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8月 31, 2026  · 過去問解説

2026.2.3実施 海城中学校 第2回 国語 徹底解説

2026年2月3日(火)に実施された海城中学校 第2回入試の国語を、YS中学受験国語力研究室が全問解説します。物語文はいとうみくさんの「親友のカレ」、論説文は小野純一さんの『僕たちは言葉について何も知らない』。どちらも「他人をわかるとはどういうことか」を正面から問う、たいへん読み応えのあるセットでした。お子様の復習にぜひお役立てください。

出題構成と全体講評

  • 試験時間は50分、120点満点です。大問は二題で、いずれも長めの文章が出題されました。
  • 大問一は物語文。いとうみく「親友のカレ」(『TRUE Colors 境界線の上で』講談社所収)から、中学三年生の女子「詩」と、元恋人で今は親友の「葉空」のやりとりが出題されました。記号選択が10問、100字以上120字以内の記述が1問です。
  • 大問二は論説文。小野純一『僕たちは言葉について何も知らない 孤独、誤解、もどかしさの言語学』(ニューズピックス)から、孤独と友情、そして「役に立つ」という基準を問い直す文章です。漢字の書き取りが6問、記号選択が7問、80字以上100字以内の記述が1問です。
  • 設問の大半は記号選択ですが、選択肢はどれも二行から三行に及ぶ長さで、しかも本文に書かれていることを少しずつずらして作られています。「なんとなく合っていそう」で選ぶと外れます。
  • そして今年度の海城第2回で最も注目すべきは、二つの文章が同じ問いを共有している点です。物語文の「一〇〇パーセントわかるなんて思わないほうがいい」という葉空の言葉と、論説文の「自分のこともわからないのに他人をわかったつもりになる」という論点は、まっすぐに響き合っています。二題を別々の問題として処理するのではなく、通して読めると、二つの記述の方向性がつかみやすくなります。

大問一 物語文 いとうみく「親友のカレ」

本文の状況

中学三年生の東雲詩(しののめ・うた)は、十九か月前まで同級生の佐伯葉空(さえき・はく)と付き合っていました。別れた後も親友として親しくしていましたが、ある日、葉空からクラスメイトの綿谷悠人(わたや・ゆうと)を好きになり付き合い始めたと告げられます。その後、風邪で一週間学校を休んでいた詩が登校すると、出題冊子の前書きにあるとおり、葉空が同性愛者であるという噂がクラスに広がっていました。

男子の中には「おれ狙われたかも」とふざける者がおり、女子の中には注意しつつも好奇の目を向ける者がいる。当の綿谷君は何も言わない。そして詩自身も、何も言えなかった。その状況で葉空が学校を休んでいると知った詩は、家を飛び出して葉空の家へ向かいます。

海城中 第2回 大問一 登場人物の関係
詩(あたし)
中3・語り手
葉空
詩の元恋人で親友
綿谷君
葉空の交際相手
彩葉さん
葉空の姉
葉空 わかりたいのに、わかろうとしていなかった自分に気づく
葉空 わからなくていい。わかったつもりになるほうが傲慢だ
クラス 葉空 好奇の目・色メガネ。詩も何も言えなかった
葉空 彩葉さん 失望されるのが怖くて話せない
海城中 第2回 大問一 詩の心情の流れ
1
噂を知り、葉空から連絡がないと気づく
心配と苛立ちが入りまじり、居ても立ってもいられない
2
自転車を走らせながら自分を振り返る
一番偏見を持っていたのは自分だったと自覚する
3
臨時休業の店の前で葉空と再会
落ち着いた葉空の態度にカッとなり、怒鳴ってしまう
4
「ちがうって言えばいいじゃない」と言ってしまう
やっぱり自分はわかっていない、と痛感する
5
「わかったつもりになるのは傲慢だ」と言われる
痛いところを突かれ、胸が苦しくなる
6
「わからなくていいんだ」とこぶしを握られる
突き放されたのではなく、大事に思われていると知る
7
翌日、葉空が登校してくる
不安で胃がきりきりしつつ、葉空の言葉を反芻する

問一 「気がついたら家を飛び出していた」理由

直前にあるのは「ばか。葉空のばか。こういうときに連絡しないで、なにが親友だよ」という、心配と苛立ちが混ざった独白です。ここで大切なのは、詩は「会って何をするか」を決めていないという点。傍線部の直後も「あたしは怒っている」と続き、その矛先はクラスメイトにも綿谷君にも、そして自分自身にも向かっています。つまり、目的があって動いたのではなく、居ても立ってもいられずに体が動いてしまったのです。

イの「相談に乗ってあげるため」、ウの「文句を言ってやらなければ気が済まない」、エの「自分にとって葉空がどれほど大切かを早く伝えなければ」は、いずれも行動の目的をはっきり書きすぎています。ここが消去のポイントです。

解答

問二 「本当はあたしが一番、偏見を持っていた」のはなぜか

傍線部の直後に理由がそのまま書かれています。「口では理解のあるようなことを言って、頭ではジェンダー平等、あらゆる差別もなくさないといけないって思っているのに、感情が、心がついていけていなかった」。さらに、葉空から綿谷君のことを聞いたとき「一瞬、思考が停止した」「葉空のことをヘンだと思った」とあります。頭で学んだ理解と、実際に湧いた感情のずれ。これが「偏見」の正体です。

ウは非常に紛らわしい選択肢ですが、詩は「葉空のことを考えたくない」とは思っていません。本文にあるのは「葉空のことをわかろうとしなかった」であり、思考停止と拒絶は別物です。イは「かばってあげたかったのにできなかった」という別の後悔にすり替えており、エは「男らしくない」という本文にない感情を持ち込んでいます。

解答

問三 「どうしたのって、ばか!」と怒鳴ったのはなぜか

チャイムを鳴らしても誰も出ず、店には「臨時休業」の張り紙。詩の不安は最高潮に達しています。そこへ現れた葉空の第一声が「どうしたの?」でした。こちらは気が気でないのに、当の本人は何事もなかったような顔をしている。この落差にカッとなったのです。

ウを選びたくなりますが、詩が怒鳴ったとき葉空は「驚いた顔をした」とあります。葉空は無理をして平気なふりをしていたのではなく、本当に忌引で帰省していて、詩の心配を予想していませんでした。ここを読み取れれば、ウは切れます。

解答

問四 「かすかに葉空の声がかすれた」理由

葉空は「学校を休んだのは忌引」と答え、大垣での通夜と葬式の話をすることで、噂の話題を回避できていました。ところが詩が「じゃあ、学校に来なかったのは、あのこととは関係ないの?」と話を引き戻し、「聞いたよ」と言います。ここで葉空は、いよいよ「あのこと」に向き合わなければならなくなり、動揺したのです。

詩は葉空を責めても追及してもいません。傍線部の後の葉空の発言は「気にしないって言ったらうそになる。やっぱ怖いわ」と続き、うんざりではなく怖さを打ち明ける方向へ進みます。

解答

問五 「あたしはやっぱりわかっていない」の内容

この直前で詩は何を言ったか。葉空が「好奇の目で見られるのはきついし、今までと同じことをしてもヘンに勘ぐられるのもいやだ」と打ち明けたのに対し、詩は「だったら、ちがうって言えばいいじゃない」と返してしまいました。これは葉空に「自分にうそをついたり、ごまかす」ことを勧めたのと同じです。実際、葉空は「自分にうそをついたり、ごまかすのはもっと苦痛」と答えています。

理解者のつもりでいた自分が、ありのままの葉空を認めず、周りに合わせて本当の自分を抑えることを求めてしまった。その自覚が「やっぱりわかっていない」という言葉になっています。

解答

問六 「大きな塊が喉の奥に詰まったように胸が苦しい」のはなぜか

葉空の言葉は「一〇〇パーセントわかるなんて思わないほうがいい」「自分のこともわからないのに、他人のことをわかったつもりになるのは傲慢だと思う」でした。詩はこの直前まで「葉空のこと、わかりたい」と言っていたのですから、これは正面から痛いところを突かれた形になります。

大事なのは、詩がすでに「自分のことは自分が一番わかっている、というのは幻想だ」と気づいていたこと。つまり葉空の言葉は、新しい事実の突きつけではなく、詩が自分の思いばかりに目を向けていたことの指摘なのです。「受け入れがたい現実」「気づかう言葉とともに」といった方向の選択肢は、ここで切れます。

解答

問七 「固く握ったあたしのこぶしを葉空が握った」のはなぜか

葉空はこの後「わからなくていいんだ」と言い、柔らかな表情で「おれも詩のことわかんないけど、そういうわからない時のことが面白いし、すごいなって思う。詩のことを大事に思っている」と続けます。手を握るという行為は、突き放しではなくフォローです。俯いてしまった詩の気持ちに寄り添い、詩が自分のために真剣に考えてくれていることは受け止めた、と伝えるための動作でした。

葉空が「傲慢」という強い言葉を使ったことを悔やんでいる、詩を辛く思っている、といった説明は本文から読み取れません。

解答

問八 「涙がぼろぼろこぼれた」のはなぜか

小五のとき、詩は友だちから無視されていましたが、両親には言えませんでした。理由も本文に書かれています。「教室で一人ぼっちでいるあたしをママが見たらどんなに悲しむだろう。悔しい思いをするだろうって思ったら、言えなかった」。そこで、家では笑って生意気を言って、普段どおりに振る舞っていたのです。

その努力を、ママは「学校でなにかあった?」の一言で見抜きました。張りつめていたものが緩んだ瞬間に、押し殺していた辛さがあふれ出た。これが涙の理由です。「本当の気持ちは隠し続けられないとさとった」ではなく、気の緩みと解放だと押さえてください。

解答

問九 葉空が「エスパーかよ」と笑ったのはなぜか

詩は「彩葉さんは葉空の味方だよ。なにがあっても、どんな葉空でも、一番の味方だってことは変わらない。それはわかる」と断言しました。これは詩自身が母から「ママはどうしたってあなたの味方だよ」と言われた経験に支えられた言葉です。

ただ、葉空からすれば奇妙な話です。ついさっき「他人のことはわからない」と言い合ったばかりなのに、詩は姉の気持ちを超能力のように言い当ててみせる。それでも詩が自分を懸命に勇気づけようとしているのはよく伝わる。だからこそ、冗談めかしたおかしみとして「エスパーかよ」と笑ったのです。

解答

問十 「不安で胃がきりきりした」のはなぜか

詩は噂が広がったときの教室を見ています。色メガネで見る男子、好奇の目を向ける女子。葉空自身も「今までと同じことをしてもヘンに勘ぐられるのもいやだ」「いやな思いはすると思うけど」と言っていました。つまり詩は、登校した葉空の立場がさらに悪くなる展開を具体的に恐れているのです。

葉空が怒りをぶつけて新たな問題を起こす(ア)、堂々と交際を始める(イ)、噂を否定して傷つく(エ)は、いずれも詩が予想していた内容ではありません。

解答

問十一 「わかったつもりでいるよりずっといい。でもあたしはわかりたい。」(100字以上120字以内)

条件が三つあります。第一に、葉空の言葉をふまえること。第二に、「わかったつもり」とはどういうことかがわかるように書くこと。第三に、「普通」「ありのまま」の二語を必ず使うことです。

「わかったつもり」の中身は、本文中盤の詩の内省が教えてくれます。「あたしはあたしの都合のいいように解釈をして、葉空をあたしの中の普通に引き戻したいと思っていた」。つまり、自分勝手に解釈して、自分の考える「普通」を相手に押しつけ、それで理解した気になることです。指定語の「普通」はここで使います。

一方、後半の「でもあたしはわかりたい」の内容は、葉空の「わからなくていいんだ」を受けたうえでの決意です。完全には理解できないと認めたうえで、それでも「ありのまま」の葉空を受け入れ、大切な友人として少しでも理解したい。指定語の「ありのまま」はここで生きます。前半で否定し、後半で肯定するという二段構えの型を作れるかが勝負でした。

解答の方向性自分の都合よく解釈して、自分の中の普通に相手を引き戻し、わかった気になるくらいなら、他人を完全に理解することはできないと認めるほうがよい。それでも、ありのままの葉空を受け入れ、かけがえのない友人である彼をもう少しでも理解したいと願う思い。
ポイント指定語のある記述は、指定語を「どこで使うか」を先に決めると型が安定します。今回なら「普通」は否定される側の内容に、「ありのまま」は肯定される側の内容に置く。この配置が決まれば、あとは字数に合わせて肉付けするだけです。

大問二 論説文 小野純一『僕たちは言葉について何も知らない』

本文の骨格

筆者はまず、孤独は不機嫌なもの、ネガティブなものとして理解されがちだが、それは違うと述べます。他の人といつも一緒にいることは、自分の注意や意識が自分以外に向かっている状態であり、自分自身と向き合えるのは自分ひとりの時間だからです。

その例として挙げられるのが、フランスの作家アルベール・カミュと思想家シモーヌ・ヴェイユの関係です。カミュはすでに亡くなっていたヴェイユの文章を繰り返し読み込むことで、その精神に共鳴し、真にわかりあえる友人だと考えました。ここで筆者は『論語』の「朋あり遠方より来たる」を引き、カミュにとっての「朋」は過去から来たのだと述べます。言葉は時空を超えるからです。

後半、話は「役に立つ/立たない」という基準の批判へ進みます。役に立つかどうかで物事を判断すると、目的が限定され、未来の自分の可能性も、現在の自分の視野も狭めてしまう。そこで必要なのが、これまで前提にしてきたものをいったんかっこにくくり、脇に置いて、「みんな」のかげに隠れた自分にフォーカスを当てることだ、というのが結論です。

海城中 第2回 大問二 論の展開
孤独はふつうネガティブに理解される
↓ しかし
他人といつも一緒にいることは、意識が自分以外に向いている状態
↓ だから
孤独な時間こそ、自分と向き合う時間である
↓ 具体例
カミュは、死んだヴェイユの文章を読み込み、その精神に共鳴して友人と考えた
『論語』の「朋あり遠方より来たる」。言葉は時空を超えるので、朋は過去からも来る
↓ さらに
「役に立つ」を基準にすると、未来の自分も現在の自分も限定される
↓ よって
前提をいったん脇に置き、「みんな」のかげに隠れた自分にフォーカスを当てる

問一 漢字の書き取り

  • a ショウガイ は「障害」。さまたげのことです。
  • b ココロザシ は「志」。音読みは「志望」の「シ」です。
  • c ミチビ(いて)は「導」。音読みは「指導」の「ドウ」です。
  • d セイキ は「世紀」。西暦を百年ごとに区切って数える年代の単位です。
  • e センデン は「宣伝」。特長や効能を大勢の人に説明することです。
  • f ガンゼン は「眼前」。目の前のことです。

bの「志」、cの「導」は訓読みで問われると手が止まりやすい字です。音読みの熟語に置き換えて確かめる習慣をつけましょう。

問二 「カミュは、死が二人の友人を隔てることはない」と言うのはなぜか

ヴェイユはすでに亡くなっており、カミュが会うことはできません。それでも友情が成り立つのは、ヴェイユの残した言葉がカミュの心に響き続けているからです。筆者は「死によって引き裂かれても、心の共鳴を深める」と述べています。

ここで注意したいのは、二人をつなぐのは言葉の「解釈」や「理解」ではなく、言葉が心に響くということそのものだという点。「永遠に理解を深め続けることができる」(ア)は、理解の側に重心を置きすぎです。

解答

問三 「常識を深めることが独創性を生み出す典型例だ」と言えるのはなぜか

常識的に考えれば、友人を得るには生きて活動する誰かと出会い、一緒に行動する必要があります。そして、たくさんの人の中から自分の精神と共鳴する人を選び出す。カミュもこの点では常識どおりです。

違うのは、その「共鳴する人を選ぶ」を突き詰めた結果、会うことのできない過去の思想家までを友人の範囲に含めた点。常識を否定したのではなく、常識を極限まで深めたからこそ独創的になった。この構造を説明しているのがウです。

解答

問四 「孤独な作業といってもいいでしょう」とはどういうことか

ヴェイユの文章を読むという行為そのものはカミュ個人の体験です。言葉が心にしみわたる経験は、カミュの中で起きる、カミュにしか味わえない出来事であり、同じ経験を他人と共有することはできません。だから「孤独な作業」なのです。

アの「解釈が正しいのかは誰とも確かめ合えない」は、正しさの話にすり替えています。筆者は解釈の正当性を問題にしていません。

解答

問五 「それは決して不自然ではないと思います」の理由

「それ」が指すのは、カミュにとっての「朋」が過去から来たということ。筆者はその理由を「なぜなら、言葉は時空を超えるからです」と明示しています。はるか昔の本からも学べるし、離れた場所から届く言葉に心が動かされる。発信した人が今生きているかどうかは重要ではない、というのが筆者の考えです。

アは「真にわかりあえる友人どうしだから共鳴する」と因果を逆にしています。共鳴するような言葉であるからこそ、時間を超えて真にわかりあえる関係が生まれるのです。イの「親近感」も、本文の「真にわかりあえる」より弱い言い換えです。

解答

問六 「それを一般化することで自分らしさが失われます」とはどういうことか

私たち一人ひとりは比べようもない独自性や個別性を持ち、それぞれの経験は違う場所、違う角度、違う感情を伴っています。ところが、それを「よくあることだ」と一般的な言葉で言い表してしまうと、その経験の独自性が見えなくなってしまう。

失われるのは「価値」ではなく「自分らしさ」、つまり独自性です。ア・イは価値の話にずらしており、エは「自分の経験とは別のものになる」と言いすぎています。

解答

問七 「それは未来の自分だけではなく、現在の自分までも限定してしまいます」とはどういうことか

「役に立つ」ということは、つねに目的が限定されています。今の自分に役立つかどうかで判断すると、未来の可能性を最初から狭めてしまう。それだけではありません。筆者はさらに踏み込んで、自分は役に立つ/立たないを判断できる立場にいると無自覚に前提してしまっている、と指摘します。

つまり、自分の判断が及ばない可能性に思いを馳せず、目に見える範囲だけで世界を限定してしまう。これが「現在の自分までも限定してしまう」の意味です。

解答

問八 「いったんかっこにくくり、わきに置いて」とはどういうことか

「これまで自分が前提にしてきたもの」とは、他人と一緒にいることや人前に出ていることがよいという思い込みです。それを否定するのではなく、いったん判断を保留にする。そのうえで、ふだんは見ていなかった自分自身を見つめ直す。これが「『みんな』のかげに隠れた自分にフォーカスを当てる」ということです。

ウは「自分らしさを見つけていこうとする」と、その先の段階まで書いてしまっています。設問が問うているのは、あくまで「かっこにくくって脇に置く」という手続きの中身です。

解答

問九 「ほんとうの幸せ」を求めるにはどうすればよいか(80字以上100字以内)

本文の結論部分を組み立て直す問題です。押さえるべき要素は三つあります。

  • 人間は孤独でありながらつながり(社会)を求める矛盾した存在である。だから社会とのつながりを断つのではない。
  • 孤独な時間に一人で自分と向き合う。
  • 「役に立つ」という基準、つまり現在の自分の判断基準が正しいという思い込みから自由になり、未来という可能性を限定しない。

そのうえで到達するのが「自分らしさの追求」です。指定語の「未来」は、可能性を限定しないという文脈で使います。社会性の実現と自分らしさの追求は、どちらか一方ではなく両方に基づく、という点を落とさないでください。

解答の方向性他者や社会とのつながりを求めながらも、孤独な時間に一人で自分と向き合い、役に立つかどうかという今の判断基準が正しいという思い込みから自由になって、未来の可能性を狭めずに自分らしさを追求すればよい。

二つの文章はどう響き合っているか

物語文と論説文が、同じ問いを別の角度から扱っています。ここに気づけたかどうかで、読解の深さが変わりました。

海城中 第2回 二題に共通するテーマ
大問一「親友のカレ」
自分のこともわからないのに、他人のことをわかったつもりになるのは傲慢だ 自分の中の「普通」に相手を引き戻そうとしていた。わからなくていい、でもわかりたい
共通
大問二「僕たちは言葉について何も知らない」
経験を一般化すると自分らしさが失われる。役に立つかで判断すると自分を限定する 前提をいったん脇に置き、「みんな」のかげに隠れた自分にフォーカスを当てる
結論 わかったつもりで相手や自分を型にはめることをやめ、わからなさを引き受けたうえで、ありのままの相手と自分に向き合う

ご家庭での復習ポイント

  • 選択肢は必ず二回読みます。一回目は「本文と合っているか」、二回目は「言いすぎていないか」。今回の誤答の選択肢は、本文にない目的や感情を一語だけ加えて作られているものが目立ちました。「考えたくない」「うんざり」「悔やむ」といった感情語が出てきたら、本文に根拠があるか指さし確認をしてください。
  • 記述は指定語の置き場所から決めます。大問一なら「普通」は否定される側、「ありのまま」は肯定される側。大問二なら「未来」は可能性を限定しないという文脈。この配置さえ決まれば、字数は後から調整できます。
  • 物語文では、傍線部の直前直後だけでなく、その人物が過去に語った言葉に戻る癖をつけましょう。問五や問十の根拠は、いずれも数ページ前の会話にありました。
  • 論説文では、筆者が否定している考え方と、代わりに提案している考え方を、読みながら二列に整理します。今回なら「役に立つで判断する」と「前提を脇に置いて自分にフォーカスする」の対比が全体の背骨でした。

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