東京都港区元麻布にある麻布中学校・高等学校は、1895年(明治28年)に江原素六が創立した麻布尋常中学校を前身とする私立の男子校です。制服がなく、校則も「校内では帽子をかぶらない」など最小限にとどめられており、自由な校風の代名詞として語られてきました。2026年春には東京大学に77名(現役58名)が合格しています。この記事では、2026年度入試の結果データ、偏差値、2026年春の大学合格実績、そして科目別の傾向と対策までを、公表資料にもとづいてまとめて解説します。
(2026年8月更新/出典は麻布中学校・高等学校の公式発表資料および四谷大塚の公表データ)
麻布中学校の2026年度入試結果データ
麻布中学校の入試は2月1日の1回のみです。2026年度入試は2026年2月1日に実施され、学校が公表した結果は次のとおりでした。
| 募集人員 | 300名 |
| 出願者 | 750名 |
| 受験者 | 720名 |
| 合格者 | 360名 |
| 実質倍率 | 約2.0倍(受験者÷合格者) |
| 最高点 | 159点(200点満点) |
| 最低点 | 102点(200点満点) |
合格最低点は200点満点中の102点で、得点率にすると51パーセントです。半分をわずかに超えれば合格圏に入るという水準になります。これは麻布の出題が、満点を取らせる設計ではなく、書ける受験生とそうでない受験生をふるい分ける設計になっていることの表れです。
実質倍率は約2.0倍で、首都圏の人気校としては低い水準です。ただし受験者720名の大半は上位層であり、数字ほど楽な入試ではありません。
麻布中学校の試験科目と配点
麻布の入試は4科目で、合計200点満点です。
| 科目 | 時間 | 配点 |
|---|---|---|
| 国語 | 60分 | 60点 |
| 算数 | 60分 | 60点 |
| 理科 | 50分 | 40点 |
| 社会 | 50分 | 40点 |
| 合計 | — | 200点 |
国語と算数がそれぞれ60分・60点で、理科と社会が50分・40点です。国算の比重が高い一方で、理社にも各50分という長い時間が与えられている点が麻布の特徴といえます。
なお2027年度(2027年4月入学者)の募集要項は、2026年8月時点でまだ公表されていません。例年は秋に発表されますので、日程や配点の変更の有無は学校公式サイトでご確認ください。
麻布中学校の偏差値(2027年入試用)
四谷大塚が公表している2027年入試用の予想偏差値は次のとおりです。
- Aライン80偏差値:65
- Cライン50偏差値:61
80偏差値65は最難関校の水準です。Cライン50偏差値との差は4ポイントで、この幅の中に合否の分かれ目が集中します。
麻布高校の大学合格実績【2026年春・最新】
学校が公表した2026年春の主な大学合格実績は次のとおりです。麻布は現役と既卒生を分けて公表しています。
| 大学 | 現役 | 既卒生 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 東京大学 | 58 | 19 | 77 |
| 京都大学 | 7 | 5 | 12 |
| 一橋大学 | 7 | 2 | 9 |
| 東京科学大学 | 13 | 4 | 17 |
| 早稲田大学 | 114 | 62 | 176 |
| 慶應義塾大学 | 56 | 57 | 113 |
| 上智大学 | 10 | 9 | 19 |
| 東京理科大学 | 26 | 32 | 58 |
1学年およそ300名の学校で東京大学に77名、うち現役が58名です。早稲田176名・慶應113名を合わせると289名にのぼり、私立難関大への合格層も厚いことがわかります。
表中の「東京科学大学」は、2024年10月に東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して誕生した大学です。過去の資料で東京工業大学と表記されているものと同一の系統だとお考えください。
麻布中の歴史と沿革
麻布中学校は1895年(明治28年)に麻布尋常中学校として創立され、初代校長を江原素六が務めました。当初は東洋英和学校内に校舎を構えていましたが、1899年(明治32年)に麻布中学校と改称しています。
創立者の江原素六は1842年(天保13年)に貧しい幕臣の子として江戸の角筈に生まれ、幕末の動乱期を生き抜いた人物です。明治維新後は新政府に出仕し、文部省で教育の近代化に尽力する中で、麻布中学校の前身となる学校を設立しました。
以来130年近くにわたり、麻布はアカデミズムの伝統を守りながら、生徒一人ひとりの個性と自由を尊重する校風を育ててきました。
麻布中の教育方針と校風
麻布の教育方針を一言で表すなら「自由と自主自立」です。制服も細かい校則もなく、生徒は自分で判断し、自分で責任を取ることを求められます。放任のように見えて、実際には高い自律性が前提になっている環境です。
授業では、中学1年・2年で数学を代数と幾何の2科目に分けるなど、独自のカリキュラムが組まれています。学校は本校のカリキュラムをこなすことを重視しており、塾や予備校に通わなくても学力が伸びる設計だとしています。
麻布中の施設・学習環境
東京都心にありながら緑が豊かで開放的なキャンパスです。敷地内には野球場、サッカー場、ラグビー場、テニスコートなどのスポーツ施設が整い、生徒は授業の合間を思い思いに過ごしています。
麻布中の部活動・課外活動
運動部はサッカー部、硬式野球部、バスケットボール部、バレーボール部、陸上部、テニス部、卓球部、バドミントン部、アメリカンフットボール部、アーチェリー部、オリエンテーリング部、ゴルフ部、スキー部など多岐にわたります。文化部も音楽部、パソコン部など幅広く、生徒の関心に応じた活動の場が用意されています。
部活動でも自主性が重んじられており、運営の中心はあくまで生徒です。
麻布中の年間行事・学校生活
麻布を象徴する行事は文化祭です。生徒主導で企画・運営される学園最大の行事で、3日間でおよそ3万人の入場者を集めます。文化祭実行委員会(文実)が中心となり、数百万円規模の予算を生徒の手で動かします。
10月中旬には各学年で2日から4日間の「学年行事」が行われます。中学1年生は創立者・江原素六の墓参のため沼津へ、中学2年生は相模湖遭難事件の慰霊のため相模湖へ赴くことが多く、学園の歴史を身体で学ぶ機会になっています。
麻布中学校の入試問題の傾向と対策
国語の入試傾向と対策
国語は60分・60点です。麻布の国語は、長い物語文1題に対して記述中心の設問が並ぶという構成が長く続いています。選択肢問題や知識問題の比重は小さく、得点の大半を記述が占めます。
厄介なのは、字数指定のない記述が多いことです。解答欄の大きさから分量を推し量り、必要な要素を自分で選び取って書く必要があります。「何を書くか」を受験生自身が決めなければならない出題だといえます。
対策の軸は二つです。第一に、登場人物の心情がどの一文を境に動いたのかを、本文の根拠とともに指摘できるようにすること。第二に、その根拠を字数の枠なしで筋の通った日本語にまとめる訓練を積むことです。設問の要求を読み違えたまま書き進めても点にはなりません。過去問演習では、書いた答案を必ず第三者に読んでもらい、要素の過不足を確認してください。
算数の入試傾向と対策
算数は60分・60点です。問題数は少なめで、一問あたりの配点が大きくなります。誘導に沿って考えを積み上げていく形式が多く、途中の考え方を書かせる設問も見られます。
答えだけを出す練習では通用しません。式と論理を残しながら解く習慣を、早い段階でつけておく必要があります。
理科の入試傾向と対策
理科は50分・40点です。40点の配点に対して50分という時間配分からもわかるとおり、その場で資料や実験結果を読み取り、考察させる設問に重心があります。
知識を問う設問も出ますが、それだけでは差がつきません。実験の手順がなぜその順序なのかを説明できる程度の理解が求められます。
社会の入試傾向と対策
社会も50分・40点です。麻布の社会は、ひとつのテーマを長文と資料で追わせ、最後に長めの記述で締めるという構成がよく見られます。用語の暗記量よりも、資料から筋道を立てる力が問われます。
日ごろから、出来事の背景と結果を自分の言葉で説明する練習をしておくと有効です。
まとめ 次年度入試に向けて
麻布中学校は、自由な校風と記述中心の入試という二つの特徴で知られる最難関校です。2026年度入試は受験者720名・合格者360名の実質倍率約2.0倍、合格最低点は200点満点中102点でした。2026年春には東京大学77名(現役58名)の実績を出しています。
受験生と保護者の方に押さえていただきたい要点は、次の3点です。
- 合格最低点が5割強である以上、満点を狙う必要はなく、書ける設問を確実に得点しきる姿勢が有効であること
- 国語と算数で200点中120点を占めるため、まずは2科の安定が前提になること
- 記述の比重が全科目で高く、答えを出す力より説明する力が問われる入試であること
とりわけ国語は、字数指定のない記述をどう組み立てるかがそのまま得点を左右します。読解の型と記述の型を早い段階で固めておけば、本番で大きく崩れるリスクを減らせます。

