のように見える)。よって「もう少しで解けそうだ」の ア。「あるそうだ/おいしいそうだ」は伝聞なので誤りです。
cは体言の代用(準体助詞)の「の」(=もの・こと)。よって「走るのが好きだ」の イ。「庭の木(連体修飾)」「出かけるのに(逆接)」とは働きが異なります。
答えは とど。「とどのつまり」で「結局・最終的に」を表し、「挙げ句の果て」とほぼ同義です。「とど」は魚のボラの成長した最終段階の呼び名に由来します。
答えは ウ。本文で筆者は、考え続けると「きっと自分がダメな人間だからだ」といった否定的な思い込みの結論に達したり、関係ない記憶を持ち出したりすると述べています。結論が出ないまま否定的な考えを続けてしまう点が「苦しさ」の中心なので、ウが最適です。
答えは どうすべき(「どうすべきか明確なアドバイスがほしいときに、完全に信用できる人に…」の一文の初め五字)。「どういうとき(どうすべきか明確な助言がほしいとき)」「どういう相手(完全に信用できる人)」の両方が入っている一文を探すのがコツです。
答えは エ。自分から相談した手前、相手の助言を断りにくく、取捨選択せずに、今の自分に必要のないものまで取り入れようとしてしまうという内容が合致します。
答えは イ。「聞くだけで採用はしない」とは言いにくいので「相談」の形をとる、という文脈。相手には「意見を尊重して受け止めるつもりがある」と示せるから楽なのです。
答えは イ。傍線の直後で筆者は「人の言葉がないと自分で決められないのはまずい」と述べています。自分の考えを後押しするために使うならよいが、自分の考えをもたないまま他人の言葉に頼る(=自分で判断せず従う)のはよくない――ここがアドバイスと占いの共通点です。よって「自分で判断することなく他人の言葉に従うのは自分のためにならない」とするイが最適です。
答えは ウ 依存。自分でどうしたいか分からないまま他人に決めてもらおうとする状態を指す語なので「依存」が入ります。
答えは エ。相談のために悩みを“パッケージ化”する際、本人が意味がないと感じた「雑味」を削っていく、と本文にあります。つまり感じたことをそのまま伝えず、自分で必要ないと判断した部分を省いてしまうことです。
答えは ウ。ひとりで悩み続けるのでも、他人に頼りすぎるのでもなく、支えを得ながら自分自身で心の中の思いと向き合い、どうしたらよいかを定められる――この「中間」の位置づけが本文の結論と一致します。
大問三 物語文(樫崎茜『ツバメの親子はどこにいる』)
全盲のお母さんと弱視のお父さんをもつ兄弟を描いた児童文学です。本文の語り手「オレ」は小学五年生の兄・楠田明照。弟の音晴が今日から一年生になる入学式の一日が描かれます。
教科書に記名
滝口との会話
入学式・入場
退場・拍手
設問解説(記述の参考解答例)
大問三はすべて記述問題です。以下は本文に即した参考解答例です(配点は問一・問四が各20点、問二・問三が各15点)。字数指定のある問三は六十字以内で作成しています。
解答の骨組み:《白杖は目の不自由な母に必要なもの》なのに《母が目立たないよう「白杖をもってこないでほしい」と想像した》=身勝手(利己的)な願い→《それに気づいて情けない》。
参考解答例:白杖は目の不自由な母ちゃんに必要なものなのに、入学式で母ちゃんが注目されないよう白杖をもってこないでほしいという身勝手な願いをもってしまった自分に気づき、情けなく感じている。
解答の骨組み:母の「自分のことは自分でやろうね」と同じ方向。人に頼らず自力でやれるように=自立をうながす教育観。
参考解答例:子どもが人に頼らず、自分の力で物事をやり遂げられる人間になるよう、幼いうちから必要な力を身につけさせて自立させようとする考え。
解答の骨組み:「オレの願い」は、母が他の保護者と同じようにすでに着席していて、エスコートされて歩く姿を見られないこと。この願いのうち、《かなった半分=滝口にエスコートはされなかった》《かなわなかった半分=まだ着席しておらず、新入生のあとに白杖をついて入場し、注目を浴びた》を対にして書きます。
参考解答例:入学式で母ちゃんは滝口にエスコートされなかったが、新入生のあとに入場して、白杖をついて歩く姿が注目されたということ。(58字)
解答の骨組み:《拍手の意味=目が不自由な母が歩けることを“賞賛すべきこと”とみなす保護者の反応。その裏には「目が不自由な人は自分たちのようにはできない」という決めつけがある》+《オレの気持ち=母にとって歩くのは当たり前なのに、それを特別視・賞賛されることにとまどい、決めつけられているように感じて納得できない》。
参考解答例:母ちゃんはいつもどおり歩いているだけなのに、保護者たちが拍手で賞賛していることにとまどい、賞賛は「目の不自由な人には自分たちのようなことはできない」と決めつけられているように感じられて、納得できないでいる気持ち。
まとめ ― この回で差がついたポイント
- 大問二は「ひとりで考える/相談/雑談」の三項対比を最初に押さえられたかが勝負。対比の軸を先に取ると、問四・問十・問十一の選択がぶれません。
- 文法(問二)は「様態のそうだ」「体言の代用の の」という定番。用語で即答できるように整理を。
- 大問三の記述は、「母を大切に思う気持ち」と「人目を気にする気持ち」の板ばさみ、という一本の軸で全問がつながっています。心情語(自己嫌悪・やるせなさ)を的確に選べるかがポイントでした。
