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個別指導を追加すると成績は伸びるのか?

入試が近づくにつれて受験生の模試の結果は生徒自身や保護者の皆さんの心をざわつかせますね。

20年近くこの業界に関わってきた私も、毎年この時期の生徒の成績はとても気になります。

私の管轄する教室はほとんどが集団と個別指導を併設している関係で

集団指導の生徒の保護者さんからこんな声をよく聞きます。

でも、成績が下がったことに焦りすぎて拙速な判断をすることは禁物です。

大手塾は講座数や売上のノルマから積極的に個別追加を勧めてくる時期でもあります。

本記事では入試が迫ってきた受験生で「個別指導」を受講を検討されている方に、

個別指導を受講するうえで注意すべきポイントを

大手塾運営サイドの視点も交えてお伝えしていきます。

本記事を読んていただくことで塾の本音も踏まえて「子供にベストな学習環境」を

与えるヒントをつかんでいただけると思います。

またにも

正しい個別運営の指針についてご参考にしていただけると思います。

本記事は以下のような方に参考になると思います。

入試が迫っているが成績不振。個別を追加しようか迷っている生徒・保護者の方

・「個別指導」の導入を検討されている塾経営者の方

個別指導のメリット

カリキュラムの柔軟性がある

算数、数学の図形問題が解けない、国語の説明的文章の読解が遅い、記述が書けない、など

生徒さんが抱える課題をピンポイントで集中して指導を受けられるメリットは大きいです。

個別指導は一般的に生徒一人一人に合わせたカリキュラムを組みますし、使用するテキストも

幅広く選択できるケースが多いです。

したがって苦手と感じる単元をカリキュラムに多く組み込んで、

何度も繰り返し指導を受けることが可能です。

指導のプロにその子の苦手分野に徹底して寄り添ってもらい

わかるまで丁寧に指導受けられるメリットは非常に大きいです。

指導レベルやスピードの調整が可能

集団指導と違って自分のペースで勉強できるかとも大きなメリットの一つです。

集団授業でば年間のカリキュラムや使用テキストが

厳密に決まっています。

また多くの学習塾はより高いレベルの学校への合格実績を稼ぎたい

という動機が働きますので、クラスの中でも

上位の生徒のレベルに合わせた指導になりやすい傾向にあります。

一方、個別指導であれば生徒に合わせて指導レベルやスピードを調整できます

理解が進まない単元は基本問題を繰り返す、

十分理解が進んでいる単元は基本を飛ばして応用に取り組む、など。

学習内容の選択という意味では非常に効率的です。

生徒本人の満足度が高い

このように自由度の高い個別指導は毎回の授業が

生徒の状況に合わせた内容になるために、学習内容の吸収度が高く

生徒の達成感が強い傾向にあります。

講師とのコミュニケーションか密に取れるため

メンタル面での安心感、充足感が強いのも特徴です。

良い講師に当たればモチベーションまでしっかり引き出しながら指導してもらえます。

個別指導のデメリット

料金が高い

大手塾だと1コマの月謝が概ね15,000円から場合によって30,000円程度。(講師:生徒が1:1~1:3など生徒数によってもさまざま)

集団は一般的に1教科7,000円~15,000円程度の設定が多いですから個別は割高です。

また「プロ講師」と称するベテラン講師を充てる場合は特別料金を取る場合もあります。

そして受験生の場合、入試までの期間が短いことから複数コマ取るように勧められることもよくあります。

受験生が今から個別を追加するには諸経費込みで一教科月あたりで安くても2万円程度

場合によって月あたり10万円以上の出費増は覚悟する必要があります。

競争がない=マイペースになりすぎる

集団と違い生徒は自分だけ、という状況は居心地が良い反面、

子どもから競争心をはじめとした授業中の「緊張感」を奪ってしまう傾向にあります。

集団ならば周囲の眼もあり、集中して講師の話を聞いていたような生徒が、

個別の授業ではだらけきっている・・ということもしばしば。

また、集団では「授業についていかないと取り残される」という切迫感がありますが、

個別の場合、どうしても「わからなかったらまたいつでも聞けばいい」という甘え

生じてしまいます。これが学習効率を下げてしまうこともあります。

効果測定が難しい

算数の図形問題の克服、長文読解演習・・・などの弱点克服のため、

ピンポイントで指導を依頼した場合にその成果を図る方法に乏しいという事実があります。

生徒本人は集団に比べると圧倒的に「わかったつもり」になりやすいのがまた厄介。

手取り足取り丁寧に教われば「わかったつもり」にはなりますが、

一人でできるかと言われればこれはまた別問題。

集団指導でよく行われるような小テストのような形式で指導内容のアウトプットができるかどうかで

「わかったつもり」なのか真の意味で「習得」したのかを見定める必要があります。

担当講師と保護者間で学習指針のズレか生じることがある

個別指導を塾に依頼するにあたって相談窓口は大抵、その教室の責任者や学年主任など

責任ある立場の方となり、実際に指導されるのは別の講師であることが多いでしょう。

大手になればなるほど教室内での組織も多層化していきます。

教室長⇒個別指導主任⇒個別担当講師、という形で伝言ゲームのように

指導内容の指示が下りていくことがありますが、その過程で保護者の方が意図したことや

細かなニュアンスがうまく伝わらず指針がずれてしまうことがあります。

個別授業担当者の経験が浅い、という理由で保護者との直接コンタクトをさせてもらえない

ケースも多いため注意が必要です。

担当者の指導スキルがビミョーなことがある

集団は年間を通じて授業担当者は固定、しかもそれなりのトレーニングを積んだ経験者が

担当することが一般的ですが、個別な時期ごとに需要が大きく変動するため、

入試直前期のような需要が高まった時に指導力がある担当が空いていることは少ないです。

塾の運営サイドに立って考えればお分かりいただけると思いますが、

力のある講師を浮かせておくこと自体がもったいないですから、年間通して

安定して担当いただける集団指導から割り当てていきます。

逆に高需要期に空いている講師というのは普段なかなか授業を持たせてもらえない

経験の浅い大学生の講師がトレーニングもかねて入試直前期に

個別を担当する、というのはよくあるケースです。

大手個別塾の不都合な真実

年度末までに売上を上げる手段となる

大手学習塾も一般企業と同様に3月末が年度決算となっている企業がほとんどです。

しかし、塾に生徒が最も多く入塾してくるのは4月。決算後なのです。

しかも2~3月は入試が終わり多くの受験生が卒業していくために売り上げは落ちます。

そこで経営陣は入試直前期1~2月の売上を必死に確保しようとします。

そこでもっとも都合よく使われるのが柔軟性が高く、単価も高い個別指導

ここはもはや教室長、塾長のモラルにかかっていますが、あまりにも多くの

コマを勧めてくる、あるいは1日でも早く始めるように急かしてくるようであれば

売上ノルマや目標に追われているタイプの人かと疑ったほうが良いかもしれません。

(※もちろん、純粋に子供の成績アップのために誠実に講座受講を勧める方も大勢います。)

利益率が高い

個別指導は経験の浅い大学生講師が担当することが多く、時給が比較的安く抑えられます。

大手塾の市場価格ですと学生講師なら時給換算で1200円~1800円ぐらい。

概ね1コマ1教科(70~90分程度)あたり1500~2000円程度。

集団指導だと講師時給は最低でも2000円、高いと5000円ぐらいになります。

また1科目の授業時間が長く(90分~180分程度)、1回の指導で支払う

給与は採点業務なども含め10,000円~20,000円程度。

1日あたり支払う講師への給与は集団指導の方が圧倒的に高いのです。

さらに前述のとおり個別の方が月謝単価が圧倒的に高いですから個別指導というのは

売上に対してコストが抑えられ、塾経営者にとってかなりおいしいわけです。

講師の調整がラク

集団指導というのはある意味公開授業で、職場の仲間が見に来たり、上司のチェックが入ったり、

時には保護者が授業参観に来たりすることもあります。

一方で、個別指導は完全に密室で生徒とマンツーマンになりますので、大人が指導の質を

判断することが難しい側面があります。

その教室責任者であっても個別指導で何をやっているかは後ろから聞き耳を立てる、

指導報告書を後でチェックするなどがせいぜい関の山です。

そこで教室運営サイドとして「経験が浅く担当授業が少ない講師をトレーニング代わりに

個別にあてがって指導経験を踏ませる」という意思が働きます。

極端な話、昨日採用したばかりの講師でも個別指導なら何とか体裁を保てる、

という事実はあり実際入試直前の受験生に未経験の講師があてがわれるケースもあります。

結局どうすればいい?

入試直前期に個別指導を追加、あるいは個別に切り替えをするのはリスクがありますが、

それでも他に手段が見つからずどうしても個別指導を使ってみたいという場合には

以下の点をしっかり確認して塾側と約束と取り付けておくことが大切です。

カリキュラムの質

まずは「いつまで」個別指導を受講するのか明確に決めましょう。

冬期講習はどうするのか、入試が始まってからはどうするのか、このあたりで

具体的に計画を立てて、個別指導が完了するまでの「総コマ数」を算出して

もらってください。

そしてその最終コマまでのすべてのコマで何を指導してくれるのか具体的な指導計画が

立てられているかをよく確認してください。

(「指導計画書」「指導スケジュール」のような書面を用意してくれる塾もあります)

もしそこが曖昧になるようであれば、コマを消化するだけ(=売り上げに貢献するだけ)の

状態になってしまう可能性が高いと思っておきましょう。

効果測定の方法

集団指導から個別指導に切り替えた生徒の「授業が分かりやすい」という感想だけをもって

個別指導の成果が上がったと勘違いする保護者が実に多いです。

自分のペースで、自分のレベルに合わせて指導してくれるのだから

「わかりやすい」のは当たり前。

気を付けるべきは「わかったつもり」と「できる(=問題が解ける)」の間には

大きな差があるということ

とはいえ、個別指導の授業中に効果測定をするのは困難です。

したがって、月1回程度は個別指導で指導された単元の問題やその類題を

家庭で解いてみて力がついているのかしっかり確認していく必要があります。

個別指導を始めて1か月経過しても家庭学習の演習で変化が見られないようであれば

必ず塾に相談をして指導内容の見直しを依頼しましょう

講師の質

個別指導の場合、若い大学生講師が担当するケースが多くなります。

学生でも指導力が高い方は大勢いますし、むしろ小中学生は年齢が違い分、

親しみを覚えやすく、信頼できるお兄さん、お姉さんとしてベテラン講師より

指導がスムーズになるケースもあります。

一方で、前述のとおり入試直前の重要な時期であっても経験が浅く、指導力が低い

講師があてがわれる可能性も十分あります。

このような事態を防ぐためには、必ず担当講師の方と直接そして定期的に話す機会をもらえるよう

依頼をしてください。講師の指導力が高いか低いかはお子さんの指導内容について

直接その担当講師と話し合う中で大体わかるはずです。

そして生徒さんの指導内容、その成果がどのように表れてきているのか、

それは入試での得点力にどの程度つながってくるのかを報告してもらってください。

高い月謝しはらっているのですからこれぐらい当然です。

もし、講師との直接コミュニケーションを断られるようであれば、

保護者の前に出せないような経験の浅い、コミュニケーションに不安のある担当である可能性が高く、

そういった塾での個別受講は避けたほうが良いでしょう。

個別指導塾はどこにでもたくさんあります。集団指導塾との併用だとしても、

個別の場合は系列の違う塾でも柔軟に対応できますので、

あまり一か所に固執はしないほうが良いですね。

お子さんに合う、そして品質のしっかりした個別指導塾をしっかり探していきましょう。

このように様々な確認・相談自校がありますので個別指導関連は是非直接面談で

塾サイドと話し合うべきです。面談の際に気を付けておきたいポイントをまとめたこちら↓の記事も

よろしければご参考になさってください。

まとめ

ここまで個別指導の追加あるいは切り替えを検討する際の注意すべきポイントを

お伝えしてまいりました。

いかがだったでしょうか?

特に中学受験生を抱える保護者さんを中心に、子供さんの合格を願うあまり

「私にできることはお金を出してあげることぐらいですから・・」と

大量の個別指導コマを申し込まれようとする方がいらっしゃいます。

でも本当にお子さんにしてあげられることは、お子さんにとって

本当に適切な環境で学習ができているかをキチンと見定めてあげること。

それをすべて営利企業である塾に丸投げするのはリスクが高すぎます。

是非、大人の視点で貴重な時間とお金をかける価値があるものか、

しっかり判断していきましょう。

そして、中小個人塾で個別指導を導入されている方、これから導入を検討されている方、

本記事で述べました「個別指導のデメリット」は小回りの利く個人塾では

メリットに転化できるのではないでしょうか。

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