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【これで解決!】中学受験  撤退 or 継続 の見極めはどうする? | 指導歴20年の塾講師が判断基準についてアドバイス

突然ですが、皆さんは中学受験の 撤退 をお考えになったことはありますか?

中学受験対策として塾にお通いの方で学年の切替えを目前として「このまま中学受験を目指してよいものか?」とお迷いの方も多いと思います。

学年切替の進級タイミングを機会に中学受験の継続について真剣に考え直すことは重要です。「ここまでやってきたのだから引き下がれない・・」と惰性で続けていくことはお子さんにとってマイナスに働く場合もありますので注意が必要です。

これまでの20年間の指導の中で毎年ご相談いただいてきた「中学受験撤退or継続」問題について、判断方法やタイミング、決めた後の考え方について、私自身いろいろ悩み、考えてきました。

多くのご家庭と相談する中で見えてきた「中学受験 撤退 or 継続 」問題について「後悔をしない選択」をするための考え方についてまとめました。

今現在お悩みの方、是非ご参考になさってください。

中学受験を続けるかどうか迷ったら

お子さんが前向きに勉強に取り組まない、どんなにがんばっても成果が出ない、親がかけた手間暇そしてコストに結果が見合っていない気がする、、、など様々な理由から中学受験を継続すること自体に疑問をお持ちの方も多いと思います。

このようなお悩みが大きくなってきて数ヶ月にわたって解消しないようであれば「中学受験継続」について周囲の人々と思いを共有していく必要があります。

①お子さん自身の考えはどうか?このまま続けたいと思うか、諦めて後悔はないかなど。

②ご両親の考えはどうか?お父さん、お母さんの見解は一致しているか、ずれているとするならどこがずれているか、など。

③塾の先生や家庭教師の先生の考えはどうか?(あくまで参考に)客観的に見て中学受験をするべきと思えるか。

※ただし、塾や家庭教師の先生は基本的にビジネスとして「引き留める」ことが多いと思われます。ほとんどが中学受験撤退=退塾・退会となってしまうためです。内心はこの子は、中学受験に向いていないと思っていも、うまく乗せて中学受験を続けさせようとする講師もたくさんいますので注意が必要です。

話し合いではずはそれぞれの関係者の考え、今抱えている感情を共有し整理してから以下に挙げる項目の判断をしていきましょう。

撤退すべきケース

お子さんの様子

中学受験のストレスでお子さんの様子が明らかにおかしいようであれば撤退を検討したほうが良いでしょう。口数の多い子が無口になった、目がうつろで人と目を合わさなくなった、髪をかきむしるあるいは髪を抜く癖が出始めた、アレルギー体質になった、暴力を振るったり暴言を吐くなど素行が乱暴になった等。

これらは中学受験でかかってくるストレスがお子さんの許容度を超えてしまっており、体調や精神に支障をきたしているサインです。

カウンセラーや専門の病院やで診察を受けるなどで現状抱えているストレスがお子さんの心身に悪影響を与えていないか確認をしましょう。

家族の関係性

保護者の方とお子さんの関係、あるいはご夫婦間の関係が中学受験の話をきっかけに崩れてしまっては本末転倒。親子喧嘩、夫婦喧嘩、言い争いなどは一時のものであればまだしも、それが長期にわたってしかも激しさが増していくようですと家族間の関係性に深刻なひび割れを起こしてしまう可能性もあります。

某ドラマではないですが、実際に中学受験に対する意見の対立で離婚されるご家庭を私も見てきました。

しかし、家族の幸せが中学受験で壊れてしまうのであれば受験の目的はいったい何だったのか、それはこの子にとって本当に最良の選択だったのか、遅かれ早かれ疑問が生じてくるでしょう。

そのような深刻な問題に発展する前に撤退を検討することも必要かもしれません。

保護者の負担

塾のタイプによって保護者の負担感は大きく変わります。学習計画、プリント整理、宿題の進捗管理、わからないところのアドバイス、模試の日程管理、解き直しの管理・・・保護者のタスクが非常に多い塾もあれば、ある程度、それらを塾で肩代わりして実施してくれるケースもあります。

特にフルタイム共働きのご家庭は、今後学年が上がるに連れて、ご家庭に課されるタスクがさらに増加する中でそれらを消化しきれるのか、もう少しタスクを少なくしてくれる塾への転塾は選択肢にならないか、これらのタスクを消化しきれなかった場合の成績低下をどこまで許容できるか、などは整理して考えておきましょう。

程度にもよりますが、塾から「これをやってください」と指示されている各種タスクの7割程度は消化しないと、その塾に通った成果は出ないと考えたほうが良いでしょう。

塾講師や家庭教師の判断

塾講師や家庭教師から撤退を推奨するようなことはほとんどありませんが、もし撤退を促すような発言があったとすればかなり重く受け止めたほうが良いでしょう。多くの生徒さんを見てきて保護者の方より客観的にお子様のことを見られていると思いますし、ビジネスとしてはマイナスになるにもかかわらず「撤退」を提案してくるということはよほど重大な懸念があるとい思わざるを得ません。

私も15年ほど指導を経験した頃からようやく「これ以上やらせると子供が壊れてしまう」という判断がつくようになりました。その際には躊躇なくご家庭にお伝えするようにしています。

一方で経験が浅いと、お子さんの表面的な部分だけを見て中学受験に向いている、向いていないの判断をしてしまっているケースもあります。

お子さんをどこまで深く理解し、ご家庭に親身な提案をしてくれる先生なのか、また、その先生の経験値や指導スキルなどとも照らし合わせて判断していく必要があります。

継続すべきケース

成績ややる気にムラがある

努力はしているのに成績が右肩上がりにならないことから、お子さんの能力やセンスを疑い「中学受験に向いていないのでは?」と考える方が多いですが、決してそんなことであきらめる必要はありません。

膨大な中学受験の学習領域において得意・不得意は当然多く存在し、しかもそれはお子さんごとに全く異なります。それは偏差値として如実に現れますので努力の量と偏差値が全く相関しないことは珍しくありません。

中学受験のカリキュラムは多くが過去に学習した内容を反復するように組まれていますので特に苦手単元については数ヶ月~1年以上をかけて克服していくことも珍しくありません。

また、まだ10年と少ししか人生経験のない幼い子どもたちですから目標に向かって高い志を持ち、たゆむことなく努力を続けられる子は非常に少なく、いま一つやる気強く出てこない子も多くいるでしょう。やる気があるときと無いときの差が大きい子も大変多いです。

これらのことから成績が乱高下することが多くあります。しかし成績が右高上りに上がり続けることなどはほとんどありえず上がったり下がったりを繰り返し徐々に成長していくもの。

成績が上がらないから中学受験をやめる、というのはお子さんの成長可能性を放棄してしまうことにもつながるのです。

お子さんの取り組み姿勢が悪い

勉強はいつもいやいややっておりやる気が見られない、何度も言わないと宿題をやらない、自分から復習や解き直しをしない、目を離すとすぐ勉強以外のことを始める、、、などから「この子は本当に私立・国立中に行きたいのか?いやいややっているだけでは?」と疑問を持つのも自然なことではあります。そして親も大きな負担を負っている中、「やる気がないなら無理して中学受験する必要はないのでは?」という思いも当然お持ちになることがあるでしょう。

しかし、現在の取り組み姿勢が「やる気がない」「受け身である」ことだけで中学受験をあきらめてしまうのは本当にもったいないことです。

とにかく相手は幼い子供。大人のように目標に対して合理的考え、計算し、様々な欲求を抑え、努力を継続することはなかなかできるものではありません。

やる気が見られずお困りであれば、楽しみながら学習する工夫や、時折ご褒美を与えてみるなど大人側のアプローチを変えることで少しでもやる気を引き出す工夫をしてみましょう。

それによりせっかく一時的にやる気がでても継続しないこともあるでしょう。このような悩みは尽きませんが、それも含めてお子さんの成長をしっかり見守り、できるようになるまで待つことが大切です。

私の指導経験では、最難関中を目指すような子でも小6の夏ぐらいからようやく本気になるようなケースも珍しくありません。

お子さんの成長を信じて待つ姿勢も大切にしたいところです。

志望校に行きたい気持ちが消えない

お子さんが憧れている志望校への思いが少しでも残っているならば諦めてしまうのはもったいない。

どうしても行きたい学校があればいつかはお子さんから努力を引き出せます。それが長期にわたって目標として持ち続けたものであればなおさらです。強いあこがれを持っていてもお子さんの成長度合いによっては行動が伴っていないように見えることもあるでしょう。

しかしそれだけを根拠としてその憧れをあきらめさせるのは少々酷ではないかと感じます。

大切なのはその憧れを維持し確固とした「志」にまで昇華させること。学校について調べたり見学に入行ったり、イベントに参加したりするなかでその思いは強まっていくことでしょう。

そうした「志」の作り上げることでやる気や姿勢の改善にはいつかつながってくるものです。

撤退のメリット・デメリット

メリット

様々なストレスからの解放は心を落ち着かせることにつながるでしょう。またここまで高負荷な学習を続けてきていますから、学校とその延長の学習であれば難易度・量ともに非常に軽く感じるでしょうから一つひとつを深く学び取ることができるでしょう。

また中学受験の学習を経験していることは公立中に進んでからの学習アドバンテージにつながることが多く、自信を取り戻すことができる可能性が高いです。

私の塾でも一部の中学受験撤退組が中学生となって高校受験対策として通塾していますが、受験の時の知識が残っているため、相対的に成績上位に位置しています。

デメリット

学習期間が長ければ長いほど目標を取り下げてしまったという挫折感が強くなります。「やりきれなかった」という思いが強くなると自分自身に対する自信を失ってしまう子がいます。無気力になってしまう子もいます。

「中学受験を撤退した」=「勉強から解放された」という思いが強すぎて勉強に向き合うことがなくなってしまう子もいます。

中学受験を撤退しても勉強は終わらない、そのことはしっかり伝えておくことが必要です。

撤退決断。その後。

私の持論ですが、「撤退」は「後退」であってはならない。

勝負のタイミングを15歳、つまりは高校入試にずれこませただけでその子の能力を否定するものではありません。

それをお子さんによく理解させましょう。ここまで中学受験対策として学んできたことは高校入試や大学入試に必ず役立ちます。それをお子さんにしっかり伝えてください。

私の指導経験でも中学受験撤退したのち都立トップ高や早慶附属高に合格していった生徒が大勢います。彼らは成長のスピードから判断して12歳での勝負は厳しかった。継続してももっと低いレベルの中学に入ることになっていただろうと思います。

ただ中学に入ってから伸びた大きな原因はここまでやってきた中学受験での学習を無駄だと思わず、捨ててしまわなかったこと。

塾はやめてしまったが、テキストを継続して解き続けた子、通信教育で学校よりレベルの高い学習を継続した子などが多いです。

中学受験ほどの負荷はかけないまでも、次のステップに向けてどのような学習を進めていくのか、話し合い計画を立てることは非常に重要です。

決断のタイミングはいつが良い?

決断のタイミングは学年切替の2月がベスト。次いで各講習の前。春期講習や夏期講習でまとまった費用が請求される前に決めるのが良いでしょう。新年度に配られる教材その他の費用も講習の費用もそれらが始まる約1か月前に請求がかかるところが多いと思いますのでそのタイミングで検討をするのが良いかと思います。

1月(進級前)、2月(春期講習前)、6月(夏期講習前)、11月(冬期講習前)が検討のタイミングとしては適切。

逆に上記の月以外はその月に至るまでご家庭内で工夫をする、塾に相談するなどしながら様子を見ても良いのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。

「撤退or継続」問題は中学受験生をお子さんにもつ保護者のみなさんはほとんど全員が一度は抱える悩みかと思います。

最難関に合格するようなお子さんの保護者の方でも「うちの子向いてないのでは・・・」というお悩みを抱いていることは珍しくなく、毎年と言っていいほどご相談をいただきます。

時に撤退という決断が妥当であると感じることもありますが、表面上の事象だけでお子さんの成長を待てず諦めてしまった勿体ないケースもあります。

ここまでご説明してきた様々な観点からしっかり検討して悔いのない決断をしましょう。

最後に、仮に「撤退」を決めたとしてもそれ自体はお子さんの「後退」にはなりません。中学受験で学んだことは子らからのお子さんの未来に大きな糧となるはずです。

次の一歩を自信をもって踏み出せるよう応援していきましょう。

勉強のやる気が出ない子へのアプローチは↓こちらをご参照ください。

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