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2026.10.4実施 四谷大塚 小5 第6回公開組分けテスト 国語 徹底解説

2026年10月4日(日)に実施された四谷大塚 5年生 第6回公開組分けテストの国語を、YS中学受験国語力研究室が全問解説します。150点満点で、大問は四つです。大問1が漢字の書き取り、大問2が語句(慣用句・三字熟語・四字熟語・手紙の頭語と結語)、大問3が髙森美由紀さんの「小田くん家は南部せんべい店」(徳間書店)からの物語文、大問4が古田徹也さんの『言葉なんていらない? 私と世界のあいだ』(創元社)からの説明文でした。国語の受験者は12,147名で、平均点は90.7点。第1回から第5回の平均点(79.4点〜84.7点)を上回りました。記述は2問(大問3の問五と、大問4の問三)で、どちらも12点です。この記事では、全問の答えと受験者全体の正答率、図解動画、記述の答えの組み立てを順に示します。記述の解答は、解答例です。

第2回・第5回との比較

第6回は、これまでの回と同じ形なのか、違うのか。公開済みの第2回(2026年5月10日実施)と第5回(2026年8月30日実施)の国語の記事と、問題の形を並べて比べました。形式まで並べて比べられたのは、この2回分です(第1回・第3回・第4回は確かめていません)。そのため、「例年どおり」とは言わず、第2回・第5回と並べたときの、同じ点・違う点として整理します。

  • 同じ点(大問の形):第2回・第5回・第6回の3回とも、150点満点で、大問は四つ(大問1の漢字→大問2の語句→大問3の物語文→大問4の説明文)です。記述は、物語文と説明文に1問ずつ出ています。
  • 同じ点(大問2):四字熟語は、3回とも出ています。慣用句は、第2回と第6回に出ています(第5回はことわざでした)。
  • 違う点(大問2の中身):第5回の大問2(25点)は、四字熟語・ことわざ・対義語・品詞の識別・敬語でした。第6回の大問2(26点)は、慣用句(体の一部の漢字)・三字熟語・四字熟語・手紙の頭語と結語で、品詞の識別と敬語は出ていません。三字熟語と、手紙の頭語と結語は、第5回の大問2にはありませんでした。
  • 違う点(説明文の記述):説明文の記述は、第2回が10点、第5回が45字以内・12点、第6回が60字以内・12点でした。第6回は、第5回より15字長く、「頭」「知識」の二語を必ず使う、という条件が付いています。物語文の記述は、第5回も第6回も、40字以内・12点です。
  • 違う点(物語文の設問数):大問3の設問は、第5回が九問、第6回が十問でした。大問4は、第5回も第6回も八問です。
  • 違う点(平均点):国語の平均点は、第2回が80.5点、第5回が84.7点、第6回が90.7点でした。第5回から6.0点上がり、第1回から第5回の79.4点〜84.7点の幅を超えています。
  • 記述の正答率:物語文の記述は、第2回が55.7%、第5回が23.3%、第6回が44.0%でした。説明文の記述は、第2回が19.8%、第5回が33.9%、第6回が32.2%です。平均点が上がっても、説明文の記述は3回とも低く(20〜34%)、取りにくい問題でした。

注:比べたのは第2回・第5回・第6回の3回分で、数字は第2回・第5回の記事(と第1回〜第5回の平均点)から取りました。2回の記事と並べた違いを、今後も続く傾向とは言い切れません。

出題構成と全体講評

  • 大問は四つ、配点は計150点です。大問1が漢字の書き取り10問で10点、大問2が語句13問で26点(各2点)、大問3が物語文10問で60点、大問4が説明文8問で54点です。大問3と大問4で114点を占め、読解が点数の中心です。
  • 物語文は、親子レクリエーションの日の小学四年生の物語です。大問3の主人公は、弘毅(こうき)。家族の誰も学校に来られないなか、クラスメートの潤(じゅん)も親が来ません。ところが作文の発表のとき、予想もしない人が現れます。設問は、弘毅の言葉の裏にある気持ちを読み取る問題が中心で、記述は問五の1問です(40字以内)。
  • 説明文は、「書かれた言葉」と「話される言葉」の違いを論じた文章です。古代ギリシアの哲学者プラトンの『パイドロス』にある神話から始まり、書かれた言葉は孤立無援になること、話される言葉は相手に応じて変えられることが述べられます。設問は、ぬき出し・理由を選ぶ問題・内容の正誤と、記述1問(問三・60字以内)です。
  • 正答率の高かった問題。大問3の問九(83.4%)と問四(81.4%)、大問4の問一B(91.7%)、大問2の三字・四字熟語の多くは、80%台から90%台でした。
  • 正答率の低かった問題。大問4の問三の記述(32.2%)、大問3の問八(39.9%)、大問4の問二のぬき出し(41.9%)、問四の二つ選ぶ問題(43.0%)、問八の1・4(43.5%・43.3%)が、40%台前後に集まりました。
  • 知識問題も差がつきました。漢字では「純真」が57.2%、「専門」が62.6%。大問2では「金字塔」(問二の1)が51.9%、「登竜門」(問二の4)が58.1%でした。
  • 差がついたところ。物語文は、弘毅の言葉と本心がちがう場面(問一46.6%・問二46.5%)と、表現の働き(問八39.9%)で半数を下回りました。説明文は、「話題」を本文からぬき出す問題と、記述、内容の正誤で差がつきました。復習の優先順位は、この3か所と、取りこぼしやすい漢字・熟語です。

この記事の正答率は、公開組分けテスト第6回の受験者全体(国語12,147名)の値です。

大問1 漢字の書き取り(各1点・全10問)

出題された十語は次のとおりです。かっこ内は正答率です。

  • 1 温泉(87.9) 日帰りで湯河原のオンセンに行く
  • 2 山盛り(87.9) 兄はいつもヤマモリのご飯を食べる
  • 3 縮小(73.8) 図をシュクショウして印刷する
  • 4 感染(79.7) 新型ウイルスにカンセンする
  • 5 高層(78.4) 新宿はコウソウビルが立ち並ぶ
  • 6 専門(62.6) センモン家から意見を聞く
  • 7 操縦(66.9) ヘリコプターをソウジュウする
  • 8 純真(57.2) ジュンシン無垢な笑顔を見せる
  • 9 装う(65.5) 緊張する場面でも平静をヨソオウ(送りがなが必要)
  • 10 除く(70.1) 生産された製品から不良品をノゾク(送りがなが必要)

十問中、60%を切ったのは「純真」(57.2%)だけでした。「純真」は、心が清らかで、飾り気がないことです。「純」は糸へん、「真」は十と目と八の形で、字の形を一つずつ確かめておきましょう。「専門」は、「専」の右上に点を打たない形です。「操縦」の「縦」は、「従」と取りちがえやすい字で、「縦横」「縦断」のように、たてを表す字だと覚えると区別できます。「感染」は、「染」のつくりの形に注意です。「温泉」の「泉」と「縮小」の「縮」(右側は「宿」の形)も、部分を分けて書く練習をしておくと安心です。

9「装う」と10「除く」は、送りがなまで答える問題です。「装う」は「装」だけでは読みが決まらないので、「う」まで書きます。「除く」は「除」だけで終えず、送りがなの「く」まで書きます。送りがなの誤りは、正しい漢字を書いていても点にならないことがあります。

大問2 語句(各2点・全13問)

大問2は、慣用句・三字熟語・四字熟語・手紙の頭語と結語の四つです。13問のうち、80%を超えたものが8問あり、知識を問う問題としては取り組みやすい大問でした。差がついたのは、問一の3(66.8%)と、問二の1・3・4(51.9%・68.1%・58.1%)です。

問一 体の一部を表す漢字一字(慣用句)漢字1字・各2点

設問 次の1〜4の各組の□に共通して入る、体の一部を表す漢字一字を書きなさい。

  • 1 耳(93.3) 「寝□に水」「□を貸す」。「寝耳に水」は、突然の知らせにおどろくこと。「耳を貸す」は、相手の話を聞くことです。
  • 2 首(89.9) 「□が回らない」「□をかしげる」。「首が回らない」は、借金などで、やりくりがつかないこと。「首をかしげる」は、疑問に思うことです。
  • 3 目(66.8) 「□が回る」「□を皿にする」。「目が回る」は、とてもいそがしいこと。「目を皿にする」は、目を大きく見開いて探すことです。2の「首が回らない」と形が似ているので、「首」と「目」を入れ替えてしまった人が多かったと考えられます。「回る」の前に、いそがしさなら「目」、やりくりなら「首」と、意味から選びます。
  • 4 足(92.8) 「浮き□立つ」「二の□を踏む」。「浮き足立つ」は、不安で落ち着かなくなること。「二の足を踏む」は、ためらうことです。
解答例1 耳 2 首 3 目 4 足

問二 三字の熟語を選ぶ記号選択・各2点

設問 次の1〜4の文の□にあてはまる三字の熟語を、ア〜キから選びなさい。選択肢は、ア居丈高・イ千里眼・ウ門外漢・エ金字塔・オ登竜門・カ太鼓判・キ土壇場です。

  • 1 エ 金字塔(51.9) 「野村忠宏さんは、柔道界の□といえるオリンピック三連覇をなしとげた」。「金字塔」は、ピラミッドの形から、後世に残る、すぐれた業績のことです。「三連覇」という大きな成果に合います。問二で最も低い正答率で、「金」と「字」の形から意味を想像しにくい語でした。「太鼓判」(まちがいないと保証すること)や「登竜門」と迷った人がいたと考えられます。
  • 2 イ 千里眼(93.8) 「四谷先生は□のような鋭い観察力で、生徒の悩みを見抜いた」。「千里眼」は、遠くの出来事や、人の心を見通す力のことです。「観察力」「見抜いた」に合います。
  • 3 キ 土壇場(68.1) 「会議での社長のひと言で、進められていた計画は□になって変更された」。「土壇場」は、ものごとの最後の、どうにもならない場面のことです。「居丈高」(威圧的な態度)や「門外漢」(その分野の専門でない人)は、文脈に合いません。
  • 4 オ 登竜門(58.1) 「「文藝春秋」から発表される芥川賞は、文学界を目指す新進作家の□と言われている文学賞である」。「登竜門」は、そこを通れば出世できる関門のことです。「新進作家」「文学賞」という言葉から、出世への入り口という意味の語を選びます。
解答例1 エ 2 イ 3 キ 4 オ

問三 四字の熟語を選ぶ記号選択・各2点

設問 次の1〜4の文の□にあてはまる四字の熟語を、ア〜キから選びなさい。選択肢は、ア意気消沈・イ一触即発・ウ美辞麗句・エ大義名分・オ試行錯誤・カ臨機応変・キ他力本願です。

  • 1 カ 臨機応変(87.0) 「予期しないことが起きても□に対応できるようになりたい」。「臨機応変」は、その場の変化に応じて、適切に対応することです。
  • 2 オ 試行錯誤(94.3) 「チームのみんなで□を繰り返し、ようやく問題を解決した」。「試行錯誤」は、失敗をくり返しながら、正しいやり方を探すことです。
  • 3 ア 意気消沈(92.4) 「勝てると思っていた試合に負けてしまい、選手たちは□している」。「意気消沈」は、元気をなくすことです。
  • 4 キ 他力本願(89.1) 「□ではなく、自分からすすんで問題の解決に取り組まなくてはいけない」。「他力本願」は、他人の力に頼ることです。「自分からすすんで」と反対の意味になります。

四問とも87%以上で、よくできていました。知らない四字熟語は、ここで残った選択肢(一触即発・美辞麗句・大義名分)の意味まで、あわせて確かめておくと、次の問題で使えます。

解答例1 カ 2 オ 3 ア 4 キ

問四 手紙の頭語と結語記号選択(77.9)

設問 手紙の頭語「拝啓」に対する結語として最も適当なものを、ア拝復・イ前略・ウ草々・エ敬具から選びなさい。

手紙の頭語と結語は、組で覚えます。「拝啓」には「敬具」、「前略」には「草々」が対応します。「拝復」は、返事の手紙の書き出しに使う頭語で、結語は「敬具」です。ア・イ・ウは、どれも「拝啓」とは組になりません。「拝啓」と「前略」は、頭語として形が似ているので、結語も取りちがえやすいところです。

解答例エ

大問3 物語文 髙森美由紀「小田くん家は南部せんべい店」

文章の概要

出典は、髙森美由紀「小田くん家は南部せんべい店」(徳間書店)です。問題冊子の前書きには、次のことが書かれています。小田弘毅は小学四年生で、小田せんべい店で働く祖父母(よっしー・なぎばあ)と母、会社員の父、高校生の姉の六人家族です。弘毅の学校では親子レクリエーションがあり、家族にあてた作文をみんなの前で発表します。弘毅の家では父親が来る予定でしたが、仕事が忙しくて来られなくなり、前日にそれを知った弘毅は、書いた作文を破り捨てて登校しました。登場する潤・越後・中村・杏里は、クラスメートです。

本文の前半は、校門から体育館へ向かう場面です。保護者が校門から入ってくるなか、潤の父親は、歯科医院の開院日で来ません。越後が潤に「母さんは?」と聞くと、潤は黙ります。越後も中村も、潤の両親がリコンしたことを知らないようです。弘毅はすかさず、「じゃあオレんちと同じだな」と言います。体育館では、親子がクイズに取り組むなか、親が来ていないのは弘毅と潤だけです。二人は、先生に言われて、二人でクイズに挑戦します。

続く作文の発表では、クラスメートが一人ずつ、家族にあてた作文を読み上げます。潤は、「ぼくの毎日」の手紙を読み終えたあと、誰かに呼ばれたかのようにふり返り、そこにいた自分の母親を見つめます。弘毅の胸には、羨ましさと嬉しさがにじみ広がります。やがて弘毅の番が来ますが、手元に作文はありません。そのとき、聞き覚えのある声がして、よっしーが現れます。乱暴に破いたはずの原稿用紙は、セロハンテープで留められていました。弘毅は、原稿用紙を開くと、家族みんなのことを思い浮かべ、父に宛てた作文を、家族のみんな宛てに変えて、ハキハキと発表します。読み終えると、よっしーが真っ先に拍手し、クラスのみんなも拍手をしました。

なお、本文の15行め付近に「(中略)」があり、問題の都合で途中が省かれています。

登場人物

登場人物と関係を、図1で整理します。「親が来ない」二人の弘毅と潤、そして作文の発表のときに現れる二人の大人(潤の母親とよっしー)が、物語の中心です。

図1 5年生第6回公開組分けテスト 大問3 人物相関図
弘毅(こうき)
主人公・小学四年生
小田せんべい店の孫。父は仕事で来られなくなった
潤(じゅん)
クラスメート・父は歯科医院の院長
両親はリコンしている。父は開院日で来ない
よっしー
弘毅の祖父・小柄で猫背の老人
手拭いを頭と首に巻き、前掛け。口が悪い
潤の母親
薄いベージュのセーターに長いスカート
目の周りを赤くして、細やかな拍手をする
越後・中村・杏里
クラスメート
越後は「母さんは?」と聞く。潤の両親のリコンは知らないようだ
弘毅→潤潤が黙ったとき、「じゃあオレんちと同じだな」と言って、話題をかえる(問一)
弘毅→家族誰も来ないことが本当は寂しい。それを周りに悟られたくない(問二)
潤→母親「まさか来るとは思ってなかった」。ふり返って、微動だにせず見つめる(問五)
よっしー→弘毅原稿用紙を届けに現れる。口は悪いが、店のことで弘毅に気づかいをさせない(問六・問七)
弘毅→家族みんな自分を支えてくれているのは家族全員だと気づき、作文を家族みんな宛てに変える(問九)
図解動画① 大問3 親が来ない二人(約36秒・音声つき)

動画の人物の絵は、本文の描写をもとにした想像のイラストです。設問の中心になるのは、弘毅の言葉と、本当の気持ちのずれです。「じゃあオレんちと同じだな」は、潤を思っての言葉で、「家で仕事してるからだな」は、寂しさをかくした言葉です。そのずれを見つけると、問一・問二・問四が読みやすくなります。

弘毅の気持ちの変化と設問

弘毅の気持ちは、「親が来ない寂しさ」から、「家族みんなへの感謝」へと動いていきます。図2は、場面ごとの動きと、対応する設問を並べたものです。「-」はつらい気持ち、「±」はまじった気持ち、「+」はあたたかい気持ちです。

図2 5年生第6回公開組分けテスト 大問3 弘毅の気持ちの変化と設問
1
校門 「母さんは?」
潤が黙る。弘毅はすかさず、「じゃあオレんちと同じだな」と言う。自分の家族が来ない理由を聞かれて、「家で仕事してるからだな」と答える
弘毅 ± 潤を思って話題をかえる。自分の寂しさは周りに悟られたくなく、なんでもないふうをよそおう
対応する設問:問一・問二
2
体育館 クイズ
体育館は、化粧品やスタイリング剤の匂いがする。保護者のビニールスリッパの音が、耳に障る。親が来ていないのは弘毅と潤だけで、二人でクイズに挑戦する
弘毅 - 口を尖らせ、親子で取り組む空気に居心地の悪さを感じる
対応する設問:問三・問四
3
作文の発表 潤の母親
越後、中村、潤が順に発表する。潤は誰かに呼ばれたようにふり返り、母親を見つめる。「微動だにせず」
弘毅 ± 潤を羨ましく思い、同時に嬉しさもにじみ広がる
対応する設問:問五の前提
4
弘毅の番 よっしーの声
弘毅の手元に作文はない。聞き覚えのある声に、弘毅はふり返る。保護者をかき分けて、よっしーが現れる
弘毅 + 来ないと思っていた家族が現れて、おどろき、嬉しさでいっぱいになる
対応する設問:問五(潤の場面とあわせて共通する気持ち)
5
よっしーと原稿用紙
「くそ坊主ども。無駄に生きがいいな」。弘毅が「店は?」と聞くと、「今日はどういうわけか客が来ねえんだ」と答える
よっしー 口は悪いが、弘毅に店の心配をさせない
対応する設問:問六・問七
6
原稿用紙を開く 作文を変えて発表する
折り目から小麦粉がこぼれ落ちる。「この原稿用紙は買ってもらったものだ。」と、家族みんなのことを思い浮かべる
弘毅 + なんだか急に心強い気持ちになる。作文を家族のみんな宛てに変え、ハキハキと発表する
対応する設問:問八・問九・問十
図解動画② 大問3 弘毅の気持ちの変化(約43秒・音声つき)

図2の下へ進むほど、気持ちが上向きになります。ただし、「±」の場面(1と3)が、設問で問われやすいところです。表に出る言葉と、心の中の気持ちを分けて読む習慣をつけましょう。

問一 線部①「じゃあオレんちと同じだな」と言ったときの弘毅記号選択(46.6%)・6点

設問 線部①「弘毅はすかさず、『じゃあオレんちと同じだな』と、言った」とあるが、このときの弘毅の説明として最も適当なものを選びなさい。

何を答える問いか 弘毅が、なぜ「すかさず」この言葉を言ったのかを、直前の場面から選ぶ問題です。

本文の根拠 線部①の直前で、越後が「母さんは?」と聞くと、潤は黙ります。越後も中村も、潤の両親がリコンしたことを知らないようで、潤は答えにくい状況です。弘毅は、潤が答えられずにいるのを見て、すかさず「じゃあオレんちと同じだな」と言います。弘毅が自分の家のことを言って、話題を自分のほうへ向ければ、潤は母親のことを聞かれずにすみます。つまり、潤が話したくないことを思いやった言葉です。

選択肢の検討

  • ア 答えにくいような家族に関する質問を平気でする越後の無神経さにあきれている 越後は、潤の両親のリコンを知らないようで、悪気なく聞いています。弘毅が越後にあきれる様子は、本文にありません。
  • イ 潤の親も学校に来ないことを知って、自分と同じ立場だと親近感を覚えている 潤の父親が来ないことは、前の場面でわかります。しかし、この言葉は、黙ってしまった潤を前に、すかさず言ったものです。親近感を覚えて言ったとは読めません。
  • ウ 潤の家の複雑な事情を知っているので、潤の母親が学校に来ないことに納得している 「納得している」様子は、本文にありません。弘毅の言葉は、潤を助けるための言葉です。
  • エ 母親が学校に来ない理由を話したくない潤の心情を思って、話題をかえようとしている 上の根拠に合っています。これが正解です。
解答例エ

問二 線部②「大体はお前んちと同じで、家で仕事してるからだな」と言ったときの気持ち記号選択(46.5%)・6点

設問 線部②「『大体はお前んちと同じで、家で仕事してるからだな』」とあるが、家族のだれも学校に来ないことに対する弘毅の気持ちとして最も適当なものを選びなさい。

何を答える問いか 弘毅が口にした言葉ではなく、そのうらにある、本当の気持ちを選びます。「家で仕事してるからだな」と、あっさり言った弘毅の様子と、そのあとの様子をあわせて読みます。

本文の根拠 線部②のあと、弘毅は「なんでもないふうをよそおう」とあります。「よそおう」は、本当の気持ちとはちがう様子を見せることです。さらに、他の親子に構われたら「みじめな気持ち」になっただろう、という言葉もあります(31行め)。つまり弘毅は、本当は寂しいのに、それを周りの子に悟られたくなくて、ふつうの顔をしているのです。

選択肢の検討

  • ア 家族がだれも来てくれないことが恥ずかしかったが、自分だけではないと分かって安心している 「恥ずかしかった」「安心している」は、本文にありません。弘毅は、親が来ない二人でクイズに挑戦する場面でも、安心した様子ではありません。
  • イ 本当は家族が誰も来ないことを寂しく感じているが、それを周りに悟られたくないと思っている 上の根拠に合っています。これが正解です。
  • ウ 家族の誰も来てくれないのは残念だが、みんないそがしいので仕方ないことだと思っている 「仕方ない」と割り切っているなら、「なんでもないふうをよそおう」必要はありません。弘毅は、寂しさを感じています。
  • エ 家族が学校に来ないことに寂しさはあるが、潤の親も来ないし、よくあることだと思っている 「よくあることだ」と思っているとは読めません。「寂しさはある」が、周りに悟られたくないという気持ちが抜けています。
解答例イ

問三 □(23行め)に入る、体の一部を表す言葉漢字(59.9%)・3点

設問 文章中の□(23行め)に入る、体の一部を表す言葉を、漢字で書きなさい。

何を答える問いか □の前後の文から、弘毅の様子を想像して、体の一部を表す言葉を入れる問題です。問題文では、体育館の様子と、そのときの弘毅の様子が書かれています。

本文の根拠 体育館は、汗臭さがしみついた場所のはずなのに、今日は化粧品やスタイリング剤の匂いがして、空気までが特別気取っているようです。そのなかで、弘毅は、ひっそりと□を尖らせます。□に入るのは「口」で、「口を尖らせる」は、不満な気持ちを表す動作です。親が来ない弘毅の、すねたような気持ちが、この動作に表れています。

解答例口(唇)

問四 線部③「保護者のビニールスリッパの音が障る」ときの弘毅の気持ち記号選択(81.4%)・5点

設問 線部③「弘毅の耳に、保護者のビニールスリッパの音が障る」とあるが、このときの弘毅の気持ちを説明したものとして最も適当なものを選びなさい。

何を答える問いか 「障る」は、じゃまになる、気分を害する、という意味です。ビニールスリッパの音が、弘毅にとって、なぜ気分に障るのかを考えます。

本文の根拠 ビニールスリッパをはいているのは、保護者です。保護者は、クイズの長机を、子どもと一緒に、一つずつ回っています。親が来ていないのは、弘毅と潤だけです。その音は、親子でクイズに取り組む人たちがすぐそばにいることを、弘毅にいやでも感じさせます。だから、弘毅は居心地が悪くなるのです。

選択肢の検討

  • ア クイズに真剣に取り組んでいるので、大きな音に気がちって苛立っている 弘毅たちがクイズに真剣に取り組んでいる様子は、書かれていません。「大きな音」だったかどうかも、わかりません。
  • イ 親子でクイズに取り組んでいる人たちに負けそうになってあせっている 勝ち負けを争う場面は、書かれていません。
  • ウ 他のみんなは親子でクイズに取り組んでいることを強く実感し、居心地の悪さを感じている 上の根拠に合っています。これが正解です。
  • エ クイズの後に行われる作文の発表のことを意識して緊張している 作文の発表のことは、スリッパの音とつながりません。
解答例ウ

問五 線部④と線部⑤のときの、潤と弘毅の共通する気持ち記述(40字以内・44.0%)・12点

設問 線部④「身をねじったまま微動だにせずに保護者たちを見つめている」、線部⑤「その聞き覚えのある声に弘毅は振り返った」とあるが、これらのときの潤と弘毅の共通する気持ちを、四十字以内で書きなさい。

何を答える問いか 線部④は潤、線部⑤は弘毅の場面です。別々の二人の、同じ気持ちを一つの文にまとめます。条件は、四十字以内で書くことと、「潤」と「弘毅」の両方に当てはまる気持ちを書くことです。

答えの組み立て 気持ちを一言で決めて、答えの最後に置く まず、二人の気持ちを一言で決めます。二人に共通するのは、「嬉しさ」です。この一言を答えの最後(文末)に置き、その前に、「来るとは思っていなかった家族が現れたことにおどろくとともに」と、きっかけと、もう一つの気持ち(おどろき)を並べます。

本文の根拠 潤 潤は、線部④のあと、弘毅に、母親が来たことを「まさか来るとは思ってなかった」(72行め)と話します。線部④の潤は、「微動だにせず」母親を見つめています。思いもしなかった人がそこにいて、おどろいて動けず、母親に会えた嬉しさを感じているのです。

本文の根拠 弘毅 弘毅は、潤の母親が来ているのを羨ましく感じる(67行め)ほど、自分の家族は学校に来ないと思っていました。それなのに、聞き覚えのある声がして、よっしーが現れます。弘毅は、「嬉しさでいっぱい」(95行め)になります。来ないと思っていた家族が現れて、おどろきと嬉しさを感じています。

解答に入れる要素
① きっかけ 来るとは思っていなかった家族が現れた
② おどろき 思いがけなかったことへのおどろき
③ 気持ちの一言(答えの最後に置く) 嬉しさ
書く順番は、①→②→③です。40字以内に収めます。
解答例(40字)来るとは思っていなかった家族が現れたことにおどろくとともに、嬉しさを感じている。

解答例の組み立て 解答例は、「〜におどろくとともに、嬉しさを感じている」という一文です。「とともに」でおどろきと嬉しさを並べ、気持ちの一言(嬉しさ)を文末に置いています。「来るとは思っていなかった」は、潤にも弘毅にも当てはまる条件で、二人の共通点になっています。

失点しやすい書き方

  • 「嬉しい」だけで終わる 「家族が来て嬉しい」だけでは、来ると思っていなかった、というおどろきが抜けています。
  • 弘毅だけ、潤だけの気持ちを書く 設問は共通する気持ちです。「羨ましい」は弘毅の気持ちですが、線部④・⑤のときの共通の気持ちとは言えません。
  • 字数を超える 四十字以内と指定されています。きっかけを長く書きすぎないようにします。
図解動画③ 大問3 よっしーの登場と原稿用紙(約44秒・音声つき)

ここからは、よっしーが現れたあとの場面です。動画は、問六から問九までの流れを、順に見せています。

問六 線部⑥「保護者の在不在は、よっしーの口の悪さにはなんら影響しない」記号選択(60.1%)・5点

設問 線部⑥「保護者の在不在は、よっしーの口の悪さにはなんら影響しない」とは、どういうことか。最も適当なものを選びなさい。

何を答える問いか 「在不在」は、いるか、いないか、という意味です。保護者がいてもいなくても、よっしーの口の悪さは変わらない、という内容を、言いかえて選びます。

本文の根拠 線部⑥の直前で、よっしーは子どもたちに「くそ坊主ども。無駄に生きがいいな」と言います。保護者がたくさんいる場所でも、いつものように口が悪いのです。「在不在」にかかわらず口が悪い、ということは、「いつでも」口が悪い、ということです。

選択肢の検討

  • ア よっしーはいつでも言葉づかいが悪いということ 上の根拠に合っています。これが正解です。
  • イ よっしーは子どもに対して厳しい言い方をするということ 「いつでも」「保護者がいてもいなくても」という要素が入っていません。
  • ウ よっしーは保護者が不快になることを平気で言うということ 「保護者がいてもいなくても」の意味が逆です。保護者に向けて言っているわけでもありません。
  • エ よっしーは保護者がいてもいなくても子どもの悪口を言うということ 「子どもの悪口を言う」が誤りです。よっしーは、口は悪くても、子どもの悪口を言ってはいません。
解答例ア

問七 線部⑦「今日はどういうわけか客が来ねえんだ」のときのよっしーの気持ち記号選択(60.6%)・5点

設問 線部⑦「『今日はどういうわけか客が来ねえんだ』」とあるが、このときの「よっしー」の気持ちとして最も適当なものを選びなさい。

何を答える問いか 弘毅が「店は?」とたずねたことへの答えです。この答え方に、よっしーのどんな気持ちがあるかを選びます。

本文の根拠 弘毅の家のせんべい店は、よっしーとなぎばあだけで店を開けています(問二の線部②の弘毅の言葉による)。そのよっしーが学校に来ているので、弘毅は店のことを気にして「店は?」と聞きます。よっしーは、店のことを、「客が来ねえんだ」と軽く言います。弘毅が、店のことを心配して、気づかいをしなくてすむようにしているのです。

選択肢の検討

  • ア みんなに人気のあることを照れくさいと思う気持ち みんなが「よっしー」とコールした場面は、「店は?」の前です。この答えとはつながりません。
  • イ 店のことで弘毅に気づかいをさせたくないという気持ち 上の根拠に合っています。これが正解です。
  • ウ 学校に来たかったことをかくしたいという気持ち 「学校に来たかった」とは、書かれていません。
  • エ 今日にかぎって店に客が来ないことを不思議がる気持ち 不思議がる様子は、読み取れません。
解答例イ

問八 線部⑧「この原稿用紙は買ってもらったものだ。…」の表現記号選択(39.9%)・6点

設問 線部⑧「この原稿用紙は買ってもらったものだ。父と母が働いて買ってくれたものだ。よっしーもなぎばあもせんべいを毎日一枚一枚焼き続けて、芽衣姉ちゃんだって手伝って、それでこれが買えたんだ。」とあるが、この表現についての説明として最も適当なものを選びなさい。

何を答える問いか 表現のしくみ(文末のくり返し、指示語、比喩、回想)の中から、線部⑧に当てはまるものを選びます。大問3で最も正答率が低く、39.9%でした。

本文の根拠 線部⑧の文末は、「買ってもらったものだ」「買ってくれたものだ」「これが買えたんだ」と、似た形がくり返されています。弘毅は、原稿用紙を手に、これを買うために働いた家族一人一人の姿を、一つずつ思い浮かべています。同じ形をくり返すことで、「家族がこの紙を買ってくれた」という思いが、強く、いきいきと表されています。

選択肢の検討

  • ア 同じような言葉や表現をくり返すことで、弘毅の気持ちをいきいきと表現している 上の根拠に合っています。これが正解です。
  • イ 指示語を複数使うことで、簡潔で、リズムのよい文章となっている 「この」「それ」「これ」と指示語はありますが、この文章の特徴は文末のくり返しです。「簡潔」とも言えません。
  • ウ 比喩表現を使って、弘毅の言いたいことを強調している たとえを使った表現は、ありません。
  • エ 現在の出来事を描いた場面の文章に、過去の回想をさし入れる役割をしている この部分は回想ではなく、今、原稿用紙を見ている弘毅の思いです。
解答例ア

問九 線部⑨「弘毅は、父に宛てたそれを、家族のみんな宛てに変えた」のはなぜか記号選択(83.4%)・6点

設問 線部⑨「弘毅は、父に宛てたそれを、家族のみんな宛てに変えた」とあるが、それはなぜか。最も適当なものを選びなさい。

何を答える問いか 弘毅が作文の宛先を変えた理由を、直前の弘毅の気持ちから選びます。

本文の根拠 線部⑧で、弘毅は、原稿用紙を買うために働いた、父、母、よっしー、なぎばあ、芽衣姉ちゃんの姿を思い浮かべます。そして、「なんだか急に心強い気持ちになってきた」とあります。家族の誰か一人ではなく、家族全員が自分を支えてくれている、と気づいたから、父だけでなく、家族みんなに宛てて書いたのです。

選択肢の検討

  • ア 潤の母親の姿を見て、自分も家族の絆の深さをみんなの前で示したいと思ったから 潤の母親は、潤の場面の人物です。ここで、弘毅が作文を変える理由とは関係がありません。
  • イ よっしーが駆けつけて助けてくれたことに感激し、その気持ちを伝えたいと思ったから よっしー一人のことしか述べていません。家族みんな宛て、という内容に合いません。
  • ウ 自分を支えてくれているのは家族全員だと気づき、みんなへの感謝の気持ちがわいたから 上の根拠に合っています。これが正解です。
  • エ 原稿用紙から家族一人一人の顔が浮かんで心強い気持ちになり、もう自分一人でも平気だと思えたから 「もう自分一人でも平気だ」は、家族みんな宛てに変えたこととつながりません。
解答例ウ

問十 弘毅の性格の説明記号選択(60.7%)・6点

設問 弘毅の性格の説明として最も適当なものを選びなさい。

何を答える問いか 文章全体から、弘毅の人物像を選ぶ問題です。場面ごとの言動を集めて、選択肢の一つ一つと照らします。

本文の根拠 作文を読み上げていく友達の声を聞きながら、弘毅は、膝を抱える腕に力を込め、毅然として前を見据えます。親が来ていない、発表する作文もない、という厳しい状況でも、弱さを見せない、負けん気の強さです。一方、作文の最後では、家族一人一人を原稿用紙の上に思い浮かべ、伝えたいことをそのまま口にして、ハキハキと発表できました。家族思いで、自分の気持ちを素直に語れる人物です。

選択肢の検討

  • ア 弱さを見せない負けん気があるが、家族思いで、飾らない本音を語れる素直な少年 上の根拠に合っています。これが正解です。
  • イ プライドが高く、自分の弱さを人に見せることを何よりも嫌う負けず嫌いな少年 弱さを見せない面は合いますが、「何よりも嫌う」「プライドが高い」とは言えません。最後に飾らない本音を語る素直さも、抜けています。
  • ウ 家族への愛情は深いが、一度決めたことは決して曲げない頑固な少年 弘毅は、作文を破り捨てたあと、最終的に父宛ての作文を家族みんな宛てに変えています。「決して曲げない」とは言えません。
  • エ 情に厚く、自分よりも常に友人の気持ちを優先して行動できるやさしい少年 潤を思いやる場面(問一)はありますが、「常に」とは言えません。弘毅は、自分の寂しさや羨ましさも感じています。
解答例ア

大問4 説明文 古田徹也『言葉なんていらない? 私と世界のあいだ』

文章の概要

出典は、古田徹也『言葉なんていらない? 私と世界のあいだ』(創元社)です。文章は〔第一段落〕から〔第四段落〕までに分けて示され、中ほどには、古代ギリシアの哲学者プラトンの『パイドロス』(藤沢令夫訳・岩波文庫)からの引用があります。

第一段落は、神話から始まります。エジプトの古い神のひとりで、「技術の主」であるテウトは、さまざまなものを人間に与えました。なかでも注目すべき発明は、文字です。テウトは、神々の王タムスに、文字を覚えることによって、人間の記憶力と知識(知恵)は高まる、と誇ります。ところがタムスは納得しません。人は文字を覚えると、書かれたものに頼るようになり、情報を自分の頭のなかに記憶しなくなる。その結果、表面上は物知りのように見えても、本当の意味での知識をもたない人間ができあがる、というのです。

第二段落は、プラトンが指摘した、書かれた言葉の特徴です。書かれた言葉は、何も尋ね返してくれず、書かれた状況から切りはなされて一人歩きします。誰にどう読まれるか分からず、批判されても、自分で説明することができません。書かれた言葉は、「孤立無援」の状態に置かれます。

第三段落は、話される言葉の長所です。具体的な他者に向けて声で発せられる言葉は、届けるタイミングや相手を選べます。相手の応答や表情に応じて、説明を変えたり、補足や訂正をしたりもできます。第四段落は、まとめです。言葉は本来、固有の状況のなかで発せられるものです。書かれた言葉の「一人歩き」は、活版印刷技術の発明などで、さらに大規模になった、と述べられています。

段落の構成

図3は、四つの段落の役割と、対応する設問を整理したものです。「どの段落に何が書かれているか」が分かると、問七(どの段落か)が解きやすくなります。

図3 5年生第6回公開組分けテスト 大問4 段落構成図
第一段落神話 テウトとタムス
文字を発明したテウトは「記憶力と知識が高まる」と誇る。タムスは、書かれたものに頼り、頭に記憶しなくなって、知識をもたなくなると反論する(問三)
▼
第二段落書かれた言葉の弱点
状況から切りはなされて一人歩きし、不特定多数に読まれる。孤立無援で、自分で自分を守れない(問一A・問二・問四)
▼
第三段落話される言葉の長所
具体的な他者に向けて、タイミングや相手を選べる。相手に応じて変えられ、その場で補足・訂正できる。ケーキの例(問一B・問五・問六・問七)
▼
第四段落まとめ
言葉は本来、固有の状況のなかで発せられる。書かれた言葉の「一人歩き」は、活版印刷技術の発明などでさらに広がった(問八)

書かれた言葉と、話される言葉

この文章の中心は、二つの言葉の対比です。図4に、まとめました。左右を見比べると、問四・問五・問六・問八の根拠が、すべてここに入っていることが分かります。

図4 5年生第6回公開組分けテスト 大問4 書かれた言葉と話される言葉
書かれた言葉
書かれた状況から切りはなされて一人歩きし、不特定多数の人に、想定されなかった読まれ方をする
説明の仕方を変えたり、補足したりすることができない
自分で自分を守れない。孤立無援の状態に置かれる
VS
話される言葉
具体的な他者に向けて、届けるタイミングや相手を選べる。それぞれ固有の状況のなかで発せられる
相手の応答や表情に応じて、説明の仕方を変えたり補足したりでき、その場で訂正もできる
のちの発話に助けられ、支えられる
プラトンの考え 書かれた言葉よりも話される言葉のほうが優れたものでありうる(問六)
図解動画④ 大問4 書かれた言葉と、話される言葉(約46秒・音声つき)

動画のテウトとタムスの絵は、神話の登場人物を、想像で描いたイラストです。設問に答えるときは、「書かれた言葉は〜、話される言葉は〜」と、同じ項目で二つを並べて書き出すと、どの選択肢が本文と合うか、すぐに確かめられます。

問一 空欄A・Bに入る言葉記号選択(A 74.2%・B 91.7%)・各3点

設問 文章中の空欄A・Bに入る言葉として適当なものを、ア〜カから一つずつ選びなさい。選択肢は、アでは・イたとえば・ウまた・エつまり・オだから・カなぜならです。

何を答える問いか 接続語を選ぶ問題です。空欄の前後の関係(並べる・例を出す・まとめる・理由を言う)を見分けます。

A(ウ また) 空欄Aのある段落の直前は、書かれた言葉が「孤立無援の状態に置かれるのだ」という文で終わっています。空欄Aのあとは、「誤解されずに正しく読まれたとしても、想定以上の反響を呼ぶこともある」と、書かれた言葉の別の短所を述べています。短所を並べているので、並べて加える「また」が入ります。

B(イ たとえば) 空欄Bのあとは、「すごく美味しいケーキを食べたとき、満面の笑顔で、目の前のケーキを次々に口に運びながら「このケーキやばい!」と言ったなら」という具体例が続きます。直前では、身振りや表情、声色なども交えて話せるから、誤解や想定外の反応を避ける手がかりが豊富だ、と述べています。その例を出しているので、「たとえば」が入ります。

解答例A ウ B イ

問二 話題にしているもの(ぬき出し)ぬき出し・六字×2(41.9%)・6点

設問 この文章は、何について話題にしていますか。次の(a)と(b)の違いについて。(a)(b)に入る言葉を、それぞれ六字でぬき出して答えなさい。

何を答える問いか 文章全体で比べられている二つのものを、本文の言葉のまま、六字でぬき出します。本文には、似た言い方が複数あるので、「六字」という条件で絞ります。

本文の根拠 この文章は、「文字で書かれた言葉の特徴」(26・27行め)を、「声で発せられる言葉」(57行め)と比べながら説明しています。ここで、六字になる言い方を探します。「文字で書かれた言葉」は八字、「声で発せられる言葉」は九字で、条件に合いません。六字になるのは、「書かれた言葉」と、「話される言葉」(71・72行め)です。

解答例(a)話される言葉 (b)書かれた言葉 (aとbは入れかえてもよい)

問三 線部①「タムスはこれに納得しない」のはなぜか記述(60字以内・32.2%)・12点

設問 線部①「タムスはこれに納得しない」とあるが、その理由を、「頭」「知識」の二語を必ず使って、六十字以内で書きなさい。

何を答える問いか 「これ」が指す内容を確かめて、タムスがそれに納得しない理由を書きます。条件は、六十字以内と、「頭」「知識」の二語を必ず使うことです。大問4で最も正答率が低く、32.2%でした。

答えの組み立て 理由の一言を決めて、答えの最後に置く まず、理由を一言で決めます。タムスが納得しない一番の理由は、文字を覚えても、「知識をもたなくなる」ことです。この一言を答えの最後(文末)に置き、その前に、「文字で書かれたものに頼るようになって、自分の頭に情報を記憶したり、自分の頭でものを考えたりしなくなる」という、そうなる経緯を並べます。

本文の根拠 「これ」の指すもの 線部①の「これ」は、テウトの主張です。「文字を覚えることによって人間の記憶力と知識(知恵)は高まる」(10・11行め)という考えを指します。タムスは、それに納得しません。

本文の根拠 納得しない理由 タムスは、「人は文字を覚えると、書かれたものに頼る」(13・14行め)ようになる、と反論します。そうなると、「情報を自分の頭のなかに記憶する」(14・15行め)ことをしなくなります。さらに、「物事を深くきちんと知ろうとしなくなる」(19行め)ので、「自分の頭で自在にものを考えることができず、本当の意味での知識をもたない」(21・22行め)ことになる、と述べています。この流れを、二点でとらえます。一つは、書かれたものに頼って、頭に記憶しなくなること。もう一つは、頭でものを考えず、知識をもたなくなることです。

解答に入れる要素
① 書かれたものに頼る 文字で書かれたものに頼るようになる
② 頭を使わない 自分の頭に情報を記憶しない、自分の頭でものを考えない(「頭」を使う)
③ 理由の一言(答えの最後に置く) 知識をもたなくなる(「知識」を使う)
書く順番は、①→②→③です。六十字以内に収め、「頭」「知識」の二語を必ず入れます。
解答例(59字)文字で書かれたものに頼るようになって、自分の頭に情報を記憶したり、自分の頭でものを考えて知識をもったりしなくなるから。

解答例の組み立て 解答例は、「〜に頼るようになって、〜記憶したり、〜考えて知識をもったりしなくなるから」という一文です。「頭」は二回、「知識」は一回使われています。文末の「しなくなるから」が、理由を答える形です。

失点しやすい書き方

  • 「頭」「知識」を使わない 設問の条件です。「記憶力が落ちるから」だけでは、条件を満たしません。
  • 文字の長所を書く 「文字は便利だが」のように、反対の内容を入れると、字数を使い、理由が薄くなります。
  • 文末が理由の形になっていない 「〜と考えている。」で終わると、「なぜ」に答えていません。「〜から。」で結びます。

問四 線部②「書かれた言葉は孤立無援の状態に置かれる」理由記号選択(二つ選ぶ・43.0%)・6点

設問 線部②「書かれた言葉は孤立無援の状態に置かれるのだ」とあるが、その理由として適当なものを、次から二つ選びなさい。

何を答える問いか 「孤立無援」は、一人だけ離れていて、誰も助けてくれないことです。書かれた言葉が、なぜそうなるのかを、本文から二つ選びます。

本文の根拠 一つ目は、「書かれた状況から切りはなされて一人歩きし、当初は想定されなかった多様な人々に、想定されなかった仕方で読まれる可能性がある」(32〜34行め)ことです。書かれた状況や、書いた人の意図を超えて、「不特定多数の人」(44行め)に自由に読まれてしまいます。二つ目は、「意味を誤解されたり、部分的に切り取られて不当に批判されたり」(45・46行め)しても、話される言葉のように「説明の仕方を変えたり補足したりする」(62行め)ことができないことです。

選択肢の検討

  • ア 人は書物に書かれた言葉をそのまま信頼して、物事を自分できちんと考えて知ろうとしないから これは、第一段落の、文字に頼ることの話です。線部②の理由ではありません。
  • イ 言葉が書かれた状況から切りはなされ、不特定多数の人々に好き勝手な読まれ方をされてしまうから 上の一つ目に合っています。正解の一つです。
  • ウ 音声や画像などのない書物に書かれた言葉を、誤解されずに読まれることはとてもまれなことだから 本文は、誤解されずに正しく読まれても、想定以上の反響を呼ぶこともある、と述べています。誤解されないことが「まれ」とは言っていません。
  • エ 書かれた言葉は、場面や相手の反応に合わせて、説明の仕方を変えたり補足したりすることができないから 上の二つ目に合っています。正解の一つです。
  • オ 書かれた言葉の意味を誤解されたり、不当に批判されたりしても、書いた人以外には誰も反論や擁護ができないから 「書いた人以外には誰も反論や擁護ができない」は、本文にありません。
解答例イ・エ(順不同)

問五 線部③「具体的な他者に向けて声で発せられる言葉」の特徴記号選択(67.0%)・6点

設問 線部③「具体的な他者に向けて声で発せられる言葉」とあるが、この言葉の特徴として最も適当なものを選びなさい。

何を答える問いか 話される言葉の特徴を、第三段落・第四段落から選びます。図4の右側と、見比べます。

本文の根拠 話される言葉は、「それぞれ固有の状況のなかで発せられるもの」(76行め)です。「相手に応じた言葉遣いや内容にカスタマイズできる」、「相手の応答や表情などに応じて、説明の仕方を変えたり補足したりすることもできる」、「その場で訂正することができる」と書かれています。

選択肢の検討

  • ア 相手や状況に応じて言葉遣いを変えられるため、誤解が生じることはない 誤解を避ける手がかりは豊富だと述べていますが、「誤解が生じることはない」とまでは言っていません。言い切りすぎです。
  • イ 固有の状況で発せられるが、一度発せられると発信者の手を離れて一人歩きしてしまう 「一人歩き」は、書かれた言葉の特徴です。
  • ウ 固有の状況のなかで発せられ、相手に応じて言葉遣いや内容を変え、その場で補足や訂正ができる 上の根拠に合っています。これが正解です。
  • エ 相手や場面を選ばず、同じ内容と言葉遣いで、一貫して話しかけることができる 「相手に応じて変える」という特徴と逆です。
解答例ウ

問六 空欄X(71行め)に入る言葉記号選択(55.4%)・5点

設問 文章中のX(71行め)に入る言葉として最も適当なものを選びなさい。「その点でプラトンは、X と主張している」という文です。

何を答える問いか プラトンが、書かれる言葉と話される言葉のどちらを、どう考えていたのかを選びます。

本文の根拠 Xの前では、書かれた言葉は、自分で自分を守ることができない、と述べられています。一方、Xの後ろでは、話される言葉は、「自分をまもるだけの力をもち」、語るべき人々には語り、黙すべき人々には口をつぐむすべを知っているような言葉になりうる、と、話される言葉の長所が述べられています。つまり、プラトンは、話される言葉のほうが優れている、と考えているのです。

選択肢の検討

  • ア 書かれる言葉よりも話される言葉のほうが優れたものでありうる 上の根拠に合っています。これが正解です。
  • イ 書かれる言葉は話される言葉よりも優れたものでありうる 逆です。
  • ウ 書かれる言葉にも話される言葉にも優れた点があるものだ Xのあとは、話される言葉の長所だけを述べています。どちらにも優れた点がある、という内容は、続きに合いません。
  • エ 書かれる言葉と話される言葉は場面に応じて使い分けるものだ 使い分けを勧める内容は、本文にありません。
解答例ア

問七 話される言葉の長所が書かれている段落漢数字(74.6%)・5点

設問 「話される言葉の長所について」書かれているのは、第一段落〜第四段落のどの段落ですか。漢数字で答えなさい。

何を答える問いか 段落ごとの役割を、図3のように整理できているかを問う問題です。

本文の根拠 「他方、具体的な他者に向けて声で発せられる言葉の場合には、〜」という書き出しで始まる第三段落が、話される言葉の長所の段落です。第一・二段落は、書かれた言葉の特徴(短所)、第四段落は、二つの言葉の特徴をまとめたあと、書かれた言葉が活版印刷技術の発明で世に広がったことを述べています。

解答例第三段落(漢数字で「三」)

問八 内容の正誤○×(1:43.5%・2:48.4%・3:67.6%・4:43.3%)・各2点

設問 次の1〜4の説明のうち、文章の内容に合うものには「○」、合わないものには「×」をつけなさい。

  • 1 言葉は相手の誤解や無理解をまねきやすいので、補足として言葉以外の方法も付け加えてコミュニケーションをとるとよい(43.5) × 誤解や無理解をまねきやすい、という内容は冒頭にありますが、「言葉以外の方法も付け加えるとよい」とは、文章中に述べられていません。
  • 2 プラトンは、文字が発明されたことで記憶を外部化できるようになり、表面上は物知りのうぬぼれた人間が生まれたと述べている(48.4) ○ 情報を記憶しないで、文字で書物などに書きとめておくことを、本文は「記憶を外部化する」と表現しています。そのうえで、「表面上は物知りのように見える人間ができあがってしまう」と述べているので、合います。
  • 3 プラトンは、文字による言葉も発話による言葉も、言葉を受け取った相手からの批判に対して、自分自身を守ることはできないと述べている(67.6) × 自分を守れないのは、書かれた言葉です。発話による言葉は、さらなる発話によって助けられ、支えられるので、自分を守ることができます。
  • 4 書かれた言葉は誤解を招きやすいため、書かれた言葉より発話による言葉を重視する傾向が強まっている(43.3) × 「発話による言葉を重視する傾向が強まっている」とは、述べられていません。むしろ第四段落は、書かれた言葉の「一人歩き」が、活版印刷技術の発明などで広がったことを述べています。

内容の正誤は、「本文にあるか」で判断します。1と4は、もっともらしい言い方ですが、本文にない内容を足しています。「書かれていないこと」を見つけたら×、と決めておくと、迷いが減ります。

解答例1 × 2 ○ 3 × 4 ×

語句メモ(大問4)

  • 孤立無援 一人だけ離れていて、誰も助けてくれないこと。
  • カスタマイズ 使う人の好みや使い勝手に合わせて、変えること。
  • 一人歩き 書かれた状況や書いた人の意図をはなれて、言葉だけが広まり、独り立ちしてしまうこと。
  • 活版印刷 文字の形をした活字を組み合わせて、版をつくる印刷の方法。大量の書物を、素早く、広い範囲に出せるようにしました。

解答例一覧

  • 大問1 1 温泉 2 山盛り 3 縮小 4 感染 5 高層 6 専門 7 操縦 8 純真 9 装う 10 除く
  • 大問2 問一 1 耳 2 首 3 目 4 足
  • 大問2 問二 1 エ 2 イ 3 キ 4 オ
  • 大問2 問三 1 カ 2 オ 3 ア 4 キ
  • 大問2 問四 エ
  • 大問3 問一 エ
  • 大問3 問二 イ
  • 大問3 問三 口(唇)
  • 大問3 問四 ウ
  • 大問3 問五 来るとは思っていなかった家族が現れたことにおどろくとともに、嬉しさを感じている。
  • 大問3 問六 ア
  • 大問3 問七 イ
  • 大問3 問八 ア
  • 大問3 問九 ウ
  • 大問3 問十 ア
  • 大問4 問一 A ウ B イ
  • 大問4 問二 (a)話される言葉 (b)書かれた言葉
  • 大問4 問三 文字で書かれたものに頼るようになって、自分の頭に情報を記憶したり、自分の頭でものを考えて知識をもったりしなくなるから。
  • 大問4 問四 イ・エ
  • 大問4 問五 ウ
  • 大問4 問六 ア
  • 大問4 問七 第三段落(三)
  • 大問4 問八 1 × 2 ○ 3 × 4 ×

5年生第6回公開組分けテストの国語で身につけたい力・家庭での練習

第6回の出題から言えることを、三つにまとめます。

  • 言葉と本心のずれを読む力(大問3) 問一・問二・問十は、弘毅が口にした言葉と、心の中の気持ちのずれを読む問題でした。「じゃあオレんちと同じだな」は、潤を思っての言葉。「家で仕事してるからだな」は、寂しさをかくした言葉です。正答率は、問一46.6%・問二46.5%と、半数を下回りました。
    家庭での練習:物語の登場人物の「言ったこと」と「そのあとの様子」を、二つの欄に分けて書き出します。たとえば、「なんでもないふうをよそおう」の前後を探し、「口にした言葉」と「本当の気持ち」を、一文ずつ書き分けます。
  • 二つのものを、本文の同じ言葉で比べる力(大問4) 問二・問四・問五・問六・問八は、どれも「書かれた言葉」と「話される言葉」の比べ方を問う問題でした。問二のぬき出しは41.9%、問四の二つ選ぶ問題は43.0%でした。
    家庭での練習:説明文を読んだら、筆者が比べている二つのものを、「AはX、BはY」の形で、本文の言葉を使って書き出します。選択肢を読むときは、その書き出しと照らして、どちらの特徴を言っているかを、確かめます。
  • 記述を、気持ち・理由の一言から組み立てる力(大問3・大問4) 記述2問は、どちらも、気持ちや理由を一言で決めて、答えの最後に置く形で書けました。問五は「嬉しさを感じている」、問三は「知識をもたなくなるから」です。前に、きっかけや経緯を並べます。
    家庭での練習:記述は、書く前に、まず「結論の一言」を決めて、紙の端に書きます。それを答えの最後に置き、そのあと保護者の方が「きっかけは?」「どうしてそう言えるの?」と質問して、前半の内容が入っているかを一緒に確かめます。字数や、「頭」「知識」のような指定の語は、書き終えたあとに必ず数え直します。

知識問題では、漢字の「純真」「専門」「操縦」と、大問2の「金字塔」「登竜門」「首が回らない/目が回る」が、取りこぼしやすいところでした。間違えた漢字や熟語は、意味を一言で言えるようにして、例文と一緒にノートに残しておくと、同じ失点をふせげます。

まとめ

2026年10月4日実施の5年生第6回公開組分けテストの国語は、150点満点・大問四つで、記述は2問でした。大問3では、親が来ない二人の弘毅と潤が、作文の発表の場で、家族と出会う物語を読みました。弘毅の言葉と本心のずれ、羨ましさとおどろき、嬉しさへと動く気持ちを、設問の根拠と合わせて整理しました。大問4では、プラトンの神話をもとに、書かれた言葉と話される言葉の違いを読みました。孤立無援、一人歩き、その場で訂正できる、という言葉で、二つの言葉を比べました。

気持ちの問題は、「口にした言葉」と「そのうらにある気持ち」を分けて読む。説明文は、筆者が比べている二つのものを、本文の同じ言葉で書き出す。記述は、気持ちや理由を一言で決めて、答えの最後に置き、前にきっかけや経緯を並べる。この三つを意識して、本文の根拠から自分の言葉で書く練習を重ねていきましょう。