【2026年 四谷大塚 小5 第4回組分けテスト 国語】徹底解説
辻堂ゆめ『ばんざい! ぼくらのフシギ島』/内田健太郎「ミツバチの未来の選び方」
2026年7月19日に実施された四谷大塚「5年生 第4回 組分けテスト」(予習シリーズ5年上20回)国語を、大問ごとに徹底解説します。物語文は辻堂ゆめさんの新連載『ばんざい! ぼくらのフシギ島』、説明文は養蜂家・内田健太郎さんの「ミツバチの未来の選び方」。どちらも「今まさに連載中の文章」からの出題という、四谷大塚らしい攻めた選材でした。人物相関図・心情変化表・対比構造図を使って、得点に直結する読み方を整理していきます。
テストデータ
- 実施日:2026年7月19日
- 試験名:5年生 第4回 組分けテスト(予習シリーズ5年上20回)
- 試験時間:50分/150点満点
- 構成:大問1(漢字10問)・大問2(語句)・大問3(物語文)・大問4(説明文)
大問1・2 漢字と語句 ― まずはここを落とさない
大問1 漢字の書き取り(各1点・全10問)
5年生の7月としては手ごわいセットです。特に注意したいのが次の3つ。
- 「磁器」…「陶器」と混同しやすい語。「磁」は「磁石」の磁で、石へんではなく「石」+「兹」です。
- 「厳(おごそ)かな」…送りがなが「かな」である点がポイント。「厳しい(きびしい)」と同じ字で読みが変わる訓読みの代表例です。
- 「映(は)える」…「栄える(さかえる)」との書き分け。光を受けて美しく見える意味なら「映える」です。
大問2 語句・敬語(問一〜三 各2点/問四・五 各1点)
問二 1 かじ/2 もち/3 あり
問三 1 イ/2 エ
問四 1 ウ/2 イ
問五 1 武者/2 竹馬
ここが学習ポイント
問一は敬語の集中問題です。尊敬語(なさる・召し上がる)と謙譲語(いただく・伺う・承る)を、頭文字のヒントだけで書き分けさせる形式でした。5年生のうちに「誰の動作か」で選び分ける習慣をつけておくと、6年生の記述問題で敬語ミスが激減します。
大問3 物語文 ― 辻堂ゆめ『ばんざい! ぼくらのフシギ島』
出典:辻堂ゆめ『ばんざい! ぼくらのフシギ島 ~悩んだら、いつでも来んね~』(主婦の友社)
ミステリ作家・辻堂ゆめさんによる「子どものための謎とき小説」。日本の西にある人口約2000人の小さな島・夫志木島(ふしぎじま)を舞台に、島の外からやってきた“留学生”たちの周りで起こる小さな謎を、主人公の星野涼と島の子・才津が解き明かしていきます。謎が解けるたびに子どもたちが再生していく、という構成が大きな特徴です。
あらすじ ― 「夜中に寝室を抜け出す男子」の謎
出口寮での生活が始まって一ヶ月。語り手の涼は、五年生の留学生陽斗が夜中になるとランドセルを持って寝室を抜け出していることに気づき、同級生の才津に相談します。才津は名探偵のように推理を組み立て、「陽斗は超優秀な兄に追いつくため、開栄学院受験に向けて夜中に猛勉強している」と言い当てます。
しかし追及されるうちに陽斗が明かしたのは、まったく別の苦しみでした。陽斗は文字がうまく読めないのです。眼鏡をかけていても視力の問題ではなく、文字が揺れ、重なり、かすみ、逆さまになる。だから定規を当てて一行ずつ追っている――。そして陽斗が本当に願っていたのは、兄と同じ学校に受かって「お父さんとお母さんから自慢の子だと思ってもらいたい」ということでした。
図解1:人物相関図
出口寮で暮らす
推理役・温厚だが芯が強い
文字が読みにくいハンデ
開栄学院に通う優等生
結末で陽斗を包みこむ
図解2:陽斗の心情変化表
図解3:場面構成と「推理」の流れ
設問別解説
問一 空欄a〜d に入る言葉(各1点)
擬態語・副詞の空欄補充です。直後の動詞とセットで覚えるのが最短ルート。「むんずとつかむ」「はっとした顔」「すらすら読める」「のびのび過ごす」は、そのままフレーズで暗記しておきましょう。「ぼんやり」「ほっ」は残った選択肢ですが、いずれも文脈に合いません。
問二 推理の過程 A〜E(各2点)
この大問の設計思想がいちばん出ている問題です。図解3の流れをそのまま追えば解けますが、ミスが出やすいのはCとD。「兄の受験は終わっている」(C)という前提のひっくり返しがあってはじめて、「では誰のご利益なのか?」という新しい謎(D)が生まれます。この「一度立てた推理を自分で壊す」構造が読み取れているかが問われました。
問三 「涼が言ってないこと」(4点)
涼が才津に伝えたのは「陽斗が夜中になるとランドセルを持って寝室を抜け出している」という事実だけです。「勉強をするために抜け出している」というのは才津の推理であって、涼の発言ではありません。ここを取り違えると問二も連鎖的に崩れます。「見えた事実」と「そこからの解釈」を線引きするという、説明文にも通じる大事な訓練です。
問四 「眼鏡の奥の目を大きく見開いて、唇を震わせている」(4点)
陽斗が驚愕の表情を浮かべたということは、才津の推理が当たっていた証拠です。「才津はどう思ったか」ではなく「陽斗は心の中でどう思っていたか」を聞かれている点に注意。動揺=図星、という定石どおりの読みで正解できます。
問五 「陽斗の顔はくしゃりとゆがんでしまう」(4点)
この場面で陽斗の心は二方向に揺れています。「どうせ無理だって、思ってるんでしょ」というすねたような声、「自分でも……分かってるんだよ」という現実の受け入れ。その一方で「まだまだ、あきらめたくない」という葛藤も打ち明けている。
選択肢の切り方
顔が「くしゃりと」ゆがむのは苦痛を感じているからこそなので、この表情を浮かべている時点で、前向きな意気込み(ア)や自分を励ます姿勢(イ)は成立しません。腹立たしさ(ウ)でもなく、兄に追いつけないというネガティブな思いに苦しんでいるエが正解です。
問六 「才津が珍しく怒ったような声で、ぴしゃりと言った」(4点)
ここは「怒っているように見えて、実は怒っていない」という高度な読み取りです。根拠は2つ。
- 涼が「珍しく怒ったような声で」と感じていること=才津は普段こうした声を出さない
- 才津は陽斗に「優しく言葉を投げかけ」ており、後の場面でも「人には……あるっちゃけんさ」と全力で励ましている
つまり才津は温厚で優しい人柄。ゆえに「怒ったような声」は、言葉どおりの怒りをぶつけたのではなく、「自分で自分のことを頭が悪いなんて、悲しいことを言うな」という悲しみの表れと考えられます。だから「自分自身を大切にしていないことに、がまんならなかった」ウが正解です。
問七 「三キロのおもり」とは何のことか(4点・抜き出し)
才津は陽斗が背負っている「不利なハンデ」に気づいていました。「陽斗が教科書に定規を当てながら文字を読んだりしよる」姿を見ていた才津が、「三キロのおもり」という比喩をつけたのです。陽斗自身の言葉「文字がよく見えないんだ」がそのまま答えになります。五字以上十字以内という字数指定にぴったり合う(9字)ことも確認しましょう。
問八 涼も陽斗を気づかう様子がわかる一文(4点・抜き出し)
涼が「定規……?」と言って首をかしげたことで、才津は陽斗が自分のハンデを知られたくなかったのではないかと後悔します。その後、陽斗の秘密を聞いた涼は、涙ぐむ陽斗の姿が見えないよう「慌てて」陽斗を守っています。「ここより後の文章中から」という条件を見落とさないことが最重要です。
問九 なぜ「遅くまで猛勉強していた」のか(10点・50字程度の記述)
配点10点、この回の最大得点源です。骨格は「開栄学院に合格したい」+「両親に自慢の子だと思われたい」の2要素。
採点の分かれ目
「兄に追いつきたいから」だけで止めると大きく減点されます。本文で陽斗が語っているのは「お兄ちゃん、大好きなんだよ」「うらやましい」という兄への思いを土台にした、「僕だって〜思ってもらいたい」という両親への切実な願いです。目的(合格)と、その先にある本当の願い(親に認められたい)を二段構えで書くのが満点答案の形です。指定語「開栄学院」を必ず入れること。
問十 「そい自体が答えばい」の「答え」とは(8点・40字以内)
才津は「夜中まで勉強し続ける陽斗のことを心配して、いったん取り戻してほしい」と考え、両親が陽斗を夫志木島に送り出したのだと諭します。親が島へ送り出したという行為そのものが、親の願いを語っているという論理です。書き出しが指定されているので、「陽斗が」から始めて「〜ということ。」で締める形を守りましょう。「学校の成績が悪くなったことで嫌われるはずがない」という才津の励ましも、同じ主旨を裏から言ったものです。
問十一 「四時間目の算数は、いつまでも始まらない」(5点)
ラスト一文の意味を問う、味わい深い問題です。「僕は……僕は、このままでいいの?」と問う陽斗に、才津は「当たり前たい!」と力強く応え、「ちゅうわけで、練習でもしようで!」と太鼓の練習を始めます。美野里は「わたしも得意かとよ」とだけ言って、事情も聞かずに練習に参加した優しい気づかい。
注目すべきは「島の子たち」も「涼たち留学生」も、みんな何事もなかったようにトーントーンとリズムを取っていることです。何も知らない松園先生まで「算数の時間だから、やめなさい」と止めるかと思えば「おお? 精が出るねぇ」と見当違いの言葉をかけながら、子どもたちの好きにさせています。
結論
この時の陽斗にとって必要だったのは「四時間目の算数」ではなく、島で出会った優しい人たちの温かい気持ちに包まれ、心を休めることでした。だからこそ授業は「いつまでも始まらない」のです。アが正解。
大問4 説明文 ― 内田健太郎「ミツバチの未来の選び方」
出典:内田健太郎「ミツバチの未来の選び方 第5回『働きバチの職業、いろいろ(2)』」(ミシマ社「みんなのミシマガジン」)
筆者の内田健太郎さんは1983年神奈川県生まれの養蜂家。東日本大震災をきっかけに山口県・周防大島へ移住し、2024年にはみつばちミュージアム「MIKKE」をオープンしました。著書に『極楽よのぅ』(ちいさいミシマ社)があります。研究者ではなく、実際にミツバチと暮らす当事者が書いているという点が、この文章の説得力の源です。
図解4:段落構成図
姉バチ→妹バチへ口移し→妹バチが酵素を添加して巣房へ→送風係が羽で余分な水分を飛ばす→糖度が高くなる
図解5:対比構造図
解答と着眼点
問四 花の蜜に自ら分泌した酵素を添加して糖を分解すること。
問五 a 余分な水分/b 高くなっていく
問六 ア 問七 C 問八 ア 問九 イ
問一 小見出しの選択(各3点)
Ⅰは「はちみつは〜やってくるのか」、すなわち「はちみつが〜できるのか」について説明されている部分の小見出しです。私たちは「はちみつ」が「ミツバチが花から集めたもの」であることは知っていますが、近い将来ドローンで集められるようになったとしても、それははちみつにはならないと言われると「どうして?」となる。アリストテレスが「天空からやってくる」と考えてしまったほど謎に包まれていたはちみつは、今なお、どのようにしてできるのか、その詳細を知る人は多くない――という前提で、養蜂家の筆者は説明を始めています。
Ⅱでは「何よりも〜腐らないということ」だと筆者は述べています。「腐らない」=「変わらないもの」という、人間ですら生み出すのが難しいものを、あの小さなミツバチが自分たちで完成させている。ここに筆者は大きな驚きを感じています。
問二 「これには補足が必要です」の内容(5点)
筆者は「働きバチ」が持つ「糖を〜できる」ことがどういう能力で、なぜ必要なのかということが「少しわかりにくい」ので、補足としてはちみつができる過程について説明します。「これ」の指す内容を直前だけでなく、直後の展開から逆算して確定するのがコツです。正解はウ。
問四 働きバチが「分泌」してできること(10点・記述)
妹バチは「何も〜まだ知らない」のに、「ある日突然、姉から呼び止められ」て、「採ってきたばかりの花の蜜を口移しで」「ドバーっと」「流し込まれ」てしまいます。妹バチが「がっくり」しているかどうかはわかりませんが、とにかくも、流しこまれた花の蜜は、妹バチの体内で「分泌した酵素を添加」され、糖に分解されます。
記述のポイント
「酵素を出す」だけでは不十分。「花の蜜に」「自ら分泌した酵素を添加して」「糖を分解する」の3要素をそろえること。理科的な内容ですが、本文の言葉をそのまま使えば書けるようになっています。
問五 空欄補充(各4点)
「最初の〜水っぽいもの」なので、「働きバチはそこ(巣房にしまわれた花の蜜)にある〜風を送り込み」ます。そのようにして「余分な水分」を飛ばすことで「乾かしていくことで」、蜜の糖度は「高くなって」いき、やがて私たちが知っている、あのトローっとしたはちみつが出来上がります。工程を時系列で追えば確実に取れる問題です。
問七 脱文挿入(5点)
はちみつが出来上がる過程の最終段階として、「羽ではちみつを乾かす」という作業が行われますが、Cから、はちみつそのものではなく、小さなミツバチの小さな羽が持つ「風力」について話がそれています。脱文挿入は「話題が切り替わる継ぎ目」を探すのが鉄則です。
問八・九 筆者の主張(各6点)
「人間が〜価値がなくなり」ながら私たちは生活しています。もし「腐らない、朽ちることがない」ものばかりになったら、物が活発に消費されることで成り立つ「消費社会」は「根底から」覆されます(問八=ア)。
「時間と共に価値がなく」なってしまうものに囲まれて暮らしているということは、裏返せば「変わらない価値を持つ」ものを作るのは、科学を発達させた人間にとってすら非常に難しいことであるとも言えます。ゆえに筆者は「変わらない〜完成させ」るという奇跡とも言えることができるミツバチを「尊い存在」だと考えています(問九=イ)。
説明文の読み方として
この文章の面白さは、ミツバチの生態の話が、いつのまにか「人間の社会」への問い直しに変わっているところです。「例えば100年後に、今僕が身につけているものに価値はあるでしょうか?」という問いかけが転換点。筆者が「話題を人間側に引き寄せた瞬間」に線を引くと、主張が一気に見えるようになります。
この回から持ち帰るべき3つのこと
- 「事実」と「推理(解釈)」を分ける。大問3の問二・問三は、まさにこの一点を測る問題でした。物語文でも説明文でも、本文に書いてある事実と、そこから導かれた考えを線引きする習慣が得点を安定させます。
- 記述は「目的」だけでなく「その先の願い」まで書く。問九の10点は、「開栄学院に合格したい」で止まるか、「両親に自慢の子だと思われたい」まで届くかで差がつきました。登場人物の行動の奥にある“本当の願い”を探るのが物語文の記述の核心です。
- 説明文は「対比」を骨組みとして押さえる。大問4は「ミツバチ/人間」「腐らない/時間と共に価値がなくなる」という対比が全体を貫いていました。対比さえつかめば、問八・九の合計12点は一気に取れます。
※本記事は2026年7月19日実施の四谷大塚 5年生 第4回組分けテスト(予習シリーズ5年上20回)国語をもとに作成しています。
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