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2026.10.4実施 日能研 小6 第8回全国公開模試 国語 徹底解説

2026年10月4日(日)に実施された日能研の第8回全国公開模試(6年生)の国語を、全問解説します。大問一はくどうれいんさんの随筆「とんぼの看取り」(『三十路の逆立ち』講談社)、大問二は唐沢かおりさんの説明文『「気が利く」とはどういうことか 対人関係の心理学』(筑摩書房)、大問三はことわざ、大問四は漢字の書き取りです。この記事では、動かないとんぼをきっかけに祖父の最期を思い出す随筆の流れと、「相手のためにしたこと」が迷惑になる理由を整理した説明文の論の進み方をたどり、記述3問は「結論を一言で決めて、答えの最後に置く」型で組み立てます。

出題構成と全体の講評

  • 大問一は随筆文で、設問は問一から問八までの8問、配点は49点です。語句の意味(問一)、空らんにオノマトペを入れる問題(問二)、俳句を二つ選ぶ問題(問三)、記号選択(問四・問七)、本文からの抜き出し(問五)、記述(問六)、記号と漢字二字を答える会話文の問題(問八)が出ています。
  • 大問二は説明文で、設問は問一から問十までの10問、配点は72点です。品詞(問一)、特徴の説明と空らん(問二)、選択(問三・問四・問八・問十)、段落番号(問五)、記述(問六・問七)、抜き出しと理由の選択(問九)という組み合わせで、全体の半分近くの点がここに集まっています。
  • 大問三はことわざで、3問・9点です。言葉の意味に合うことわざを選びます。
  • 大問四は漢字の書き取りで、10問・20点です。
  • 合計は150点で、試験時間は50分です。記述は大問一の問六(80字以上100字以内・11点)、大問二の問六(40字以内・7点)と問七(70字以上90字以内・10点)の3問、合わせて28点です。
この回のポイント
大問一と大問二は、別々の文章に見えて、「ものごとのとらえ方が、ある経験をきっかけに変わる」という点でつながっています。随筆では、人の死に対する筆者の考え方が祖父の臨終をきっかけに変わります。説明文では、「相手のため」と思った行動が、共感のしかたの失敗から迷惑に変わってしまうことが説明されます。記述3問はどれも、本文の言葉を使いながら変化の前と後、原因と結果を一文にまとめる力を試しています。

例年との比較について

この記事では、2026年度の出題を過去の年度と比べることはしていません。日能研の全国公開模試は、過去の年度の問題を同じ条件で並べて確かめられる資料が手元にないためです。分かっていることだけを書くと、2026年度は大問が4つ、記述が3問、記号選択・抜き出し・語句・漢字がバランスよく並ぶ構成でした。年度の比較は、確かめられる資料が揃ったときに別の記事で扱います。

日能研 全国公開模試 第8回 国語 全問解説のYouTube動画
YouTubeの全問解説動画(約18分)
大問一から大問四までを、図解アニメと先生の声で一問ずつ解説しています。設問・選択肢は縦書きで、試験と同じ見え方で確認できます。漢字の書き取りは、答えを一画ずつ書き順どおりに書いて見せます。
YouTubeで見る

大問一 随筆文 くどうれいん「とんぼの看取り」

文章の流れ

筆者はここ半月ほど、頭の中がやたらとせわしないまま、ぽかーんとして過ごしています。そんなとき、ベランダに赤とんぼが来て、じっと動かなくなります。三時間もそこにいるとんぼに、筆者は「どうぞ休んでくださいね」と念じます。やがて街を歩くと、いつもは通らない道へ進み、この小一時間をむだにしたような気持ちになります。そして、ほかのとんぼたちも目にして、「やはりこのとんぼたちも老いているのではないだろうか」と考えます。

この随筆の中心は、そのあとに出てくる祖父の最期の回想です。筆者は、母が祖父母のもとへ非常に甲斐甲斐しく通っていたこと、そして祖父の臨終の場に立ち会わせてもらったことを思い出します。それまで「人が目の前で死ぬのは恐ろしいこと」と思っていた筆者は、その時間が「むしろ穏やかな時間」だったと知り、考え方が変わります。文章は、「夏のように」で始まる暑さの描写から、「もう秋、そして秋はもう冬」へと進み、季節の移り変わりと命の移り変わりを重ねて終わります。

図1 2026年 第8回全国公開模試 大問一 気持ちと場面の流れ
1
ベランダで動かない赤とんぼに出会う
三時間も動かないとんぼに、「どうぞ休んでくださいね」と念じる
筆者 - いたわり
対応する設問:問一・問二・問三
2
いつもは通らない道へ進む
この小一時間の「非生産的な自分」を挽回できない気がする
筆者 - 意味あることをしなければ、という追いつめられた気持ち
対応する設問:問四
3
動かないとんぼがほかにもいると気づく
「老衰した時の流れを纏った赤とんぼ」と言いかえ、とんぼたちも老いていると考える
筆者 - 老いへの気づき
対応する設問:問五
4
祖父の臨終を思い出す
死は恐ろしいものだと思っていたが、立ち会った時間は穏やかで、敬意を持って受け止められるようになった
筆者 - 恐れから敬意へ(考え方の変化)
対応する設問:問六
5
「かえんなきゃ」から「家へ帰ろう」へ
祖父を思い出して心が平らになり、妙に客観的な気持ちになる
筆者 - 落ち着き
対応する設問:問七・問八

問一 語句の意味(a・b)各3点

a「せわしない」とb「甲斐甲斐しい」の意味を選ぶ問題です。語句の意味は、辞書的な意味を思い出したうえで、本文の使われ方に合わせて選びます。

aの「せわしない」は、「せかせかして余裕がない」という意味です。本文では「ぽかーんとしたまま頭の中がやたらとせわしない」とあり、外から見るとぼんやりしているのに、頭の中は落ち着かない状態を指しています。答えはエです。

bの「甲斐甲斐しい」は、「苦労をいとわず、一生懸命に動く」という意味です。本文では、母が祖父と祖母の両方のもとへ非常に甲斐甲斐しく通っています。世話をするために足を運び続ける様子が、この語に合います。答えはウです。

解答例
a エ / b ウ

問二 空らんⅠ〜Ⅲに入るオノマトペ完全解答4点

空らんに入る言葉を選ぶ問題ですが、迷うときは、空らんの前後にある「どんな様子か」を表す言葉に注目します。

  • Ⅰは、「日差しはまだ夏のように濃く暑い」ところに入ります。まとわりつくような暑さなので、べったり(イ)です。
  • Ⅱは、「吹く風が秋らしくなってきた」ところに入ります。涼しさを感じさせる言葉として、ひんやり(オ)が合います。
  • Ⅲは、「その瞬間、とんぼの顔がこちらを向いた」場面に入ります。顔がこちらへ向きを変える動きなので、ぐるり(エ)です。
解答例
Ⅰ イ / Ⅱ オ / Ⅲ エ(三つとも合って4点)

問三 傍線①のときの気持ちと共通する気持ちが読み取れる俳句5点

傍線①のとき、筆者がとんぼに向けた気持ちを、まず一言で決めます。一言は「いたわり」です。手がかりは、傍線のあとにある「(どうぞ休んでくださいね)とベランダのとんぼに向かって念じながら」という心の中の言葉です。休んでいるとんぼをそっとしておきたい、という思いやりが読み取れます。

この気持ちと共通するものを、俳句から二つ選びます。イは、親のいない雀に寄りそう小林一茶の句。ウは、朝顔のつるを切らずに水をもらう加賀の千代女の句です。どちらも、小さな生き物や弱いものへの思いやりが詠まれています。答えはイとウです(順不同)。

解答例
イ・ウ(順不同、二つ合って5点)

問四 「いつもは通らない道へ進んだ」ときの「わたし」の様子5点

様子を選ぶ問題は、傍線の直前と直後から、本文の言葉を根拠にします。一言で決めると、「意味あることを得たいと、追いつめられている」です。

手がかりは、傍線の直後にある「この小一時間の非生産的な自分を挽回出来ないような気がしてしまった」です。とんぼを見守って過ごした時間を、筆者は「何も生み出さなかった時間」と感じ、そのぶんを取り返さなければ、と焦っています。答えはイです。

まちがえやすい選択肢は、次の三つです。アは、「気分転換」や「絶望感」が本文に出てきません。ウは、「信頼を取りもどす」という話が本文にありません。エは、落ち着くために道を変えたのではなく、挽回するために動いている点が合いません。

解答例
イ

問五 「このとんぼたちも老いている」同じような別のとんぼを表した16字5点

傍線③は「このとんぼたちも老いている」です。「も」は、前にも似た内容が出てきたことを知らせる合図です。そこで、前の場面で出てきた「動かないベランダのとんぼ」を、筆者がどう言いかえているかを探します。

見つかるのは、「老衰した時の流れを纏った赤とんぼ」という表現です。数えると、ちょうど16字になります。問われているのは「初めの5字」なので、答えは老衰した時です。

解答例
老衰した時

問六 傍線④「母にはとても感謝している」 考え方の変化(記述)11点・80字以上100字以内

傍線④の「母にはとても感謝している」は、祖父の臨終に立ち会わせてくれたことへの感謝です。設問は、その経験によって、人の死に対する筆者の考え方がどう変わったかを問います。

答えの組み立て
① 結論を一言で決める。変化後の考え方を、本文の言葉で一言にします。ここでは「敬意を持って受け止めるべきものだと考えるようになった」です。この一言を、答えのいちばん最後に置きます。
② 変化の問題は三つに分けて整理する。「変化前」「きっかけ」「変化後」です。変化前は「目の前で人が死んでしまうのはとても恐ろしいこと」。きっかけは「祖父の臨終に立ち会ったこと」で、その時間は「むしろ穏やかな時間」でした。変化後が①の一言です。
③ 状況を先に、一言を最後に並べる。変化前ときっかけを先に書き、最後を一言で結びます。
解答例
今までは目の前で人が死んでしまうことは恐ろしいことだと考えていたが、穏やかな時間であった祖父の臨終に立ち会ったことで、人の命には終わる瞬間があり、敬意を持って受け止めるべきものだと考えるようになった。

解答に入れる要素は、次のとおりです。最後の要素が、答えの末尾に置く「一言」です。

  • 変化前 人が目の前で死ぬのは恐ろしいことだと考えていた。
  • きっかけ 穏やかな時間だった祖父の臨終に立ち会ったこと。
  • 気づき 人の命には終わる瞬間があること。
  • 変化後 敬意を持って受け止めるべきものだと考えるようになった(最後に置く一言)。

失点しやすい書き方は、出来事を書いたところで終わり、「どう考えるようになったか」という気持ち・考えの言葉で結んでいない答えです。また、変化後だけを書いて「以前はどう考えていたか」を落とすと、「変化」を説明したことになりません。「考えるようになった」と、考え方の変化で文を結ぶことが大切です。

問七 傍線⑤「今度は妙に客観的なことを思った」ときの筆者の様子5点

一言で決めると、「祖父を思い出して、気持ちが落ち着いた」です。傍線の前では「かえんなきゃ」と小さくつぶやいて焦っていましたが、祖父を思い出したあとは「こころが平らになるかんじがした」とあります。そして傍線のあとは、「家へ帰ろう」と、静かに次の行動を考えています。

答えはエです。アの「前向き」、イの「後悔」、ウの「覚悟」は、本文にそうした気持ちが書かれていないので選べません。

解答例
エ

問八 会話文の空らん((1)記号・(2)漢字二字)各4点

(1)は、「という構成からも、筆者の死生観とのつながりが」と読める部分です。筆者は、老いたとんぼに祖父を重ね、死についての考えを深めていきました。とんぼから祖父へ、そして死生観へという流れが、文章全体の構成になっています。答えはアです。

(2)は、「ⅱの変化を描写して、生から死への移ろいを表す」の空らんです。文章は「日差しはまだ夏のように」で始まり、「もう秋、そして秋はもう冬なのだ」で終わります。夏から秋、冬へと移る描写が、生から死への移ろいを表しています。答えは季節です。

解答例
(1) ア / (2) 季節

大問二 説明文 唐沢かおり『「気が利く」とはどういうことか 対人関係の心理学』

論の流れ 「相手のためにしたこと」が迷惑になるのはなぜか

この文章のテーマは「不適切な配慮」です。相手のためを思ってしたことが、かえって相手の迷惑になってしまうことがあります。筆者は、その原因を二つに分けて説明します。段落①から⑤は「社会的な要因」、段落⑥から⑫は「個人的な要因」です。

図2 2026年 第8回全国公開模試 大問二 論の流れ
善意の行動でも、行為が過剰で、受け手が不快になることがある(不適切な配慮)
▼
特徴 行う側は善意なので、自分の行為が問題だと気づきにくい(問二)
受け手への影響 自己効力感の低下、負担感や罪悪感(問三・問四)
▼
なぜ起こるのか 原因は二つ
社会的な要因(段落①〜⑤) 察すること・空気を読むことを重んじる文化的な規範(問六)
個人的な要因(段落⑥〜⑫) 共感の失敗、手段と目的の入れかわり、自己中心的な動機(問七〜問九)
▼
まとめ 背後にある要因とその作用を知れば、不適切さを回避できることもある(問十)

問一 品詞の識別(a・b)各3点

a「望ましくない」の「ない」、b「面倒だ」の「だ」と同じ用法を選ぶ問題です。ことばの切れ目で品詞を判断します。

aの「望ましくない」は、「望ましい」という形容詞に、形容詞の「ない」がついた形です。「ない」の前が「望ましく」と形容詞の形になっていることから、形容詞の「ない」だと判断できます。選択肢では、イの「赤くない」が同じ用法です。

bの「面倒だ」は、「面倒」に「だ」がついた形で、「だ」までふくめて形容動詞です。選択肢では、イの「見事だ」が同じ用法です。

解答例
a イ / b イ

問二 「不適切な配慮」の例と特徴の空らん(1)4点・(2)各3点

(1)は、「不適切な配慮」の例としてふさわしくないものを選ぶ問題です。不適切な配慮とは、善意からの行動でも、行為が過剰で、受け手が不快になることでした。この定義に合わないものを選びます。ウは、教え方が悪かっただけで、行為が「過剰」なわけではありません。答えはウです。

(2)は、傍線のあとの段落で特徴をまとめている部分です。次の三つが入ります。

  • Ⅰ 「価値観や感情」を基準にする自己中心性がある。
  • Ⅱ 「これが相手にとっても良いことだ」という「思い込み」がある。
  • Ⅲ 行う側は善意なので、「自分の行為」が問題だと気づきにくい。
解答例
(1) ウ / (2) Ⅰ 価値観や感情 Ⅱ 思い込み Ⅲ 自分の行為

問三 傍線②「同様の問題」とはどのような点か5点

「同様」とは、何と何が「同じ」なのかを考えます。一言で決めると、「受け手自身によくない影響が出る」点です。

傍線の前の段落では、受け手の「自己効力感」(自分の能力に対する信念)が下がることが書かれています。傍線のあとでは、受け手が「負担感や罪悪感」を持つことが書かれています。どちらも、受け手自身に起こる影響という点が共通しています。答えはウです。

アは前後の順序が逆になっています。イは「相手に向けた影響」で、受け手に起こることではありません。エは「言いすぎ」で、本文以上のことを言っています。

解答例
ウ

問四 負担感や罪悪感と、感謝の義務各4点

(1)は、「負担感や罪悪感」とは、どのような感情かを、本文から20字で抜き出す問題で、初めの5字を答えます。傍線の二つ前の段落に、「返報性のルールに反することから生じる感情」という説明があります。初めの5字は返報性のルです。

(2)は、感覚を選ぶ問題です。一言で決めると、「支配される対象になっているような感覚」です。感謝の表明を義務のようにされると、受け手は自分で自由に決められない立場に追い込まれ、「自己決定の自由」を奪われる可能性があります。そのため、コントロールされているように感じてしまいます。答えはアです。

イの「欲求が過剰」、ウの「支援の自由」、エの「自分を責める」は、この箇所の説明と合いません。

解答例
(1) 返報性のル / (2) ア

問五 傍線④ 個人的な要因の説明は何番の段落からか4点

まず、論の流れを確認します。段落①から⑤は、「社会的な要因」の説明です。段落⑥の初めに、「私たちの心の働きも、不適切な配慮を生み出す原因になります」とあり、ここから「個人的な要因」に話が移ります。「個人的な要因」は、「私たちの心の働き」を言いかえた説明です。答えは6です。

解答例
6

問六 傍線⑤「その一因」とは何の一因か(記述)7点・40字以内

指示語の「その」は、直前の内容を指します。直前には、「無理に察するのをやめて、自分が思うままに振る舞えば良いかというと、なかなかそういうわけにはいきません」と書かれています。「その一因」は、この「そういうわけにはいかない」ことの一因です。

答えの組み立て
① 結論を一言で決める。何の一因かを、指示語の指す内容から決めます。「自分が思うままに振る舞うわけにはいかない」ことです。この一言を、答えの最後に置きます。
② 本文の根拠で確かめる。直前の「自分が思うままに振る舞えば良いかというと、なかなかそういうわけにはいきません」が、そのまま根拠になります。
③ 状況を先に、一言を最後に。「他者の気持ちを察しないで」という状況を先に書き、「自分が思うままに振る舞うわけにはいかない」で結びます。
解答例
他者の気持ちを察しないで、自分が思うままに振る舞うわけにはいかないということ。

ポイントは、「察することや空気を読むことを重んじる文化的な規範」の説明を答えにしないことです。問われているのは、「何の」一因か、であって、「一因は何か」ではありません。設問の聞き方を読みちがえないように注意します。

問七 傍線⑥「配慮の基になる共感が不適切だと、配慮も不適切になる」とはどういうことか(記述)10点・70字以上90字以内

「どういうことか」と聞かれたときは、結論となる内容を一言で決め、それを文末に置く型で組み立てます。

答えの組み立て
① 結論を一言で決める。共感が不適切だと、配慮はどうなるのか。「過剰な行動をとって相手に迷惑をかけてしまう」です。この一言を、答えの最後に置きます。
② 本文の根拠で確かめる。段落⑦と⑧に、共感の失敗が二つ書かれています。一つ目は、「感情的共感」が強すぎて、相手の悲しみや苦しみを自分のことのように捉えすぎ、自分も同じ感情を経験してしまうこと。二つ目は、「認知的共感」の失敗で、自分が感じている気持ちを相手に当てはめ、相手も同じように感じていると思い込んでしまう「投影バイアス」です。
③ 状況を先に、一言を最後に。二つの失敗を先に書き、最後を「過剰な行動をとって相手に迷惑をかけてしまうこと」で結びます。
解答例
配慮する相手の感情を自分事として捉えすぎて自分も同じ感情を経験したり、自分が抱いている感情を相手も抱いていると思い込んだりした結果、過剰な行動をとって相手に迷惑をかけてしまうこと。

解答に入れる要素は、次の三つです。

  • 感情的共感が強すぎて、相手の感情を自分事として捉えすぎ、自分も同じ感情を経験する。
  • 認知的共感の失敗で、自分の感情を相手も抱いていると思い込む。
  • その結果、過剰な行動をとって相手に迷惑をかけてしまう(最後に置く一言)。

失点しやすい書き方は、二つの共感の失敗を並べただけで終わり、「その結果どうなるのか」を書いていない答えです。また、「共感が不適切」という設問の言葉をそのまま繰り返すだけでは、説明になりません。「過剰な行動」「迷惑」という結果の言葉で結びます。

問八 空らん⑦に入る四字熟語4点

空らんの前後の段落で、何と何が入れかわっているのかを確かめます。段落⑩では、承認欲求は自分が成長するための「手段」として出てきます。段落⑪では、自分の価値を確かめることが、配慮の「目的」になってしまっています。手段と目的が入れかわっているので、四字熟語は本末転倒です。答えはエです。

解答例
エ(本末転倒)

問九 自己中心的な動機の例と、その理由各5点

(1)は、「自己中心的な動機」の例を説明した二文を抜き出し、初めと終わりの三字を答える問題です。傍線の直前の例は「二文」の条件に合わないため、段落⑨に目を移します。「過剰な干渉や支援は、……」と始まる一文と、「さらに、……」で続く一文があります。この二文が条件に合います。初めの三字は過剰なです。終わりの三字は、文末の「でしょう。」の最後の三字、つまりょう。です。句読点も一字に数えます。

(2)は理由を選ぶ問題です。一言で決めると、「相手が何を求めているかを察さず、自分の欲望で動いてしまうから」です。段落⑫に、「相手が本当に望むことを推し量ることなく」とあります。答えはイです。アは、「相手が望むことを探ろうとする」が本文と逆です。

解答例
(1) 初め「過剰な」・終わり「ょう。」 / (2) イ

問十 文章の構成を説明したもの5点

構成の問題は、段落のまとまりごとに「何を説明しているか」を順に言いかえて確かめます。この文章は、初めに不適切な配慮の内容と結果を述べ、次に理由を「社会的な要因」と「個人的な要因」に分けて説明し、最後に、背後にある要因とその作用を知れば不適切さを回避できることもある、と読者へのヒントでまとめます。この流れに合うのはアです。

イの「規範を示す」、ウの「複雑さを示す」、エの「共感が唯一の方法」は、文章全体のまとめ方とは合いません。

解答例
ア

大問三 ことわざ

示された言葉と、最も関係の深いことわざを選ぶ問題です。各3点です。ことわざは、意味と、使う場面をセットで覚えます。

  • 1 筋違い → 江戸の敵を長崎で討つ(イ)。関係のないところで仕返しをする、という意味です。
  • 2 心残り → 後ろ髪を引かれる(オ)。未練が残って、その場を離れにくい様子です。
  • 3 好都合 → 鴨がネギをしょってくる(ウ)。都合のよいことが重なる、つまり幸運が重なる様子です。
解答例
1 イ / 2 オ / 3 ウ

大問四 漢字の書き取り

10問・各2点です。送りがなも書く問題が含まれます。動画では、答えを一画ずつ書き順どおりに書いて見せています。

  • 1 チームは敗戦を機に「奮起」し、日々努力を重ねた。
  • 2 合格祈願のため、友人と神社へ「参拝」した。
  • 3 彼の理不尽な意見には「承服」しかねる。
  • 4 この小説は、命の「尊厳」が重要なテーマとなっていた。
  • 5 クライマックスでの彼女の演技は「圧巻」だった。
  • 6 来春、新型旅客機が「就航」するらしい。
  • 7 社会に対する「反骨」の精神が、新しい文化を生み出した。
  • 8 文学作品に触れることこそが、アイデアの「源泉」となる。
  • 9 彼は代表チームから「退く」そうだ。
  • 10 夕日に西の空が「染まる」。
まちがえやすい点
10番の「染まる」は、右上の部分が「丸」ではなく「九」の形です。「染」は、書き間違えやすい字なので、書き順といっしょに覚えておきます。9番の「退く」は、送りがなの「く」まで書く必要があります。

解答一覧

大問一

  • 問一 a エ / b ウ
  • 問二 Ⅰ イ / Ⅱ オ / Ⅲ エ
  • 問三 イ・ウ(順不同)
  • 問四 イ
  • 問五 老衰した時
  • 問六 (記述)解答例は本文中のとおり
  • 問七 エ
  • 問八 (1) ア / (2) 季節

大問二

  • 問一 a イ / b イ
  • 問二 (1) ウ / (2) Ⅰ 価値観や感情 Ⅱ 思い込み Ⅲ 自分の行為
  • 問三 ウ
  • 問四 (1) 返報性のル / (2) ア
  • 問五 6
  • 問六 (記述)解答例は本文中のとおり
  • 問七 (記述)解答例は本文中のとおり
  • 問八 エ(本末転倒)
  • 問九 (1) 初め「過剰な」・終わり「ょう。」 / (2) イ
  • 問十 ア

大問三・大問四

  • 大問三 1 イ / 2 オ / 3 ウ
  • 大問四 1 奮起 / 2 参拝 / 3 承服 / 4 尊厳 / 5 圧巻 / 6 就航 / 7 反骨 / 8 源泉 / 9 退く / 10 染まる

解答はすべて「解答例」です。記述は、解答例と同じ言い回しでなくても、必要な要素が入っているかが大切です。自分の答えを見直すときは、要素が入っているか、最後が一言で結ばれているかを確かめてください。

この回から持ち帰るべき3つのこと

1 記述は、結論を一言で決めて、答えの最後に置く

記述は、いきなり書き始めず、まず「答えの結論」を本文の言葉で一言にします。その一言を答えの最後に置き、前に状況やきっかけを並べます。大問一の問六は「敬意を持って受け止めるべきものだと考えるようになった」、大問二の問七は「過剰な行動をとって相手に迷惑をかけてしまうこと」が、それぞれの一言です。「なぜ」「どういうこと」のどちらの聞き方でも、同じ型が使えます。気持ちや考えが問われているときは、一言に気持ち・考えの言葉を含めます。

2 説明文は、「も」・指示語・接続語を手がかりに、本文の言葉で答える

大問一の問五は「も」、大問二の問六は「その」が手がかりでした。指示語や、「も」「さらに」などの言葉は、どこと、どこがつながっているかを教えてくれます。選択肢を選ぶときも、記述を書くときも、まず本文の言葉に戻って確かめます。

3 ことわざと漢字は、意味と使う場面で確実に取る

大問三・大問四は、合わせて29点(150点の約2割)です。ことわざは意味と使う場面をセットで、漢字は書き順と間違えやすい部分までふくめて覚えると、確実に得点できます。