2026年10月4日(日)に実施された四谷大塚 4年生 第6回公開組分けテストの国語を、YS中学受験国語力研究室が全問解説します。試験時間は40分、150点満点で、大問は四つです。大問1が漢字の書き取り、大問2が言葉の知識(慣用句・三字熟語・名詞の種類・呼応の副詞)、大問3が岳明秀さんの「春の雨にぬれて、獅子はおどる」(講談社)からの物語文、大問4が蒲生俊敬さんの「太平洋 その深層で起こっていること」(講談社)からの説明文でした。記述は2問(大問3の問三と、大問4の問三の2)で、どちらも10点です。国語の受験者は10,514名で、平均点は86点でした。この記事では、全問の答えと受験者全体の正答率、本文の根拠、図解動画、記述の答えの組み立てを順に示します。
出題構成と全体講評
- 大問は四つ、配点は計150点です。大問1が漢字の書き取り10問で10点(各1点)、大問2が言葉の知識14問で28点(各2点)、大問3が物語文で60点(問一から問九)、大問4が説明文で52点(問一から問五)です。大問3と大問4で112点を占め、読解が点数の中心です。
- 国語の受験者は10,514名、平均点は86点です。150点満点での平均点です。正答率から計算すると、大問ごとの得点の割合の目安は、大問1が77.7%、大問2が78.6%、大問3が48.8%、大問4が51.9%です。知識の二つの大問は8割近く、読解の二つの大問は5割前後でした。
- 解答らんは全部で46です。大問1が10、大問2が14、大問3が11、大問4が11です。大問4は問五までですが、一つの問の中が1・2やA・Bに分かれています。
- 物語文は、獅子舞にいどむ小学五年生の物語です。大問3の主人公は、東京から岐阜県の山あいに引っ越してきたナオ。これまで男子がしてきた獅子舞に立候補し、男子のショータと二人一組で練習しています。公民館の稽古で中学生のユウジにからまれる場面、ショータとの稽古で自分なりの獅子に気づく場面、祭りの日に笛のイスズと向き合う場面が出題されました。記述は問三の1問です(四十字以内)。
- 説明文は、超深海の生き物の調べ方を述べた文章です。トロール採取の問題点、海底に網カゴを置く作戦、網カゴを回収する仕組み、超深海魚シンカイクサウオの体型のわけが、順に説明されます。記述は問三の2の1問です(五十五字以内)。
- 記述は2問で、どちらも10点です。大問3の問三は、前後の言葉が与えられた空らんに、文章中の言葉を使って四十字以内で書く形です。大問4の問三の2は、文章中の言葉を使って五十五字以内で説明する形です。
- ぬき出しは6か所あります。大問3は、一文のはじめの五字が2か所と、連続した二文のはじめの五字が1か所。大問4は、六字・四字・十字の3か所です。字数と、文の数の条件を先に確かめることが大切です。
- 言葉の意味を知っていると選べる問いが三つあります。大問3の問一の「とげとげしく」「ちぐはぐに」と、問七の「はれものあつかい」です。
- 正答率の高かった問題。大問2の問四の2(98.1%)、大問2の問三の3と問四の3(どちらも97.0%)、大問1の「大陸」(92.9%)、大問3の問一のA(91.4%)が、90%を超えました。
- 正答率の低かった問題。大問3の問七(25.6%)、大問4の問三の2の記述(26.2%)、大問3の問六の2(29.1%)、大問4の問四(32.2%)、大問3の問九(34.7%)が、35%を下回りました。
- 知識問題で差がついたところ。漢字の正答率は、「教養」が61.3%、「開票」が66.8%でした。大問2では、問一の3の「鼻」が55.1%、問三の2の代名詞が59.7%、問四の1の「よもや」が60.8%です。
- 読解で差がついたところ。物語文は、後半の問六から問九の正答率が25.6%から45.7%でした。説明文は、記述(問三の2)の正答率が26.2%、網カゴを回収する仕組みを選ぶ問四が32.2%です。ぬき出しの6か所は29.1%から55.6%で、どれも6割に届きませんでした。復習は、この三つと、取りこぼしやすい漢字・慣用句から始めましょう。
この記事の正答率は、4年生 第6回公開組分けテストの受験者全体(国語10,514名)の値です。
大問1 漢字の書き取り(各1点・全10問)
線部のカタカナを漢字に直す問題です。送りがなが要るものは、ひらがなで書きます。出題された十語は次のとおりです。かっこ内は正答率です。
- 1 大陸(92.9%) ユーラシアタイリクを自転車で横断する
- 2 満開(75.6%) 庭の菊の花がマンカイだ
- 3 利発(81.7%) 一を聞いて十を知るようなリハツな子
- 4 量る(87.5%) 物の重さを正確にハカル(送りがなが必要)
- 5 水夫(76.1%) スイフとして船に乗る
- 6 連ねる(73.9%) 代表選手として名をツラネル(送りがなが必要)
- 7 望む(80.6%) 人気漫画の連載再開をノゾム(送りがなが必要)
- 8 開票(66.8%) 市議選のカイヒョウが終わる
- 9 一輪(80.5%) 花瓶にイチリンの花を挿す
- 10 教養(61.3%) 幅広いキョウヨウを身につける
十問のうち、正答率が90%を超えたのは1の「大陸」(92.9%)だけでした。70%を下回ったのは、10の「教養」(61.3%)と、8の「開票」(66.8%)です。「教養」は、学んで身につけた、はば広い知識や心の豊かさのことです。「開票」は、投票のあとで票を数えることです。「票」は、同じ読みの「表」「標」と書き分けましょう。
同じ読みで字を使い分けるものが、二つあります。4の「はかる」は、重さやかさなら「量る」、長さ・深さ・広さなら「測る」、時間や数なら「計る」です。文は「物の重さを」なので、「量る」と書きます。7の「のぞむ」は、願う意味なら「望む」、その場に向かい合う意味なら「臨む」(試合に臨む)です。文は連載の再開を願っているので、「望む」です。
意味を知らないと書きにくい言葉もあります。3の「利発」は、かしこいことです。文の「一を聞いて十を知る」が手がかりになります。5の「水夫」は、船で働く人のことです。
送りがなまで答えるのは、4「量る」・6「連ねる」・7「望む」の三つです。正答率は、「量る」が87.5%、「連ねる」が73.9%、「望む」が80.6%でした。「連ねる」は「ねる」まで、「量る」は「る」まで書きます。漢字が合っていても、送りがなをまちがえると点になりません。
大問2 言葉の知識(各2点・全14問)
大問2は、慣用句・三字熟語・名詞の種類・呼応の副詞の四つです。問一は漢字一字を書き、問二から問四は記号で答えます。意味の説明は、当研究所の補足です。14問のうち、正答率が80%を超えたものが7問あります。差がついたのは、問一の3(55.1%)、問三の2(59.7%)、問四の1(60.8%)です。
問一 体の一部を表す漢字一字(慣用句)漢字1字・各2点
設問 次の各組の慣用句の□に共通して入る体の一部を表す言葉をそれぞれ漢字一字で答えなさい。
- 1 口(87.2%) □を切る・□がすべる・□がうまい。「口を切る」は、最初に話し出すこと。「口がすべる」は、言ってはいけないことをうっかり言うこと。「口がうまい」は、話し方がたくみなことです。
- 2 目(77.0%) □が肥える・□もくれない・□を光らす。「目が肥える」は、よいものを見なれて、よしあしが分かること。「目もくれない」は、見向きもしないこと。「目を光らす」は、きびしく見はることです。
- 3 鼻(55.1%) □につく・□にかける・□であしらう。「鼻につく」は、あきていやになること、いやみに感じること。「鼻にかける」は、じまんすること。「鼻であしらう」は、いいかげんに冷たくあつかうことです。
3の正答率は55.1%で、大問2の14問の中で最も低い問題でした。三つの慣用句のすべてに入る一字を答えます。一つだけ見て決めると、まちがえます。たとえば3は、「□にかける」だけを見ると「目」も入りそうですが、三つすべてに入るのは「鼻」だけです。三つとも入れて、読んで確かめましょう。
問二 三字熟語の□に入る言葉記号選択・各2点
設問 次の三字熟語の□にあてはまる言葉を後から選び、それぞれ記号で答えなさい。1 □手先 2 □頂天 3 □姿勢 4 □不足。選択肢は、ア 低・イ 気・ウ 有・エ 役・オ 小です。
- 1 オ 小手先(71.2%) その場しのぎの、ちょっとした技のことです。
- 2 ウ 有頂天(84.4%) うれしくて夢中になることです。
- 3 ア 低姿勢(82.7%) 相手にへりくだった態度のことです。
- 4 エ 役不足(86.9%) その人の力に対して、役目が軽すぎることです。力が足りないことを言う「力不足」と、取りちがえやすい言葉です。
イの「気」は、どこにも使いません。選択肢が一つ余る問題では、入れやすいものから決めて、残りで確かめます。
問三 名詞の種類記号選択・各2点
設問 次の名詞は、ア=普通名詞、イ=固有名詞、ウ=数詞、エ=代名詞のどれにあたりますか。それぞれ記号で答えなさい。1 源氏物語 2 わたし 3 三十人 4 友情
- 1 イ 固有名詞(73.2%) 「源氏物語」は、一つしかない作品の名前です。人の名前や土地の名前と同じ、固有名詞です。
- 2 エ 代名詞(59.7%) 「わたし」は、名前の代わりに人を指す言葉です。
- 3 ウ 数詞(97.0%) 「三十人」は、数や量を表す言葉です。
- 4 ア 普通名詞(70.5%) 「友情」は、同じ種類のものに広く使える名前です。形のないものでも、普通名詞です。
正答率は、3の数詞が97.0%と高く、2の代名詞が59.7%で、問三の中で最も低くなりました。
問四 呼応の副詞記号選択・各2点
設問 次の各文の線部の言葉に注意して、□にあてはまる呼応の副詞を後から選び、それぞれ記号で答えなさい。選択肢は、ア たとえ・イ ぜひ・ウ はたして・エ よもやです。
呼応の副詞は、あとに決まった言い方が来る言葉です。文の終わりの線部を見て、組になる言葉を選びます。
- 1 エ よもや(60.8%) □あの学校が一回戦で敗れるようなことはあるまい。線部は、文の終わりの「まい」です。「よもや」は、「〜まい」と組になって、まさかそんなことはないだろう、という気持ちを表します。
- 2 イ ぜひ(98.1%) クッキーの試食です。□味見をしていってください。線部は、文の終わりの「ください」です。「ぜひ」は、「〜ください」と組になって、強く願う気持ちを表します。
- 3 ウ はたして(97.0%) 組分けテストの国語では、□何点取れるだろうか。線部は、文の終わりの「か」です。「はたして」は、「〜だろうか」のように、疑問を表す「か」と組になります。
アの「たとえ」は、「〜ても」と組になる言葉で、ここでは使いません。
2と3は正答率が97%以上でしたが、1の「よもや」は60.8%でした。「よもや〜まい」は、例文ごと覚えておきましょう。
大問3 物語文 岳明秀「春の雨にぬれて、獅子はおどる」
文章の概要
出典は、岳明秀(たけ めいしゅう)「春の雨にぬれて、獅子はおどる」(講談社)です。問題冊子の前書きには、次のことが書かれています。ナオは、東京から岐阜県の山あいに引っ越してきた小学五年生です。これまで男子がしてきた獅子舞に立候補し、男子のショータと二人一組で練習しています。ただ、女子が一人で目立とうとしている、という噂も聞こえていました。本文は、ナオが「あたし」と語る形で進みます。
本文の最初は、三月の公民館の場面です。稽古は週二回から三回にふえ、大部屋にはぴりぴりした空気がながれます。そんなある夜、中学生のユウジが、獅子をおどるナオの横で足をとめ、腰の落とし方や足の開き方に、しつこく口を出します。ナオが相手にしないでいると、ユウジはますます調子づきます。そして、背後に立ったユウジに右足をすくわれ、ナオはゆか板の上にひっくり返ってしまいます。ユウジは、悪いのはおまえだ、と強がります。ナオは、手につかんだ洗面器を投げつけてしまい、この場から消えたい気持ちで、月のかくれた夜道へ飛び出します。
中略のあとは、ショータとの稽古の場面です。ナオは、青年部の吉田さんに言われたことを考えています。自分の獅子は中途ハンパだと思うけれど、どんな獅子にしたいのかは、よくわからない。ショータは、自分を獅子のしり(獅子の下半身の担当)とはもう思わない、おもいっきり舞う、と言います。うしろのショータのうごきがはげしくなり、ナオは、はじめはおどりにくく感じます。けれども、油単(獅子舞の体の部分を隠す布)を通して、すこしずつショータのうごきを感じ取れるようになります。歩調がそろうと、獅子のことを考える余裕がうまれ、ナオは、自分が千鳥川の生活を気に入っていることに気づきます。そして、吉田さんの獅子とはちがう、あたしなりの獅子をおどることならできるかもしれない、と考えるようになります。
最後は、祭りの日の場面です。笛の演奏に自信がなく、祭りを休もうとするイスズを、みんなが説得しています。アキ・ヨモギ・ミヤビがやさしく声をかけるなか、ナオは、以前イスズに言われた言葉をあえて口にします。そのうえで、今日はおもいっきり獅子をおどるつもりだ、だからあなたに笛を吹いてほしい、と伝えます。イスズが土間に下り立つところで、本文は終わります。
なお、本文の57行めと58行めのあいだに中略があり、問題の都合で途中が省かれています。
登場人物
登場人物と関係を、図1で整理します。ナオを中心に、前半はユウジとショータ、後半はイスズと三人の女の子が出てきます。吉田さんは、この場面には出てこず、話した内容だけが出てきます。
東京から引っ越してきた。獅子舞に立候補した
獅子の下半身の担当。おもいっきり舞う、と言う
日ごろから年下を小バカにするような態度を見せる
演奏に自信がなく、祭りを休もうとする
アキはあやまり、ヨモギとミヤビはなだめようとする
獅子について、ナオに話してくれた
動画の人物の絵は、本文の描写をもとにした想像のイラストです。アキ・ヨモギ・ミヤビの三人は、本文に見た目の手がかりがないため、絵のだれがだれかは決めていません。
場面の流れとナオの気持ち
図2は、場面ごとの出来事と、ナオの気持ち、対応する設問を並べたものです。「-」はつらい気持ち、「+」は前向きな気持ちです。前半でどん底まで落ちた気持ちが、ショータとの稽古で上向きになり、祭りの日の決意につながります。
気持ちを答える問題は、線のすぐ前後の「したこと・言ったこと」から決めます。図2の出来事の欄が、その手がかりです。
問一 空らんA・Bに入る言葉記号選択(A 91.4%・B 67.5%)・各3点
設問 A・Bにあてはまる言葉を次から選び、それぞれ記号で答えなさい。選択肢は、ア つまびらかに・イ しなやかに・ウ ちぐはぐに・エ とげとげしくです。
何を答える問いか 言葉の意味を知っていて、前後の様子に合うものを選べるかを問う問題です。
A(エ とげとげしく) Aは4行めにあります。前は「中学生たちの顔つきがきびしくなり」、あとは「ぴりぴりした空気がながれた」(5行め)です。顔つきだけでなく、言葉まできつくなった、という流れです。「とげとげしい」は、態度や言葉づかいが荒く、きつい感じを表します。
B(ウ ちぐはぐに) Bは27行めにあります。前に「いちいち指摘してくるユウジが気になり」(26行め)とあり、気が散って、うごきがそろわなくなっていきます。「ちぐはぐ」は、物事が食い違って、調和がとれていないことを表します。正答率は、Aが91.4%、Bが67.5%で、Bで差がつきました。
残りの言葉 アの「つまびらかに」は、くわしく、はっきりと、という意味です。イの「しなやかに」は、やわらかく、なめらかに、という意味です。どちらも、前後の様子に合いません。
問二 線①「中学生のユウジがあたしの横で足をとめた」ときのユウジの気持ち記号選択(50.9%)・6点
設問 線①「中学生のユウジがあたしの横で足をとめた」とありますが、この時のユウジの気持ちとして最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
何を答える問いか ユウジが足をとめたあとに、したこと・言ったことから、気持ちを決める問題です。
本文の根拠 ユウジは、「日ごろから年下を小バカにするような態度を見せる」(8・9行め)人物です。足をとめると、「うわさのおんな獅子ってこれか」(12行め)とつぶやきます。ナオが相手にしないでいると、「ますます調子づいた」(14・15行め)とあります。そして、「からむのにちょうどよい相手を見つけたというように」(20・21行め)、ナオの前からうごこうとしません。女子が獅子をおどることをからかい、いやがらせをしているのです。
選択肢の検討
- ア 女子で獅子舞をやろうという「あたし」の実力を見極めよう。 実力を見ようというまじめな気持ちなら、「お上品な内股」(18・19行め)のような、からかう言い方はしません。
- イ 「あたし」の力はあなどれないので、からかって自信を失わせてやろう。 ナオの力をあなどれないと思っている様子は、本文にありません。
- ウ 年下の女子のくせに獅子舞をおどろうとする「あたし」にいやがらせをしてやろう。 上の根拠に合っています。これが正解です。
- エ 獅子舞など簡単だとうぬぼれる「あたし」に獅子舞の本当の厳しさを教えてやろう。 ナオがうぬぼれている様子は、書かれていません。ナオは、言われたとおりに腰をしずめています(17行め)。
問三 線②「悪いのはおまえやろ。なんべん注意されとるんや!」と言ったときのユウジ記述(四十字以内・47.3%)・10点
設問 線②「悪いのはおまえやろ。なんべん注意されとるんや!」とありますが、このときのユウジを次のように説明しました。□にあてはまるように文章中の言葉を使って四十字以内で説明しなさい。
- ナオを転倒させてしまい、□(四十字以内)動揺しながらも無理に強がっている。
何を答える問いか 空らんの前後は、設問がくれています。前が「ナオを転倒させてしまい、」、後ろが「動揺しながらも無理に強がっている。」です。つまり、結論の一言(動揺しながらも無理に強がっている)は、もう文末に置かれています。空らんに書くのは、その一言につながる、きっかけと状況です。条件は、文章中の言葉を使うことと、四十字以内です。正答率は47.3%でした。
答えの組み立て 結論の一言に向かって、きっかけと状況を並べる ふつうの記述では、まず結論を一言で決めて、答えの最後に置きます。この問いでは、その一言を設問が先に置いてくれています。そこで空らんの中は、きっかけ、状況の順に、本文の言葉で並べます。そして、後ろの「動揺しながらも」にそのまま続くように、「〜なって」の形で止めます。
本文の根拠 きっかけ 線②の少し前に、「ユウジも転倒させる気もちまではなかったんだろう。」(34行め)とあります。続けて、「意外な結果に、自分でもおどろいているようすだった。」(34・35行め)。ユウジは、転ばせるつもりはなく、ナオが転んだことに自分でもおどろいています。これが、動揺のきっかけです。
本文の根拠 状況 すぐあとに、「だけどまわりの視線があつまり、あとにひけなくなったみたいだ。」(35〜37行め)とあります。みんなが見ている前で、いまさら引き下がれなくなったのです。そのため、「しどろもどろになりながら」(37・38行め)、線②の強がりを言います。
① きっかけ 意外な結果に、自分でもおどろいた
② 状況 まわりの視線があつまった
③ 状況 あとにひけなくなった
結論の一言(設問が文末に置いている) 動揺しながらも無理に強がっている
書く順番は、①→②→③です。四十字以内に収め、最後を「〜なって」で止めて、後ろの文につなげます。
解答例の組み立て 解答例は、「自分でもおどろいていたが」(きっかけ)、「まわりの視線があつまり」(状況)、「あとにひけなくなって」(状況)の三つをつないでいます。前の「ナオを転倒させてしまい、」から、後ろの「動揺しながらも無理に強がっている。」まで通して読むと、一つの文になります。空らんに入れたら、前後とつなげて読んで確かめましょう。
失点しやすい書き方
- おどろきだけで終わる 「自分でもおどろいて」だけでは、なぜ強がるのかが分かりません。あとにひけなくなった、という状況が要ります。
- 「あとにひけない」を落とす 視線があつまったことだけを書くと、強がりにつながりません。
- 空らんの前後をくり返す 「転倒させてしまい」「強がっている」は、設問の文にもう書かれています。くり返すと、字数が足りなくなります。
- 文末を「〜から。」にする 後ろの「動揺しながらも」につながりません。理由を答える形ではなく、文の途中に入る形で書きます。
問四 線③「あたしの中で、なにかが吹き飛んだ」ときのナオ記号選択(71.5%)・6点
設問 線③「あたしの中で、なにかが吹き飛んだ」とありますが、このときのナオについての説明として最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
何を答える問いか 吹き飛んだ「なにか」とは何かを、直前の文から読み取ります。
本文の根拠 直前に、「くやしかった。ゆるせなかった。」(40行め)とあります。続けて、「いつもなら自制の安全装置が作動するはずなのに、このときはこわれてしまった。」(40・41行め)と書かれています。「自制」は、自分の気持ちをおさえることです。いつもなら、がまんしてやり過ごせる。けれども、転ばされたうえに悪く言われて、がまんがきかなくなりました。吹き飛んだのは、この自制です。直後に、ナオは洗面器をユウジめがけて投げつけています。
選択肢の検討
- ア ユウジがわざとやったのではないにしろ、くやしくて泣きそうになっている。 泣きそうな様子は、ありません。ナオは「キッとにらみ上げ」(37行め)、このあと洗面器を投げつけています。
- イ 意地の悪いユウジに仕返しをしてやれるチャンスがようやく来たといきおいこんでいる。 前からねらっていたのではありません。「気づいたら」(43行め)、投げつけていたのです。
- ウ ユウジごときにひどくプライドを傷つけられたことがゆるせず、自分への怒りを爆発させている。 怒りが向いているのは、自分ではなく、ユウジです。
- エ ユウジのひどい行いのせいで、いつもの冷静に我慢する気持ちを失い、怒りの感情にのまれている。 上の根拠に合っています。これが正解です。
問五 線④のときのナオの気持ちを、たとえで表した一文ぬき出し(はじめの五字・52.0%)・6点
設問 線④「外へ飛び出し、月のかくれた夜道を一気にかけた」とありますが、このときのナオの気持ちを、たとえを使って表した一文をさがし、はじめの五字をぬき出しなさい。
何を答える問いか 条件は三つです。たとえを使っていること、一文であること、はじめの五字を答えることです。
本文の根拠 線④の少し前に、「あたしは……、あたしは……、この場から消えたかった。」(53行め)とあります。これが、このときのナオの気持ちです。すぐあとの文が、「ストーブの天板においた雪みたいに、とけてなくなりたかった。」(54・55行め)です。「みたいに」は、たとえを表す言い方です。消えてしまいたい気持ちを、ストーブの上でとける雪にたとえています。この一文のはじめの五字が、答えです。
まちがえやすいところ 53行めの文は、気持ちをそのまま書いた文で、たとえを使っていません。たとえの文をさがすときは、「みたいに」「ように」という言い方を目印にします。
問六 線⑤「あたしにできる獅子」 吉田さんの獅子と、ナオの獅子ぬき出し(はじめの五字・1 45.7%・2 29.1%)・各5点
設問 線⑤「あたしにできる獅子」とありますが、
- 1 吉田さんがナオに教えてくれた「獅子」とはどんなものですか。それがわかる一文のはじめの五字をぬき出しなさい。
- 2 ナオはどのような獅子にしたいと考えるようになりましたか。それがわかる連続した二文のはじめの五字をぬき出しなさい。
何を答える問いか 1は吉田さんの獅子、2はナオの獅子です。1は一文、2は連続した二文、という条件のちがいに注意します。
1の根拠 線⑤の直前に、「獅子には天災や病気を追いはらう力強さと、人間のこころをなぐさめるひょうきんさがあるって吉田さんは話してくれた。」(74〜76行め)とあります。文の終わりが「吉田さんは話してくれた」なので、吉田さんが教えてくれた獅子だと分かります。次の文に、「でもそれは吉田さんの獅子だ。」(76行め)とあることも、確かめになります。
2の根拠 線⑤のあと、ナオは、ここに来てからの三か月をふり返ります。そして、「あたしは雪におおわれた千鳥川の生活をけっこう気に入っているんだ。」(85・86行め)と気づきます。そのうえで、「神サマのお使いになんてなれないけれど、三か月分の思いをこめて、あたしなりにおどることならできるかもしれない。」(89〜91行め)、「イヤなことはイヤだとおこり、うれしいことはうれしいとよろこべる素直な舞手として。」(91・92行め)と考えます。二つめの文は、「として。」で終わる、言いさしの文です。前の文とあわせて、どんな獅子にしたいかを表しているので、この二文が答えになります。
まちがえやすいところ 85・86行めの文は、千鳥川の生活への気持ちで、獅子のことではありません。2は、どのような獅子にしたいか、を聞いています。設問の言葉と、同じ話題の文を選びます。正答率は、1が45.7%、2が29.1%で、2のほうが低くなりました。
問七 線⑥「イスズをはれものあつかいしている」とはどういうことか記号選択(25.6%)・5点
設問 線⑥「イスズをはれものあつかいしている」とありますが、どういうことですか。最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
何を答える問いか 「はれものあつかい」という言葉の意味を、この場面に当てはめる問題です。正答率は25.6%で、46の解答らんの中で最も低い問題でした。
本文の根拠 「はれものあつかい」は、相手の機嫌を損なわないように、おそるおそる接することです。祭りを休むと言うイスズに、アキは「昨日はごめん。わたし、言いすぎた」(102行め)とあやまります。ヨモギは「わたしも音の出しにくいところ、いくつもあるよ」(108行め)、ミヤビは「そうやさ、できんのはみんないっしょや。あんただけやない」(110・111行め)と声をかけます。どれもやさしい言葉です。けれどもナオは、「ちゃんとむき合っていないっていうか。」(113・114行め)と感じています。気をつかうばかりで、イスズの気持ちに正面から向き合っていない、と見ているのです。
選択肢の検討
- ア イスズの機嫌が悪くならないように周囲が必要以上に気をつかっているということ。 言葉の意味にも、ナオの感じ方にも合っています。これが正解です。
- イ イスズが気を取り直してくれるような言葉を必死に選んでいるということ。 三人の接し方を、よいものとして説明しています。ナオの感じ方と合いません。
- ウ イスズの気持ちがこれ以上落ち込まないように明るく接しているということ。 明るく接している様子は、書かれていません。「はれものあつかい」の、おそるおそる、という意味も入っていません。
- エ イスズの傷ついた心をいやせるようになぐさめているということ。 これも、よい接し方としての説明です。ちゃんとむき合っていない、というナオの見方が入っていません。
問八 線⑦ ハラハラしている三人の気持ち記号選択(44.4%)・5点
設問 線⑦「ヨモギもアキもミヤビも、あたしがなにを言い出すんだろうって、ハラハラしている」とありますが、このときの彼女たちの気持ちとして最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
何を答える問いか 三人が何を心配しているのかを、直前のナオの言葉から読み取ります。
本文の根拠 線⑦の直前で、ナオはイスズに、「あなた、男の子にまじって獅子をおどるあたしに、目立ちたいからだって言ったよね?」(116・117行め)とたずねます。以前イスズに言われた、いやな言葉を、ここで持ち出したのです。三人は、落ちこんでいるイスズをナオが責めて、話がこじれるのではないか、と心配しています。「ハラハラ」は、どうなることかと心配する気持ちを表す言葉です。
選択肢の検討
- ア ナオの発言の意図がわからず、これから何を言い出すのだろうかと必死に考えている。 「ハラハラ」は、心配する気持ちです。考えこんでいるのではありません。
- イ ナオがイスズに復讐の機会をねらっていたのだと思い、ナオの迫力に恐怖をおぼえている。 「復讐」「恐怖」は、言いすぎです。そこまでの様子は書かれていません。
- ウ 以前のイスズの発言をナオが責め、この場が収まらなくなるのではないかと不安になっている。 上の根拠に合っています。これが正解です。
- エ ナオに非難されることになったイスズに同情しつつも、対象が自分たちに変わるのをおそれている。 自分たちが責められる心配は、書かれていません。
問九 線⑧「あたし、今日はね、おもいっきり獅子をおどるつもり」と言うナオの気持ち記号選択(二つ選ぶ・34.7%)・6点
設問 線⑧「あたし、今日はね、おもいっきり獅子をおどるつもり」とありますが、このときのナオの気持ちとして適切なものを次から二つ選び、記号で答えなさい。
何を答える問いか 線⑧のあとに続くナオの言葉を、終わりまで読んで、二つ選びます。二つとも合って正解です。正答率は34.7%でした。
本文の根拠 線⑧に続けて、ナオは「やっと春が来たぞって、おどりきってやろうと思ってる。」(127行め)、「もし獅子をおどりきったら、すこしだけ千鳥川の子に近づけるかもしれないって気がするの。」(128・129行め)と言います。今の自分のままで、最後までおどりきりたい。そうすれば、千鳥川の子に近づける、という思いです。さらに、じょうずに笛を吹けない、と言うイスズに、「今の自分をおもいっきり出せたら、最高ジャン。」(137・138行め)、「足りないところは、まわりが助けてくれるよ……きっと。」(138・139行め)と言います。足りないところがあっても、仲間が助けてくれる、と信じているのです。
選択肢の検討
- ア 陰口をたたかれてきたが、完璧な千鳥川の獅子をおどって周りを見返してやりたい。 完璧におどりたい、見返したい、という気持ちは、本文にありません。ナオは、「もし目立ちたいだけの獅子舞だと思ったら、遠慮なくおしえて。」(132・133行め)と、イスズに頼んでいます。
- イ 今の自分にできる最高の獅子をおどりきることで、千鳥川の獅子を表現したい。 上の根拠に合っています。正解の一つです。
- ウ 女子でも立派におどれるところを見せて地元の人を喜ばせ、ショータにも認められたい。 地元の人を喜ばせたい、ショータに認められたい、という気持ちは、書かれていません。
- エ たとえ足りないことがあっても仲間が助けてくれると信じて、獅子をおどりきりたい。 上の根拠に合っています。正解の一つです。
- オ まわりの実力に不安はあるけれど、自分のベストをつくすことで責任を果たしたい。 まわりを不安に思っているのではなく、まわりを信じています。責任を果たしたい、という気持ちも、書かれていません。
大問4 説明文 蒲生俊敬「太平洋 その深層で起こっていること」
文章の概要
出典は、蒲生俊敬(がもう としたか)「太平洋 その深層で起こっていること」(講談社)です。深海から超深海にかけての、真っ暗な海にすむ生き物を、どうやって調べるかを述べた文章です。
前半は、調べ方の話です。20世紀の中ごろ、デンマークの観測船ガラテア号と、旧ソ連の観測船ビチャーシ号は、水深6000〜1万メートルの海溝底でトロール網を曳き、多くの底生生物を採取しました。この試料は、超深海生物学を大きく進めました。しかしトロール採取は、現場を見ながら行うものではなく、引き上げた生物はたいてい死んでいます。そこで、魚を映像に捉え、なおかつ採取もしたい。ところが超深海は、餌が少なく、生物がとても少ない世界です。やみくもにカメラを降ろしても、大型生物にはなかなかめぐりあえません。そこで出てくるのが、海底に網カゴを置き、餌でおびき寄せる作戦です。網カゴのつくりと、回収の仕組みが、くわしく説明されます。
後半は、その成果です。性能を向上させた観察システムを水深7703メートル地点に設置すると、鱗のない白っぽい魚が、餌のまわりに群がって泳ぐようすが記録されました。体長7〜20センチメートルほどの、シンカイクサウオ(チヒロクサウオ)とよばれる超深海魚です。この魚は、なぜ、おたまじゃくしのような体型をしているのか。筆者は、その理由を、高い水圧と、肝臓にためた油から説明し、人類が開発した潜水船と共通する理由がある、と述べています。
なお、本文の28行めと29行めのあいだに中略があります。問題冊子の注には、旧ソ連について、1991年まで存在した、現在のロシアを中心とした国家、という説明があります。
論の流れ
図3は、文章の流れと、対応する設問を整理したものです。どこに何が書かれているかが分かると、ぬき出しや記述の根拠を、すぐにさがせます。
トロール採取と網カゴ作戦
前半の中心は、二つの調べ方の比べです。図4に、まとめました。問二・問三は、この左右のちがいから答えます。
網カゴを回収する仕組みは、手順が多いので、図5に順番どおりに並べます。問四は、この順番を選択肢と照らす問題です。
動画の網カゴの図は、本文の説明(かまぼこ型・両サイドの入り口・餌・カメラ・浮き・おもり)を組み合わせた模式図です。大きさや深さの比は、実物どおりではありません。
問一 空らんA〜Dに入る言葉記号選択(A 76.3%・B 71.5%・C 79.0%・D 80.7%)・各3点
設問 A〜Dにあてはまる言葉として適切なものを次から選び、それぞれ記号で答えなさい。選択肢は、ア そして・イ あるいは・ウ ですから・エ しかし・オ ところでです。
何を答える問いか 接続語を選ぶ問題です。空らんの前と後ろが、どういう関係かを見分けます。
A(イ あるいは) 前は「真っ暗な海の中を遊泳したり」(1・2行め)、後ろは「海溝底を這い回ったりする」(2行め)です。泳ぐ生物か、這い回る生物か。二つを並べて、どちらかを選ぶ関係なので、「あるいは」が入ります。
B(エ しかし) 前の段落は、トロール採取が「超深海生物学に大きな進展をもたらしました。」(9・10行め)という、よい面です。Bのあとは、現場を見ながら行うわけではない、生物はたいてい死んでいる、という問題点です。前と逆の内容なので、「しかし」が入ります。
C(ア そして) 前は、浮きをロープに取りつける話です。後ろは、「おもりをつけた装置全体を海中に投入し、海底まで自由落下させます。」(39〜41行め)です。設置の手順を、順につけたしているので、「そして」が入ります。
D(オ ところで) 前は、シンカイクサウオが撮影され、採取もされた、という話です。後ろは、「シンカイクサウオはなぜ、おたまじゃくしのような体型をしているのでしょうか?」(51・52行め)です。話題を変えているので、「ところで」が入ります。
使わない言葉 ウの「ですから」は、前が理由で、後ろが結果のときに使います。四つのどこにも合いません。
問二 ガラテア号・ビチャーシ号の採取法と、その問題点ぬき出し(六字・55.6%)・記号選択(50.4%)・各5点
設問 波線A「ガラテア号」、B「ビチャーシ号」とありますが、
- 1 これらの観測船が行っていた深海生物の採取法を何と言いますか。六字の言葉をぬき出しなさい。
- 2 1の採取法の問題点はどんな点にありますか。適切ではないものを次から一つ選び、記号で答えなさい。
1の根拠 11行めに、「両船が行ったようなトロール採取」とあります。「両船」は、ガラテア号とビチャーシ号のことです。六字の言葉は、「トロール採取」です。「トロール網」は五字で、採取法の名前でもないので、条件に合いません。
2は何を答える問いか 適切ではないものを選ぶ問題です。本文に合うものが三つ、合わないものが一つあります。合わない一つが答えです。設問の「適切ではないもの」に印をつけてから、選択肢を読みましょう。正答率は50.4%でした。
2の根拠 問題点は、「現場を見ながら行うわけではなく、また、引き上げられた網の中の生物は、たいてい死んでいます。」(11〜13行め)と書かれています。そのため、「超深海の現場がどんな環境であり、これら生物がどのように動き回っているのか」(13・14行め)といった情報は、得られません。一方で、採れた試料は「多岐にわたっており」(9行め)、超深海生物学に大きな進展をもたらした、とも書かれています。
選択肢の検討
- ア 現場を見ながら行うわけではないので、超深海の環境についての情報が得られない点。 本文に合っています。問題点として正しい説明です。
- イ 超深海で動く生物を実際に見ているわけではないので、引き上げた生物が実際に超深海に棲んでいたかどうかわからない点。 本文に合っています。線①の文に、映像として捉えて採取できれば、「超深海に実際にその魚が棲んでいたことの動かぬ証拠」(17・18行め)になる、とあります。裏返すと、トロール採取だけでは、その証拠にならない、ということです。
- ウ 引き上げられた生物が死んでいるので、実際の体の動きがわからない点。 本文に合っています。
- エ 引き上げることのできる生物の量と種類が限られていて、超深海生物学の進展に役立たない点。 本文と逆です。試料は多岐にわたり、大きな進展をもたらしました。適切ではないので、これが答えです。
問三 線①「超深海を回遊する魚を映像として捉え、なおかつ採取する」 難点と、克服する手段記号選択(67.9%)6点・記述(五十五字以内・26.2%)10点
設問 線①「超深海を回遊する魚を映像として捉え、なおかつ採取する」とありますが、
- 1 このために、どんなことが難点になりますか。最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
- 2 難点を克服するためにどのような手段をとりましたか。文章中の言葉を使って五十五字以内で説明しなさい。
1の根拠 線①の次の段落は、「ところが」で始まります。超深海は、「とにかく餌の量が絶対的に少ないため、生物の生息密度が非常に低い世界です。」(20・21行め)。そのため、カメラを降ろしたり、潜水船で動き回ったりしても、「大型生物とめぐりあう確率はたいへん低い」(23・24行め)のです。
1の選択肢の検討
- ア しんかい6500のような潜水船の照明が明るすぎて、生物が現れない点。 照明の話は、本文にありません。
- イ 超深海はもともと生物が少ない場所なので、大型生物を追ってもめぐりあう確率が低い点。 上の根拠に合っています。これが正解です。
- ウ 超深海は過酷な場所なので、長い時間の撮影に機器が耐えることが不可能な点。 機器が耐えられない、という話は、本文にありません。
- エ 海溝底にカメラやカゴを降ろして撮影や採取をすることは技術的にまだ困難な点。 本文では、実際に網カゴを設置して、撮影に成功しています。
2は何を答える問いか 「どのような手段」と聞かれています。答えの終わりは、手段を表す言葉にします。条件は、文章中の言葉を使うことと、五十五字以内です。正答率は26.2%で、大問4の中で最も低い問題でした。
答えの組み立て 結論の一言を決めて、答えの最後に置く まず、結論の一言を決めます。本文は、この手段を「作戦」とよんでいます。そこで、「作戦。」を答えの最後(文末)に置きます。その前に、することを順に並べます。並べるときは、線①の二つのねらいに、一つずつ答えます。「採取する」に答えるのが、網カゴを置き、餌でおびき寄せて捕らえること。「映像として捉え」に答えるのが、カゴの中のカメラで泳ぐ姿を撮影することです。
本文の根拠 25・26行めに、「それでは、海底に網カゴを置き、その中に餌をしかけておびき寄せる作戦はどうでしょうか。」とあります。続けて、「カゴの内部にカメラを装着しておけば、彼らが泳ぐ姿も撮影できるはずです。」(27・28行め)と書かれています。
① 置くもの 海底に網カゴを置く
② 採取の工夫 餌をしかけて、おびき寄せて捕らえる
③ 撮影の工夫 カゴの中にカメラを装着して、泳ぐ姿を撮影する
④ 結論の一言(答えの最後に置く) 作戦。
書く順番は、①→②→③→④です。五十五字以内に収めます。
解答例の組み立て 解答例は、網カゴを置き、捕らえ、また撮影する作戦、という一文です。「また」の前が採取、後ろが撮影で、線①の二つのねらいに一つずつ答えています。文末は、手段を表す「作戦。」です。
失点しやすい書き方
- 撮影を落とす 餌でおびき寄せて捕らえることだけを書くと、線①の「映像として捉え」に答えていません。
- 難点を書いてしまう 超深海は生物が少ない、という内容は、1の答えです。2で書くと、字数が足りなくなります。
- 回収の仕組みまで書く 音響信号や浮きの話は、問四の内容です。
- 文末が手段の言葉で終わらない 撮影した、で終えると、「どのような手段」に合いません。作戦、方法、のような言葉で結びます。
問四 線②「網カゴ」を回収する仕組み記号選択(32.2%)・6点
設問 線②「網カゴ」を回収する仕組みとして最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
何を答える問いか 何をきっかけに、何が動いて、網カゴが浮くのか。図5の順番を、選択肢と照らします。正答率は32.2%でした。
本文の根拠 41・42行めに、「1〜2日後、音響信号を送っておもりを切り離すと、浮力が勝った網カゴが浮上してくる」とあります。順に言うと、時間がたってから、音響信号を送る。その信号で、おもりが切り離される。おもりがなくなった網カゴが、浮力で浮上する、です。カゴのほぼ中央には、「船上からの音響信号によって、おもりを外すための音響切り離し装置」(35・36行め)が備えられています。
選択肢の検討
- ア 網カゴに浮きとおもりを付けておき、網カゴに魚が入ると、自然におもりが外れて浮上する。 魚が入ったことをきっかけに動く仕組みではありません。
- イ 網カゴに音響信号を送ると、ガラス製の浮きが作動して浮上してくる。 信号で動くのは、浮きではなく、おもりを外す装置です。
- ウ 網カゴに魚が入ると、音響信号が自動的に作動しておもりを切り離し、浮きの浮力で浮上する。 音響信号は、船の上から送るものです。魚が入ると自動で動くのではありません。
- エ 一定の時間が経過したあと音響信号を送るとおもりが切り離され、浮きの浮力で浮上する。 上の根拠に合っています。これが正解です。本文の1〜2日後が、一定の時間が経過したあと、と言いかえられています。
問五 線③ シンカイクサウオの体型の理由ぬき出し(四字・十字・A 48.9%・B 47.2%)・各4点
設問 線③「シンカイクサウオはなぜ、おたまじゃくしのような体型をしているのでしょうか」とありますが、この理由を説明した次の文の□にあてはまる言葉をそれぞれ指定の字数でぬき出しなさい。
- 超深海の□A(四字)に負けずに浮かんで泳ぐため、□B(十字)から。
何を答える問いか 空らんのある文は、形が決まっています。Aには、超深海で魚が負けそうになるもの(四字)が入ります。Bには、体型の理由になること(十字)が入ります。字数がぴったり合う言葉を、本文からさがします。正答率は、Aが48.9%、Bが47.2%で、どちらも半数に届きませんでした。
Aの根拠 56・57行めに、7500メートルの超深海には、750気圧に相当する「きわめて高い水圧」(57行め)がかかっている、とあります。四字に合うのは、「高い水圧」です。「きわめて高い水圧」は八字、59行めの「猛烈な圧力」は五字で、字数が合いません。
Bの根拠 線③の直後に、「じつは、肝臓が油でふくれあがっているためなのです。」(53行め)とあります。けれども、「肝臓が油でふくれあがっている」は十四字で、十字に合いません。次の段落の終わりに、「シンカイクサウオは、超深海中を浮かんで泳ぐために、肝臓に油をためているのです。」(61・62行め)とあります。「肝臓に油をためている」が、ちょうど十字です。空らんの前の「浮かんで泳ぐため」とも、この文はぴったり重なります。
水圧と体型のつながり 高い水圧のもとでは、海洋表層に暮らす魚たちが用いている「浮き袋はあっという間に潰れてしまい、なんの役にも立ちません。」(60・61行め)。そこでシンカイクサウオは、肝臓に油をためて浮かびます。肝臓が油でふくれあがるので、おたまじゃくしのような体型になるのです。筆者は、これを「浮き上がるためにガソリンタンクを備えたトリエステ号」(63・64行め)とよく似ていると述べ、「理に適ったやり方」(66行め)だと結んでいます。図6に、この流れをまとめました。
動画の、おもりがのる図と、浮き袋がつぶれる図は、本文の説明を形にした模式図です。
解答一覧
- 大問1 1 大陸 2 満開 3 利発 4 量る 5 水夫 6 連ねる 7 望む 8 開票 9 一輪 10 教養
- 大問2 問一 1 口 2 目 3 鼻
- 大問2 問二 1 オ 2 ウ 3 ア 4 エ
- 大問2 問三 1 イ 2 エ 3 ウ 4 ア
- 大問2 問四 1 エ 2 イ 3 ウ
- 大問3 問一 A エ B ウ
- 大問3 問二 ウ
- 大問3 問三(解答例) 自分でもおどろいていたが、まわりの視線があつまり、あとにひけなくなって
- 大問3 問四 エ
- 大問3 問五 ストーブの
- 大問3 問六 1 獅子には天 2 神サマのお
- 大問3 問七 ア
- 大問3 問八 ウ
- 大問3 問九 イ・エ
- 大問4 問一 A イ B エ C ア D オ
- 大問4 問二 1 トロール採取 2 エ
- 大問4 問三の1 イ
- 大問4 問三の2(解答例) 海底に網カゴを置き、餌をしかけて生物をおびき寄せて捕らえ、またカゴの中にカメラを装着して泳ぐ姿を撮影する作戦。
- 大問4 問四 エ
- 大問4 問五 A 高い水圧 B 肝臓に油をためている
4年生第6回公開組分けテストの国語で身につけたい力・家庭での練習
第6回の出題から言えることを、四つにまとめます。
- 気持ちを、線の前後の「したこと・言ったこと」から決める力(大問3) 問二・問四・問八・問九は、どれも、線のすぐ前後に手がかりがありました。ユウジの気持ちは、つぶやいた言葉と、ますます調子づく様子から。ナオの気持ちは、直前の文と、直後に洗面器を投げつけたことから決まります。正答率は、問二が50.9%、問四が71.5%、問八が44.4%、問九が34.7%でした。
家庭での練習:物語を読んだら、気持ちを聞く前に、「この人は何をした? 何と言った?」とたずねます。したこと・言ったことを二つ書き出してから、気持ちの言葉を一つ選ばせると、選択肢の言いすぎにも気づきやすくなります。 - 記述を、結論の一言から組み立てる力(大問3 問三・大問4 問三の2) 大問3の問三は、結論の一言(動揺しながらも無理に強がっている)が、設問の文末に与えられていました。空らんには、その一言に向かって、きっかけ(自分でもおどろいた)と、状況(まわりの視線があつまり、あとにひけなくなった)を、本文の言葉で並べます。大問4の問三の2は、結論の一言(作戦)を自分で文末に置き、線①の二つのねらい(映像として捉える・採取する)に、一つずつ答えます。正答率は、大問3の問三が47.3%、大問4の問三の2が26.2%でした。
家庭での練習:記述は、書く前に、結論の一言を紙の端に書きます。空らんに入れる形の問題は、書いたあと、前後の文とつなげて声に出して読みます。字数は、書き終えたあとに必ず数え直します。 - ぬき出しの条件を、先に確かめる力(大問3・大問4) ぬき出しは6か所ありました。一文のはじめの五字、連続した二文のはじめの五字、六字、四字、十字と、条件がすべてちがいます。大問4の問五は、「きわめて高い水圧」(八字)や「肝臓が油でふくれあがっている」(十四字)のように、内容は合っていても字数が合わない言葉が、近くにありました。6か所の正答率は、29.1%から55.6%でした。
家庭での練習:設問の字数と、一文か二文かの条件に、先に丸をつけます。答えの候補を見つけたら、指で一字ずつ数えてから書きます。 - 接続語と、設問の聞き方に注意する力(大問4) 接続語は、前と後ろの関係で決まります。第6回は、どちらかを選ぶ(あるいは)、逆の内容(しかし)、つけたし(そして)、話題を変える(ところで)の四つでした。問二の2は、適切ではないものを選ぶ問題です。正答率は、問一の四つが71.5%から80.7%、問二の2が50.4%でした。
家庭での練習:説明文の接続語を一つかくして、前と後ろの関係を言葉で説明させます。適切ではないもの、二つ選ぶ、のような聞き方には、読んだときに印をつける習慣をつけましょう。
知識問題では、体の一部の慣用句(口・目・鼻)、三字熟語(小手先・有頂天・低姿勢・役不足)、名詞の四つの種類、呼応の副詞(よもや・ぜひ・はたして)が出ました。漢字は、「量る」「望む」のような同じ読みの使い分けと、送りがなが、取りこぼしやすいところです。正答率が低かったのは、漢字の「教養」(61.3%)と「開票」(66.8%)、大問2の問一の3(55.1%)・問三の2(59.7%)・問四の1(60.8%)でした。大問3の「とげとげしく」「ちぐはぐに」「はれものあつかい」のように、意味を知っていると選べる言葉も出ています。「はれものあつかい」の意味を選ぶ大問3の問七は、正答率が25.6%でした。知らなかった言葉は、意味を一言で言えるようにして、短い例文と一緒にノートに残しておきましょう。
まとめ
2026年10月4日実施の4年生第6回公開組分けテストの国語は、40分・150点満点・大問四つで、記述は2問でした。国語の受験者は10,514名、平均点は86点です。大問3では、獅子舞にいどむナオが、ユウジとのいざこざでどん底まで落ちこみ、ショータとの稽古であたしなりの獅子に気づき、祭りの日にイスズとちゃんと向き合うまでを読みました。大問4では、トロール採取の問題点、網カゴ作戦とその回収の仕組み、シンカイクサウオの体型のわけを、順に読みました。
気持ちの問題は、線の前後のしたこと・言ったことから決める。記述は、結論の一言を文末に置き、前にきっかけや状況、することを並べる。ぬき出しは、字数と文の条件を先に確かめる。この三つを意識して、本文の言葉を根拠にして答える練習を重ねていきましょう。
